【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第三章 幸せの行方

43 緋色 49

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「これ、どういうことか知ってる?」

 呼び出された朱実あけみの執務室。ぱさりと机に置かれたのは、辞表と書かれた封筒。達筆だな。

「誰?」
一ノ瀬いちのせ荘重むらしげ。」
「ああ。成人なるひとの専属護衛にしてくれと、申し出があったな。」

 今朝のことだよ。
 考えておく、と返事をしたが、給料もいらないから勝手に護衛させて欲しいという感じのことを言っていた。どういうことかと思ったら、退職して成人なるひとの世話をするってことなのか。……あいつ、また手懐けた?

村正むらまさを呼んでこれる?」

 朱実あけみが、壁際に控えていた使用人に声を掛けると、頭を下げて素早く出ていく。あれも、足音がほとんど無いな。
 大して待つこともなく、使用人が一ノ瀬いちのせ村正むらまさ赤璃あかりまで連れて戻ってきた。
 護衛中だったか。

村正むらまさ、これの説明を。」

 素早く膝をついて抱拳礼をする村正むらまさをすぐに立たせて、朱実あけみは辞表をひらひらと振って見せた。
 顔を上げた村正むらまさが、表情を変えずに話し始める。

「は。父は、成人なるひとさまが心配で側を離れられないので、他の仕事が手につかない、予定よりちと早いが家督を私に譲り、自分は引退して成人なるひとさまの護衛をする、と申しまして、家督相続の儀を済ませましてございます。よって、私が頭領となり離宮に参りますので、赤璃あかりさまの護衛は親族の重杜しげもりへと引き継ぎます。」
「私はまだ、この辞表を受理していないのだけれど?」
「それを受理されるかどうかは、殿下が良きようにお計らいください。家督相続は、一ノ瀬いちのせの一族での話ですので、一応の報告にございます。」
「離宮に行くというのは?」
「最近、あの離宮が我らの拠点ですので。」

 けろり、と村正むらまさは答えた。

「は?」

 俺が思わず声を上げたのは当たり前だと思う。
 あの離宮、俺の家だよな……?
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