【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第九章 礼儀を知る人知らない人

55 ん?  成人

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「わぁー。たかーい」
亀吉かめきちさま。ちゃんと掴まってないと危ないですよ」
「だーじょーぶ」
「はは。何が大丈夫なんだか」
「だーじょーぶ」

 常陸丸ひたちまる亀吉かめきちは、あっという間に仲良しになった。常陸丸ひたちまるに肩車してもらった亀吉かめきちは、嬉しすぎて肩の上で万歳して常陸丸ひたちまるに注意されている。

「怖いもの知らずな若様だなあ。末良すえよしなんて、がっちりしがみついて固まってたのに」
「あはは」

 末良すえよし常陸丸ひたちまるに肩車してもらったのは、先月の誕生日会の時だった。大きくなったなあって常陸丸ひたちまるが言って、ひょいと末良すえよしを持ち上げて肩に乗せたんだ。末良すえよしは、常陸丸ひたちまるの髪の毛を慌てて掴んだ後固まっていた。あんまりに固まっていたから、常陸丸ひたちまるはちょっと歩いただけですぐに末良すえよしを下ろした。その後は、俺も肩車してみたい! って常陸丸ひたちまるに向かって両手を上げた見可みかが肩車をしてもらって、今の亀吉かめきちみたいに万歳してた。見可みかも、落ちるぞ、危ないって色んな人に注意されて、でも喜んじゃってちっとも言うこと聞かないから、最後は常陸丸ひたちまるに手を離されて落とされてた。もちろん、常陸丸ひたちまるは、落とした後に上手に受け止めたから、結局見可みかは大喜びだったんだけど。それを見た末良すえよしも笑っていた。
 私はいいって言った灯可とうかも、こういうのは経験だ、って肩の上に持ち上げられて目を見開いてた。灯可とうかは、もちろんちゃんと常陸丸ひたちまるに掴まっていた。いいなって見てたら、じいじが俺を持ち上げてくれた。灯可とうかと二人で肩の上で笑った。俺たちはちゃんと掴まってたから、そっと下ろしてもらった。
 肩車は楽しいから、大喜びしちゃうのよく分かる。
 大喜びの亀吉かめきちを肩に乗せたまま、俺たちは金物屋へ向かった。

「源さん、こんにちは」
「はい! こんにちは、ってなる坊だけか。はあー、良かった。あれ? 半助はんすけさんじゃねえな?」

 源さんは、ぴしっと挨拶してから、はーって息を吐いた。先触れがきて、ぴしっとして待ってたのかな。

「金物屋、今日は常陸丸ひたちまるだ」
「あー。姫様の護衛さん」
「伴侶だっつってんだろ」

 源さんは、乙羽おとわのことを姫様って呼ぶ。源さんは、いつも乙羽おとわと一緒に歩いている常陸丸ひたちまるのことを乙羽おとわの護衛だと思ってたのか。間違ってはいないけどさ。

「あー。そうでした、そうでした。今日は姫様はいないんすか。残念です」

 源さんは乙羽おとわに会いたかったのかー。また今度、一緒に来るね。

成人なるひと乙羽おとわは金物屋に用はないから来なくていい」
「そう?」
「そう」
「こんちは」

 常陸丸ひたちまるの肩から下りた亀吉かめきちが、ぺこりと頭を下げた。

「ありゃ。坊ちゃん連れでしたか。こんにちは。こりゃ姫様に似てべっぴんさんだ」

 ん?


 
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