復讐の鎖に繋がれた魔王は、光に囚われる。

篠雨

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第6章 魔王視点

第2話:二人の王

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翌朝、俺は鎖に繋がれたまま、セレの冷たい視線で目を覚ました。

俺が目を覚ますと、彼はすぐに鎖を引っ張り、俺の無事を確認した。その行動は、もはや習慣となっている。

「王城の騎士団は、すぐにはここを見つけられない。この山脈は、王城の光の魔力が届きにくい場所だ」

セレは、火を起こし、王城から持ち出した貴重な保存食を俺の前に置いた。勇者としての活動で得た褒賞金は、すべてこの逃亡生活の物資に変わっている。

「これからは、この洞窟が、俺たちの城だ」
彼は、そう言って、洞窟の壁を指さした。
「俺は、この城の王だ。お前は、俺の鎖に繋がれた魔王だ。俺が許可なく、お前は一歩たりともこの洞窟から出られない。わかったな」

彼の瞳には、支配欲が満ちていた。それは、三年前、俺が彼を鎖に繋いだ時の、俺自身の瞳と同じ輝きだった。

「ああ。わかったよ、セレ。君が王だ。僕は、君の望み通り、君の魔王だ」

俺は、その支配を受け入れることで、彼の心が満たされるなら、それで構わないと思った。

この小さな洞窟の中で、俺たちの世界は完結した。外の世界は、俺たちを追う敵だ。そして、セレは、その敵から俺を守る唯一の光であり、同時に、俺を支配する唯一の鎖となった。

俺たちが話す内容は、王城の訓練や、俺への復讐の言葉ではなく、二人だけの未来についてになり始めた。

「この山脈には、新鮮な水が流れている。お前を連れていくわけにはいかないが、俺が汲んでくる」

「お前は、俺が戻ってくるまで、絶対に動くな。いいな」

セレの命令は、以前の騎士団長の冷たい命令とは全く異なっていた。彼の命令には、俺の安全を確保したいという切実な願いと、俺への愛情に近い執着が込められていた。

俺は、彼の言葉をすべて受け入れた。彼が望む、鎖に繋がれたままの魔王として。

俺たちが、この歪んだ共依存の関係から解放される日は、来るのだろうか。それは、セレが、俺への復讐ではなく、自分自身の幸福を見つけることができた時だろう。
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