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「真実の愛」なら、このくらいの困難は乗り越えられますわよね?
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正式な婚約破棄を前に、私は完全に「レオポルド様の婚約者」としての仕事を完全に手放した。ハーコート公爵夫人とのお茶会や、「未来の公爵夫人」として顔を出す社交の場、そういったものから遠ざかったのだ。
もちろんそれは、「真実の愛」の力の片鱗を見せていただくためだ。
現在の楽しみは、私からそれらの仕事を譲り受けたローゼマリア様の奮闘ぶりを聞くこと。ハーコート公爵夫人付きの侍女ハンナが、ストラングウェイズ公爵邸へのお使いのたびに、彼女の最新の失敗談を聞かせてくれるのだ。
ハーコート公爵夫人とのお茶会に出席したローゼマリア様はマナー違反を連発し、ハーコート公爵夫人や同席した貴婦人や令嬢方から厳しく指摘され、涙目になって途中で退席したとか。
公爵家主催の舞踏会では、大酒を飲んでレオポルド様以外の男性と踊り回り、痴話げんかの末に会場中のひんしゅくを買ったとか。
王太子殿下のお茶会では、「殿下の学友の恋人」に過ぎない立場で殿下に馴れ馴れしく話しかけて、出禁になりかけたとか。
二人の評判はどんどん悪くなっている。
「けれどきっと真実の愛で解決できるはず」
思ってもいないことを小さく口に出して、つい「ふふ」と笑ってしまうと、ハンナがため息をつく。
「ツェツィーリア様、笑っておられる場合ではございません。これはハーコート公爵家の一大事でございます。ツェツィーリア様に何とか戻ってきていただきたいと、ハーコート公爵家の全員が切望しております」
「レオポルド様以外は、ね」
侍女は口をつぐむ。
「ごめんなさい、ハンナ。あなたをやり込めたいわけじゃないのよ」
そう、私がやり込めたい相手はあの二人なのだから。真実の愛がどんな困難も乗り越えられるというのなら、まだまだ試して差し上げなければ。
「あの女…いえ、ローゼマリア様がレオポルド様のパートナーとして建国祭に出席するなど、考えただけで寒気がいたします。どうかツェツィーリア様、お願いいたします。レオポルド様もいい加減、ローゼマリア様には無理だと気づいておられるころかと…」
「残念ね。私の建国祭のパートナーは、もう決まっているのよ」
そう、私はアレクシス様のパートナーとして建国祭に出席した。ハーコート公爵家がお金に糸目をかけずに用意した、完璧なペアルックで。
私とアレクシス様が並んで出席しているのを見たレオポルド様の顔と言ったら。でもまだ驚くのは早いわ。もっと見て。
見るのよ、私の胸元に光る宝石を。
私が期待したよりも随分遅く、そして周囲が「ねえ、あれ」とざわめき始めて随分経ってから、レオポルド様は目を見開いた。
私の胸元で光っているのは、サフィール・デュ・ヴォウ。
「ハーコート公爵が愛を誓うため、妻に贈る宝石」として代々受け継がれている大きなサファイア。
今の持ち主は公爵夫人であり、公爵夫人が私にサフィール・デュ・ヴォウを身につけさせたということは、「次期公爵の妻はツェツィーリアである」という宣言に他ならない。
そして私とペアルックを着ているのがアレクシス様だということは、私の夫…次期公爵になるのはアレクシス様ということだ。
ーーー
私がレオポルド様から「真実の愛を見つけたので婚約破棄してくれ」と言われたと報告したとき、公爵夫人はこう言った。
「公爵家と私にとってあなたは大切な存在よ、ツェツィーリア。あなたをハーコート公爵家に迎えるという意思は変わらないわ」
そして私が「わかっています」と微笑むと、夫人はアレクシス様に向かって「準備なさい」と告げたのだ。
あのとき公爵位を誰が継ぐかは変わった。真実の愛にのめり込む砂糖菓子から、いつだってサクッと香ばしいジンジャークッキーに。
もちろんそれは、「真実の愛」の力の片鱗を見せていただくためだ。
現在の楽しみは、私からそれらの仕事を譲り受けたローゼマリア様の奮闘ぶりを聞くこと。ハーコート公爵夫人付きの侍女ハンナが、ストラングウェイズ公爵邸へのお使いのたびに、彼女の最新の失敗談を聞かせてくれるのだ。
ハーコート公爵夫人とのお茶会に出席したローゼマリア様はマナー違反を連発し、ハーコート公爵夫人や同席した貴婦人や令嬢方から厳しく指摘され、涙目になって途中で退席したとか。
公爵家主催の舞踏会では、大酒を飲んでレオポルド様以外の男性と踊り回り、痴話げんかの末に会場中のひんしゅくを買ったとか。
王太子殿下のお茶会では、「殿下の学友の恋人」に過ぎない立場で殿下に馴れ馴れしく話しかけて、出禁になりかけたとか。
二人の評判はどんどん悪くなっている。
「けれどきっと真実の愛で解決できるはず」
思ってもいないことを小さく口に出して、つい「ふふ」と笑ってしまうと、ハンナがため息をつく。
「ツェツィーリア様、笑っておられる場合ではございません。これはハーコート公爵家の一大事でございます。ツェツィーリア様に何とか戻ってきていただきたいと、ハーコート公爵家の全員が切望しております」
「レオポルド様以外は、ね」
侍女は口をつぐむ。
「ごめんなさい、ハンナ。あなたをやり込めたいわけじゃないのよ」
そう、私がやり込めたい相手はあの二人なのだから。真実の愛がどんな困難も乗り越えられるというのなら、まだまだ試して差し上げなければ。
「あの女…いえ、ローゼマリア様がレオポルド様のパートナーとして建国祭に出席するなど、考えただけで寒気がいたします。どうかツェツィーリア様、お願いいたします。レオポルド様もいい加減、ローゼマリア様には無理だと気づいておられるころかと…」
「残念ね。私の建国祭のパートナーは、もう決まっているのよ」
そう、私はアレクシス様のパートナーとして建国祭に出席した。ハーコート公爵家がお金に糸目をかけずに用意した、完璧なペアルックで。
私とアレクシス様が並んで出席しているのを見たレオポルド様の顔と言ったら。でもまだ驚くのは早いわ。もっと見て。
見るのよ、私の胸元に光る宝石を。
私が期待したよりも随分遅く、そして周囲が「ねえ、あれ」とざわめき始めて随分経ってから、レオポルド様は目を見開いた。
私の胸元で光っているのは、サフィール・デュ・ヴォウ。
「ハーコート公爵が愛を誓うため、妻に贈る宝石」として代々受け継がれている大きなサファイア。
今の持ち主は公爵夫人であり、公爵夫人が私にサフィール・デュ・ヴォウを身につけさせたということは、「次期公爵の妻はツェツィーリアである」という宣言に他ならない。
そして私とペアルックを着ているのがアレクシス様だということは、私の夫…次期公爵になるのはアレクシス様ということだ。
ーーー
私がレオポルド様から「真実の愛を見つけたので婚約破棄してくれ」と言われたと報告したとき、公爵夫人はこう言った。
「公爵家と私にとってあなたは大切な存在よ、ツェツィーリア。あなたをハーコート公爵家に迎えるという意思は変わらないわ」
そして私が「わかっています」と微笑むと、夫人はアレクシス様に向かって「準備なさい」と告げたのだ。
あのとき公爵位を誰が継ぐかは変わった。真実の愛にのめり込む砂糖菓子から、いつだってサクッと香ばしいジンジャークッキーに。
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