婚約破棄されたけど、王太子より有能な隣国の殿下に溺愛されました

「セレナ=ミルフォード。お前との婚約は、今日限りで白紙にする!」

豪奢な晩餐の場。王城の舞踏会場の中心で、王太子アルヴィンの声が響き渡った。

金色の髪を撫でつけた王太子は、青い礼服を着こなしていた。隣には、艶やかなドレスをまとった少女が寄り添っている。彼女は、平民上がりの自称“聖女”、マリア=ブランシェ。

「あら……そうですか」

私はただ、微笑んだ。

ざわつく場内。まさか、王太子が公衆の面前で婚約破棄を告げるとは思っていなかったのだろう。
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