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10.5話ー学園の意向ー
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グレアルフside
研究資料の作製が全くと言っていい程に進まない状況が進む中。
俺は突然、学園長に呼ばれた。
なんの話なのか、大方の予想はついていており、重くなった足を引きずって理事長室へと入った瞬間……学園長は間髪入れずに問いかけた。
「グレアルフ……君がリディア嬢をいじめ、暴力を振るい、あまつさえ利用していたというのは事実かね?」
「……っ」
いきなり、全てを聞いてくる学園長の質問。
わざわざ俺を呼び出し、聞いてくるという事は講師陣から全てを聞き、知っているのかもしれない。
「俺は……イジメなんて、そんなつもりはなかった」
言い訳のように言葉を出すと、学園長は大きなため息を吐く。
「本当に……何てことをしてくれたんだ。君がした事はこの学園が築き上げてきた信頼、権威……全てを破壊する行為なのだぞ!」
「っ!!」
大人に怒られている、その事実が心臓を激しく鼓動させている。
学園長は語気を強めてさらに言葉を続けた。
「彼女の成績は優秀だった。だからこそ特待生として迎えた。平民でさえも分け隔てなく学問の機会を与える学び舎だと貴族家にアピールする予定が台無しだ」
「す、すみません」
「謝った所で、リディア嬢が帰ってくるのか? 謝罪は必要がない、そんな事をしても状況は変わらないのだから」
冷たく、突き放すような学園長の言葉に俺は何も言い返す事は出来なかった。
このまま、俺は退学となるのだろうか。
父になんて言えばいい。
貴族家の方々の前で豪語してしまったのだ、真実を知られれば我がミレニア家の信頼は地に落ちる。
そうなれば、俺の人生は完全に終わってしまう。
最悪だ……と思った時だった。
「だからこそ、君にはリディア嬢の研究成果……あの功績をしっかりと自分のものにする必要がある」
「……え?」
「もう帰ってこない者を待っていても事態は好転しないだろう。我々も学園内でイジメがあった事実は公にしたくはない。そこで、君が今の予定通り……リディア嬢の研究成果をかすめ取れば全て解決する」
「お、俺を……退学させなくていいのですか?」
「君を退学にしてしまえば、学園でイジメがあったと認めることになる。平民ごときで学園のイメージが下がる事だけは避けたい。だからこそ、君に確認がしたかった。リディア嬢の研究成果……あれを模倣できるのかね?」
質問に否と答えれば、俺の未来がお先真っ暗になる事は想像できた。
だからこそ、自信は毛ほどもないが頷いて答える。
「はい、大丈夫です。簡単ですよ!」
「分かった。であれば、私も此度の君のイジメについては不問にしよう。我が学園と、君の未来のために励んでくれ、何か分からない事があればいつでも相談に来たまえ、我らはもう学園を守る仲間だ」
「あ、ありがとうございます!」
俺は……なんて運がいいんだ。
あいつが平民であるおかげで、まだチャンスはある。学園も俺の味方だ。
しかし、意気揚々と頷いたはいいが、事態は好転していない。
自信たっぷりに答えた手前、研究資料が進んでいないとは口が裂けても言えなかった。
こんな事になるのなら、あいつをもっと丁寧に扱っていれば良かったと今更ながら後悔する。
しかし後悔しても、今の俺が奴に話しかける事はできない。
もし、この場に奴がいれば……また愛してやると言えば、平民のあいつは大人しく俺に従ってくれるはずなのに。
あいつが学園へ戻ってくれれば、状況は変わるはずなんだ。
俺達にいじめられていたおかげで、貴族家に頼る事は恐ろしくて出来ないはず……それにあいつが自分から頼れる貴族家などあるはずがない。
逃げ出しても、音を上げるのならそろそろのはずだ。
学園へ帰ってこい、お前が帰ってくれば全てが解決するんだ。
戻って、また俺の道具になってくれ。
リディア。
研究資料の作製が全くと言っていい程に進まない状況が進む中。
俺は突然、学園長に呼ばれた。
なんの話なのか、大方の予想はついていており、重くなった足を引きずって理事長室へと入った瞬間……学園長は間髪入れずに問いかけた。
「グレアルフ……君がリディア嬢をいじめ、暴力を振るい、あまつさえ利用していたというのは事実かね?」
「……っ」
いきなり、全てを聞いてくる学園長の質問。
わざわざ俺を呼び出し、聞いてくるという事は講師陣から全てを聞き、知っているのかもしれない。
「俺は……イジメなんて、そんなつもりはなかった」
言い訳のように言葉を出すと、学園長は大きなため息を吐く。
「本当に……何てことをしてくれたんだ。君がした事はこの学園が築き上げてきた信頼、権威……全てを破壊する行為なのだぞ!」
「っ!!」
大人に怒られている、その事実が心臓を激しく鼓動させている。
学園長は語気を強めてさらに言葉を続けた。
「彼女の成績は優秀だった。だからこそ特待生として迎えた。平民でさえも分け隔てなく学問の機会を与える学び舎だと貴族家にアピールする予定が台無しだ」
「す、すみません」
「謝った所で、リディア嬢が帰ってくるのか? 謝罪は必要がない、そんな事をしても状況は変わらないのだから」
冷たく、突き放すような学園長の言葉に俺は何も言い返す事は出来なかった。
このまま、俺は退学となるのだろうか。
父になんて言えばいい。
貴族家の方々の前で豪語してしまったのだ、真実を知られれば我がミレニア家の信頼は地に落ちる。
そうなれば、俺の人生は完全に終わってしまう。
最悪だ……と思った時だった。
「だからこそ、君にはリディア嬢の研究成果……あの功績をしっかりと自分のものにする必要がある」
「……え?」
「もう帰ってこない者を待っていても事態は好転しないだろう。我々も学園内でイジメがあった事実は公にしたくはない。そこで、君が今の予定通り……リディア嬢の研究成果をかすめ取れば全て解決する」
「お、俺を……退学させなくていいのですか?」
「君を退学にしてしまえば、学園でイジメがあったと認めることになる。平民ごときで学園のイメージが下がる事だけは避けたい。だからこそ、君に確認がしたかった。リディア嬢の研究成果……あれを模倣できるのかね?」
質問に否と答えれば、俺の未来がお先真っ暗になる事は想像できた。
だからこそ、自信は毛ほどもないが頷いて答える。
「はい、大丈夫です。簡単ですよ!」
「分かった。であれば、私も此度の君のイジメについては不問にしよう。我が学園と、君の未来のために励んでくれ、何か分からない事があればいつでも相談に来たまえ、我らはもう学園を守る仲間だ」
「あ、ありがとうございます!」
俺は……なんて運がいいんだ。
あいつが平民であるおかげで、まだチャンスはある。学園も俺の味方だ。
しかし、意気揚々と頷いたはいいが、事態は好転していない。
自信たっぷりに答えた手前、研究資料が進んでいないとは口が裂けても言えなかった。
こんな事になるのなら、あいつをもっと丁寧に扱っていれば良かったと今更ながら後悔する。
しかし後悔しても、今の俺が奴に話しかける事はできない。
もし、この場に奴がいれば……また愛してやると言えば、平民のあいつは大人しく俺に従ってくれるはずなのに。
あいつが学園へ戻ってくれれば、状況は変わるはずなんだ。
俺達にいじめられていたおかげで、貴族家に頼る事は恐ろしくて出来ないはず……それにあいつが自分から頼れる貴族家などあるはずがない。
逃げ出しても、音を上げるのならそろそろのはずだ。
学園へ帰ってこい、お前が帰ってくれば全てが解決するんだ。
戻って、また俺の道具になってくれ。
リディア。
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