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黒豚令息の領地開拓編
乾杯
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恐る恐る近づいて行くが、枝を振り回す程の元気は戻っていないらしい。
「あの…蜂を追い払ってくれてありがとう…」
幹に手を添え、さっきより少し多めに魔力を注ぐと頭の上からポロポロと木の実が降ってきた。
「わぁ!すごい!届かなかった梢のおっきな果実まで!くれるの?ありがとうっ!!」
思わず幹に抱きつくとほんのりだが温もりがある。
恐らく中で核が育っているのだろう。それ程長くここにいたトレントなのだ。
「またね、トレントさん!今度来る時はもう酷い事しないからね!デイビッド様に頼んでおくわ!」
そう言ってヴィオラは抱えきれない程のトレントの果実を袋に詰めてシェルリアーナの元へ戻って行った。
「シェル先輩ぃ~!」
「ヴィオラ!いきなりいなくなるから心配したのよ!?何その袋…」
「さっき、リオパホネットに襲われそうになったところを知り合いのトレントに助けてもらって、お礼に魔力を分けてあげたら逆に私の方がもらっちゃいました!」
「あ………そう………そんな事が……あるのね…ふ~ん…」
話を聞くだけで遠い目になったシェルリアーナは、深く考える事を止め、再び手元の採集に集中した。
「コレは摘んだ瞬間切り口を魔力水で浸す必要があるの。こっちは逆に魔力の火で焼くと良いのよ。」
「魔草の採り方は普通の草と違って難しいですね。」
「採取から魔力を要するものが多いから、アイツには無理なのよ。この分野だけは私がしっかり基礎から教えてあげるわ!」
「ありがとうございます!」
2人が森から出ると、丁度アリーと出くわした。
「ベルダ イナイ リディアモ」
「みんなキャンプに戻ってるわ。明日帰る事になったの…」
「ワカッタ アリーモ カエル」
「アリーちゃんも?!」
「アリー ミンナト イッショ デイビッドト イッショ!イッショガイイ」
「そうだね、みんな一緒がいいよね!」
目当ての薬草も採れたので、キャンプへ戻るとすでに大ご馳走が出来ていた。
「わぁい!すごいお料理!」
「良くこんなに作ったわねぇ!」
「どの口からそんな台詞が出てくるんだ…?」
ホロホロに煮込まれた鹿肉がよそられ、大きなオムレツが運ばれて来ると、エリックが冷えたシャンパンの栓を抜いた。
「ヴィオラ様はいつもの果実水ですか?」
「はい!」
「デイビッド様も、はい!いつものジュース!」
「わざわざ言うなよ!」
グラスが行き渡ると、誰ともなしにグラスがかち合う音がする。
こんな時にすらその輪に入らないデイビッドにベルダがコップを差し出した。
「はい、持って!」
「なんだよ、いいよ別に。」
「良くないよ。ここは君の領地で、この場所は君が用意したキャンプだよ?それに、功労者にはきちんと労いが必要だと思うけどね?」
無理やり持たされたコップにベルダのグラスがぶつかってカチンと音がする。
続けてエリックとヴィオラがグラスを差し向け、意味を知らないアリーもスープ皿を勢い良くぶつけに来た。
「乾杯!」
「デイビッド様、乾杯!」
グラスが空になったシェルリアーナも、2杯目を軽く掲げて見せる。
(乾杯…か…)
もう何年もつまらない社交場で形だけの儀式になっていたが、乾杯などもっと気軽で良いはずだ。
一緒に居たい仲間に、この領地の発展を願って、婚約者の幸先を祈って、それこそ特別な意味など無くとも…
「乾杯…」
ぎこちなく僅かに音を立てるコップに、再びガチャガチャと四方からグラスがぶつかって来る。
「勢い!割れる割れる!あんまぶつけんなよ!グラスの当て方じゃねぇだろ!場末の酒場と一緒にすんな!」
「行ったことないわよ、そんなトコ!」
「いつか連れてって下さい!」
「「絶対駄目!!」」
「なんでぇ…」
その内パイが焼き上がり、竈門にかけた鹿の臓物煮込みも出来上がって、この夜の宴はいつもより遅くまで続けられた。
いつも通り最初に眠ってしまうのはヴィオラ。
眠気に限界が来て、リディアに優しく抱えられベッドに寝かされた。
「ヴィオラ様いないから、こっからは大人の時間と行きますか!?」
「いいねぇ、君達飲めるの?デイビッド君もおいでよ!」
「お前等とは飲まねぇよ、二度と!」
空いた皿や鍋を先に片付けるデイビッドを他所に、ついに酒盛りが始まった。
シェルリアーナが日頃の鬱憤や、愚痴、むしゃくしゃした気持ちを吐き出すのを、ベルダとエリックが楽しそうに聞いている。
しかししばらくすると、ゴトンという音が重なり、困った表情のリディアの横でアリーが憮然とした顔で倒れたベルダ達を眺めていた。
「ミンナ アタマノナカ グルグルシテ キモチワルカッタ…」
「酒が入って酔ったんだろうな…」
「ワルイビョーキミタイ!アタマノ!!」
「しこうガ よミきレナクテ こんらんシタノ」
「それで驚いてまとめて眠らしちまったのか?エラいもんだな。」
どうやら酔った人間の思考を読もうとして、アリーがパニックを起こし、怖くなって眠りの花粉を使ったらしい。
ぐっすり眠らされた3人を、リディアとアリーがそれぞれ寝床へ連れて行く間、テーブルを片付けていると、デイビッドは甘い香りの漂う袋を見つけた。
(トレントの実?!なんでこんなに…?)
疑問に思いながら保冷庫にしまい、使い切らないといけない食材を選んで明日の仕込みを終えると、デイビッドもすっかり指定席になった外のチェアに腰掛けた。
(楽しかった…か…?まぁ、少しは楽しかったかな…)
デイビッドとヴィオラには明日からまた授業と勉強の日々が待っている。
さて、初手にはどんなトラブルが待ち受けているか、少しだけ楽しみなような気がする程度には、心に余裕ができたデイビッドだった。
朝一、昨夜のトレントの実を数個拝借したデイビッドは、ホワイトラムに砂糖とレモンを浮かべ、そこへ軽く熱処理をしたトレントの実を入れて果実酒にするとムスタと湖へ向かった。
それから、岩場に大瓶を置き、独り言のように話をしながら仕掛け網を引き上げた。
「今日、帰ることにしたよ。しばらくは来られないけど、また来る時何か土産を持って来るよ。」
返事の無い湖から籠に入ったナマズとエビを樽に移し、戻ろうとすると、大きな水音と共に声がした。
「 楽しみにしとるよ 」
振り向くと、バシャンとひと掻き重い水音が去り、そこはもう静かな湖に戻っていた。
森の入り口の先、川の流れてくる崖の上にも、ひとつ果実のコンポートの瓶を置き、泉の水を汲んでから帰りがてら覗いてみると瓶が消えていた。
(こっちに渡すのは初めてだが…気に入るといいな。)
心地良い風が吹き抜ける森の中を進むと、なんだかいつもより足元が歩きやすい。
このまま森に閉じ込められはしないかと一瞬ヒヤヒヤしたが、直ぐに無事草原に出られホッとした。
キャンプに戻ると今朝はエビに衣をつけて揚げ焼きにし、リシュリュー風ソースとハーブで味をつけたエビサラダと、贅沢にデカシュリンプカクテルを用意し、昨夜仕込んだローストした鹿肉と中途半端に残った芋とチーズでキッシュを作り、ふわふわの白パンに添える。
いきなりお開きとなった夕べの宴の残り物と合わせると、朝からかなり豪華な食事ができた。
「おはようございます…」
「どうしたヴィオラ。元気ないな?」
「だって…デイビッド様が今日帰るなんて言うから…」
「またいつでも来ればいいだろ?ヴィオラには冒険者として依頼を受ける義務もあるんだ。タイミング見てまた採集でも討伐でも受けに行こう。な?」
「はぁ…学圓に戻ったら、エビなんて滅多に食べられなくなっちゃう…」
「そう毎日じゃ飽きちまうだろ?忘れた頃にっていうのもまた美味いぞ!?」
「飽きないのに…」
それでもエビ料理をモリモリ食べたヴィオラの機嫌は少しだけ戻り、帰りの支度を始めてくれた。
「こんな朝食もこれで終わりなのね…」
「こんなって…?」
「パンの焼ける香りで目が覚めて、面倒な朝の支度もお化粧もしないままコーヒーとハーブティー好きなチョイスで長椅子に足放り出したら王族も納得のご馳走が運ばれて来る朝ご飯。うわぁ、口にしてみると超最高ですねぇ!」
「なによ!エリックなんてずーーっとこんな生活でしょ?!改めてそのおかしさに気がついたわ!これじゃどっちが従者かわかんないわよ!」
「有事に動くタイプの従者なんです僕!」
「屁理屈だけは立派なの何とかしなさいよ!」
どうやらシェルリアーナも明日からまた学園に戻り、寮の生活を送らなければならない事に落胆しているようだ。
揃いも揃って本当に良く甘やかされたものだ。
「あの…蜂を追い払ってくれてありがとう…」
幹に手を添え、さっきより少し多めに魔力を注ぐと頭の上からポロポロと木の実が降ってきた。
「わぁ!すごい!届かなかった梢のおっきな果実まで!くれるの?ありがとうっ!!」
思わず幹に抱きつくとほんのりだが温もりがある。
恐らく中で核が育っているのだろう。それ程長くここにいたトレントなのだ。
「またね、トレントさん!今度来る時はもう酷い事しないからね!デイビッド様に頼んでおくわ!」
そう言ってヴィオラは抱えきれない程のトレントの果実を袋に詰めてシェルリアーナの元へ戻って行った。
「シェル先輩ぃ~!」
「ヴィオラ!いきなりいなくなるから心配したのよ!?何その袋…」
「さっき、リオパホネットに襲われそうになったところを知り合いのトレントに助けてもらって、お礼に魔力を分けてあげたら逆に私の方がもらっちゃいました!」
「あ………そう………そんな事が……あるのね…ふ~ん…」
話を聞くだけで遠い目になったシェルリアーナは、深く考える事を止め、再び手元の採集に集中した。
「コレは摘んだ瞬間切り口を魔力水で浸す必要があるの。こっちは逆に魔力の火で焼くと良いのよ。」
「魔草の採り方は普通の草と違って難しいですね。」
「採取から魔力を要するものが多いから、アイツには無理なのよ。この分野だけは私がしっかり基礎から教えてあげるわ!」
「ありがとうございます!」
2人が森から出ると、丁度アリーと出くわした。
「ベルダ イナイ リディアモ」
「みんなキャンプに戻ってるわ。明日帰る事になったの…」
「ワカッタ アリーモ カエル」
「アリーちゃんも?!」
「アリー ミンナト イッショ デイビッドト イッショ!イッショガイイ」
「そうだね、みんな一緒がいいよね!」
目当ての薬草も採れたので、キャンプへ戻るとすでに大ご馳走が出来ていた。
「わぁい!すごいお料理!」
「良くこんなに作ったわねぇ!」
「どの口からそんな台詞が出てくるんだ…?」
ホロホロに煮込まれた鹿肉がよそられ、大きなオムレツが運ばれて来ると、エリックが冷えたシャンパンの栓を抜いた。
「ヴィオラ様はいつもの果実水ですか?」
「はい!」
「デイビッド様も、はい!いつものジュース!」
「わざわざ言うなよ!」
グラスが行き渡ると、誰ともなしにグラスがかち合う音がする。
こんな時にすらその輪に入らないデイビッドにベルダがコップを差し出した。
「はい、持って!」
「なんだよ、いいよ別に。」
「良くないよ。ここは君の領地で、この場所は君が用意したキャンプだよ?それに、功労者にはきちんと労いが必要だと思うけどね?」
無理やり持たされたコップにベルダのグラスがぶつかってカチンと音がする。
続けてエリックとヴィオラがグラスを差し向け、意味を知らないアリーもスープ皿を勢い良くぶつけに来た。
「乾杯!」
「デイビッド様、乾杯!」
グラスが空になったシェルリアーナも、2杯目を軽く掲げて見せる。
(乾杯…か…)
もう何年もつまらない社交場で形だけの儀式になっていたが、乾杯などもっと気軽で良いはずだ。
一緒に居たい仲間に、この領地の発展を願って、婚約者の幸先を祈って、それこそ特別な意味など無くとも…
「乾杯…」
ぎこちなく僅かに音を立てるコップに、再びガチャガチャと四方からグラスがぶつかって来る。
「勢い!割れる割れる!あんまぶつけんなよ!グラスの当て方じゃねぇだろ!場末の酒場と一緒にすんな!」
「行ったことないわよ、そんなトコ!」
「いつか連れてって下さい!」
「「絶対駄目!!」」
「なんでぇ…」
その内パイが焼き上がり、竈門にかけた鹿の臓物煮込みも出来上がって、この夜の宴はいつもより遅くまで続けられた。
いつも通り最初に眠ってしまうのはヴィオラ。
眠気に限界が来て、リディアに優しく抱えられベッドに寝かされた。
「ヴィオラ様いないから、こっからは大人の時間と行きますか!?」
「いいねぇ、君達飲めるの?デイビッド君もおいでよ!」
「お前等とは飲まねぇよ、二度と!」
空いた皿や鍋を先に片付けるデイビッドを他所に、ついに酒盛りが始まった。
シェルリアーナが日頃の鬱憤や、愚痴、むしゃくしゃした気持ちを吐き出すのを、ベルダとエリックが楽しそうに聞いている。
しかししばらくすると、ゴトンという音が重なり、困った表情のリディアの横でアリーが憮然とした顔で倒れたベルダ達を眺めていた。
「ミンナ アタマノナカ グルグルシテ キモチワルカッタ…」
「酒が入って酔ったんだろうな…」
「ワルイビョーキミタイ!アタマノ!!」
「しこうガ よミきレナクテ こんらんシタノ」
「それで驚いてまとめて眠らしちまったのか?エラいもんだな。」
どうやら酔った人間の思考を読もうとして、アリーがパニックを起こし、怖くなって眠りの花粉を使ったらしい。
ぐっすり眠らされた3人を、リディアとアリーがそれぞれ寝床へ連れて行く間、テーブルを片付けていると、デイビッドは甘い香りの漂う袋を見つけた。
(トレントの実?!なんでこんなに…?)
疑問に思いながら保冷庫にしまい、使い切らないといけない食材を選んで明日の仕込みを終えると、デイビッドもすっかり指定席になった外のチェアに腰掛けた。
(楽しかった…か…?まぁ、少しは楽しかったかな…)
デイビッドとヴィオラには明日からまた授業と勉強の日々が待っている。
さて、初手にはどんなトラブルが待ち受けているか、少しだけ楽しみなような気がする程度には、心に余裕ができたデイビッドだった。
朝一、昨夜のトレントの実を数個拝借したデイビッドは、ホワイトラムに砂糖とレモンを浮かべ、そこへ軽く熱処理をしたトレントの実を入れて果実酒にするとムスタと湖へ向かった。
それから、岩場に大瓶を置き、独り言のように話をしながら仕掛け網を引き上げた。
「今日、帰ることにしたよ。しばらくは来られないけど、また来る時何か土産を持って来るよ。」
返事の無い湖から籠に入ったナマズとエビを樽に移し、戻ろうとすると、大きな水音と共に声がした。
「 楽しみにしとるよ 」
振り向くと、バシャンとひと掻き重い水音が去り、そこはもう静かな湖に戻っていた。
森の入り口の先、川の流れてくる崖の上にも、ひとつ果実のコンポートの瓶を置き、泉の水を汲んでから帰りがてら覗いてみると瓶が消えていた。
(こっちに渡すのは初めてだが…気に入るといいな。)
心地良い風が吹き抜ける森の中を進むと、なんだかいつもより足元が歩きやすい。
このまま森に閉じ込められはしないかと一瞬ヒヤヒヤしたが、直ぐに無事草原に出られホッとした。
キャンプに戻ると今朝はエビに衣をつけて揚げ焼きにし、リシュリュー風ソースとハーブで味をつけたエビサラダと、贅沢にデカシュリンプカクテルを用意し、昨夜仕込んだローストした鹿肉と中途半端に残った芋とチーズでキッシュを作り、ふわふわの白パンに添える。
いきなりお開きとなった夕べの宴の残り物と合わせると、朝からかなり豪華な食事ができた。
「おはようございます…」
「どうしたヴィオラ。元気ないな?」
「だって…デイビッド様が今日帰るなんて言うから…」
「またいつでも来ればいいだろ?ヴィオラには冒険者として依頼を受ける義務もあるんだ。タイミング見てまた採集でも討伐でも受けに行こう。な?」
「はぁ…学圓に戻ったら、エビなんて滅多に食べられなくなっちゃう…」
「そう毎日じゃ飽きちまうだろ?忘れた頃にっていうのもまた美味いぞ!?」
「飽きないのに…」
それでもエビ料理をモリモリ食べたヴィオラの機嫌は少しだけ戻り、帰りの支度を始めてくれた。
「こんな朝食もこれで終わりなのね…」
「こんなって…?」
「パンの焼ける香りで目が覚めて、面倒な朝の支度もお化粧もしないままコーヒーとハーブティー好きなチョイスで長椅子に足放り出したら王族も納得のご馳走が運ばれて来る朝ご飯。うわぁ、口にしてみると超最高ですねぇ!」
「なによ!エリックなんてずーーっとこんな生活でしょ?!改めてそのおかしさに気がついたわ!これじゃどっちが従者かわかんないわよ!」
「有事に動くタイプの従者なんです僕!」
「屁理屈だけは立派なの何とかしなさいよ!」
どうやらシェルリアーナも明日からまた学園に戻り、寮の生活を送らなければならない事に落胆しているようだ。
揃いも揃って本当に良く甘やかされたものだ。
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◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
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