306 / 411
黒豚令息の領地開拓編
久々の学園
しおりを挟む
食後、デイビッドはマロニエの木の下を片付け、荷物を馬車に詰め込むと、ついにキッチンを空にして折り畳み、馬車の後ろへ収納してしまった。
広くなった空間には石の竈門だけが残されている。
大砂鳥の簡易小屋も崩し、ごみ捨て場と共に埋めてしまうと鳥達をカゴに入れ、荷馬車へ乗せた。
帰りはムスタが家馬車を、ファルコが荷馬車を引き、歩いて行く。
と、そこへグランドシェーブル達がしれっとついて来た。
「ン゙ン゙メェェーー!」
「いや!お前等は帰れよ!?なんでついてくる気でいるんだ?!」
「ン゙メェ゙ェ゙ェ゙ーー!!」
「寄って来んな!コラ!服を引っ張るんじゃない!ヤメロ!」
「連れてってあげたらいいじゃないですか?」
「んなこと言ったって魔物だぞコイツ等!」
「ファルコだってアリーだって魔物でしょう?何を今更…」
その上トレントの若木まで持ち帰ろうとしている事もすでにバレている。
この他のグランドシェーブルが10頭程増えた所でなんの問題があるか、とエリックは言う。
「問題あるだろ!?こんなんどこで飼うんだよ!?」
「家畜小屋の申請そろそろ通って許可出る頃でしょ?入れてあげたらいいじゃないですか?」
「学園側の許可がいるだろ!?」
「精霊からの贈り物ですって言ったらオッケーになりますよ。」
「やっぱりコイツ等そうなのか!?」
「そうでしょ?でなきゃおかしいですよ。野生の魔物がいきなり人に懐くなんて。」
言われてみれば、世界樹の樹が森ごと消えた次の日にやってたのがこの魔物達だ。
だとしたら連れて行った方がいいのではないか?デイビッドはグルグル悩み始めた。
デイビッドはここで始めてグランドシェーブルに近づき、身体に触れてみた。
ふわふわで滑らかな毛皮、年に一度抜ける角も魔力に富んでいると聞く。子山羊を抱えた母山羊達からは乳も搾れるだろう。更に草むしりの手間が省けるかも知れないというおまけ付き。
ついにデイビッドは群のボスのところへ行き、そろそろとその首に縄を掛けようと頭に近づいた。
すると、大きな牡山羊は待ちくたびれたとでも言うように、自ら頭を乱暴に振って縄を首にかけた。それに倣って他の山羊たちも次々にやって来ては頭を差し出してくる。
その異様な光景にデイビッドもエリックも唖然としてしまった。
大人の山羊を繋ぎ終えると、子山羊達は群から離れまいと親山羊の後をちょこちょこ大人しくついて来た。
デイビッドは滞在中、ほとんど中に入らなかった家馬車の中に入り、ヴィオラのお気に入りだった大きな窓から外を眺めた。
やる事は山盛り、なんの進展もしなかった領地だが、頭の中には少しだけ目処と地図が浮かぶようになった。
(帰るか…)
ロフトのベッドで不貞腐れているヴィオラと、ギリギリまで怠惰に過ごそうとするシェルリアーナ、自分の巣から出て来ないエリックを積んだまま、ついに馬車は動き出した。
「じゃぁ僕達は先に帰ってるよ!落ち着いたらまた温室の方へも顔を出してくれたまえ。」
「オせわニ ナリマシタ」
「バイバイ!」
ベルダがアリーとリディアを連れて転移門を抜けて消えてしまうと、マロニエの木の下には誰もいなくなる。
森から吹き抜けて来る風を背中に受けて、デイビッドも領地を後にした。
街道に出ると昼前ということもあり、他の馬車や荷車もたくさん行き交っている。
大型の家馬車はかなり目立ち、幅もあるため通行の邪魔になってしまう。そこでデイビッドは先に市場へ移動し、今度は研究室で使う食材とムスタの好きな馬用ハーブや夏に向けた道具などを買い足した。
朝食の残り物と卵でサンドイッチを作っていたが、バスケットはすっかり空っぽ。デイビッドが荷物を持って戻ると、ファルコとムスタに留守番を任せ、寝ていた3人は市場へ繰り出した後だった。
「あっ!エルピスで食べたモチモチ肉!!」
「羽豚の串焼きもあるわ!」
「すごい弾力のゼリー!何が入ってるんだろう…」
買食いを楽しむ3人を放って、デイビッドはグロッグマン商会の本部へ顔を出した。
「「「若旦那っっ!!!」」」
四方八方から伸びて来た腕に揉みくちゃにされながら、溜まりに溜まった手紙と書類に目を通し、早急に処理の必要なものだけ先に片付け、残りを学園へ届けるよう頼んでから会頭への伝言と、学園向けの注文をいくつかかけ、馬車へ戻る。
馬車停めに戻ると、珍しい家馬車とヒポグリフに子供達が集まっていた。
「キュルゥ~~…」
「人気者は辛いなぁ?よく大人しくできた、偉いぞ?」
ファルコを撫でてやり、ナマズの干物を投げてやると喜んで口を受け止めて食べている。
その様子を子供達が騒ぎながら見ていた。
「おじちゃん!これ魔物なの?」
「ああ、ヒポグリフだ。」
「乗っちゃダメ?」
「そうだなぁ、1人で馬に跨がれるようにならないとな。」
「ちぇ~!」
「ねぇ…おじちゃん…」
「なんだぁ?」
「もし…怖いものか来たら、この子は戦える…?」
その一言にデイビッドは国民の不安が既にこんな子供にも伝わっていることを理解した。
今まで頼り切りだった結界が消失した恐怖は王都の周囲にまで伝播しているのだ。
「大丈夫、コイツはものすごーく強いからな。魔物なんてあっという間に倒しちまうよ?!」
「ホント!?」
「ああ、だから安心しろよ。何かあればすぐ助けに来てやるからよ。」
「わぁぁ!ありがとうおじちゃん!」
「ほら、どうせ店番放って来たんだろ?はよ戻れー?!」
「はぁーい!」
駆け出す子供達を見送りながら、事態の収拾を少しだけ焦らねばならなくなりそうな予感に、早くもデイビッドの周りは暗雲がかかり始めていた。
食いしん坊3人が手に手に屋台飯を持って帰って来ると、馬車はいよいよ学園を目指した。
久々に大きな学舎の屋根が見え、堅牢な裏の門を潜ると、若い門番が飛んて来た。
「待て!そこの馬車!なんだその魔物は!?」
「お、新顔か。ちょっと待ってくれ、今身分証を…」
「映えある貴族の学園に、こんなに家畜を持ち込もうなど、不届き者が!何が目的だ!?物売りか?ここは貴様の様な田舎者が来る所ではない!さっさと消えろ!警邏を呼ぶぞ?!」
「仕事に熱心なのは構わねぇが、外部から客も大勢来る場所でその対応はどうなんだ?」
「学園の客はこの学園に相応しい方ばかりだ!貴様の様な醜い豚に用はない!!」
そこへ顔見知りの門番が慌てて駆けてきた。
「デイビッド先生!?お帰りだったんですね!!申し訳ありません、コイツは他所から飛ばされて来た新人で…」
「教育係も大変ですね。いっそ表の門専門にしちまえばいいのに。そうすりゃお貴族様達は喜びそうなもんだけどな。」
「そうは言っても、仕事はできるんですが、この通り思い込みが激しいもんで裏門に回されたんです…」
「そりゃ難儀な…こっちは人の出入りも少ないのに、いつも丁寧にありがとうございます。」
「いえ、デイビッド先生がいらしてからは、こちら側のお客がぐんと増えて、暇が減ってやりがいも出てきましたよ。」
裏門の主任がにこやかにデイビッドを中へ通すと、若いのはまだ文句を言っていたが、改めて教員の証明章を出して見せるとグッと言葉に詰まってそれ以上は何も言って来なかった。
「門番が増えたんですね。」
「ええ、だいぶきな臭い噂や恐ろしい話も出てきていますからね。」
「恐ろしい話?」
「王都の結界が崩壊したら、近隣の魔物が獲物を求めて襲って来るとかなんとか。そのため力のある貴族の庇護下に入ろうと皆必死で、学園の中も大騒ぎなんですよ。」
「そんな事が…」
門番に礼を言い、馬車を進めると、とうとう領地経営科の研究棟の末端、デイビッドの研究室に到着した。
ギャーギャーと煩い大砂鳥達が走り回る家畜小屋はきれいに掃除され、庭先の畑も手入れが行き届いて早くも夏野菜が花期を終わらせたようだ。
表の鍵を開けると中もキレイに片付き、埃ひとつ落ちていない。
その代わり、誰かが使っていた形跡は残っていた。
「もう着いちゃったんですね。」
「仕方ないわ…今夜からまた寮に戻らなくちゃね…」
「エリック様寝ちゃった。」
「叩き起こせ!」
部屋の中を一通り確認すると、デイビッドは廊下に出て真っ直ぐ教員室を目指した。
久しぶりの教員室に入ると、教員達に温かく迎えられ、式典の事件についてあれこれ聞かれたが、曖昧に返事を返すと何を勘違いされたのか、同情され何か労われてしまった。
広くなった空間には石の竈門だけが残されている。
大砂鳥の簡易小屋も崩し、ごみ捨て場と共に埋めてしまうと鳥達をカゴに入れ、荷馬車へ乗せた。
帰りはムスタが家馬車を、ファルコが荷馬車を引き、歩いて行く。
と、そこへグランドシェーブル達がしれっとついて来た。
「ン゙ン゙メェェーー!」
「いや!お前等は帰れよ!?なんでついてくる気でいるんだ?!」
「ン゙メェ゙ェ゙ェ゙ーー!!」
「寄って来んな!コラ!服を引っ張るんじゃない!ヤメロ!」
「連れてってあげたらいいじゃないですか?」
「んなこと言ったって魔物だぞコイツ等!」
「ファルコだってアリーだって魔物でしょう?何を今更…」
その上トレントの若木まで持ち帰ろうとしている事もすでにバレている。
この他のグランドシェーブルが10頭程増えた所でなんの問題があるか、とエリックは言う。
「問題あるだろ!?こんなんどこで飼うんだよ!?」
「家畜小屋の申請そろそろ通って許可出る頃でしょ?入れてあげたらいいじゃないですか?」
「学園側の許可がいるだろ!?」
「精霊からの贈り物ですって言ったらオッケーになりますよ。」
「やっぱりコイツ等そうなのか!?」
「そうでしょ?でなきゃおかしいですよ。野生の魔物がいきなり人に懐くなんて。」
言われてみれば、世界樹の樹が森ごと消えた次の日にやってたのがこの魔物達だ。
だとしたら連れて行った方がいいのではないか?デイビッドはグルグル悩み始めた。
デイビッドはここで始めてグランドシェーブルに近づき、身体に触れてみた。
ふわふわで滑らかな毛皮、年に一度抜ける角も魔力に富んでいると聞く。子山羊を抱えた母山羊達からは乳も搾れるだろう。更に草むしりの手間が省けるかも知れないというおまけ付き。
ついにデイビッドは群のボスのところへ行き、そろそろとその首に縄を掛けようと頭に近づいた。
すると、大きな牡山羊は待ちくたびれたとでも言うように、自ら頭を乱暴に振って縄を首にかけた。それに倣って他の山羊たちも次々にやって来ては頭を差し出してくる。
その異様な光景にデイビッドもエリックも唖然としてしまった。
大人の山羊を繋ぎ終えると、子山羊達は群から離れまいと親山羊の後をちょこちょこ大人しくついて来た。
デイビッドは滞在中、ほとんど中に入らなかった家馬車の中に入り、ヴィオラのお気に入りだった大きな窓から外を眺めた。
やる事は山盛り、なんの進展もしなかった領地だが、頭の中には少しだけ目処と地図が浮かぶようになった。
(帰るか…)
ロフトのベッドで不貞腐れているヴィオラと、ギリギリまで怠惰に過ごそうとするシェルリアーナ、自分の巣から出て来ないエリックを積んだまま、ついに馬車は動き出した。
「じゃぁ僕達は先に帰ってるよ!落ち着いたらまた温室の方へも顔を出してくれたまえ。」
「オせわニ ナリマシタ」
「バイバイ!」
ベルダがアリーとリディアを連れて転移門を抜けて消えてしまうと、マロニエの木の下には誰もいなくなる。
森から吹き抜けて来る風を背中に受けて、デイビッドも領地を後にした。
街道に出ると昼前ということもあり、他の馬車や荷車もたくさん行き交っている。
大型の家馬車はかなり目立ち、幅もあるため通行の邪魔になってしまう。そこでデイビッドは先に市場へ移動し、今度は研究室で使う食材とムスタの好きな馬用ハーブや夏に向けた道具などを買い足した。
朝食の残り物と卵でサンドイッチを作っていたが、バスケットはすっかり空っぽ。デイビッドが荷物を持って戻ると、ファルコとムスタに留守番を任せ、寝ていた3人は市場へ繰り出した後だった。
「あっ!エルピスで食べたモチモチ肉!!」
「羽豚の串焼きもあるわ!」
「すごい弾力のゼリー!何が入ってるんだろう…」
買食いを楽しむ3人を放って、デイビッドはグロッグマン商会の本部へ顔を出した。
「「「若旦那っっ!!!」」」
四方八方から伸びて来た腕に揉みくちゃにされながら、溜まりに溜まった手紙と書類に目を通し、早急に処理の必要なものだけ先に片付け、残りを学園へ届けるよう頼んでから会頭への伝言と、学園向けの注文をいくつかかけ、馬車へ戻る。
馬車停めに戻ると、珍しい家馬車とヒポグリフに子供達が集まっていた。
「キュルゥ~~…」
「人気者は辛いなぁ?よく大人しくできた、偉いぞ?」
ファルコを撫でてやり、ナマズの干物を投げてやると喜んで口を受け止めて食べている。
その様子を子供達が騒ぎながら見ていた。
「おじちゃん!これ魔物なの?」
「ああ、ヒポグリフだ。」
「乗っちゃダメ?」
「そうだなぁ、1人で馬に跨がれるようにならないとな。」
「ちぇ~!」
「ねぇ…おじちゃん…」
「なんだぁ?」
「もし…怖いものか来たら、この子は戦える…?」
その一言にデイビッドは国民の不安が既にこんな子供にも伝わっていることを理解した。
今まで頼り切りだった結界が消失した恐怖は王都の周囲にまで伝播しているのだ。
「大丈夫、コイツはものすごーく強いからな。魔物なんてあっという間に倒しちまうよ?!」
「ホント!?」
「ああ、だから安心しろよ。何かあればすぐ助けに来てやるからよ。」
「わぁぁ!ありがとうおじちゃん!」
「ほら、どうせ店番放って来たんだろ?はよ戻れー?!」
「はぁーい!」
駆け出す子供達を見送りながら、事態の収拾を少しだけ焦らねばならなくなりそうな予感に、早くもデイビッドの周りは暗雲がかかり始めていた。
食いしん坊3人が手に手に屋台飯を持って帰って来ると、馬車はいよいよ学園を目指した。
久々に大きな学舎の屋根が見え、堅牢な裏の門を潜ると、若い門番が飛んて来た。
「待て!そこの馬車!なんだその魔物は!?」
「お、新顔か。ちょっと待ってくれ、今身分証を…」
「映えある貴族の学園に、こんなに家畜を持ち込もうなど、不届き者が!何が目的だ!?物売りか?ここは貴様の様な田舎者が来る所ではない!さっさと消えろ!警邏を呼ぶぞ?!」
「仕事に熱心なのは構わねぇが、外部から客も大勢来る場所でその対応はどうなんだ?」
「学園の客はこの学園に相応しい方ばかりだ!貴様の様な醜い豚に用はない!!」
そこへ顔見知りの門番が慌てて駆けてきた。
「デイビッド先生!?お帰りだったんですね!!申し訳ありません、コイツは他所から飛ばされて来た新人で…」
「教育係も大変ですね。いっそ表の門専門にしちまえばいいのに。そうすりゃお貴族様達は喜びそうなもんだけどな。」
「そうは言っても、仕事はできるんですが、この通り思い込みが激しいもんで裏門に回されたんです…」
「そりゃ難儀な…こっちは人の出入りも少ないのに、いつも丁寧にありがとうございます。」
「いえ、デイビッド先生がいらしてからは、こちら側のお客がぐんと増えて、暇が減ってやりがいも出てきましたよ。」
裏門の主任がにこやかにデイビッドを中へ通すと、若いのはまだ文句を言っていたが、改めて教員の証明章を出して見せるとグッと言葉に詰まってそれ以上は何も言って来なかった。
「門番が増えたんですね。」
「ええ、だいぶきな臭い噂や恐ろしい話も出てきていますからね。」
「恐ろしい話?」
「王都の結界が崩壊したら、近隣の魔物が獲物を求めて襲って来るとかなんとか。そのため力のある貴族の庇護下に入ろうと皆必死で、学園の中も大騒ぎなんですよ。」
「そんな事が…」
門番に礼を言い、馬車を進めると、とうとう領地経営科の研究棟の末端、デイビッドの研究室に到着した。
ギャーギャーと煩い大砂鳥達が走り回る家畜小屋はきれいに掃除され、庭先の畑も手入れが行き届いて早くも夏野菜が花期を終わらせたようだ。
表の鍵を開けると中もキレイに片付き、埃ひとつ落ちていない。
その代わり、誰かが使っていた形跡は残っていた。
「もう着いちゃったんですね。」
「仕方ないわ…今夜からまた寮に戻らなくちゃね…」
「エリック様寝ちゃった。」
「叩き起こせ!」
部屋の中を一通り確認すると、デイビッドは廊下に出て真っ直ぐ教員室を目指した。
久しぶりの教員室に入ると、教員達に温かく迎えられ、式典の事件についてあれこれ聞かれたが、曖昧に返事を返すと何を勘違いされたのか、同情され何か労われてしまった。
65
あなたにおすすめの小説
国王一家は堅実です
satomi
恋愛
オスメーモ王国…そこは国王一家は麗しくいつも輝かんばかりのドレスなどを身につけている。
その実態は、国王一家は国民と共に畑を耕したり、国民(子供)に読み書きを教えたり庶民的な生活をしている。
国王には現在愛する妻と双子の男女の子に恵まれ、幸せに生活している。
外部に行くときは着飾るが、領地に戻れば庶民的で非常に無駄遣いをしない王族である。
国庫は大事に。何故か、厨房担当のワーグが王家の子どもたちからの支持を得ている。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
力は弱くて魔法も使えないけど強化なら出来る。~俺を散々こき使ってきたパーティの人間に復讐しながら美少女ハーレムを作って魔王をぶっ倒します
枯井戸
ファンタジー
──大勇者時代。
誰も彼もが勇者になり、打倒魔王を掲げ、一攫千金を夢見る時代。
そんな時代に、〝真の勇者の息子〟として生を授かった男がいた。
名はユウト。
人々は勇者の血筋に生まれたユウトに、類稀な魔力の才をもって生まれたユウトに、救世を誓願した。ユウトもまた、これを果たさんと、自身も勇者になる事を信じてやまなかった。
そんなある日、ユウトの元へ、ひとりの中性的な顔立ちで、笑顔が爽やかな好青年が訪ねてきた。
「俺のパーティに入って、世界を救う勇者になってくれないか?」
そう言った男の名は〝ユウキ〟
この大勇者時代にすい星のごとく現れた、〝その剣技に比肩する者なし〟と称されるほどの凄腕の冒険者である。
「そんな男を味方につけられるなんて、なんて心強いんだ」と、ユウトはこれを快諾。
しかし、いままで大した戦闘経験を積んでこなかったユウトはどう戦ってよいかわからず、ユウキに助言を求めた。
「戦い方? ……そうだな。なら、エンチャンターになってくれ。よし、それがいい。ユウトおまえはエンチャンターになるべきだ」
ユウトは、多少はその意見に疑問を抱きつつも、ユウキに勧められるがまま、ただひたすらに付与魔法(エンチャント)を勉強し、やがて勇者の血筋だという事も幸いして、史上最強のエンチャンターと呼ばれるまでに成長した。
ところが、そればかりに注力した結果、他がおろそかになってしまい、ユウトは『剣もダメ』『付与魔法以外の魔法もダメ』『体力もない』という三重苦を背負ってしまった。それでもエンチャンターを続けたのは、ユウキの「勇者になってくれ」という言葉が心の奥底にあったから。
──だが、これこそがユウキの〝真の〟狙いだったのだ。
この物語は主人公であるユウトが、持ち前の要領の良さと、唯一の武器である付与魔法を駆使して、愉快な仲間たちを強化しながら成り上がる、サクセスストーリーである。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます
22時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。
エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。
悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる