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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活
最低な企み
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ヴィオラの足元で倒れたテレンスが呻く。
「なんで逃げないんだ…捕まったら…どうなるか…」
「逃げないわ。あの人ならこんな時、絶対に逃げたりしない。だったら私も、戦うわ!」
指輪に魔力を通すと、周囲にドーム型の光の膜が現れヴィオラとテレンスを包みこむ。
「結界か…無駄なことを。」
レオニードが何か短く唱えると、ヴィオラの結界の周りに金色の魔法陣が現れた。
「まとめて送ってやろう。奴の醜い本性をその目に焼き付けて来るといい。」
「…何かしたのね…私の大切な人に。」
ヴィオラのチョコレート色の瞳に闘志が宿る。
ドレスの裾をたくし上げると、靴のつま先を床に叩き付け、一気に魔力を流した。
するとガラスの割れるような音と共に、足元の魔法陣が掻き消える。
「ほう、多少はやるようだな。」
「ええ、素晴らしいお手本がございますもので。」
ヴィオラは手元に魔力を集中させ、形を整えていった。
しなやかで美しく、星をも射貫く強靭な弓の形。
そこへ青く光る魔力の矢をつがえ、目の前の男に向けて引き絞る。
「あの人に何をしたの?答えて!」
「なんだそれは。脅しのつもりか?」
ヴィオラの手から放たれた矢は無数に分かれ、多方向からレオニードに向かって行った。
しかし、相手も魔術師。
いとも簡単に弾かれてしまう。
「所詮この程度か!子供騙しな…」
「ええ、貴方の気が引ればそれで充分よ。」
ヴィオラの結界にレオニードが触れようとした瞬間、凄まじい量の魔力が周囲を覆い尽くした。
何もかもを押し潰す様な重い魔力の圧がレオニードに伸し掛かる。
「失礼、背中がガラ空きでしてよ?!」
次の瞬間、銀色に輝く雷鎚がレオニードを貫いた。
「ギャァァァッ!!」
痛みと衝撃に叫び声を上げるレオニードが、倒れ様なんとか振り返ると、騎士姿のシェルリアーナが剣を引き抜いて立っていた。
「これはあまり好きな魔法ではなかったけれど、貴方になら喜んで使えるわね…」
そう言ってシェルリアーナは、倒れたレオニードの影に剣を突き立てた。
途端、影が刺された場所と同じ所に激痛が走る。
「グァァッ!!」
「さぁ、アンタのした事全て吐いて貰うわよ?!」
「シェル先輩!!」
ヴィオラが結界を解除してシェルリアーナに駆け寄った。
「デイビッド様が!何処かへ連れて行かれてしまったみたいなんです!探しに行かないと…」
「なんでアイツいつも攫われる側なのよ!!」
その時、テレンスがふらふらと起き上がって来た。
「案内する…僕もはっきり場所はわからないけど、転移の魔法陣の魔力を追えば見つかるはずだ…さっき展開された時に魔力紋を覚えておいたから…」
「あら、なかなかやりますわね。見直したわよ?!」
シェルリアーナはレオニードを魔力の縄で縛り上げると、影に何本も矢を突き立てて縫い止め、廊下に放置した。
「こっち…ここを曲がって…この先だ、転移の魔力を感じる!」
3人がやってきたのは、礼拝堂の奥にある懺悔室や、告解の祭壇が置かれた部屋の先の行き止まり。
「あそこだ!」
扉の前には柄の悪そうな生徒が何人かいて、テレンスを見ると気安く声をかけてきた。
「おい、テレンス。レオニードさんはどうした?そろそろ会長もいらっしゃる頃だろう?早く仕上げに取り掛からないと…」
「黙れ蛆虫共が…」
地を這うような声でシェルリアーナが呟くと、彼らの足元から影の蔓が伸びて口元まで縛り上げてしまう。
「扉の鍵を解除しないと!」
「必要ありませんわ!!」
シェルリアーナは足に魔力を纏わせて、扉を思い切り蹴り飛ばした。
大きな音と共に扉が開き、中から幾つも悲鳴が重なって聞こえてくる。
「大丈夫?!」
シェルリアーナが飛び込んでいくと、顔を泣き腫らした女の子達が部屋の隅に蹲っていた。
「安心して、助けに来たわよ!さぁ、こちらへいらっしゃい。」
廊下に出てシェルリアーナとヴィオラが泣き縋る女の子達を宥めていると、カツカツと規則正しい足音が聞こえてきた。
「なんてこった。もう終わってたのかい?アタシの出番は無かったようだね?!」
細剣と全身に魔力を纏わせた騎士装のシモンズが現れ、後ろから更に何人かの足音が聞こえてきた。
キビキビと良く動く女兵士達が数名、無言でシモンズに敬礼する。
「全員を医療室へ!全く、大人がこれだけ集まって子供任せとは情けない!一体この学園はどうなってるんだろうねぇ?!不甲斐ないったらありゃしないよ!」
「し…白薔薇の騎士様!?」
誰かがそう呟いた。
こうしてシェルリアーナとシモンズ、2人の騎士(?)に手を引かれ、女の子達は無事救出されたのだった。
「…なんか…向こうの部屋スゴイ事になってるみたいですよ?!」
「王子様でも助けに来たってか?」
「その通りですね。シェル王子が降臨してますよ。」
「は?!」
腰板の隙間から部屋を覗き、隠蔽魔法を解除するとシェルリアーナが部屋の中を見回しているのが見えた。
「今出てかないとマズイですよコレ…」
「うわ、イヤだぁ…」
仕方なく2人は腰板を裏から叩いて声を上げた。
「シェルリアーナ様こっちです!」
「今開けるから、ちょっと待ってろ。」
壁を開き顔を出すと、その場の全員が驚いていた。
「二人共どこから出て来たのよ!?」
「こっち、監視室になってて中にずっといた。」
「なんでこんな所に?!」
「単に逃げてた。被害者にも加害者にもなるつもりは無かったからな。」
狭い隙間から這い出ると、デイビッドの元にヴィオラが飛び付いてきた。
「良かった無事で!!心配しました!どこも怪我はありませんか?酷いことされませんでしたか?!」
「大丈夫、どこも何ともねぇよ…」
これだけの騒ぎの中、デイビッドは結局なんの痛手も負わなかった。
弾みで今壁に頭をぶつけた程度だ。
「だからなんでアンタが助けられるポジションなの?おかしくない?!」
「何でもいいけど、まぁ助かったよ。出口はねぇし、エリックはうるせぇし、そろそろ気が滅入って来たところだったからな。」
「うるさくした原因の8割貴方ですからね?!」
全員が引き上げようとした時、廊下の向こうから更にもう数人こちらへやって来るのが見えた。
「これは一体何の騒ぎだ?!」
生徒会長が他のメンバーを連れて真っ直ぐこちらへ向かって来る。
「やはり貴様か!?ここで何をしていた!もう言い逃れは出来ないぞ?!さぁ大人しく彼女達を…放し…え?」
「この状況で俺が犯人ってのはちょっと厳しくないか?」
デイビッドの腕の中にはヴィオラがしがみついていて、エリックとシェルリアーナも側に付いている。
「か…彼女達はどこに?!」
「誰だ?彼女達って。」
「ここに居たはずだ!何処へやった!?」
アレックスが1人で焦り始める。
「この部屋にいた女の子達なら、シモンズ先生がもう連れて行きましたわ。」
「傷ひとつ無く皆元気でしたよ?!」
「可哀想に、いきなり誰かに襲われて、この部屋へ閉じ込められたそうですわ。」
「何事もなく無事で良かったですね!」
「そんなはずは無いだろう!!」
「何故?!今来たばかりの貴方に、どうしてそんな事がわかりますの?」
アレックスは自分に分が悪いと見て、悔しそうにたま廊下を戻って行こうとする。
「真相は必ず暴いてやる!覚悟していろよ!?」
謎の捨て台詞にすっかり白けたデイビッド達は、ひとまずシモンズの待つ医療室へ向かう事にした。
「なんで逃げないんだ…捕まったら…どうなるか…」
「逃げないわ。あの人ならこんな時、絶対に逃げたりしない。だったら私も、戦うわ!」
指輪に魔力を通すと、周囲にドーム型の光の膜が現れヴィオラとテレンスを包みこむ。
「結界か…無駄なことを。」
レオニードが何か短く唱えると、ヴィオラの結界の周りに金色の魔法陣が現れた。
「まとめて送ってやろう。奴の醜い本性をその目に焼き付けて来るといい。」
「…何かしたのね…私の大切な人に。」
ヴィオラのチョコレート色の瞳に闘志が宿る。
ドレスの裾をたくし上げると、靴のつま先を床に叩き付け、一気に魔力を流した。
するとガラスの割れるような音と共に、足元の魔法陣が掻き消える。
「ほう、多少はやるようだな。」
「ええ、素晴らしいお手本がございますもので。」
ヴィオラは手元に魔力を集中させ、形を整えていった。
しなやかで美しく、星をも射貫く強靭な弓の形。
そこへ青く光る魔力の矢をつがえ、目の前の男に向けて引き絞る。
「あの人に何をしたの?答えて!」
「なんだそれは。脅しのつもりか?」
ヴィオラの手から放たれた矢は無数に分かれ、多方向からレオニードに向かって行った。
しかし、相手も魔術師。
いとも簡単に弾かれてしまう。
「所詮この程度か!子供騙しな…」
「ええ、貴方の気が引ればそれで充分よ。」
ヴィオラの結界にレオニードが触れようとした瞬間、凄まじい量の魔力が周囲を覆い尽くした。
何もかもを押し潰す様な重い魔力の圧がレオニードに伸し掛かる。
「失礼、背中がガラ空きでしてよ?!」
次の瞬間、銀色に輝く雷鎚がレオニードを貫いた。
「ギャァァァッ!!」
痛みと衝撃に叫び声を上げるレオニードが、倒れ様なんとか振り返ると、騎士姿のシェルリアーナが剣を引き抜いて立っていた。
「これはあまり好きな魔法ではなかったけれど、貴方になら喜んで使えるわね…」
そう言ってシェルリアーナは、倒れたレオニードの影に剣を突き立てた。
途端、影が刺された場所と同じ所に激痛が走る。
「グァァッ!!」
「さぁ、アンタのした事全て吐いて貰うわよ?!」
「シェル先輩!!」
ヴィオラが結界を解除してシェルリアーナに駆け寄った。
「デイビッド様が!何処かへ連れて行かれてしまったみたいなんです!探しに行かないと…」
「なんでアイツいつも攫われる側なのよ!!」
その時、テレンスがふらふらと起き上がって来た。
「案内する…僕もはっきり場所はわからないけど、転移の魔法陣の魔力を追えば見つかるはずだ…さっき展開された時に魔力紋を覚えておいたから…」
「あら、なかなかやりますわね。見直したわよ?!」
シェルリアーナはレオニードを魔力の縄で縛り上げると、影に何本も矢を突き立てて縫い止め、廊下に放置した。
「こっち…ここを曲がって…この先だ、転移の魔力を感じる!」
3人がやってきたのは、礼拝堂の奥にある懺悔室や、告解の祭壇が置かれた部屋の先の行き止まり。
「あそこだ!」
扉の前には柄の悪そうな生徒が何人かいて、テレンスを見ると気安く声をかけてきた。
「おい、テレンス。レオニードさんはどうした?そろそろ会長もいらっしゃる頃だろう?早く仕上げに取り掛からないと…」
「黙れ蛆虫共が…」
地を這うような声でシェルリアーナが呟くと、彼らの足元から影の蔓が伸びて口元まで縛り上げてしまう。
「扉の鍵を解除しないと!」
「必要ありませんわ!!」
シェルリアーナは足に魔力を纏わせて、扉を思い切り蹴り飛ばした。
大きな音と共に扉が開き、中から幾つも悲鳴が重なって聞こえてくる。
「大丈夫?!」
シェルリアーナが飛び込んでいくと、顔を泣き腫らした女の子達が部屋の隅に蹲っていた。
「安心して、助けに来たわよ!さぁ、こちらへいらっしゃい。」
廊下に出てシェルリアーナとヴィオラが泣き縋る女の子達を宥めていると、カツカツと規則正しい足音が聞こえてきた。
「なんてこった。もう終わってたのかい?アタシの出番は無かったようだね?!」
細剣と全身に魔力を纏わせた騎士装のシモンズが現れ、後ろから更に何人かの足音が聞こえてきた。
キビキビと良く動く女兵士達が数名、無言でシモンズに敬礼する。
「全員を医療室へ!全く、大人がこれだけ集まって子供任せとは情けない!一体この学園はどうなってるんだろうねぇ?!不甲斐ないったらありゃしないよ!」
「し…白薔薇の騎士様!?」
誰かがそう呟いた。
こうしてシェルリアーナとシモンズ、2人の騎士(?)に手を引かれ、女の子達は無事救出されたのだった。
「…なんか…向こうの部屋スゴイ事になってるみたいですよ?!」
「王子様でも助けに来たってか?」
「その通りですね。シェル王子が降臨してますよ。」
「は?!」
腰板の隙間から部屋を覗き、隠蔽魔法を解除するとシェルリアーナが部屋の中を見回しているのが見えた。
「今出てかないとマズイですよコレ…」
「うわ、イヤだぁ…」
仕方なく2人は腰板を裏から叩いて声を上げた。
「シェルリアーナ様こっちです!」
「今開けるから、ちょっと待ってろ。」
壁を開き顔を出すと、その場の全員が驚いていた。
「二人共どこから出て来たのよ!?」
「こっち、監視室になってて中にずっといた。」
「なんでこんな所に?!」
「単に逃げてた。被害者にも加害者にもなるつもりは無かったからな。」
狭い隙間から這い出ると、デイビッドの元にヴィオラが飛び付いてきた。
「良かった無事で!!心配しました!どこも怪我はありませんか?酷いことされませんでしたか?!」
「大丈夫、どこも何ともねぇよ…」
これだけの騒ぎの中、デイビッドは結局なんの痛手も負わなかった。
弾みで今壁に頭をぶつけた程度だ。
「だからなんでアンタが助けられるポジションなの?おかしくない?!」
「何でもいいけど、まぁ助かったよ。出口はねぇし、エリックはうるせぇし、そろそろ気が滅入って来たところだったからな。」
「うるさくした原因の8割貴方ですからね?!」
全員が引き上げようとした時、廊下の向こうから更にもう数人こちらへやって来るのが見えた。
「これは一体何の騒ぎだ?!」
生徒会長が他のメンバーを連れて真っ直ぐこちらへ向かって来る。
「やはり貴様か!?ここで何をしていた!もう言い逃れは出来ないぞ?!さぁ大人しく彼女達を…放し…え?」
「この状況で俺が犯人ってのはちょっと厳しくないか?」
デイビッドの腕の中にはヴィオラがしがみついていて、エリックとシェルリアーナも側に付いている。
「か…彼女達はどこに?!」
「誰だ?彼女達って。」
「ここに居たはずだ!何処へやった!?」
アレックスが1人で焦り始める。
「この部屋にいた女の子達なら、シモンズ先生がもう連れて行きましたわ。」
「傷ひとつ無く皆元気でしたよ?!」
「可哀想に、いきなり誰かに襲われて、この部屋へ閉じ込められたそうですわ。」
「何事もなく無事で良かったですね!」
「そんなはずは無いだろう!!」
「何故?!今来たばかりの貴方に、どうしてそんな事がわかりますの?」
アレックスは自分に分が悪いと見て、悔しそうにたま廊下を戻って行こうとする。
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20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
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