162 / 411
黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
マッドネスな空間
しおりを挟む
「……ふ…不発…?」
「条件が揃わなくて術が発動しなかったんだ…」
「ほら見てよ!僕の立てた仮説通りだったでしょ?!旧式の魔道具は体内の魔力か魔素に反応して発動するんだって!使用者の魔力伝導によるものじゃないんだよ!」
はしゃぐ魔道具マニア達の横で、デイビッドは極度の緊張から開放されてぐったりしていた。
「もうイヤだ…魔法系は頭のおかしい奴しか居ない…」
「ごめんよデイビッド君!僕が付いていながら…ねぇ、君達、終わったなら早くコレ外してあげてよ!」
「あ、ごめんね!今はずし…あれ?おかしいな…外れない?」
「は?!」
「あ!わかった。解除コードを入れるのに魔力が足りないんだ!」
「誰か解除できる人呼んでこよう!」
「あ!おい!?」
元凶達が勝手にどこかへ行ってしまったので、残されたデイビッドは手枷付きのまま、その場で待つより他なくなった。
「最悪だ……」
「あの…気を落とさないで!すぐ外してもらえるよ!それに、えーっと、ホラ!なかなか似合ってるよ?!」
「手枷が似合ってたまるか!!」
「うーん…相当強い魔力に当てないと解除できそうにないな…そうだ!シェルリアーナの魔力量なら解除できるかもしない!すぐ呼んで来るよ!」
「…最悪だ……」
その頃、隣の第七研究室の中では、イヴェットとシェルリアーナが騒ぐ男子達の声を聞いていた。
「外がずいぶん賑やかだね。」
「どうせ隣でしょ?いつものことじゃない。また変な魔道具でも試して失敗してるのよ。」
そこへ慌てた様子のエドワードが入って来た。
「シェルリアーナ!良かった居てくれて!すぐ来て欲しい、緊急事態なんだ!」
「今度は何事ですの?!」
シェルリアーナは溜め息をつくと、苛立った口調で席を立った。
「作業の途中にごめんよ。でも、本気で困ってるんだ!手を貸してくれないか?」
「わかったわよ!で?何がどうし…」
隣の研究室の戸を開けると、憔悴し切ったデイビッドと目が合う。
「何してんのアンタ!?」
「…後悔してる…」
「ちょっ…ヤダこれ旧式の軍用魔具じゃない!何考えてんの!変なもんで遊んでんじゃ無いわよ!!」
「怒らないで、シェルリアーナ。悪いのは彼じゃなくて、彼に手枷を掛けた奴等なわけで…」
「どうせ流されて言うこと聞いちゃったんでしょ?!他人にやすやす自分の腕差し出すバカがどこにいるのよ!?挙げ句手枷掛けられて、自業自得よ!次は首輪でも着けてやりましょうか?!」
シェルリアーナは一息にまくし立てると、気が抜けたように椅子に座り、手枷の留め具に手を掛けた。
「あぁ…これはダメね。鍵が必要だもの。下手に弄ると二度と外れなくなるわ。魔力で上書きしようにも手順がいるタイプよ。」
「シェルにも無理か…」
「私だけならね。もう一人いるでしょ?変わり者が。ウチの研究室に。」
「ああそうか!リズを連れてくればいいのか!待っててくれ、直ぐに探してくる!」
飛び出して行くエドワードを見送ると、イヴェットもこちらへやって来た。
「ずいぶんと楽しそうな事してるじゃないか。僕も仲間に入れてよ。」
「コレが楽しそうに見えるか?」
「背徳的でそそられない?思わず鎖で繋いでみたくなるよ。」
「コイツじゃ絵になんないわよ!?」
「逃げ場が無い…」
しばらくしてエドワードがエリザベスを連れて戻って来た。
「えーウケる!なにコレ、サバトでも始めるの?」
「何言ってんのよ。普通、生贄はヤギか羊でしょ?」
「否定するとこ、そこか…」
「アハハ冗談よ!でもかなり頑丈な奴着けられちゃったね!古い魔道具は製作者の癖が強く出ることが多いの。手順を探るからシェリーは合図したら魔力ぶち込んで?」
エリザベスは、細い金具が何本も入った職人用の解除具を取り出し、手枷の留め具に差し込んだ。
「旧式の魔道具って、全部手作業で作られてて素材がいいからあんまり壊したくないのよ。また使えるように丁寧に扱いたいのよね!」
「拷問具に出番があったら世も末だろ!!」
「このずっしりした手応え、堪らないわよね?!着け心地はどう?この腕に当たる金具の曲線とか、セクシーじゃない?」
「やっぱここには変な奴しか居ねぇのか…」
「なんで私の方見ながら言うのよ!!言っとくけど、一番変な奴はアンタだからね?!」
エリザベスは、真剣な目付きで魔術式の組まれた金具をなぞっている。
「こういうのは単純な造りなだけに、開けるのは少し手間が掛かるのよ。腕、痛くない?」
「あぁ…なぁ、そんだけ魔道具が好きなら、なんで魔草学の方に来たんだ?」
「あー、先生と相性悪くて?ウチは代々魔道具師の家系でそさ。なんかある度に家の名前出されて嫌気が差しちゃって!その点ベルダ先生は課題さえすれば、あとは好きなことしていいし、卒論もテーマは自分で決めていいって言ってくれたから!」
「旧式魔道具の解除は相当な腕が無いと出来ねぇよ。ためらいなく手が出せる程の実力なら、どこも欲しがるだろうな。」
「えー?アタシなんかは昔からただ好きで色々やって来ただけなんだけどなぁ…」
「一番重要な素質だろ?道具を見ればどれ程努力してきたかも分かる。リズなら腕の良い職人になれるはずだ…」
途端エリザベスの手が止まり、道具を手放すと立ち上がってはしゃぎ出してしまう。
「聞いた?!ヤバい!今のセリフこの3年間で一番嬉しかったぁ!やっぱ理解してくれる人いたじゃん!え?え?どうしよう!嬉しすぎて弾けそう!」
「まだ終わってねぇって!どっか行くな!!」
「…デイビッド君、エリザベスにはずいぶん興味をお持ちみたいだね…妬けちゃうよ?」
「なんか喋ってないと頭がおかしくなりそうなんだよ!この状態で平常心が保てると思うなよ?!」
なんとか引き戻したエリザベスに解除の続きをさせると、少しして魔針を3本差した隙間を指差した。
「ここ、この細いトコにビリっとお願い。なるべく高出力で、でも一瞬だけね。」
「わかったわ。」
シェルリアーナの指先から、銀色の光が一瞬弾けて魔針を通り抜けていく。
「イッテェェッッ!!」
「うるさいわね。静かにしなさいよ!」
「はい!外れたよ!?」
「うわ…腕、真っ赤になってるね。」
「魔力が少しはみ出ちゃった。ミミズ腫れみたいになっちゃったね。大丈夫?」
「ゼェ…ゼェ…手枷よりマシだ!」
急いで自分達の研究室へ戻り、作業に取り掛かろうとするがデイビッドは手が思うように動かなかった。
傷の裂けた所から血が滲んで来るので、絆創膏を探しているとエドが持って来てくれる。
「少し休みなよ。酷い目に遭ったんだから。」
「あぁ…」
「腕の傷…僕、診ようか?血が出てるよ?」
「いや…それよりお前…目の色おかしくないか?」
エドの青い瞳が見る間に紅く輝いていく。
「エドは吸血鬼の血統だもの。たまになるのよ。」
「サラッと言っていい話かそれ?」
「怖がらないで?!もう何十代も世代は経ってるし、吸血衝動だって無いよ?!普通に日中も活動してるでしょ?今はもう血統魔法がそっち寄りってだけだよ!ちょっと興奮すると目が赤くなるくらいで…」
「今、興奮する要素どっかにあったか?!」
「だってスゴいイイ匂いがするんだよ?!甘くて果汁たっぷりの果物みたいな…もちろん食べないよ?!食べないけど美味しそうだなとは思うでしょ?!かぶり付いたらどんな味がするのかなって、想像するくらいは誰でもあるよね?」
ヴァンパイアも古い血の血統だ。
昔は生命維持に鮮血が必要だったと言うが、世代を重ねた現代では滅多な事で血を求めたりはしない。
特殊な魔法の発動や、特別な儀式に提供された血を口にする程度だという。
吸血行為は相手との理解と合意と安全が成り立ち、緊急性や止むに止まれぬ事情がある上で、かつ秘匿が可能な状態でないと行われないものらしい。
「条件が揃わなくて術が発動しなかったんだ…」
「ほら見てよ!僕の立てた仮説通りだったでしょ?!旧式の魔道具は体内の魔力か魔素に反応して発動するんだって!使用者の魔力伝導によるものじゃないんだよ!」
はしゃぐ魔道具マニア達の横で、デイビッドは極度の緊張から開放されてぐったりしていた。
「もうイヤだ…魔法系は頭のおかしい奴しか居ない…」
「ごめんよデイビッド君!僕が付いていながら…ねぇ、君達、終わったなら早くコレ外してあげてよ!」
「あ、ごめんね!今はずし…あれ?おかしいな…外れない?」
「は?!」
「あ!わかった。解除コードを入れるのに魔力が足りないんだ!」
「誰か解除できる人呼んでこよう!」
「あ!おい!?」
元凶達が勝手にどこかへ行ってしまったので、残されたデイビッドは手枷付きのまま、その場で待つより他なくなった。
「最悪だ……」
「あの…気を落とさないで!すぐ外してもらえるよ!それに、えーっと、ホラ!なかなか似合ってるよ?!」
「手枷が似合ってたまるか!!」
「うーん…相当強い魔力に当てないと解除できそうにないな…そうだ!シェルリアーナの魔力量なら解除できるかもしない!すぐ呼んで来るよ!」
「…最悪だ……」
その頃、隣の第七研究室の中では、イヴェットとシェルリアーナが騒ぐ男子達の声を聞いていた。
「外がずいぶん賑やかだね。」
「どうせ隣でしょ?いつものことじゃない。また変な魔道具でも試して失敗してるのよ。」
そこへ慌てた様子のエドワードが入って来た。
「シェルリアーナ!良かった居てくれて!すぐ来て欲しい、緊急事態なんだ!」
「今度は何事ですの?!」
シェルリアーナは溜め息をつくと、苛立った口調で席を立った。
「作業の途中にごめんよ。でも、本気で困ってるんだ!手を貸してくれないか?」
「わかったわよ!で?何がどうし…」
隣の研究室の戸を開けると、憔悴し切ったデイビッドと目が合う。
「何してんのアンタ!?」
「…後悔してる…」
「ちょっ…ヤダこれ旧式の軍用魔具じゃない!何考えてんの!変なもんで遊んでんじゃ無いわよ!!」
「怒らないで、シェルリアーナ。悪いのは彼じゃなくて、彼に手枷を掛けた奴等なわけで…」
「どうせ流されて言うこと聞いちゃったんでしょ?!他人にやすやす自分の腕差し出すバカがどこにいるのよ!?挙げ句手枷掛けられて、自業自得よ!次は首輪でも着けてやりましょうか?!」
シェルリアーナは一息にまくし立てると、気が抜けたように椅子に座り、手枷の留め具に手を掛けた。
「あぁ…これはダメね。鍵が必要だもの。下手に弄ると二度と外れなくなるわ。魔力で上書きしようにも手順がいるタイプよ。」
「シェルにも無理か…」
「私だけならね。もう一人いるでしょ?変わり者が。ウチの研究室に。」
「ああそうか!リズを連れてくればいいのか!待っててくれ、直ぐに探してくる!」
飛び出して行くエドワードを見送ると、イヴェットもこちらへやって来た。
「ずいぶんと楽しそうな事してるじゃないか。僕も仲間に入れてよ。」
「コレが楽しそうに見えるか?」
「背徳的でそそられない?思わず鎖で繋いでみたくなるよ。」
「コイツじゃ絵になんないわよ!?」
「逃げ場が無い…」
しばらくしてエドワードがエリザベスを連れて戻って来た。
「えーウケる!なにコレ、サバトでも始めるの?」
「何言ってんのよ。普通、生贄はヤギか羊でしょ?」
「否定するとこ、そこか…」
「アハハ冗談よ!でもかなり頑丈な奴着けられちゃったね!古い魔道具は製作者の癖が強く出ることが多いの。手順を探るからシェリーは合図したら魔力ぶち込んで?」
エリザベスは、細い金具が何本も入った職人用の解除具を取り出し、手枷の留め具に差し込んだ。
「旧式の魔道具って、全部手作業で作られてて素材がいいからあんまり壊したくないのよ。また使えるように丁寧に扱いたいのよね!」
「拷問具に出番があったら世も末だろ!!」
「このずっしりした手応え、堪らないわよね?!着け心地はどう?この腕に当たる金具の曲線とか、セクシーじゃない?」
「やっぱここには変な奴しか居ねぇのか…」
「なんで私の方見ながら言うのよ!!言っとくけど、一番変な奴はアンタだからね?!」
エリザベスは、真剣な目付きで魔術式の組まれた金具をなぞっている。
「こういうのは単純な造りなだけに、開けるのは少し手間が掛かるのよ。腕、痛くない?」
「あぁ…なぁ、そんだけ魔道具が好きなら、なんで魔草学の方に来たんだ?」
「あー、先生と相性悪くて?ウチは代々魔道具師の家系でそさ。なんかある度に家の名前出されて嫌気が差しちゃって!その点ベルダ先生は課題さえすれば、あとは好きなことしていいし、卒論もテーマは自分で決めていいって言ってくれたから!」
「旧式魔道具の解除は相当な腕が無いと出来ねぇよ。ためらいなく手が出せる程の実力なら、どこも欲しがるだろうな。」
「えー?アタシなんかは昔からただ好きで色々やって来ただけなんだけどなぁ…」
「一番重要な素質だろ?道具を見ればどれ程努力してきたかも分かる。リズなら腕の良い職人になれるはずだ…」
途端エリザベスの手が止まり、道具を手放すと立ち上がってはしゃぎ出してしまう。
「聞いた?!ヤバい!今のセリフこの3年間で一番嬉しかったぁ!やっぱ理解してくれる人いたじゃん!え?え?どうしよう!嬉しすぎて弾けそう!」
「まだ終わってねぇって!どっか行くな!!」
「…デイビッド君、エリザベスにはずいぶん興味をお持ちみたいだね…妬けちゃうよ?」
「なんか喋ってないと頭がおかしくなりそうなんだよ!この状態で平常心が保てると思うなよ?!」
なんとか引き戻したエリザベスに解除の続きをさせると、少しして魔針を3本差した隙間を指差した。
「ここ、この細いトコにビリっとお願い。なるべく高出力で、でも一瞬だけね。」
「わかったわ。」
シェルリアーナの指先から、銀色の光が一瞬弾けて魔針を通り抜けていく。
「イッテェェッッ!!」
「うるさいわね。静かにしなさいよ!」
「はい!外れたよ!?」
「うわ…腕、真っ赤になってるね。」
「魔力が少しはみ出ちゃった。ミミズ腫れみたいになっちゃったね。大丈夫?」
「ゼェ…ゼェ…手枷よりマシだ!」
急いで自分達の研究室へ戻り、作業に取り掛かろうとするがデイビッドは手が思うように動かなかった。
傷の裂けた所から血が滲んで来るので、絆創膏を探しているとエドが持って来てくれる。
「少し休みなよ。酷い目に遭ったんだから。」
「あぁ…」
「腕の傷…僕、診ようか?血が出てるよ?」
「いや…それよりお前…目の色おかしくないか?」
エドの青い瞳が見る間に紅く輝いていく。
「エドは吸血鬼の血統だもの。たまになるのよ。」
「サラッと言っていい話かそれ?」
「怖がらないで?!もう何十代も世代は経ってるし、吸血衝動だって無いよ?!普通に日中も活動してるでしょ?今はもう血統魔法がそっち寄りってだけだよ!ちょっと興奮すると目が赤くなるくらいで…」
「今、興奮する要素どっかにあったか?!」
「だってスゴいイイ匂いがするんだよ?!甘くて果汁たっぷりの果物みたいな…もちろん食べないよ?!食べないけど美味しそうだなとは思うでしょ?!かぶり付いたらどんな味がするのかなって、想像するくらいは誰でもあるよね?」
ヴァンパイアも古い血の血統だ。
昔は生命維持に鮮血が必要だったと言うが、世代を重ねた現代では滅多な事で血を求めたりはしない。
特殊な魔法の発動や、特別な儀式に提供された血を口にする程度だという。
吸血行為は相手との理解と合意と安全が成り立ち、緊急性や止むに止まれぬ事情がある上で、かつ秘匿が可能な状態でないと行われないものらしい。
47
あなたにおすすめの小説
国王一家は堅実です
satomi
恋愛
オスメーモ王国…そこは国王一家は麗しくいつも輝かんばかりのドレスなどを身につけている。
その実態は、国王一家は国民と共に畑を耕したり、国民(子供)に読み書きを教えたり庶民的な生活をしている。
国王には現在愛する妻と双子の男女の子に恵まれ、幸せに生活している。
外部に行くときは着飾るが、領地に戻れば庶民的で非常に無駄遣いをしない王族である。
国庫は大事に。何故か、厨房担当のワーグが王家の子どもたちからの支持を得ている。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
冷徹侯爵の契約妻ですが、ざまぁの準備はできています
鍛高譚
恋愛
政略結婚――それは逃れられぬ宿命。
伯爵令嬢ルシアーナは、冷徹と名高いクロウフォード侯爵ヴィクトルのもとへ“白い結婚”として嫁ぐことになる。
愛のない契約、形式だけの夫婦生活。
それで十分だと、彼女は思っていた。
しかし、侯爵家には裏社会〈黒狼〉との因縁という深い闇が潜んでいた。
襲撃、脅迫、謀略――次々と迫る危機の中で、
ルシアーナは自分がただの“飾り”で終わることを拒む。
「この結婚をわたしの“負け”で終わらせませんわ」
財務の才と冷静な洞察を武器に、彼女は黒狼との攻防に踏み込み、
やがて侯爵をも驚かせる一手を放つ。
契約から始まった関係は、いつしか互いの未来を揺るがすものへ――。
白い結婚の裏で繰り広げられる、
“ざまぁ”と逆転のラブストーリー、いま開幕。
力は弱くて魔法も使えないけど強化なら出来る。~俺を散々こき使ってきたパーティの人間に復讐しながら美少女ハーレムを作って魔王をぶっ倒します
枯井戸
ファンタジー
──大勇者時代。
誰も彼もが勇者になり、打倒魔王を掲げ、一攫千金を夢見る時代。
そんな時代に、〝真の勇者の息子〟として生を授かった男がいた。
名はユウト。
人々は勇者の血筋に生まれたユウトに、類稀な魔力の才をもって生まれたユウトに、救世を誓願した。ユウトもまた、これを果たさんと、自身も勇者になる事を信じてやまなかった。
そんなある日、ユウトの元へ、ひとりの中性的な顔立ちで、笑顔が爽やかな好青年が訪ねてきた。
「俺のパーティに入って、世界を救う勇者になってくれないか?」
そう言った男の名は〝ユウキ〟
この大勇者時代にすい星のごとく現れた、〝その剣技に比肩する者なし〟と称されるほどの凄腕の冒険者である。
「そんな男を味方につけられるなんて、なんて心強いんだ」と、ユウトはこれを快諾。
しかし、いままで大した戦闘経験を積んでこなかったユウトはどう戦ってよいかわからず、ユウキに助言を求めた。
「戦い方? ……そうだな。なら、エンチャンターになってくれ。よし、それがいい。ユウトおまえはエンチャンターになるべきだ」
ユウトは、多少はその意見に疑問を抱きつつも、ユウキに勧められるがまま、ただひたすらに付与魔法(エンチャント)を勉強し、やがて勇者の血筋だという事も幸いして、史上最強のエンチャンターと呼ばれるまでに成長した。
ところが、そればかりに注力した結果、他がおろそかになってしまい、ユウトは『剣もダメ』『付与魔法以外の魔法もダメ』『体力もない』という三重苦を背負ってしまった。それでもエンチャンターを続けたのは、ユウキの「勇者になってくれ」という言葉が心の奥底にあったから。
──だが、これこそがユウキの〝真の〟狙いだったのだ。
この物語は主人公であるユウトが、持ち前の要領の良さと、唯一の武器である付与魔法を駆使して、愉快な仲間たちを強化しながら成り上がる、サクセスストーリーである。
【完結】お荷物王女は婚約解消を願う
miniko
恋愛
王家の瞳と呼ばれる色を持たずに生まれて来た王女アンジェリーナは、一部の貴族から『お荷物王女』と蔑まれる存在だった。
それがエスカレートするのを危惧した国王は、アンジェリーナの後ろ楯を強くする為、彼女の従兄弟でもある筆頭公爵家次男との婚約を整える。
アンジェリーナは八歳年上の優しい婚約者が大好きだった。
今は妹扱いでも、自分が大人になれば年の差も気にならなくなり、少しづつ愛情が育つ事もあるだろうと思っていた。
だが、彼女はある日聞いてしまう。
「お役御免になる迄は、しっかりアンジーを守る」と言う彼の宣言を。
───そうか、彼は私を守る為に、一時的に婚約者になってくれただけなのね。
それなら出来るだけ早く、彼を解放してあげなくちゃ・・・・・・。
そして二人は盛大にすれ違って行くのだった。
※設定ユルユルですが、笑って許してくださると嬉しいです。
※感想欄、ネタバレ配慮しておりません。ご了承ください。
逆ハーレムを完成させた男爵令嬢は死ぬまで皆に可愛がられる(※ただし本人が幸せかは不明である)
ラララキヲ
恋愛
平民生まれだが父が男爵だったので母親が死んでから男爵家に迎え入れられたメロディーは、男爵令嬢として貴族の通う学園へと入学した。
そこでメロディーは第一王子とその側近候補の令息三人と出会う。4人には婚約者が居たが、4人全員がメロディーを可愛がってくれて、メロディーもそれを喜んだ。
メロディーは4人の男性を同時に愛した。そしてその4人の男性からも同じ様に愛された。
しかし相手には婚約者が居る。この関係は卒業までだと悲しむメロディーに男たちは寄り添い「大丈夫だ」と言ってくれる。
そして学園の卒業式。
第一王子たちは自分の婚約者に婚約破棄を突き付ける。
そしてメロディーは愛する4人の男たちに愛されて……──
※話全体通して『ざまぁ』の話です(笑)
※乙女ゲームの様な世界観ですが転生者はいません。
※性行為を仄めかす表現があります(が、行為そのものの表現はありません)
※バイセクシャルが居るので醸(カモ)されるのも嫌な方は注意。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げてます。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる