139 / 197
一橋家と縁のある御膳奉行の高尾惣十郎信福と山木次郎八勝明
しおりを挟む
「その時の…、弘めの際の二人の様子…、その山名荒三郎と高尾惣兵衛の様子はどうでしたか?」
平蔵は名主の明田惣蔵に更に質問を浴びせた。
「どうとは…」
問い返す明田惣蔵に対して平蔵は誘導訊問を仕掛けた。即ち、
「迷惑そうな様子ではありませんでしたか?」
そう尋ねたのであった。すると明田惣蔵もその時のことを思い出したらしく、「そう言えば…」と切り出すや、
「確かに、迷惑そうな表情をしておりました」
明田惣蔵はそう認めたのであった。
それから明田惣蔵は奉行の景漸の頼みに応じて、小野章以の診療所兼住居を見張るための見張所へと定町廻同心を案内すべく、その定町廻同心を引き連れて、奉行所をあとにした。
そうして再び、奉行の景漸と二人きりとなった平蔵は、
「小野章以の意図は明らかですな…」
そう切り出したのであった。すると景漸はそれに対して、
「万が一に備えて、だの?」
そう確かめるように平蔵にぶつけたのであった。
「ええ。仮に、晴れて一橋治済の思惑通り、御台様や萬壽姫様のお命を頂戴することができたとして…、小野章以が用意した毒キノコ…、シロテングタケか、或いはドクツルタケの効果…、遅効性にして、それも致死性のある毒キノコだと、それが確かめられたとして、その場合には小野章以は最早、用済みとして始末されるやも知れぬと…」
平蔵がそう言うと、あとの言葉を景漸が引き取ってみせた。
「小野章以自身、それが分かっていたからこそ、その万が一の場合に備えて、本銀町一丁目の家屋敷を買うに際してわざわざ保証人に一橋家の陪臣の山名荒三郎を立ててみたり、或いは代金の受け渡しを一橋邸、それも一橋御門内にある、謂わば上屋敷にて行ってみたり、あまつさえ、弘に…、町内の挨拶回りに、山名荒三郎と更に同じく一橋家の陪臣である高尾惣兵衛までも引き連れた…、これらはひとえに己が一橋家と縁があることを周囲に見せつけるためであり、ひいては己の身に万が一のことあらば、一橋家に嫌疑が向くように…」
正しくその通りであり、平蔵はそれを考えていたのだ。いや、小野章以が用済み…、それも口封じのために一橋家から消されたところで、流石に一橋家にその嫌疑までは向けられないかも知れないが、しかし、小野章以と繋がりが、所謂、
「鑑」
それがあるということで、事情ぐらいは聴かれるよう、小野章以は「保険」の意味で周囲に対して一橋家との縁を「アピール」したのやも知れぬ。
「ところで…、曲淵様は先ほど、名主の明田殿が高尾惣兵衛の名を口にされた途端、顔色を変えたように見受けられましたが…」
平蔵は気になっていたことを尋ねた。すると景漸は目を丸くした。
「気付かれたか…、いや、良い眼をしている…」
景漸はまずは平蔵をそう持ち上げた上で、その理由について語った。
「されば高尾なる苗字に聞き覚えがありましてな…」
「お知り合いで?」
「いや、知り合いというわけではないが…、もしかしたら旗本の高尾惣十郎信福殿の縁者ではあるまいかと…」
「高尾…、惣十郎、殿でござるか…」
似ていると平蔵は思った。通称が、である。
武士の世界においては通称は大抵、父から嫡男へと受け継がれるものである。
平蔵の場合、「平蔵」が正にそうであり、父・宣雄も「平蔵」の通称を名乗っていた。
そして嫡男以外の次男坊、三男坊も通称の頭文字が付されることが多かった。
してみると、旗本の高尾家では代々、「惣十郎」の通称が嫡男へと受け継がれており、嫡男以外の次男坊、三男坊はその頭文字の「惣」が付されるものと考えられ、そうであれば高尾惣兵衛は高尾惣十郎信福の叔父か弟か、或いは我が子にして次男坊か、三男坊に相当する可能性があり得た。
「その高尾殿…、旗本の高尾惣十郎殿の今の齢は…」
平蔵のその問いの意味するところを景漸も直ぐに悟ったらしく、
「正確なところは分からぬが、見たところ40代ゆえ、されば高尾惣兵衛なる者…、一橋家の陪臣から察するに、高尾惣十郎殿にとっては叔父か、さもなくば弟に相当する人物ではないかと…」
高尾惣兵衛が高尾惣十郎の子供、それも次男や三男である可能性は低いのではあるまいかと、景漸は示唆したのであった。
「無論、高尾殿の息…、次男や三男の可能性が全くないわけではないが…」
景漸は慎重にそう付け加えることも忘れなかった。
「してその高尾殿…、旗本の高尾惣十郎殿は何らかのお役に就いているので?」
平蔵が景漸にそう尋ねると、景漸から「何ゆえに左様に思われる?」と聞き返された。
「されば無役の旗本なれば登城せし機会も限られており…、一方、この平蔵が曲淵様に対して高尾殿…、旗本の高尾殿の齢につき尋ねましたるところ、曲淵様は見たところと、左様に前置きされましたるところから察するに、曲淵様は御城にて高尾殿と顔を合わされたことがあるのではないかと…、つまりは高尾殿は御城勤めをしているのではないかと、左様に思いまして…」
「やはり…、平蔵殿は中々に良い眼の…、勘の持ち主らしい…」
景漸がまずは平蔵のその「勘働き」を称揚してみせた上で、
「如何にも平蔵殿がご推察の通り、高尾殿は御城勤めをしておられる…」
平蔵の「推理」を認めたのであった。
「して、如何なるお役に?」
「されば御膳奉行であったと…」
「それは…、本丸の御膳奉行という意味でござるか?」
「如何にも…」
「されば本丸にて、畏れ多くも上様の…、上様がお召しあがりになられしお食事の毒見を担われし…」
平蔵がそこまで言うと、景漸も何ゆえに平蔵がそこまでクドクドと念押しするように尋ねるのか、その真意に気付いた様子であり、「まさか…」と呻き声を発した。
すると平蔵もその通りだと言わんばかりに頷いてみせたので、
「今度は畏れ多くも上様を…、上様のお命を狙うと申すのかっ!?一橋は…」
景漸はやはり呻くようにそう尋ねたのであった。
「無論、今の一橋治済は家老を始めとせし陪臣共々、一橋御門内にありし屋敷にて謹慎の身、しかもご公議より厳重なる監視下に置かれておることゆえ、一橋治済が畏れ多くも上様のお命を…、大納言様が死の真相が明らかになる前に…、それも上様がお知りになられし前に何としてでも上様のお命を奪えとは…、斯かる指図を下すことは今の一橋治済には不可能でござろうが…、なれど前もって計画していたことなれば如何でござろう…」
平蔵が謎かけするようにそう言うと、「前もって、だと?」と景漸は聞き返した。
「左様…、さればこれはあくまでこの平蔵の想像でござるが…」
平蔵はまずはそう前置きしてからその己の推理を景漸に披瀝した。
「されば…、万が一…、正に今の場合を想定してでござるが…、大納言様の死の真相…、大納言様の死は真は毒殺にて、しかも己が…、一橋治済こそがその黒幕であると、畏れ多くも上様に気付かれし暁には、いや、それどころか未だ気付かれずとも、気付かれようとしているその時には、上様のお命も奪えと…」
「前もって左様に御膳奉行の高尾惣十郎殿、いや、高尾惣十郎めに指図しておいたと申すのか?一橋治済は…」
「無論、高尾惣兵衛を介して、でござろうが…」
まさかに天下の御三卿である一橋家の当主たる治済が自ら高尾惣十郎の元へと足を運ぶわけにもゆかず、さりとて高尾惣十郎を一橋邸に招くのも考えものであった。
そこで高尾惣十郎の縁者である高尾惣兵衛に謂わば、「メッセンジャー」の役目をさせたのではないかと、平蔵はそう考え、そんな平蔵の考えに景漸も同感だと言わんばかりに頷いた。
「されば一橋治済がことは…、清水様共々、畏れ多くも大納言様の死に関与せし嫌疑により蟄居謹慎を命じられ、あまつさえ厳重なる監視下に置かれしことは御膳奉行の高尾惣十郎の耳にももう届いている頃にて…」
「そこで高尾惣十郎は縁者である高尾惣兵衛を介してだが、前もって一橋治済より命じられていた通り、畏れ多くも上様がお召し上がりになられしお食事に毒を…、やはりシロタマゴテングタケか、或いはドクツルタケを混入して、上様のお命も奪うと?」
「御膳奉行なればそれも可能かと…」
「なれど畏れ多くも上様が御城にてお召し上がりになられしお食事ともなると、御膳奉行の毒見の後に、更に小納戸の毒見もあるのだぞ?」
「されば小納戸の中にも一橋治済の息のかかりし者たちがおりますれば…」
「岩本正五郎正倫と松下左十郎正邑がことだな?」
「ええ。まず初めにお話申し上げました通り…、って言っても意知さん…、いえ、田沼様からの受け売りなんですが、岩本正五郎と松下左十郎は共に岩本家…、次期将軍に内定せし豊千代君の実母、お富の方の実家である岩本家の縁者、それも岩本正五郎と松下左十郎は従兄弟同士の間柄にて、しかも本丸の小納戸を勤めており、あまつさえ、二人はかつては奥医を差配せし御膳番として組んでおり…、そうであれば畏れ多くも上様のお食事の毒見に際しても、この二人…、岩本正五郎と松下左十郎が組んで当たっているのやも…」
「だが仮にそうだとしても、小納戸は…、本丸の小納戸は岩本正五郎と松下左十郎の二人のみならず、他にも数多おるゆえ、されば畏れ多くも上様がお召し上りになられしお食事の毒見…、小納戸による毒見は輪番制であろうから、畏れ多くも上様が大納言様が死の真相を…、一橋治済が黒幕だと気付くその前に、都合良く、岩本正五郎と松下左十郎の番…、上様がお召し上がりになられしお食事を毒見せし番が、いや、正確には毒見をしない番が回ってくるとは限らず…」
景漸の言う通りであった。
「第一、岩本正五郎と松下左十郎が今でも組んで毒見を担っているか、それは分からず…」
やはりこれも景漸の言う通りで、平蔵は思わず唸った。
「それに毒見役の御膳奉行にしても同じことが言えるぞ…」
「と申されますと?」
平蔵は首をかしげた。
「御膳奉行は一人にあらず…、されば高尾惣十郎の他にも、あと二人おるのだ…」
「あと二人…」
「左様。されば坂部三十郎廣保殿と山木次郎八勝明殿がそうなのだ」
「つまり御膳奉行は定員が3人と…」
「左様。さればその3人でもって毒見に当たるのだ。何しろ畏れ多くも上様がお召しあがりになられしお食事だが、ご朝食とご昼食は二の膳、ご夕食は一の膳ではあるが、大きな膳であり、ともあれ全てのお食事に御膳奉行が二人…、三人のうち二人が担うのだ」
「一人ではなく二人…」
「左様。されば仮に、御膳奉行の高尾惣十郎が毒見の最中、お食事に毒でも混入せしものなら…」
「相役に気付かれると?」
「そういうことだ」
「なれどそれなら…、そう、小納戸なれば…」
「確かに小納戸も、御膳奉行が毒見を済ませしそのお食事を更に毒見を致す」
「それなれば、小納戸が…、岩本正五郎と松下左十郎が…、この二人が毒を混入せしことは十分に可能なのでは?」
「確かに…、小納戸二人が密室にて二人だけで毒見を行うのであればそれも可能であろうな…」
「と申されますと…」
「左様…、されば小納戸による毒見は御膳奉行立ち会いの下で行われるのだ」
「えっ…」
「されば畏れ多くも上様がお召しあがりになられしお食事の毒見だが、まずは中奥の御座之間の近く…、御座之間の御三之間と笹之間との間に挟まれし御膳建之間にて御膳奉行…、二人の御膳奉行による毒見が行われ、それが済むと御膳奉行の手により囲炉裏之間へと、その毒見を済ませし食事が運ばれるのだ」
「二人の御膳奉行が自らが毒見をした食事…、上様がお召しあがりになられる食事を囲炉裏之間へと運ぶ、と?」
「左様。されば囲炉裏之間に小納戸が待ち受けており、御膳奉行立ち会いの下、小納戸がもう一度、毒見をした後、囲炉裏でその食事を温め直して、上様の御前へと、御膳が運ばれるのだ。小納戸の手によって…」
「それでは…、運ぶ途中に…」
「そのような器用な真似が出来ると思うか?それに第一、廊下では人目もあろうぞ」
景漸にそう反駁されて、さしもの平蔵も押し黙った。
すると景漸は不意に何かを思い出したらしく、「いや、待てよ…」と口にした。
「どうかされましたか?」
「いや…、坂部殿は兎も角、いまひとり…、山木次郎八殿は確か、父上…、養父は一橋家老であったわ…」
景漸のその言葉に平蔵は目を剥いた。
「それは真でっ!?」
平蔵は勢い込んで尋ねた。
「真ぞ。しかも坂部殿は確か今年で御齢71ゆえ、お毒見も専ら、ご朝食とご昼食に限られており…」
「ご夕食は…、ご夕食の毒見は免除されている、と?」
「左様。ご夕食の毒見ともあらば畢竟、宿直となるゆえに…」
「それでは…、ご夕食の毒見は専ら、一橋家と縁のある高尾惣十郎と山木次郎八が担うと?」
「そういうことだ」
「それなら…、ご夕食の毒見を担いし御膳奉行の高尾惣十郎と山木次郎八が二人共、一橋家と縁があるならば、御膳建之間において、その御膳奉行の高尾惣十郎と山木次郎八が毒見と称して、上様がお召しあがりになられるそのご夕食に毒物を混入せしことも可能ならば、或いは囲炉裏之間において高尾惣十郎と山木次郎八が立ち会いの下、いや、黙認の下、小納戸の岩本正五郎と松下左十郎がその高尾惣十郎と山木次郎八の二人が運んで来たそのご夕食に毒物を混入せしことも…」
「左様…、無論、高尾惣十郎と山木次郎八が毒物を混入せし場合でも、もう一度、毒見を担う小納戸は岩本正五郎と松下左十郎が望ましいがの…」
景漸の言う通りであった。仮に御膳奉行の高尾惣十郎と山木次郎八が夕食に毒物を混入する場合、もう一度、毒見を行う小納戸が岩本正五郎と松下左十郎以外の、つまりはよもや御膳奉行の高尾惣十郎と山木次郎八が夕食に毒物を混入したなどとは知らない小納戸であった場合、その小納戸もまた律儀に夕食に口をつけるであろうから、その事情を知らない小納戸までが毒物の犠牲となる。
いや、これで家基の命を奪ったのと同じシロタマゴテングタケ、或いはドクツルタケという遅効性にして致死性のある毒物でもって上様こと将軍・家治を毒殺するつもりなら、事情を知らない小納戸も犠牲になると言っても、すぐには死なないわけだから、一橋治済サイドにしてみれば、小納戸の一人や二人、犠牲になったところで一向に構わないのであろう。
だが一橋治済サイドにとって今は正に、
「事態は切迫している…」
その状態であった。そうであれば今直ぐにでも将軍・家治の命を奪おうとするであろう。いや、高尾惣十郎や山木次郎八、或いは岩本正五郎や松下左十郎といった一橋家と縁のある者ならば、一橋治済の胸中をそう忖度している頃に違いなかった。
そうであれば即効性のある毒物でもって将軍・家治を毒殺しようと考える筈であり、そうであれば最後に毒見を担う小納戸は岩本正五郎と松下左十郎が望ましい、と言うよりはそれしかあり得なかった。
なぜならそれ以外の事情を知らぬ小納戸が最後の毒見を担おうものなら律儀に即効性の毒物入りの夕食に箸をつけ、そうなれば小納戸が真っ先に死亡し、当然、大騒ぎとなって、家治にその毒入りの夕食を食べさせることなど不可能になるからだ。
「高尾惣十郎や山木次郎八、それに岩本正五郎や松下左十郎は何としてでも、それこそ今夕にでも毒見を…、ご夕食の毒見を担いたいと望むところでしょう…」
平蔵はそんな見立てを口にして、景漸を頷かせた。
「そうであれば彼奴等めは何をおいてもまずは毒物を…、即効性のある毒物を手に入れようとする筈です…」
「だが、如何にして?」
景漸は身を乗り出して尋ねた。
「さればここはやはり、遊佐信庭を頼るのではないかと…」
「遊佐信庭がそれを…、毒物の調達…、それも即効性のある毒物の調達を担うと申すか?」
「左様。何しろ医者ゆえ…、いや、もしかしたら遊佐信庭を通じて、小野章以に用意させるかも…」
平蔵のその「見立て」に景漸も、「確かに…」と応ずると、
「そうであればいよいよもって、小野章以の見張りが重要になってくるな…」
そう感想を洩らした。
平蔵は名主の明田惣蔵に更に質問を浴びせた。
「どうとは…」
問い返す明田惣蔵に対して平蔵は誘導訊問を仕掛けた。即ち、
「迷惑そうな様子ではありませんでしたか?」
そう尋ねたのであった。すると明田惣蔵もその時のことを思い出したらしく、「そう言えば…」と切り出すや、
「確かに、迷惑そうな表情をしておりました」
明田惣蔵はそう認めたのであった。
それから明田惣蔵は奉行の景漸の頼みに応じて、小野章以の診療所兼住居を見張るための見張所へと定町廻同心を案内すべく、その定町廻同心を引き連れて、奉行所をあとにした。
そうして再び、奉行の景漸と二人きりとなった平蔵は、
「小野章以の意図は明らかですな…」
そう切り出したのであった。すると景漸はそれに対して、
「万が一に備えて、だの?」
そう確かめるように平蔵にぶつけたのであった。
「ええ。仮に、晴れて一橋治済の思惑通り、御台様や萬壽姫様のお命を頂戴することができたとして…、小野章以が用意した毒キノコ…、シロテングタケか、或いはドクツルタケの効果…、遅効性にして、それも致死性のある毒キノコだと、それが確かめられたとして、その場合には小野章以は最早、用済みとして始末されるやも知れぬと…」
平蔵がそう言うと、あとの言葉を景漸が引き取ってみせた。
「小野章以自身、それが分かっていたからこそ、その万が一の場合に備えて、本銀町一丁目の家屋敷を買うに際してわざわざ保証人に一橋家の陪臣の山名荒三郎を立ててみたり、或いは代金の受け渡しを一橋邸、それも一橋御門内にある、謂わば上屋敷にて行ってみたり、あまつさえ、弘に…、町内の挨拶回りに、山名荒三郎と更に同じく一橋家の陪臣である高尾惣兵衛までも引き連れた…、これらはひとえに己が一橋家と縁があることを周囲に見せつけるためであり、ひいては己の身に万が一のことあらば、一橋家に嫌疑が向くように…」
正しくその通りであり、平蔵はそれを考えていたのだ。いや、小野章以が用済み…、それも口封じのために一橋家から消されたところで、流石に一橋家にその嫌疑までは向けられないかも知れないが、しかし、小野章以と繋がりが、所謂、
「鑑」
それがあるということで、事情ぐらいは聴かれるよう、小野章以は「保険」の意味で周囲に対して一橋家との縁を「アピール」したのやも知れぬ。
「ところで…、曲淵様は先ほど、名主の明田殿が高尾惣兵衛の名を口にされた途端、顔色を変えたように見受けられましたが…」
平蔵は気になっていたことを尋ねた。すると景漸は目を丸くした。
「気付かれたか…、いや、良い眼をしている…」
景漸はまずは平蔵をそう持ち上げた上で、その理由について語った。
「されば高尾なる苗字に聞き覚えがありましてな…」
「お知り合いで?」
「いや、知り合いというわけではないが…、もしかしたら旗本の高尾惣十郎信福殿の縁者ではあるまいかと…」
「高尾…、惣十郎、殿でござるか…」
似ていると平蔵は思った。通称が、である。
武士の世界においては通称は大抵、父から嫡男へと受け継がれるものである。
平蔵の場合、「平蔵」が正にそうであり、父・宣雄も「平蔵」の通称を名乗っていた。
そして嫡男以外の次男坊、三男坊も通称の頭文字が付されることが多かった。
してみると、旗本の高尾家では代々、「惣十郎」の通称が嫡男へと受け継がれており、嫡男以外の次男坊、三男坊はその頭文字の「惣」が付されるものと考えられ、そうであれば高尾惣兵衛は高尾惣十郎信福の叔父か弟か、或いは我が子にして次男坊か、三男坊に相当する可能性があり得た。
「その高尾殿…、旗本の高尾惣十郎殿の今の齢は…」
平蔵のその問いの意味するところを景漸も直ぐに悟ったらしく、
「正確なところは分からぬが、見たところ40代ゆえ、されば高尾惣兵衛なる者…、一橋家の陪臣から察するに、高尾惣十郎殿にとっては叔父か、さもなくば弟に相当する人物ではないかと…」
高尾惣兵衛が高尾惣十郎の子供、それも次男や三男である可能性は低いのではあるまいかと、景漸は示唆したのであった。
「無論、高尾殿の息…、次男や三男の可能性が全くないわけではないが…」
景漸は慎重にそう付け加えることも忘れなかった。
「してその高尾殿…、旗本の高尾惣十郎殿は何らかのお役に就いているので?」
平蔵が景漸にそう尋ねると、景漸から「何ゆえに左様に思われる?」と聞き返された。
「されば無役の旗本なれば登城せし機会も限られており…、一方、この平蔵が曲淵様に対して高尾殿…、旗本の高尾殿の齢につき尋ねましたるところ、曲淵様は見たところと、左様に前置きされましたるところから察するに、曲淵様は御城にて高尾殿と顔を合わされたことがあるのではないかと…、つまりは高尾殿は御城勤めをしているのではないかと、左様に思いまして…」
「やはり…、平蔵殿は中々に良い眼の…、勘の持ち主らしい…」
景漸がまずは平蔵のその「勘働き」を称揚してみせた上で、
「如何にも平蔵殿がご推察の通り、高尾殿は御城勤めをしておられる…」
平蔵の「推理」を認めたのであった。
「して、如何なるお役に?」
「されば御膳奉行であったと…」
「それは…、本丸の御膳奉行という意味でござるか?」
「如何にも…」
「されば本丸にて、畏れ多くも上様の…、上様がお召しあがりになられしお食事の毒見を担われし…」
平蔵がそこまで言うと、景漸も何ゆえに平蔵がそこまでクドクドと念押しするように尋ねるのか、その真意に気付いた様子であり、「まさか…」と呻き声を発した。
すると平蔵もその通りだと言わんばかりに頷いてみせたので、
「今度は畏れ多くも上様を…、上様のお命を狙うと申すのかっ!?一橋は…」
景漸はやはり呻くようにそう尋ねたのであった。
「無論、今の一橋治済は家老を始めとせし陪臣共々、一橋御門内にありし屋敷にて謹慎の身、しかもご公議より厳重なる監視下に置かれておることゆえ、一橋治済が畏れ多くも上様のお命を…、大納言様が死の真相が明らかになる前に…、それも上様がお知りになられし前に何としてでも上様のお命を奪えとは…、斯かる指図を下すことは今の一橋治済には不可能でござろうが…、なれど前もって計画していたことなれば如何でござろう…」
平蔵が謎かけするようにそう言うと、「前もって、だと?」と景漸は聞き返した。
「左様…、さればこれはあくまでこの平蔵の想像でござるが…」
平蔵はまずはそう前置きしてからその己の推理を景漸に披瀝した。
「されば…、万が一…、正に今の場合を想定してでござるが…、大納言様の死の真相…、大納言様の死は真は毒殺にて、しかも己が…、一橋治済こそがその黒幕であると、畏れ多くも上様に気付かれし暁には、いや、それどころか未だ気付かれずとも、気付かれようとしているその時には、上様のお命も奪えと…」
「前もって左様に御膳奉行の高尾惣十郎殿、いや、高尾惣十郎めに指図しておいたと申すのか?一橋治済は…」
「無論、高尾惣兵衛を介して、でござろうが…」
まさかに天下の御三卿である一橋家の当主たる治済が自ら高尾惣十郎の元へと足を運ぶわけにもゆかず、さりとて高尾惣十郎を一橋邸に招くのも考えものであった。
そこで高尾惣十郎の縁者である高尾惣兵衛に謂わば、「メッセンジャー」の役目をさせたのではないかと、平蔵はそう考え、そんな平蔵の考えに景漸も同感だと言わんばかりに頷いた。
「されば一橋治済がことは…、清水様共々、畏れ多くも大納言様の死に関与せし嫌疑により蟄居謹慎を命じられ、あまつさえ厳重なる監視下に置かれしことは御膳奉行の高尾惣十郎の耳にももう届いている頃にて…」
「そこで高尾惣十郎は縁者である高尾惣兵衛を介してだが、前もって一橋治済より命じられていた通り、畏れ多くも上様がお召し上がりになられしお食事に毒を…、やはりシロタマゴテングタケか、或いはドクツルタケを混入して、上様のお命も奪うと?」
「御膳奉行なればそれも可能かと…」
「なれど畏れ多くも上様が御城にてお召し上がりになられしお食事ともなると、御膳奉行の毒見の後に、更に小納戸の毒見もあるのだぞ?」
「されば小納戸の中にも一橋治済の息のかかりし者たちがおりますれば…」
「岩本正五郎正倫と松下左十郎正邑がことだな?」
「ええ。まず初めにお話申し上げました通り…、って言っても意知さん…、いえ、田沼様からの受け売りなんですが、岩本正五郎と松下左十郎は共に岩本家…、次期将軍に内定せし豊千代君の実母、お富の方の実家である岩本家の縁者、それも岩本正五郎と松下左十郎は従兄弟同士の間柄にて、しかも本丸の小納戸を勤めており、あまつさえ、二人はかつては奥医を差配せし御膳番として組んでおり…、そうであれば畏れ多くも上様のお食事の毒見に際しても、この二人…、岩本正五郎と松下左十郎が組んで当たっているのやも…」
「だが仮にそうだとしても、小納戸は…、本丸の小納戸は岩本正五郎と松下左十郎の二人のみならず、他にも数多おるゆえ、されば畏れ多くも上様がお召し上りになられしお食事の毒見…、小納戸による毒見は輪番制であろうから、畏れ多くも上様が大納言様が死の真相を…、一橋治済が黒幕だと気付くその前に、都合良く、岩本正五郎と松下左十郎の番…、上様がお召し上がりになられしお食事を毒見せし番が、いや、正確には毒見をしない番が回ってくるとは限らず…」
景漸の言う通りであった。
「第一、岩本正五郎と松下左十郎が今でも組んで毒見を担っているか、それは分からず…」
やはりこれも景漸の言う通りで、平蔵は思わず唸った。
「それに毒見役の御膳奉行にしても同じことが言えるぞ…」
「と申されますと?」
平蔵は首をかしげた。
「御膳奉行は一人にあらず…、されば高尾惣十郎の他にも、あと二人おるのだ…」
「あと二人…」
「左様。されば坂部三十郎廣保殿と山木次郎八勝明殿がそうなのだ」
「つまり御膳奉行は定員が3人と…」
「左様。さればその3人でもって毒見に当たるのだ。何しろ畏れ多くも上様がお召しあがりになられしお食事だが、ご朝食とご昼食は二の膳、ご夕食は一の膳ではあるが、大きな膳であり、ともあれ全てのお食事に御膳奉行が二人…、三人のうち二人が担うのだ」
「一人ではなく二人…」
「左様。されば仮に、御膳奉行の高尾惣十郎が毒見の最中、お食事に毒でも混入せしものなら…」
「相役に気付かれると?」
「そういうことだ」
「なれどそれなら…、そう、小納戸なれば…」
「確かに小納戸も、御膳奉行が毒見を済ませしそのお食事を更に毒見を致す」
「それなれば、小納戸が…、岩本正五郎と松下左十郎が…、この二人が毒を混入せしことは十分に可能なのでは?」
「確かに…、小納戸二人が密室にて二人だけで毒見を行うのであればそれも可能であろうな…」
「と申されますと…」
「左様…、されば小納戸による毒見は御膳奉行立ち会いの下で行われるのだ」
「えっ…」
「されば畏れ多くも上様がお召しあがりになられしお食事の毒見だが、まずは中奥の御座之間の近く…、御座之間の御三之間と笹之間との間に挟まれし御膳建之間にて御膳奉行…、二人の御膳奉行による毒見が行われ、それが済むと御膳奉行の手により囲炉裏之間へと、その毒見を済ませし食事が運ばれるのだ」
「二人の御膳奉行が自らが毒見をした食事…、上様がお召しあがりになられる食事を囲炉裏之間へと運ぶ、と?」
「左様。されば囲炉裏之間に小納戸が待ち受けており、御膳奉行立ち会いの下、小納戸がもう一度、毒見をした後、囲炉裏でその食事を温め直して、上様の御前へと、御膳が運ばれるのだ。小納戸の手によって…」
「それでは…、運ぶ途中に…」
「そのような器用な真似が出来ると思うか?それに第一、廊下では人目もあろうぞ」
景漸にそう反駁されて、さしもの平蔵も押し黙った。
すると景漸は不意に何かを思い出したらしく、「いや、待てよ…」と口にした。
「どうかされましたか?」
「いや…、坂部殿は兎も角、いまひとり…、山木次郎八殿は確か、父上…、養父は一橋家老であったわ…」
景漸のその言葉に平蔵は目を剥いた。
「それは真でっ!?」
平蔵は勢い込んで尋ねた。
「真ぞ。しかも坂部殿は確か今年で御齢71ゆえ、お毒見も専ら、ご朝食とご昼食に限られており…」
「ご夕食は…、ご夕食の毒見は免除されている、と?」
「左様。ご夕食の毒見ともあらば畢竟、宿直となるゆえに…」
「それでは…、ご夕食の毒見は専ら、一橋家と縁のある高尾惣十郎と山木次郎八が担うと?」
「そういうことだ」
「それなら…、ご夕食の毒見を担いし御膳奉行の高尾惣十郎と山木次郎八が二人共、一橋家と縁があるならば、御膳建之間において、その御膳奉行の高尾惣十郎と山木次郎八が毒見と称して、上様がお召しあがりになられるそのご夕食に毒物を混入せしことも可能ならば、或いは囲炉裏之間において高尾惣十郎と山木次郎八が立ち会いの下、いや、黙認の下、小納戸の岩本正五郎と松下左十郎がその高尾惣十郎と山木次郎八の二人が運んで来たそのご夕食に毒物を混入せしことも…」
「左様…、無論、高尾惣十郎と山木次郎八が毒物を混入せし場合でも、もう一度、毒見を担う小納戸は岩本正五郎と松下左十郎が望ましいがの…」
景漸の言う通りであった。仮に御膳奉行の高尾惣十郎と山木次郎八が夕食に毒物を混入する場合、もう一度、毒見を行う小納戸が岩本正五郎と松下左十郎以外の、つまりはよもや御膳奉行の高尾惣十郎と山木次郎八が夕食に毒物を混入したなどとは知らない小納戸であった場合、その小納戸もまた律儀に夕食に口をつけるであろうから、その事情を知らない小納戸までが毒物の犠牲となる。
いや、これで家基の命を奪ったのと同じシロタマゴテングタケ、或いはドクツルタケという遅効性にして致死性のある毒物でもって上様こと将軍・家治を毒殺するつもりなら、事情を知らない小納戸も犠牲になると言っても、すぐには死なないわけだから、一橋治済サイドにしてみれば、小納戸の一人や二人、犠牲になったところで一向に構わないのであろう。
だが一橋治済サイドにとって今は正に、
「事態は切迫している…」
その状態であった。そうであれば今直ぐにでも将軍・家治の命を奪おうとするであろう。いや、高尾惣十郎や山木次郎八、或いは岩本正五郎や松下左十郎といった一橋家と縁のある者ならば、一橋治済の胸中をそう忖度している頃に違いなかった。
そうであれば即効性のある毒物でもって将軍・家治を毒殺しようと考える筈であり、そうであれば最後に毒見を担う小納戸は岩本正五郎と松下左十郎が望ましい、と言うよりはそれしかあり得なかった。
なぜならそれ以外の事情を知らぬ小納戸が最後の毒見を担おうものなら律儀に即効性の毒物入りの夕食に箸をつけ、そうなれば小納戸が真っ先に死亡し、当然、大騒ぎとなって、家治にその毒入りの夕食を食べさせることなど不可能になるからだ。
「高尾惣十郎や山木次郎八、それに岩本正五郎や松下左十郎は何としてでも、それこそ今夕にでも毒見を…、ご夕食の毒見を担いたいと望むところでしょう…」
平蔵はそんな見立てを口にして、景漸を頷かせた。
「そうであれば彼奴等めは何をおいてもまずは毒物を…、即効性のある毒物を手に入れようとする筈です…」
「だが、如何にして?」
景漸は身を乗り出して尋ねた。
「さればここはやはり、遊佐信庭を頼るのではないかと…」
「遊佐信庭がそれを…、毒物の調達…、それも即効性のある毒物の調達を担うと申すか?」
「左様。何しろ医者ゆえ…、いや、もしかしたら遊佐信庭を通じて、小野章以に用意させるかも…」
平蔵のその「見立て」に景漸も、「確かに…」と応ずると、
「そうであればいよいよもって、小野章以の見張りが重要になってくるな…」
そう感想を洩らした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
【時代小説】 黄昏夫婦
蔵屋
歴史・時代
江戸時代、東北地方の秋田藩は貧かった。
そんな中、真面目なひとりの武士がいた。同僚からは馬鹿にされていたが真面目な男であった。俸禄は低く貧しい。娘二人と実母との4人暮らし。
秋田藩での仕事は勘定方である。
仕事が終わると真っ直ぐ帰宅する。
ただひたすら日中は城中では勘定方の仕事をまじめにして、帰宅すれば論語を読んで知識を習得する。
そんな毎日であった。彼の名前は立花清左衛門。年齢は35歳。
娘は二人いて、一人はとめ15歳。もう一人は梅、8歳。
さて|黄昏《たそがれ》は、一日のうち日没直後、雲のない西の空に夕焼けの名残りの「赤さ」が残る時間帯のことを言う。「|黄昏時《たそがれどき)」。 「黄昏れる《たそがれる》」という動詞形もある。
「たそがれ」は、江戸時代になるまでは「たそかれ」といい、「たそかれどき」の略でよく知られていた。夕暮れの人の顔の識別がつかない暗さになると誰かれとなく、「そこにいるのは誰ですか」「誰そ彼(誰ですかあなたは)」とたずねる頃合いという意味で日常会話でよく使われた。
今回の私の小説のテーマはこの黄昏である。
この風習は広く日本で行われている。
「おはようさんです」「これからですか」「お晩でございます。いまお帰りですか」と尋ねられれば相手も答えざるを得ず、互いに誰であるかチェックすることでヨソ者を排除する意図があったとされている。
「たそかれ」という言葉は『万葉集』に
誰そ彼と われをな問ひそ 九月の 露に濡れつつ 君待つわれそ」
— 『万葉集』第10巻2240番
と登場するが、これは文字通り「誰ですかあなたは」という意味である。
「平安時代には『うつほ物語』に「たそかれどき」の用例が現れ、さらに『源氏物語』に
「寄りてこそ それかとも見め たそかれに ほのぼの見つる 夕顔の花」
— 『源氏物語』「夕顔」光源氏
と、現在のように「たそかれ」で時間帯を表す用例が現れる。
なおこの歌は、帖と登場人物の名「夕顔」の由来になった夕顔の歌への返歌である。
またこの言葉の比喩として、「最盛期は過ぎたが、多少は余力があり、滅亡するにはまだ早い状態」をという語句の用い方をする。
漢語「|黄昏《コウコン》」は日没後のまだ完全に暗くなっていない時刻を指す。「初昏」とも呼んでいた。十二時辰では「戌時」(午後7時から9時)に相当する。
「たそがれ」の動詞化の用法。日暮れの薄暗くなり始めるころを指して「空が黄昏れる」や、人生の盛りを過ぎ衰えるさまを表現して「黄昏た人」などのように使用されることがある。
この物語はフィクションです。登場人物、団体等実際に同じであっても一切関係ありません。
それでは、小説「黄昏夫婦」をお楽しみ下さい。
読者の皆様の何かにお役に立てれば幸いです。
作家 蔵屋日唱
【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記
糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。
それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。
かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。
ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。
※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。
仇討浪人と座頭梅一
克全
歴史・時代
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。
旗本の大道寺長十郎直賢は主君の仇を討つために、役目を辞して犯人につながる情報を集めていた。盗賊桜小僧こと梅一は、目が見えるのに盗みの技の為に盲人といして育てられたが、悪人が許せずに暗殺者との二足の草鞋を履いていた。そんな二人が出会う事で将軍家の陰謀が暴かれることになる。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる