侍女は婚約が内定している俺様属性の男と縁を切りたい。

彩柚月

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45 1週間ぶりに  ※後半 作者の趣味回

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 昨日、手紙が届いた。「明日は、自然公園の散歩はいかがですか。」とのことなので、「よろしくお願いします。」と、返した。

 この手紙をもらっただけで、不安が解けて幸せな気持ちになる。
 ——いけないわ。いちいち一喜一憂しては。
冷静であろうとすればするほど、破壊的な思考に走ってしまう気がする。
 
 頭では落ち着いて行動しようと思っているのに、心はウキウキと浮き足立っている。
 ——危険だわ。恋。

 初めての感覚に浸ったり浮いたり沈んだりしていると、サイラー様がお迎えに来てくれたと知らせがあった。




 
 「お迎えありがとうございます。サイラー様」
 「おはようございます。リリア。今日も可愛いです。」

 久しぶりなのに、いつもと変わらないサイラー様に、会いたかったのは私だけなのかと、不満を感じる。

 前回と同じく馬車に乗って、扉を閉めて動き出したが、喜んでいることを悟られたくなくて、目を合わせずに、窓から景色を見る振りをした。

 「リリア、どうかしましたか?」
 と、声をかけられたが、わざと不機嫌な風を装って、
 「別に、何でもありません。」
 と、言ってしまう。

 ——嫌だわ。私、こんなことをしたいわけじゃないのに。

 私の態度に空気を読んでか、サイラー様は何も話さない。引っ込みがつかなくて不機嫌な態度を続けていると、

 「今日は、出掛けるのをやめて帰りましょう。」
 と言って、御者に何かを伝えようとするので、
 「どうしてですか!?」
 と、思わず声をあげてしまう。

 「私は、リリアに無理をさせたくないのです。何か、嫌われてしまったようなので……。」
 と、シュンとした声で言うサイラー様に、慌てて、
 「いえ!そうではありません。そうじゃないんです。ただ、」
 思わず立ち上がったリリアは、お約束通りにバランスを崩してサイラー様に抱き止められた。
 
 「大丈夫ですか?どこか打っていませんか?」
 と、心配そうな声が頭の上から降ってくる。
 
 「だ、い、じょうぶ、です。」
 「良かった。触れてしまって申し訳ありません。」
 
 私が悪いのに、何故か謝るサイラー様の腕の中は、リリアの気持ちを高揚させるのに充分だった。

 「いえ、こちらこそ、支えてくださってありがとうございます。重いでしょう?」
 「役得です。しばらくこのままでいたいくらいです。」
 と、嬉しそうな声を出すサイラー様に、胸が高鳴った。

 「このまま聞いてしまいましょう。ただ?何ですか?」
 少しだけリリアが座りやすいようにズラして、抱き止めた格好のまま、離さずに聞いてくるサイラー様に、それは紳士的ではないのではないかしらと思いながら、
 
 「あ、えっと、ただ、」
 「はい。続きをどうぞ。」

 「恥ずかしくて……久しぶりすぎて、どうしたら良いのかわからなくて……。」
 と言うと、心なしか、支えてくれる腕にギュッと力が入ったような気がした。

 「私を意識してくれたのですね。嬉しい。会いたかったですよ。リリア。」
 
 赤面して、涙が出た。


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