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生きる決意
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実家の扉が、ミミの目の前で固く閉ざされた、あの夜明け。
彼女の世界は、完全な無音と無色になった。
愛する夫に捨てられ、血を分けた親にまで拒絶されたという事実は、あまりにも重く、ミミの小さな心と体を、再起不能なまでに打ちのめした。
(もう、どうでもいい…)
どこへ行けばいいのかも、何をすればいいのかも、分からない。
ただ、夜明けの冷たい光に照らされた、見慣れたはずの故郷の通りが、まるで自分だけを拒絶する異世界のように感じられた。
ミミは、まるで魂の抜け殻のように、ふらふらと、当てもなく歩き始めた。
最初の一日は、ほとんど記憶がなかった。
思考は麻痺し、空腹も、寒さも、体の痛みさえも、どこか遠い世界の出来事のようだった。ただ、機械のように足を前に動かし続ける。道端で倒れなかったのは、ほとんど奇跡に近い。
日が暮れ、街が闇に包まれても、ミミは歩みを止めなかった。どこかの建物の影で、獣のように体を丸めて数時間意識を失い、また目が覚めると、ふらりと歩き出す。そんなことを、ただ繰り返した。
二日目になると、麻痺していた感覚が、じわじわと現実のものとして蘇ってきた。
まず襲ってきたのは、猛烈な空腹だった。胃が焼け付くように痛み、立っているだけでめまいがする。最後にまともな食事をしたのは、いつだっただろうか。ガロウのために用意した、あの鶏肉のクリーム煮。一口も、口にすることさえできなかった、最後の晩餐。
その記憶が、強烈な吐き気と自己嫌悪を呼び起こした。
次に、全身を覆う悪寒。
雨に濡れた服は乾く間もなく、体温を奪い続けていた。唇は紫色になり、指先はかじかんで感覚がない。時折、自分の意志とは関係なく、ガタガタと歯の根が合わないほどの震えが襲ってくる。
そして何より辛かったのは、人々の視線だった。
泥と雨で汚れ、髪は乱れ、亡霊のように彷徨うミミの姿。すれ違う人々は、あからさまな軽蔑や、好奇、あるいは憐憫の目を向け、そして蜘蛛の子を散らすように避けていく。誰も、手を差し伸べてはくれなかった。
かつて、騎士団長の妻として、誰もが羨望と尊敬の眼差しを向けてくれていた日々が、まるで遠い前世の出来事のようだ。
(なぜ、私が、こんな目に…)
夜、どこかの店の裏にある、雨風をかろうじてしのげる軒下で体を丸めながら、ミミの心に初めて、怒りに似た感情が芽生えた。
私は、何も悪いことなどしていない。
ただ、ひたすらに夫を愛し、信じ、尽くしてきただけだ。
それなのに、どうして。
あの男と女は今頃、温かい暖炉の前で、高価なワインを飲みながら笑い合っているのだろう。
私の両親は、世間体を守るために娘を切り捨て、何事もなかったかのように、温かいベッドで眠っているのだろう。
その理不尽さが、許せなかった。
しかし、怒りは、すぐに深い絶望と無力感に取って代わられた。
怒ったところで、何かが変わるわけではない。自分にはもう、何もかもを失った、無価値な存在なのだ。
ガロウの言葉が、父親の言葉が、悪夢のように脳内でこだまする。
『お前の存在そのものが、俺の汚点だ』
『番に捨てられた恥さらしめ!二度とこの家の敷居をまたぐな!』
「…っ…う…」
嗚咽が漏れる。
もう涙は枯れ果てたと思っていたのに、瞳の奥が、またじんと熱くなる。
いっそ、このまま、ここで、静かに死んでしまえたなら。
そうすれば、もう何も感じなくて済む。苦しまなくて済む。
死への誘惑が、甘い蜜のように、ミミの疲弊しきった心を蕩かそうとする。
三日目の昼過ぎ。
ミミは、あるパン屋の軒下で、降り出した冷たい雨を避けていた。もう、立つ力も残っておらず、壁に背を預けて、ただぼんやりと道行く人々を眺めている。
店の扉が開くたびに、焼きたてのパンの香ばしい匂いがふわりと漂ってきて、空っぽの胃を容赦なく刺激した。
人々は、笑顔でパンを買い、温かそうな紙袋を抱えて、幸せそうに帰っていく。
その光景が、自分とはあまりにもかけ離れた、手の届かない世界の出来事のように見えた。
やがて日が傾き、店は閉店の時間を迎えたらしい。
最後に残っていた客が出ていくと、中から恰幅のいい、おかみさんらしき犬獣人の女性が出てきて、木の看板を「CLOSED」にひっくり返した。
その女性は、軒下で汚れた塊のようにうずくまっているミミの姿に、一瞬だけ気づいたようだった。だが、すぐに興味を失ったかのように、ふいと顔をそむけ、扉に鍵をかけようとする。
(そうよね…。私なんて、汚いもの。関わりたくないに決まってる…)
ミミは自嘲気味に俯いた。
その時だった。
ガチャリ、と鍵をかける音がした後、再び、店の扉が、ほんの少しだけ開いた。
そして、その隙間から、先ほどのおかみさんが、素早く何かを外に置いた。
それは、茶色い紙袋だった。
おかみさんはミミとは一切目を合わせず、何も言わずに、すぐにまた扉の内側へと姿を消してしまう。
「…………」
何が起きたのか分からず、ミミは呆然と、自分の足元に置かれた紙袋を見つめた。
雨に濡れないように、軒下の、一番奥まった場所に、そっと置かれている。
震える手で、それを拾い上げる。
ずしり、と、微かに温かい重み。
中を覗くと、そこには、少しだけ形が崩れたり、焼き色が濃すぎたりしたのだろう、売り物にはならなかったであろうパンが、三つ、入っていた。
その瞬間、ミミの瞳から、堰を切ったように、熱い涙がぼろぼろと溢れ出した。
もう枯れたと思っていた涙が、まだこんなに残っていたのかと、自分でも驚くほどだった。
おかみさんは、何も言わなかった。同情するような言葉も、憐れむような視線も、一切なかった。
ただ、そこに、パンを置いてくれた。
その無言の、さりげない優しさが、ガロウや父親から浴びせられた何千、何万という罵りの言葉よりも、深く、強く、ミミの凍てついていた心の、一番奥深くにある柔らかな場所に、突き刺さった。
ミミは、夢中でパンをかじった。
少し硬くて、パサパサしていたけれど、それは、今まで食べたどんなご馳走よりも、温かく、甘く、そして、命の味がした。
小麦の優しい甘さが口の中に広がるたびに、涙が後から後から溢れてきて、パンの塩味になった。
(…死んじゃ、だめだ…)
パンを喉に詰まらせながら、むせび泣きながら、ミミは思った。
(こんな風に、優しくしてくれる人も、まだ、この世界のどこかにいるのかもしれない)
(ここで死んだら、このパンをくれた人の優しさまで、踏みにじることになる)
生きなければ。
たとえ、どんなに惨めでも、格好悪くても。
泥水をすすってでも、生きて、生き抜いて、いつか。
いつか、このパンの温かさを、誰かに返せるような人間に、ならなければ。
それは、絶望のどん底でミミが見つけた、生まれて初めて、誰のためでもない、自分自身の力で生きるための、小さな、しかし、何よりも力強い決意だった。
生きる、と決意したミミは、懐にずっと忍ばせていた、小さな布袋を、震える手で取り出した。
中には、あの夜、無意識のうちに床からかき集めていた、数枚の銀貨と、十数枚の銅貨。
ガロウが「情けだ」と言って投げつけた、屈辱の証。
しかし、今のミミにとって、それは、未来を繋ぐための、唯一の命綱だった。
(このお金で、何ができるだろう…)
宿を借りるには、到底足りない。
食べ物を買えば、数日で尽きてしまうだろう。
この街にいては、だめだ。
いつ、ガロウや、その関係者に見つかるか分からない。そうなれば、今度こそ、何をされるか。
実家の近辺をうろつくこともできない。父親の怒鳴り声が、耳にこびりついて離れない。
この街から、離れなければ。
ガロウ・シュヴァルツのことも、私の惨めな過去も、誰も、何も知らない場所へ。
名前も、顔も、素性も知らない、ただの一人の獣人として、すべてをゼロから始められる場所へ。
その思いが、ミミの脳裏に、一つの地名を浮かび上がらせた。
王都、アストリア。
王都アストリアへと、進んでいくのだった。
彼女の世界は、完全な無音と無色になった。
愛する夫に捨てられ、血を分けた親にまで拒絶されたという事実は、あまりにも重く、ミミの小さな心と体を、再起不能なまでに打ちのめした。
(もう、どうでもいい…)
どこへ行けばいいのかも、何をすればいいのかも、分からない。
ただ、夜明けの冷たい光に照らされた、見慣れたはずの故郷の通りが、まるで自分だけを拒絶する異世界のように感じられた。
ミミは、まるで魂の抜け殻のように、ふらふらと、当てもなく歩き始めた。
最初の一日は、ほとんど記憶がなかった。
思考は麻痺し、空腹も、寒さも、体の痛みさえも、どこか遠い世界の出来事のようだった。ただ、機械のように足を前に動かし続ける。道端で倒れなかったのは、ほとんど奇跡に近い。
日が暮れ、街が闇に包まれても、ミミは歩みを止めなかった。どこかの建物の影で、獣のように体を丸めて数時間意識を失い、また目が覚めると、ふらりと歩き出す。そんなことを、ただ繰り返した。
二日目になると、麻痺していた感覚が、じわじわと現実のものとして蘇ってきた。
まず襲ってきたのは、猛烈な空腹だった。胃が焼け付くように痛み、立っているだけでめまいがする。最後にまともな食事をしたのは、いつだっただろうか。ガロウのために用意した、あの鶏肉のクリーム煮。一口も、口にすることさえできなかった、最後の晩餐。
その記憶が、強烈な吐き気と自己嫌悪を呼び起こした。
次に、全身を覆う悪寒。
雨に濡れた服は乾く間もなく、体温を奪い続けていた。唇は紫色になり、指先はかじかんで感覚がない。時折、自分の意志とは関係なく、ガタガタと歯の根が合わないほどの震えが襲ってくる。
そして何より辛かったのは、人々の視線だった。
泥と雨で汚れ、髪は乱れ、亡霊のように彷徨うミミの姿。すれ違う人々は、あからさまな軽蔑や、好奇、あるいは憐憫の目を向け、そして蜘蛛の子を散らすように避けていく。誰も、手を差し伸べてはくれなかった。
かつて、騎士団長の妻として、誰もが羨望と尊敬の眼差しを向けてくれていた日々が、まるで遠い前世の出来事のようだ。
(なぜ、私が、こんな目に…)
夜、どこかの店の裏にある、雨風をかろうじてしのげる軒下で体を丸めながら、ミミの心に初めて、怒りに似た感情が芽生えた。
私は、何も悪いことなどしていない。
ただ、ひたすらに夫を愛し、信じ、尽くしてきただけだ。
それなのに、どうして。
あの男と女は今頃、温かい暖炉の前で、高価なワインを飲みながら笑い合っているのだろう。
私の両親は、世間体を守るために娘を切り捨て、何事もなかったかのように、温かいベッドで眠っているのだろう。
その理不尽さが、許せなかった。
しかし、怒りは、すぐに深い絶望と無力感に取って代わられた。
怒ったところで、何かが変わるわけではない。自分にはもう、何もかもを失った、無価値な存在なのだ。
ガロウの言葉が、父親の言葉が、悪夢のように脳内でこだまする。
『お前の存在そのものが、俺の汚点だ』
『番に捨てられた恥さらしめ!二度とこの家の敷居をまたぐな!』
「…っ…う…」
嗚咽が漏れる。
もう涙は枯れ果てたと思っていたのに、瞳の奥が、またじんと熱くなる。
いっそ、このまま、ここで、静かに死んでしまえたなら。
そうすれば、もう何も感じなくて済む。苦しまなくて済む。
死への誘惑が、甘い蜜のように、ミミの疲弊しきった心を蕩かそうとする。
三日目の昼過ぎ。
ミミは、あるパン屋の軒下で、降り出した冷たい雨を避けていた。もう、立つ力も残っておらず、壁に背を預けて、ただぼんやりと道行く人々を眺めている。
店の扉が開くたびに、焼きたてのパンの香ばしい匂いがふわりと漂ってきて、空っぽの胃を容赦なく刺激した。
人々は、笑顔でパンを買い、温かそうな紙袋を抱えて、幸せそうに帰っていく。
その光景が、自分とはあまりにもかけ離れた、手の届かない世界の出来事のように見えた。
やがて日が傾き、店は閉店の時間を迎えたらしい。
最後に残っていた客が出ていくと、中から恰幅のいい、おかみさんらしき犬獣人の女性が出てきて、木の看板を「CLOSED」にひっくり返した。
その女性は、軒下で汚れた塊のようにうずくまっているミミの姿に、一瞬だけ気づいたようだった。だが、すぐに興味を失ったかのように、ふいと顔をそむけ、扉に鍵をかけようとする。
(そうよね…。私なんて、汚いもの。関わりたくないに決まってる…)
ミミは自嘲気味に俯いた。
その時だった。
ガチャリ、と鍵をかける音がした後、再び、店の扉が、ほんの少しだけ開いた。
そして、その隙間から、先ほどのおかみさんが、素早く何かを外に置いた。
それは、茶色い紙袋だった。
おかみさんはミミとは一切目を合わせず、何も言わずに、すぐにまた扉の内側へと姿を消してしまう。
「…………」
何が起きたのか分からず、ミミは呆然と、自分の足元に置かれた紙袋を見つめた。
雨に濡れないように、軒下の、一番奥まった場所に、そっと置かれている。
震える手で、それを拾い上げる。
ずしり、と、微かに温かい重み。
中を覗くと、そこには、少しだけ形が崩れたり、焼き色が濃すぎたりしたのだろう、売り物にはならなかったであろうパンが、三つ、入っていた。
その瞬間、ミミの瞳から、堰を切ったように、熱い涙がぼろぼろと溢れ出した。
もう枯れたと思っていた涙が、まだこんなに残っていたのかと、自分でも驚くほどだった。
おかみさんは、何も言わなかった。同情するような言葉も、憐れむような視線も、一切なかった。
ただ、そこに、パンを置いてくれた。
その無言の、さりげない優しさが、ガロウや父親から浴びせられた何千、何万という罵りの言葉よりも、深く、強く、ミミの凍てついていた心の、一番奥深くにある柔らかな場所に、突き刺さった。
ミミは、夢中でパンをかじった。
少し硬くて、パサパサしていたけれど、それは、今まで食べたどんなご馳走よりも、温かく、甘く、そして、命の味がした。
小麦の優しい甘さが口の中に広がるたびに、涙が後から後から溢れてきて、パンの塩味になった。
(…死んじゃ、だめだ…)
パンを喉に詰まらせながら、むせび泣きながら、ミミは思った。
(こんな風に、優しくしてくれる人も、まだ、この世界のどこかにいるのかもしれない)
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生きなければ。
たとえ、どんなに惨めでも、格好悪くても。
泥水をすすってでも、生きて、生き抜いて、いつか。
いつか、このパンの温かさを、誰かに返せるような人間に、ならなければ。
それは、絶望のどん底でミミが見つけた、生まれて初めて、誰のためでもない、自分自身の力で生きるための、小さな、しかし、何よりも力強い決意だった。
生きる、と決意したミミは、懐にずっと忍ばせていた、小さな布袋を、震える手で取り出した。
中には、あの夜、無意識のうちに床からかき集めていた、数枚の銀貨と、十数枚の銅貨。
ガロウが「情けだ」と言って投げつけた、屈辱の証。
しかし、今のミミにとって、それは、未来を繋ぐための、唯一の命綱だった。
(このお金で、何ができるだろう…)
宿を借りるには、到底足りない。
食べ物を買えば、数日で尽きてしまうだろう。
この街にいては、だめだ。
いつ、ガロウや、その関係者に見つかるか分からない。そうなれば、今度こそ、何をされるか。
実家の近辺をうろつくこともできない。父親の怒鳴り声が、耳にこびりついて離れない。
この街から、離れなければ。
ガロウ・シュヴァルツのことも、私の惨めな過去も、誰も、何も知らない場所へ。
名前も、顔も、素性も知らない、ただの一人の獣人として、すべてをゼロから始められる場所へ。
その思いが、ミミの脳裏に、一つの地名を浮かび上がらせた。
王都、アストリア。
王都アストリアへと、進んでいくのだった。
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