恋と愛とで抱きしめて

鏡野ゆう

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本編

第九話 ちょっと嵐の予感かも?

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「んっ……はぁ……」

 大きな快感の波に呑まれ一気に体から力が抜けていく。そのまま前に倒れ込むとそこは温かくて逞しい信吾さんの体。胸元につけた耳には彼の激しい鼓動の音が聴こえてくる。その音を聴いていると何となく落ち着くんだよね。

「そろそろ止めないと死んじゃうかも」

 そんな私の言葉に信吾さんが楽しそうに笑った。その笑い声も、終わった後こうやって優しく素肌を撫でてくれる彼の手も好き。ずっと続けて欲しいくらい。撫でられているうちにまた始めちゃうからエンドレスになっちゃうのが悩みなんだけど。

「あの週末のことを考えればまだマシなんじゃないか?」

 確かにと笑っちゃった。あれは今考えてもちょっと異常なぐらいの燃え方だったもんね。あんなにコンドームを消費したのは初めてだって信吾さんも呆れながら笑っていたし。

「でも重光先生には悪いことしちゃったかなぁ、せっかく離れを用意してくれたのに」
「あそこではこんなふうに奈緒を抱けないからな。まあ警備面では万全ではあるが」

 私が重光先生に助けられてから二日後、信吾さんと私はレグネンスホテルに宿泊することになった。

 あの時はツインルームだったけど、今度は更にいいお部屋に泊まることになった。ここは重光先生が手配してくれたお部屋で、変な話、宿泊費用はどうなってるんだろってちょっと心配になったから信吾さんに聞いたら、なにもかも先生の奢りだから遠慮するなって言われちゃった。何か、二人の間で裏取引があったような雰囲気なんだよね、なんだろう。

 そうそう、自宅に着替えを取りに戻った時、部屋の様子が変わっているのを見て信吾さんがちょっと驚いてた。変わるもんだなあ……と感心しきり。みゅうさんの見立てですよって言ったら何故か微妙な顔してたけど。

「でも、いつまでここにいれば良いのかなあ……信吾さんと一緒にいられるのは嬉しいけど」
「とにかく、あの馬鹿野郎が捕まるまではここに居た方が無難だな」

 そう。このホテルに泊まった理由として松橋先輩のことがある。

 みゅうさんからの連絡によると、あれから先輩は姿を消したらしい。その話を聞いた時、まさかみゅうさんが抹殺したんじゃ?と真剣に思っちゃったんだけど、みゅうさんも探しているというのだから本当に失踪というか逃亡中みたい。で、万が一、私のところに現れたら危険ということでここに宿泊することになったわけ。

 ちなみに信吾さんは表向きは私の護衛らしい。重光先生って本当に顔が広くて、なかなか長期休暇を取れない信吾さんが私の側にいられるようにと上と話をつけてくれたんだって。

 これ以上あの人に借りは作りたくないんだがなあ、とは信吾さんの言葉。ちなみに重光先生の方が年上で四十五歳。信吾さん、実は四十前の三十七歳でした。いつもは当てにならない私の目も今回はいい線いってたってことよね。

「みゅうさん、捕まえたらちゃんと警察に先輩を連れて行くのかな、ちょっと心配」
「……なあ奈緒、気になっていたんだが、彼女は一体何者だ?」
「みゅうさんはみゅうさんだよ。私の一年上の先輩で法医学者を目指しているって言ってた」
「家は何してるんだ?」
「それがねえ……実は知らないんだ、私も。本人はしがないサラリーマン家庭よって言ってるけど、それにしては何だか色々とねえ」

 今までそれほど気にはしていなかったんだ、みゅうさんが何者かだなんて。だって同じ医学部にいる先輩だって分かっていればそれで問題は無かった訳だし。

「まさか本名も知らないなんてことは無いよな?」
「それぐらい知ってるよ。えっと、真田さなだ美羽みう。美羽がなまってみゅうになったの」

 信吾さんの表情を見てちょっと心配になった。

「あの、みゅうさんのこと調べたりしないよね? 私にとっては優しい先輩だし、そんなことしてまで先輩のプライバシーを暴きたくないから」
「分った。奈緒が望まないんだったら俺は調べないよ」
「うん」

 そっと頬を撫でてくれる信吾さんの手に顔を摺り寄せた。そんなことをしているうちに、私の中で信吾さんのものが力を取り戻して硬くなっていくのを感じてしまう。もしかして朝から殆ど繋がったまま、かも。いま何時? わお! もうお昼過ぎてるよ? そしたらお腹がやっと思い出したかっていう具合に鳴った。

「……お腹すいた」
「俺のことをしっかり食っているのに?」
「やだ、下品!」

 ペシッと肩を叩いて体を離そうとしたら信吾さんの両手に腰を掴まれた。下からゆっくりと突き上げられると甘い痺れが背中を走って何も考えられなくなる。

「やぁんっ、お腹好いたのにぃ」
「こっちの飢えを満たすのが先」
「食べ過ぎは良くないですぅ」
「愛してるよ、奈緒。だから抱かせてくれ」
「ずるい……今それ言うなんてっ……ひきょうものぉー」

 ……そんな訳で私は今ふらふらしながらシャワーを浴びている。一人で! 信吾さんが一緒に入りたそうな素振りを見せたけど断固拒否した。だって一緒にシャワーなんて浴びたらそれこそ夕方まで何も食べられない事態に陥っちゃうんだもん。もう自衛官って体力有り過ぎる、もうちょっとセーブしてもらわないと私、壊れちゃうよ。

 そんなことをブツブツと独り言のように愚痴りながらお湯を浴びていると、足の間からトロリと流れ出る感触があった。信吾さんが私の中に放ったものの。今はこうやって洗い流せるけど、ベッドにいる時に同じように零れ出ると信吾さんはそれを指で掬って私の中に戻すという行動をとる。それってやっぱり雄の本能なのかな? 私、ここにいる間に本当に赤ちゃんができちゃうかも……。

―― 信吾さんの赤ちゃんかあ……――

 想像すると温かい気持ちになった。医者になる為の勉強も続けたいし医者にはなりたいけど、信吾さんの赤ちゃんも早く欲しいな。あれから避妊をせずに何度も抱かれているから、もしかしたらもう妊娠しているかも。でも、やっぱり少しセーブしてもらわなくちゃ。今のままじゃ赤ちゃんできる前に絶対に倒れちゃう。

「奈緒、そろそろいいか?」

 もしかしてもう入ってるのかな?なんて下腹部を撫でていると、外から信吾さんの声がした。あ、そうだった。先に入らせてもらったんだ。慌ててバスタオルを体に巻きつけるとバスルームから出た。

「ごめんなさい、時間かかっちゃった」
「早く服を着ろ、目の毒だ」

 入れ替わりにバスルームに入ってきた信吾さんが擦れ違いざまにお尻を軽く叩いた。

「ねえ、信吾さん」
「なんだ?」
「お昼ごはん、外に食べに行こうよ。たまには外に出ないと腐っちゃうよ」

 信吾さんが考え込む気配が伝わってくる。

「ここにいるのは安全確保の為でもあるんだが……何処か行きたいところがあるのか?」
「うん、新しく出来たベトナムフレンチのお店。安くて美味しいってみゅうさんが言ってた」
「分かった。だったら用意してろ」
「やったー」

 外に連れ出すことに成功だ。これで食べてる途中に襲われることはない。うん、私って賢い♪ それにそのお店に行きたいと思っていたのは嘘じゃないし。クローゼットにかけてある服を取りに行く。ちょっと多めに持ってきて良かった。先ずはお化粧しなくちゃ。そんな私をバスルームから出てきた信吾さんが見て眉をひそめた。

「なあに?」
「化粧なんてしない方が綺麗なのに」
「そんなことないよ。それにね、ちゃんとお化粧をするのもエチケットなんだよ?」
「ふーん……そんなものかねえ……」

 女の理屈は理解できないって顔をしている。

「そんなものなの。あのさ、今まで聞かなかったけど信吾さんって今までずっと独身?」
「一度結婚したことがある。ああ、離婚したわけじゃないんだ、病気で亡くしてな、それからはずっと一人身だった」
「そっか……辛いこと聞いちゃってごめん」
「いや。もう十年前のことだから」
「……それでね、奥さんがいたんだったら分かると思うけど、出掛けなくてもちゃんとお化粧してなかった?」

 そう問われて考え込む信吾さん。

「そう言えばそうだったな。病院にいる時もちゃんとしていた記憶がある」
「でしょ? 女にとってはお化粧も服を着るのと同じなの」
「ほー……」

 ほー、じゃないよ? なんだか男ばかりの職場だから色々と忘れているのかな? ちゃんと再教育しなくちゃ、だよね。


+++++


「ねえ信吾さん、もし結婚したとしても、私、学校には通い続けても良いの?」

 レストランでランチを食べている途中で尋ねた。その辺のことはちゃんと話し合っておかないといけないよね。だいたい私、信吾さんが何処に住んでいるのかも知らないんだもん。物理的に通える距離なのかも分からないから少し不安。

「もちろんだ。せっかく入学して医師になるって決めたんだろ? だったら初志貫徹できちんと最後までやり遂げるべきだ」
「そっか。でも、信吾さんちから学校に通えるかな……遠い?」

 うーんと唸る信吾さん。頭の中で路線図を出しているみたい。

「奈緒が住んでいる場所に比べたら確かに遠くなるな。俺は今は官舎住まいだが、奈緒と結婚して子供が産まれてくるとなると広いところに越した方が良いだろうしお互いに通える範囲で良い物件を探そう。ただ俺の方に制限があるから住める地域が限られてくるんだが」

 信吾さんによると所属している駐屯地からあまり離れた場所には住むことが出来ないらしい。

「転属とか、ないの?」
「あー……俺は特殊なところに所属しているから動くことはほぼ無いな。長期の“出張”が年に何度かあるぐらいで」
「じゃあ、そこが見つかるまでは今のところから通っても良いよね?」
「そうだな。……で、いつ結婚してくれるんだ?」

 結婚するとは返事したものの時期については何も決めていない。信吾さんも私の希望通りにするって言ってくれているし。だけど目の前で問い掛けている顔を見ると直ぐにでも結婚したいって思っているのはバレバレだ。

「そんなに早く片倉奈緒から森永奈緒になって欲しいの?」
「当たり前だ。あのハゲ野郎の名字を奈緒からさっさと取り去りたいんだよ」
「信吾さん、ハゲじゃなくてカツラと植毛……」
「それがなければハゲだろうが」

 うーん……身も蓋も無い言い方だよ。

「それに、そんなハゲハゲ言ってるけど自分がハゲたらどうするの?」
「坊主にする」

 うわあ……なんか嫌だそれ。信吾さんには絶対にハゲにも坊主にもなって欲しくない。

「やだぁ、坊主なんて……」
「心配するな。今のところそんな兆候は無いから」
「坊主になんてしないでね?」
「分かった分かった」

 それから出された料理にあれこれ感想を言い合いながら食事を続けていた私達に一人の男の人が近づいてきた。それに逸早く気付いた信吾さんがすっと目を細めて相手を睨んだ。わあ……初めて信吾さんの“マジで怖い顔”を見ちゃった。怖いよ……でもちょっとかっこいいかも。

「わたくし、デイリー東都の巣鴨と申しますが、片倉奈緒さんでいらっしゃいますよね」
「……何の用だ? こっちは食事をしているんだが」

 わおっ、声色も変わっちゃったよ。

「お父様の片倉議員さんのことで色々と取材をさせていただけないかと思いまして」
「……あの、そう言われても父の仕事のことはそれほど良く知らないので取材と言われても」

 一緒に暮らしている時だって顔を合わせることは稀で殆ど親子らしい会話もした覚えがない。そんな父親のことで取材させてくれと言われても困ってしまう。スキャンダルを狙いたいなら尚のこと。いくら私でも父親の不名誉なことを軽々しく口にすることはしない。……まあカツラのことを信吾さんに話しちゃったのは例外として。

「彼女は取材を受けることを嫌がっている。さっさと消えたらどうだ?」

 信吾さんが言葉を挟んできた。

「えーと、こちらは……?」
「彼女の婚約者だ」
「奈緒さん、御結婚される予定なんですか? 議員は御存知でいらっしゃるんですか?」
「あの、私は片倉の家を出ているのでもう関係ないんです。すみませんけど、他のお客さんにも御迷惑をかけますから、これ以上は……」

 お店の人に目を向けると心得たものでウェイターさんがこちらにやってきた。

「お客様、他のお客様の御迷惑になるようなことは慎んでいただきませんと、こちらとしても退出していただくことになりますが」

 そう言って記者さんを私達の席から遠ざけてくれた。巣鴨さんとかいう記者さんは何だかんだと粘っていたけど結局はお店の奥へと連れて行かれてしまった。テーブルの上に置かれた名刺を手に取る。

「デイリー東都、スポーツ新聞の記者さんがなんで……」
「最近は議員の私生活もゴシップネタになるご時世だからな」
「それを分かって婚約者だなんて言ったの?」

 ニッと笑ったところを見ると図星らしい。

「呆れたあ……どういうつもりでそんなことー」
「あの記者から俺と奈緒のことが片倉議員の耳に入るだろ? そうすれば当然、俺が自衛官だってこともバレる。悔しいだろうなあ、普段から自分が攻撃対象にしている自衛官と娘が結婚するなんて」
「もー、性格悪いよ信吾さん」

 子供じゃないんだからと言いたい。ちょっとした意趣返しじゃないかと言っているけど子供の仕返しレベルだよ?

「追い出した娘がどうなろうと知ったことじゃないって言いそうだけど」

 家を出てから一度も連絡したことないし、あちらも同様にこちらのことは無いものとして扱っているようで連絡なんて一度も無いのだ、誰と結婚しようが“で?”で終わっちゃいそう。

「いや、絶対に悔しがる」
「なんでそんな確信が持てるの?」
「長年あの議員を見てきたからかな。捨てた筈のおもちゃを他の人間が持っているのを見ると何故か取り返したくなるのが片倉議員という男の性格だ。その存在すら悪だと言い放った集団の人間のもとに自分の血を分けた娘が嫁に行くとなれば、そりゃ地団太踏んで悔しがるに決まっている」

 なんだか信吾さん凄く楽しそう。これまで、よっぽど酷いことを言われ続けてきたんだろうな……。ちょっと申し訳なくなっちゃう。

「悔しがるだけならまだ良いけど、何かしてくるとは思わないの?」
「妨害工作とか? 望むところだ。こちらからは手を出さないが、ちょっかいをかけてくるようなら容赦なく叩きのめす。例え奈緒の父親だとしても手加減はしない」

 うわあ……まさに専守防衛。いや、相手に攻撃させようとしているからちょっと違うかも。も、もしかして信吾さんって策士?

「心配するな。何があっても奈緒のことは手放さないから安心してろ。それに、だ」
「ん?」
「こっちには与党議員の有望株がついているんだぞ?」
「重光先生?」
「ああ。きっと騒ぎが起これば喜んで手を貸してくれるさ。あの人も祭が好きだから」

 なんだか騒ぎが起こるのを待ち望んでいるような口調にちょっと引っかかりを感じちゃう。

「それともう一人」
「もう一人?」
「ああ、ジョーカー扱いだがいるじゃないか、心強い味方が」
「……もしかして、みゅうさん?」
「俺の想像が正しければ、片倉議員が俺達に難癖をつけてきたら彼女が動くんじゃないのか?」

 まあ人の幸せを邪魔する奴は死ねとまで言っちゃう人だからそうなっても不思議じゃない。だけど相手は国会議員だよ? いくら情報通のみゅうさんでもちょっと無理があるんじゃないのかなあ。

「信吾さんはみゅうさんが情報通な理由が分かったの?」
「まだ想像の域を出ないものだから教えることは出来ないが」

 なにそれ。凄く気になっちゃうじゃない。

「とにかくだ、何があっても奈緒は心配しなくてもいい。俺がちゃんと守るから」
「……うん、分かった」

 なんだか嵐の予感がするんだけど気のせいかな?
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