彼と私と空と雲

鏡野ゆう

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先ずは美味しく御馳走さま♪

第五話 豆腐尽くし定食二つ

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「ここのね、豆腐料理がうまいんですよ」

 酔っ払い運転みたいな蛇行運転しながら、葛城かつらぎさんがつれてきてくれたのは、駅前近くにある小さなお店。小料理屋さんといった感じで、自衛隊の人達と言えばガッツリ食べる系だと思っていた私としては、意外な感じだった。とは言えついたばかりの時は、生きて無事にお店に辿り着けたという思いばかりで、そこまで見ている余裕も無かったんだけど。

「珍しいですね。男の人が、こういうお店を気に入っているなんて」
「ここしばらく、まともに食べてないって言っていたでしょ。下の連中をつれて行くようなお店よりも、こっちの方が胃が驚かないと思って」

 そう言いながらお店に入ると、年配の奥さんが出てきて、親しげにいらっしゃいと声をかけてきた。どうやら顔を覚えられるぐらいは来ているみたい。

槇村まきむらさんには、お昼の豆腐尽くし定食が良いかな。奥さん、豆腐尽くし定食を二つ」
「葛城さん、それで足りるんですか?」
「まあそれなりに? ところで話はかなり戻りますが、本当のところはどうだったんです?」
「はい?」

 あいているテーブルにつくと、少しだけ意味深な笑みを浮かべてから、話題をいきなり切り替えてきたので、思わず聞き返してしまった。

「飛んだ感想ですよ。それなりに楽しかったんですか? ここなら俺しかいないから、遠慮なく言ってもらっても大丈夫ですよ。俺も、他の人間には話しませんから」
「あのガクンさえ無ければ、それなりに……」
「ああ、あれでも手加減したんですけどね。気に入らない人間を後ろに乗せている時は、ガクンどころじゃないですよ。確実に急降下してます。さらには急旋回をして、自分達の練度の高さを、心行くまで堪能していただきますよ」

 ひぃぃぃ! それを聞いただけで、胃が引っくりかえる気分だよ。そんなことされなくて良かったと、心の底から思う。

「飛ぶのはやっぱり怖いし、飛行機が嫌いなのは変わらないですけど、コックピットにいる時、あんなに空が近くに見えたのは、ちょっとした感動でした」

 カメラを回しながら見た、キャノピー越しの空があまりに真っ青で近くて綺麗で、一瞬だけ仕事のことを忘れてしまった。同じ空なのに、地面に立って見上げる空と、コックピットで見る空とでは、あんなに違うものなんだろうか?

「空が近くに、ですか」

 葛城さんは、私が言っていることがよく分からなかったみたいで、その言葉に首を少しだけかしげている。

「はい。あの時だけは怖いの忘れてました、少しだけ」
「今回は晴天で、雲一つない状態でしたが、雲の上を飛ぶのも、なかなかおつなものですよ」
「……だからって乗りたいわけじゃないですよ? それに、そう何度も民間人を乗せて空のお散歩なんて、できないでしょ? 燃料だって、税金でまかなわれているんですから」
「確かに。テレビの取材ということでもなければ、民間の人間が自衛隊の戦闘機に乗るなんてことは、できませんからね」

 実際この取材の至るまでには、ウチの局と防衛省の間で、何度もやり取りがされていたらしい。最終的にイメージアップにもつながるだろうということで、あちら側から許可が出たらしいけど、取材に関してはハッキリとは言われてはいないものの、色々と注文があったらしい。現場責任者でもあるカメラマンの浅木あさきさんは、自他ともに認めるミリオタだから、航空自衛隊に関しても好意的な取材をするだろうということで、今回の取材の責任者に抜擢されたぐらいだし。

「お待たせしました~、豆腐尽くし定食です。葛城さんのはこっちね~」
「わおっ」

 テーブルに置かれたのを見て、思わず声が出た。葛城さんの前に置かれた方の豆腐ハンバーグ、半端なく大きいのは目の錯覚じゃないよね。私の前にあるやつと比べると、二倍ぐらいの大きさじゃないかな。

「それなりにっていう意味が、分かってもらえました?」
「そりゃもう。これはいわゆる、裏メニュー的な?」
「何でしょうね、俺がここに来て何度か頼むうちに、どんどん大きくなって、気がついたら今のサイズです」

 育ち盛りの男の子は、そのぐらい食べないとね~と、奥さんが厨房に引っ込む時に笑いながら言った。これ以大きくなったら、横に育っちゃいますよねと葛城さんは笑う。

「具もたくさん入っていて、とても豆腐とは思えないボリュームなんですよ。もちろん、普通サイズの豆腐ハンバーグも美味しいですから、安心してください」

 二人していただきますをして食べ始めると、本当に空腹だったんだなあって実感する。しばらく黙々と食べて続け、お皿の半分ぐらいがお腹の中に消えたところで、葛城さんがこちらの仕事について質問をしてきた。

「あの番組は何度か見ていますが、今まで槇村さんが出ていたことって、ありましたっけ?」
「私、この番組では今回が初めてなんです。まだ入社して間が無いし、それまでは、使いっ走りみたいなことばかりをしていたので」
「それがまた何故?」

 そこが自分でも不思議なんだよね。私、どちらかと言えば見た目も中身もインドア派で、取材先との打ち合わせの調整は何度か任されていたけど、実際に外で取材するなんてことは一度も経験無かった。

 だから、この番組のリポーターに抜擢されたって聞いた時は、本当に驚いたんだ。それに抜擢されたと決まった後も、やっていたのは前と変わらず裏方的な仕事ばかりで、もしかしたら今回のクジ引きで当たりを引かなければ、そのまま裏方仕事だけをして終われていたかもしれない。

「もしかしたら担当ディレクターの気紛れかもしれないし、今後もリポーターを続けられるかどうかは、分かんないですけどね」
「今回の取材が好評だったら、次は陸自とか海自という可能性もあるんじゃないですか? うちからも槇村さんのことを良いリポーターさんだったって、推薦しておきます。もしかしたら、取材の指名がくるかもしれませんよ」

 そんな怖いこと言わないで欲しい。

「もう今回ので自衛隊はお腹いっぱいです」
「何故です? 自衛隊の部署なんて、まだまだたくさんありますよ。戦闘機のパイロットなんて、自衛隊の任務の極々一部でしかないんだから。たとえば海自なら哨戒機に乗る任務もあるし、陸自ならヘリとか、空自だったら戦闘機の他に、輸送機なんてのもありますしね」

 ん? これってなんだか……。

「……葛城さん」
「なんでしょう?」
「なんで飛ぶものばかりをあげるんですか?」
「そりゃあ、俺がパイロットだから?」

 ニヤリと笑ったところを見ると、私が嫌いだっていうを分かって言ってるらしい。

「もう飛ぶのもお腹いっぱいです」
「そりゃ残念です。俺が槇村さんだったら、喜んで行くのに」
「葛城さんは自分の職場で、おとなしく飛んでいれば良いんですよ」
「あらら、それは酷い言いぐさですよ、せっかく二人で飛んだ仲なのに、つれないなあ、槇村さん」

 そんな傷ついた顔をしてもだまされない。だって、最初にゲート近くで立っている時の表情は、絶対に不本意なことを押しつけられたって感じだったし。今はそれなりに御機嫌のようだけど、最初は絶対、イヤがっていたに違いないんだから。

「広報官さんが病気になったからイヤイヤ押しつけられたくせに、今更なにを言ってるんですか」
「え? 俺、そんなこと言いましたっけ?」
「広報官の田沼たぬま二佐が病気でって、言ってたじゃないですか」
「よく覚えてますね。だけど押しつけられたなんて言ってませんよ」
「顔がそんな感じでした」

 私の言葉に、ちょっとだけ“しまった”って顔をする。

「精一杯、愛想良くしたつもりなんですが……」
「私が声をかけるまで、すごく不機嫌そうな顔してましたよ、ここにシワ寄ってました」

 そう言って、自分の眉間に指をあてた。

「良く見てましたね」
「まだ、二十四時間も経ってませんから。それぐらいだったら、飛行機に乗ってテンパってもちゃんと覚えてますよ」
「ガクンと揺れても忘れませんでしたか。もうちょっと揺らせば良かった」
「またそんなことを……揺らしたら脳みそからこぼれ落ちるなんて、漫画じゃないんですから」

 軽く睨んでみてもどこ吹く風って感じだ。ご飯を食べ終わると、お店の人がデザートにと豆乳アイスクリームを持ってきてくれた。甘さ控えめの優しい味。チラリと前を見れば、葛城さんも美味しそうにアイスクリームを食べている。……に、似合わない、絶対に似合わない……!!

「……なんですか、俺がアイスを食べているのが、そんなにおかしいですか?」
「おかしくはないですよ。ただ、なんて言うか……」
「なんて言うか?」
「似合わない、かも」

 憤慨したらしく、溜め息を一つ。

「陸自の屈強な連中よりマシでしょ」
「さあ、見たことないので何ともかんとも……」
「じゃあ、次の取材先は決まりですね。是非とも陸自のレンジャー課程に行って、取材をしてください」
「勝手に決めないでください」

 って言うか、葛城さんが言うと、本当に防衛省からそんなお声がかかりそうで、怖いんですけど。

「大丈夫、飛びませんから」
「そういう問題じゃないです」
「どうしても飛びたいなら、空挺部隊と言う手もありますよ」
「それって飛ぶって言うより、飛び降りるって言うんじゃ?」
「良く御存知で」
「とにかく、飛ぶのも自衛隊さんもお腹いっぱいです」

 私がそう断言すると、葛城さんはちょっと残念そうに笑った。


+++++


「で?」
「で、とは?」
「だから、あのパイロットさんに飯をおごってもらった後、どうしたのさ」
「普通に駅まで送ってもらいましたよ。浅木さん達にそう宣誓しましたからって、ちゃんと送っていただきました」
「それだけ?」

 翌日、出社したとたんに、浅木さんから呼び止められて質問された。

「なに変なこと考えてるんですか?」
「いや、だってさ。あの人、絶対に槇村ちゃんに気があると思ったんだよな。だから、飯に誘ったんだと思ってたんだよ」

 おかしいなあ、俺の勘が外れるなんて……と呟いている。もしもし、それってどういうことですか?

「浅木さん、もしかしてそんなことを思っていながら、ご飯のことОKしたんですか?」
「宣誓させはしたけど、絶対にお持ち帰りすると思ってたんだけどなあ、おっかしいなあ……」
「ちょっと」

 いま何と言いましたか? お持ち帰り?

「浮いた話が一つも無い槇村ちゃんには、絶好のチャンスだと思っていたんだけどなあ。だけど、あの眼鏡っ子状態だとやっぱり駄目か……どうして昨日に限って、アラレちゃん眼鏡なんだよ」
「あの、別に男の人と付き合ったことが無いわけじゃなくて、今はたまたま……」

 俺の勘も鈍ってきたなあ、駄目じゃん?とか、こちらのことを丸っと無視して、ブツブツと呟きが続く。

「浅木さん!」
「なんだ?」
「もしかして低圧訓練の時に言っていた、虫歯があるって」
「俺に限って言えば、嘘に決まってるじゃないか」

 ニッコリと……本当にニッコリと笑って答える浅木さんの歯は、とっても白かった。白かったよう……。
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