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16.ドラゴンを手なずけようとした男爵家の息子と、男爵家の息子がドラゴンを手なずけることを望んだ第二王子。釣り合おうとした二人の思いは。
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「ドラゴンを見たら、手なずける前に逃げたくならない?」
「お前は、突撃したよ。」
と幼馴染。
ニコニコしている幼馴染。
「ドラゴンとの向き合い方に関して、俺を基準にするのは止めた方がいいよ。」
前世で恐竜絵本を愛読していた俺は、目の前で牙をむいて威嚇されない限り、前世の恐竜のイメージでドラゴンを見てしまう。
「お前がドラゴンに突撃したのは、ドラゴンが好きだからだよね?」
と幼馴染。
「ドラゴンの口に尖った歯が生えているなんて、想像していなかったんだよ。」
幼馴染は、満面の笑みを浮かべている。
俺の答えが琴線に触れたんだろう。
「危険を察知する本能に勝る何かが、お前をドラゴンに突撃させた?」
と幼馴染。
「出会った瞬間に突撃したのは、ドラゴンに食べられたりしないと思い込んでいたから。」
俺がプレシオサウルス型ドラゴンに突撃できたのは、プレシオサウルスの形をしたドラゴンだと知らなかったからだよ。
恐竜じゃなくてドラゴンだと知っていたら、突撃はしなかった。
「お前が、ティラノサウルスと呼んでいる個体から逃げ出したとき、ティラノサウルスは誰にも襲いかかっていなかったよ?」
と幼馴染。
「ティラノサウルスが襲いかかっているのを見てから逃げ出しても、手遅れでは?」
「その通りだよ。」
と幼馴染。
風呂場用マットの上で血なまぐさい話になってしまった。
食卓じゃないから礼儀上はセーフ。
ドラゴンに対する俺と幼馴染の見解は、間違っていない。
当時の第二王子と男爵家の息子は、どんな角度でドラゴンを見ていたんだろう。
辺境伯家ではない人間がドラゴンを手なずけられたら箔がつくという考えに至った第二王子は、辺境伯家とドラゴンの関係をどうとらえていたのかな。
辺境伯領で辺境伯家と共生しているドラゴンは、辺境伯家以外の人間を認識していない。
ドラゴンが辺境伯家の見分けているのは、ドラゴンと辺境伯家の人が長い付き合いを続けてきたから。
辺境伯家じゃない男爵家の俺をドラゴンが見分けているのは、異例中の異例。
辺境伯家の生まれではない俺が、ドラゴンと人間の関係について辺境伯家の人並に親しんでいるのは、辺境伯家に入り浸っていた俺にも情報にふれさせてくれたから。
ドラゴンに突撃しても、ドラゴンが構うような子どもだったから、ドラゴンと人間の関係を刷り込んでくれた?
当時の第二王子は、辺境伯家に遊びに来るような頻度で、辺境伯家の人達とドラゴンの関係を見て。
辺境伯家の人達が、ドラゴンを手なずけているという勘違いをした?
ドラゴンが人懐っこい生き物に見えた?
自分の国の王子がドラゴン見に来て喜んでいるときに、わざわざ、ドラゴンは辺境伯家の人間しか好きじゃないんです、という説明は誰もしないだろうし。
でも、王子が勘違いしたとして、だよ?
「辺境伯領まで出向いて、辺境伯家のドラゴンを辺境伯家とは無関係な男爵家の息子が手なずけて操るなんて、そんなおおそれた話。第二王子と男爵家の息子だけで実現できる?」
第二王子と男爵家の息子の二人で、辺境伯家の人達よりもドラゴンに相手にされるような状況を作り出す方法なんて、俺は思いつかない。
協力者が何人もいないと無理では?
「第二王子の人気ぶりに恐れをなした第一王子の暗躍説が有力だよ。」
と幼馴染。
ここにきて、第一王子が出てきた。
「当時の第一王子は、まだ王太子になっていなかったんだ?」
この国は、長子相続が絶対ではない。
ただ、長子相続でない場合は、長子相続にしない理由が明白であることが多い。
第一王子を王太子にしない事情が第一王子自身にあった?
「第一王子の生真面目な性格より、第二王子の気さくさが同世代の心をとらえていた。」
と幼馴染。
それが理由で第一王子と第二王子のどちらが王太子になるかが、決まらなかったんだったら。
それだけ政情が不安定だったか、王家に力がなかったか。
情勢的に決めかねた?
第一王子の人格や、王としての資質、政治的手腕を不安視された?
この話は、第一王子を王太子に決められないような事情が背景にある。
「第二王子と男爵家の息子はどうなったんだよ?」
「第二王子は、この件で蟄居が決まった。」
と幼馴染。
蟄居?
「廃嫡にはならなかったんだ?」
「第一王子が即位され、第一王子の王としての治世が安定するまで、第二王子が表舞台に出てくることはない、ということが、誰の目から見ても明らかでありさえすれば良かったんだよ。」
と幼馴染。
権力闘争や政治の話だったんだ。
「第二王子の蟄居は、とかれたんだよね?」
第二王子を後継者争いから追い落とすことが目的で、第二王子の命は目的じゃなかったなら、きっと。
「後年、蟄居はとかれた。
けれど表舞台に戻ってこないまま、亡くなったよ。」
と幼馴染。
失意のうちに?
健康を損なって?
蟄居と廃嫡。
どっちが第二王子にとってマシだっただろう。
「男爵家の息子は?」
「第二王子を惑わし、辺境伯家に混乱をもたらし、王国の防衛にヒビを入れる重罪人として処刑されている。」
と幼馴染。
咄嗟に言葉が出なかった。
表の理由よりも、罪が重くなってない?
「男爵家の息子関係の連座はなかったんだ?」
連座の適用がない方がおかしくない罪では?
連座制が適用されていたら、俺は生まれていないけれど。
「公表した理由は表向きのもの。男爵家の息子の処刑は内々に済まされている。」
と幼馴染。
寒くなんて全然ないのに、ぶるっとした。
「内々の処刑なんて、不都合な人物を合法的に消そうとしたみたいだよ。」
震える俺の手を自分の胸に乗せる幼馴染。
温かくて安心する。
「第二王子と懇意にしていた男爵家の息子は、ちょうど良いと判断されたんだよ。」
と幼馴染。
誰に、ということには触れない幼馴染。
「ちょうど良いと考えた人がいたから、ちょうど良い結末になったんだ?」
誰に、は言ったらだめ。
言えないことがもどかしくて。
ただただ救いのなかった結末が悔しくて。
過去に起きた話として聞くしかないのが、腹立たしい。
「そうだよ。」
と幼馴染。
幼馴染は、余計なことを言わないのに、俺を気遣いながら話す。
第二王子と男爵家の息子のとりまく環境は、二人を不安にさせるものでいっぱいだったんだろう。
幼馴染と俺の状況とは比べ物にならないくらいに。
誰も、第二王子と男爵家の息子の思いを利用しないでほしかった。
身分違いってこういうことなんだ。
身分の差を超えようとして、超えられなかった理由が、本人達の考えの足りなさだった方がまだ救いはあったよ。
「当時、第二王子を推す人はそれなりにいた?」
「第一王子より第二王子を王太子へと推す人は多かった。」
と幼馴染。
「お前は、突撃したよ。」
と幼馴染。
ニコニコしている幼馴染。
「ドラゴンとの向き合い方に関して、俺を基準にするのは止めた方がいいよ。」
前世で恐竜絵本を愛読していた俺は、目の前で牙をむいて威嚇されない限り、前世の恐竜のイメージでドラゴンを見てしまう。
「お前がドラゴンに突撃したのは、ドラゴンが好きだからだよね?」
と幼馴染。
「ドラゴンの口に尖った歯が生えているなんて、想像していなかったんだよ。」
幼馴染は、満面の笑みを浮かべている。
俺の答えが琴線に触れたんだろう。
「危険を察知する本能に勝る何かが、お前をドラゴンに突撃させた?」
と幼馴染。
「出会った瞬間に突撃したのは、ドラゴンに食べられたりしないと思い込んでいたから。」
俺がプレシオサウルス型ドラゴンに突撃できたのは、プレシオサウルスの形をしたドラゴンだと知らなかったからだよ。
恐竜じゃなくてドラゴンだと知っていたら、突撃はしなかった。
「お前が、ティラノサウルスと呼んでいる個体から逃げ出したとき、ティラノサウルスは誰にも襲いかかっていなかったよ?」
と幼馴染。
「ティラノサウルスが襲いかかっているのを見てから逃げ出しても、手遅れでは?」
「その通りだよ。」
と幼馴染。
風呂場用マットの上で血なまぐさい話になってしまった。
食卓じゃないから礼儀上はセーフ。
ドラゴンに対する俺と幼馴染の見解は、間違っていない。
当時の第二王子と男爵家の息子は、どんな角度でドラゴンを見ていたんだろう。
辺境伯家ではない人間がドラゴンを手なずけられたら箔がつくという考えに至った第二王子は、辺境伯家とドラゴンの関係をどうとらえていたのかな。
辺境伯領で辺境伯家と共生しているドラゴンは、辺境伯家以外の人間を認識していない。
ドラゴンが辺境伯家の見分けているのは、ドラゴンと辺境伯家の人が長い付き合いを続けてきたから。
辺境伯家じゃない男爵家の俺をドラゴンが見分けているのは、異例中の異例。
辺境伯家の生まれではない俺が、ドラゴンと人間の関係について辺境伯家の人並に親しんでいるのは、辺境伯家に入り浸っていた俺にも情報にふれさせてくれたから。
ドラゴンに突撃しても、ドラゴンが構うような子どもだったから、ドラゴンと人間の関係を刷り込んでくれた?
当時の第二王子は、辺境伯家に遊びに来るような頻度で、辺境伯家の人達とドラゴンの関係を見て。
辺境伯家の人達が、ドラゴンを手なずけているという勘違いをした?
ドラゴンが人懐っこい生き物に見えた?
自分の国の王子がドラゴン見に来て喜んでいるときに、わざわざ、ドラゴンは辺境伯家の人間しか好きじゃないんです、という説明は誰もしないだろうし。
でも、王子が勘違いしたとして、だよ?
「辺境伯領まで出向いて、辺境伯家のドラゴンを辺境伯家とは無関係な男爵家の息子が手なずけて操るなんて、そんなおおそれた話。第二王子と男爵家の息子だけで実現できる?」
第二王子と男爵家の息子の二人で、辺境伯家の人達よりもドラゴンに相手にされるような状況を作り出す方法なんて、俺は思いつかない。
協力者が何人もいないと無理では?
「第二王子の人気ぶりに恐れをなした第一王子の暗躍説が有力だよ。」
と幼馴染。
ここにきて、第一王子が出てきた。
「当時の第一王子は、まだ王太子になっていなかったんだ?」
この国は、長子相続が絶対ではない。
ただ、長子相続でない場合は、長子相続にしない理由が明白であることが多い。
第一王子を王太子にしない事情が第一王子自身にあった?
「第一王子の生真面目な性格より、第二王子の気さくさが同世代の心をとらえていた。」
と幼馴染。
それが理由で第一王子と第二王子のどちらが王太子になるかが、決まらなかったんだったら。
それだけ政情が不安定だったか、王家に力がなかったか。
情勢的に決めかねた?
第一王子の人格や、王としての資質、政治的手腕を不安視された?
この話は、第一王子を王太子に決められないような事情が背景にある。
「第二王子と男爵家の息子はどうなったんだよ?」
「第二王子は、この件で蟄居が決まった。」
と幼馴染。
蟄居?
「廃嫡にはならなかったんだ?」
「第一王子が即位され、第一王子の王としての治世が安定するまで、第二王子が表舞台に出てくることはない、ということが、誰の目から見ても明らかでありさえすれば良かったんだよ。」
と幼馴染。
権力闘争や政治の話だったんだ。
「第二王子の蟄居は、とかれたんだよね?」
第二王子を後継者争いから追い落とすことが目的で、第二王子の命は目的じゃなかったなら、きっと。
「後年、蟄居はとかれた。
けれど表舞台に戻ってこないまま、亡くなったよ。」
と幼馴染。
失意のうちに?
健康を損なって?
蟄居と廃嫡。
どっちが第二王子にとってマシだっただろう。
「男爵家の息子は?」
「第二王子を惑わし、辺境伯家に混乱をもたらし、王国の防衛にヒビを入れる重罪人として処刑されている。」
と幼馴染。
咄嗟に言葉が出なかった。
表の理由よりも、罪が重くなってない?
「男爵家の息子関係の連座はなかったんだ?」
連座の適用がない方がおかしくない罪では?
連座制が適用されていたら、俺は生まれていないけれど。
「公表した理由は表向きのもの。男爵家の息子の処刑は内々に済まされている。」
と幼馴染。
寒くなんて全然ないのに、ぶるっとした。
「内々の処刑なんて、不都合な人物を合法的に消そうとしたみたいだよ。」
震える俺の手を自分の胸に乗せる幼馴染。
温かくて安心する。
「第二王子と懇意にしていた男爵家の息子は、ちょうど良いと判断されたんだよ。」
と幼馴染。
誰に、ということには触れない幼馴染。
「ちょうど良いと考えた人がいたから、ちょうど良い結末になったんだ?」
誰に、は言ったらだめ。
言えないことがもどかしくて。
ただただ救いのなかった結末が悔しくて。
過去に起きた話として聞くしかないのが、腹立たしい。
「そうだよ。」
と幼馴染。
幼馴染は、余計なことを言わないのに、俺を気遣いながら話す。
第二王子と男爵家の息子のとりまく環境は、二人を不安にさせるものでいっぱいだったんだろう。
幼馴染と俺の状況とは比べ物にならないくらいに。
誰も、第二王子と男爵家の息子の思いを利用しないでほしかった。
身分違いってこういうことなんだ。
身分の差を超えようとして、超えられなかった理由が、本人達の考えの足りなさだった方がまだ救いはあったよ。
「当時、第二王子を推す人はそれなりにいた?」
「第一王子より第二王子を王太子へと推す人は多かった。」
と幼馴染。
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