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27. 魔石事件の真相
しおりを挟むあの事件から数日が経った。
魔導師団の取り調べにて、思ったより早く真相にたどり着いたようだ。
まず、クレアが持っていた認識阻害の魔導具の出処は、婚約者であるマイケルの家で所持していたものだと判明した。
マイケルの父は外務大臣だ。その関係で認識阻害の魔導具を所持する権限を与えられていたらしい。
もちろんその魔導具を持ち出したのはマイケルだった。
マイケルはその魔導具をクレアに渡したらしい。
マイケルがその魔導具を持ち出していた事に、父である外務大臣はどうやら気付いてなかったようで、今回の件で初めて気付いたそうだ。
なんて杜撰な管理なのだろう。
きっと、魔導具管理不行き届きで父親にもお咎めがあると思う。
そして、何故マイケルはクレアにその魔導具を渡したのか。
その目的だが、それを聞いた私は驚きを隠せなかった。
マイケルはなかなか口を割らなかったそうだが、クレアが白状した事で、マイケルも観念したらしい。
マイケルはなんと、その魔導具を使って、モニカ様を陥れろとクレアに命令したらしい。
モニカ様はウィリアム殿下の妃に相応しくない。
しかし、このままでは殿下の妃に収まってしまう。
この国を担うものとして、国に害なす者を早くから排除しなくてはならない。
自分は殿下の側近として動きにくいから、自分の婚約者であるお前が代わりにやれと、マイケルはクレアにそう言って。
出来なければ、自分の婚約者にお前も相応しくないから、婚約を破棄すると脅してもいたらしい。
クレアの家は、マイケルの家より格下だ。万が一婚約を破棄されたとなれば、この婚約を何より望んでいた父親に、勘当されてしまうと恐れたクレアは、言う事を聞くしかなかったそうだ。
それで魔導具を渡されてから、毎日学園に持ってきては、どうやってモニカ様を陥れればいいのか悩んでいたという。
そんな時、マイケルや殿下たちがアリアの魔石を探しに出た事を知っていたクレアの前に、魔石を持ってソフィアが現れた。
魔導具を発動してから魔石を預かり、モニカ様の鞄にこっそり入れておけばいい、そうすれば魔石はモニカ様が盗んだとされ、自分は関与した事はバレない、と咄嗟に思い付いたとの事。
魔導具の詳しい効能を知らなかったクレアは、魔導具を発動すれば、誰もが自分の事を認識出来ないと思っていたとの事。
たまたま上手く事が運んだだけで、本当はバレる可能性が高かったことを、後で魔導具の効能を聞いて知ったらしい。
普段はクレアに見向きもせずにアリアにばかり構っているのに、こういう時だけ婚約者の立場を利用してそんな命令をし、危なげな魔導具まで簡単に使用させたマイケルを許せない。
ほとほとマイケルに愛想が尽きたクレアは、そんな思いで、真相を打ち明けたようだった。
今回の件は、マイケルの独断で行なったようで、ウィリアム殿下や他の二人は関与していないらしい。
マイケルはウィリアム殿下の側近をすぐさま外される事となった。
多分クレアとマイケルの婚約も破棄される事になるだろう。
もちろんマイケルの有責で。
今後、あの二人やマイケルの父親であるボルミュート外務大臣に、どのような判断が下されるのかは国が決める事なので分からない。
でももうあの二人がこの学園に戻ってくることはないように感じた。
この事で私は思う。
ゲームでは最後の断罪の時に居たはずのマイケルが居なくなった。
これは、ゲームの強制力の流れを、少し変えれたのではないかと。
色々な疑いをかけられてきたモニカ様は、ゲームではその殆どがそのままモニカ様がやってきた事だと断定されていた。
しかし、こうやって、一つ一つ疑いを晴らしていけば、あの断罪の時は来ないのではないか。
今回のことは、未来を変える足がかりとなったはず。
ゲームでは、モニカ様がアリアに対して行なったとされる嫌がらせが、まだまだあった。
細かいことは覚えていないが、断罪されるきっかけとなった大きな事件は覚えている。
ただ、どのタイミングで、どの場所でそれが起こるかなど、詳しい事はゲームでは分からなかったので、未然に防ぐのは難しい。
その時のために、証拠の確保が必要だ。
そして、もうすぐで今期が終わる。
三年生の先輩方の卒業式はもう目の前だ。
きっと、その卒業式の日、ウィリアム殿下が送辞を読むだろう。
私は、そのタイミングでウィリアム殿下がモニカ様に何か仕掛けるのではないかと勘ぐっている。
その時の為に、私は思いつく限りの準備をして待ち構えるつもりだ。
モニカ様を断罪なんてさせない。
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