【完結】婚約破棄され下級メイドになり、獣人王子(猫)の世話係に抜擢されました。

朝日みらい

文字の大きさ
23 / 24

(23)幸せな日々 

しおりを挟む
王宮の夜は静かで、月明かりが窓から差し込み、床にやわらかな光の模様を作り出していました。その光に包まれるように、アメリアはベッドに座り、今日も王子殿下が帰ってくるのを待っていました。

毎晩のように訪れるこの時間が、彼女にとっての癒しであり、楽しみでもありました。

ドアが静かに開き、王子殿下が現れました。今日も、威厳ある獅子王の姿ではなく、愛らしい猫の姿に変わっています。黒く艶やかな毛並みが、月明かりに照らされてほんのり輝いて見えました。

しっぽをぴんと立て、まるで子猫のように歩くその姿に、アメリアは思わず微笑みました。

「ニャニャニャ~!(アメリア~、来たよ~!)」

猫王子は甘えた声でそう言いながら、アメリアの膝にぴょんと飛び乗りました。その柔らかな毛に、彼女は自然と手を伸ばして、やさしく撫でました。

「お帰りなさい、殿下。」

アメリアは優しくその毛並みを撫でながら、王子を迎え入れました。猫王子は嬉しそうに顔をすり寄せ、目を細めました。

「ニャニャー、ニャ(アメリア…僕、今日も君が恋しかったんだ。)」

猫王子は少し照れくさい様子で、しっぽを振りながら、アメリアの腕に頭を押しつけました。

「ニャニャニャニャ、ニャーン(昼間、あんなに威厳を保っているのに、君といると、つい甘えたくなっちゃうんだ。)」

その言葉に、アメリアの胸は温かくなり、心がときめきました。

「私も、殿下と一緒にいると、とても幸せですわ。」

彼女は王子を抱きしめ、手のひらで彼の背中を撫でました。

猫王子はその言葉に幸せそうに目を閉じ、体を丸めながらアメリアの膝に乗り直しました。

「アメリア…今日は、もっと甘えていい?」

「もちろんですわ。」

アメリアは微笑みながら答え、猫王子の毛を優しく撫で続けました。その触れ合いに、王子はとろけるように幸せそうな顔を浮かべ、耳をぴんと立てて喜びました。

「君が僕にこんなに優しくしてくれるから、ますます甘えたくなっちゃうんだ。」

猫王子は甘えるようにアメリアの腕に顔を埋めながら、しっぽをふりふりと動かしました。その姿に、アメリアは心から笑顔をこぼしました。

「殿下、こんなに可愛い姿で甘えられたら、私はどうしたらいいのか…」

アメリアは笑いながらも、王子の耳を撫でました。その優しい手のひらに、王子はゴロゴロと喉を鳴らして答えました。

「アメリア、君が僕の唯一の特別な人だから、こんなにも甘えるんだ。」

猫王子は目を細め、やわらかな声で言いました。

「君だけが、僕をこんな風にしてくれるから。」

その言葉に、アメリアは胸がいっぱいになり、王子を抱きしめました。

「私も、殿下が唯一の特別な存在ですわ。」

アメリアは王子を抱きしめながら、その耳を撫で続けました。猫王子は嬉しそうに、満足げな表情を浮かべながら、アメリアの腕の中で丸くなりました。

「君が僕の世界だよ。」

猫王子はそのままアメリアの膝で丸くなり、目を閉じました。しばらくその静かな時間が続き、二人はお互いの温もりを感じながら、ゆっくりと心が通い合うのを感じました。

アメリアはそのまま微笑みながら、王子の毛を撫でました。その柔らかさに包まれて、幸せを感じながら、二人は静かな夜を過ごしました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄されましたが、孤児院を作ったら国が変わりました』

ふわふわ
恋愛
了解です。 では、アルファポリス掲載向け・最適化済みの内容紹介を書きます。 (本命タイトル①を前提にしていますが、他タイトルにも流用可能です) --- 内容紹介 婚約破棄を告げられたとき、 ノエリアは怒りもしなければ、悲しみもしなかった。 それは政略結婚。 家同士の都合で決まり、家同士の都合で終わる話。 貴族の娘として当然の義務が、一つ消えただけだった。 ――だから、その後の人生は自由に生きることにした。 捨て猫を拾い、 行き倒れの孤児の少女を保護し、 「収容するだけではない」孤児院を作る。 教育を施し、働く力を与え、 やがて孤児たちは領地を支える人材へと育っていく。 しかしその制度は、 貴族社会の“当たり前”を静かに壊していった。 反発、批判、正論という名の圧力。 それでもノエリアは感情を振り回さず、 ただ淡々と線を引き、責任を果たし続ける。 ざまぁは叫ばれない。 断罪も復讐もない。 あるのは、 「選ばれなかった令嬢」が選び続けた生き方と、 彼女がいなくても回り続ける世界。 これは、 恋愛よりも生き方を選んだ一人の令嬢が、 静かに国を変えていく物語。 --- 併せておすすめタグ(参考) 婚約破棄 女主人公 貴族令嬢 孤児院 内政 知的ヒロイン スローざまぁ 日常系 猫

王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない

エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい 最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。 でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。

『悪役令嬢に仕立て上げられたけど、猫カフェを開いたら辺境伯が通ってきます』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
王都を追い出された公爵令嬢・ソフィアがたどり着いたのは、 ボロで埃だらけの、誰も使わない辺境の別荘。 けれど、そこで出会ったのは―― 大きな体でちょっと不器用な辺境伯。 そして、人懐こい白猫と、村の子どもたち。 あたたかい紅茶と、焼きたてのパン。 猫じゃらしに全力な筋肉兄たち。 やがて、騒がしくも優しい日々が、ソフィアの心を少しずつ溶かしていく。

転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!

木風
恋愛
婚約者に裏切られ、成金伯爵令嬢の仕掛けに嵌められた私は、あっけなく「悪役令嬢」として婚約を破棄された。 胸に広がるのは、悔しさと戸惑いと、まるで物語の中に迷い込んだような不思議な感覚。 けれど、この身に宿るのは、かつて過労に倒れた29歳の女医の記憶。 勉強も社交も面倒で、ただ静かに部屋に籠もっていたかったのに…… 『神に愛された強運チート』という名の不思議な加護が、私を思いもよらぬ未来へと連れ出していく。 子供部屋の安らぎを夢見たはずが、待っていたのは次期国王……王太子殿下のまなざし。 逃れられない運命と、抗いようのない溺愛に、私の物語は静かに色を変えていく。 時に笑い、時に泣き、時に振り回されながらも、私は今日を生きている。 これは、婚約破棄から始まる、転生令嬢のちぐはぐで胸の騒がしい物語。 ※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。 表紙イラストは、Wednesday (Xアカウント:@wednesday1029)さんに描いていただきました。 ※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。 ©︎子供部屋悪役令嬢 / 木風 Wednesday

十年前の事件で成長が止まった私、年上になった教え子の〝氷の王〟は、私を溺愛しつつ兄たちを断罪するようです

よっしぃ
恋愛
若くして師範資格を得た天才香薬師のルシエル(20)。 彼女は王家の後継者争いの陰謀に巻き込まれ、少年リアンを救う代償に、自らは十年間もの昏睡状態に陥ってしまう。 ようやく目覚めた彼女を待っていたのは、かつて教え子だったはずのリアン。 だが彼は、ルシエルより年上の、〝氷の王〟と恐れられる冷徹な国王(22)へと変貌していた。 「もう二度と、あなたを失わない」 リアンは、世間では「死んだことになっている」ルシエルを王宮の奥深くに隠し、鳥籠の鳥のように甘く、執着的に囲い込み始める。 彼が再現した思い出の店、注がれる異常なまでの愛情に戸惑うルシエル。 失われた記憶と、再現不能の奇跡の香り《星紡ぎの香》の謎。 そして、〝氷の王〟による、彼女を陥れた者たちへの冷酷な粛清が、今、始まろうとしていた。 ※一途な若き王様からの執着&溺愛です。 ※じれったい関係ですが、ハッピーエンド確約。 ※ざまぁ展開で、敵はきっちり断罪します。

「君は悪役令嬢だ」と離婚されたけど、追放先で伝説の力をゲット!最強の女王になって国を建てたら、後悔した元夫が求婚してきました

黒崎隼人
ファンタジー
「君は悪役令嬢だ」――冷酷な皇太子だった夫から一方的に離婚を告げられ、すべての地位と財産を奪われたアリシア。悪役の汚名を着せられ、魔物がはびこる辺境の地へ追放された彼女が見つけたのは、古代文明の遺跡と自らが「失われた王家の末裔」であるという衝撃の真実だった。 古代魔法の力に覚醒し、心優しき領民たちと共に荒れ地を切り拓くアリシア。 一方、彼女を陥れた偽りの聖女の陰謀に気づき始めた元夫は、後悔と焦燥に駆られていく。 追放された令嬢が運命に抗い、最強の女王へと成り上がる。 愛と裏切り、そして再生の痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!

【完結】ハメられて追放された悪役令嬢ですが、爬虫類好きな私はドラゴンだってサイコーです。

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
 やってもいない罪を被せられ、公爵令嬢だったルナティアは断罪される。  王太子であった婚約者も親友であったサーシャに盗られ、家族からも見捨てられてしまった。  教会に生涯幽閉となる手前で、幼馴染である宰相の手腕により獣人の王であるドラゴンの元へ嫁がされることに。  惨めだとあざ笑うサーシャたちを無視し、悲嘆にくれるように見えたルナティアだが、実は大の爬虫類好きだった。  簡単に裏切る人になんてもう未練はない。  むしろ自分の好きなモノたちに囲まれている方が幸せデス。

悪役令嬢の役割を演じきり、婚約破棄で自由を手に入れた私。一途な騎士の愛に支えられ、領地経営に専念していたら、元婚約者たちが後悔し始めたようで

黒崎隼人
ファンタジー
「悪役令嬢」の断罪劇は、彼女の微笑みと共に始まった――。 王太子に婚約破棄を突きつけられた侯爵令嬢エルザ・ヴァイス。乙女ゲームのシナリオ通り、絶望し泣き叫ぶはずだった彼女が口にしたのは、「その茶番、全てお見通しですわ」という、全てを見透かすような言葉だった。 強制された役割から自ら降りたエルザは、王都の悪意を背負いながら、疲弊した領地へと帰還する。そこで彼女を待っていたのは、世間の冷たい目と、幼い頃に救った孤児――騎士レオン・ベルナールの変わらぬ忠誠心だった。 「あなたが悪役などであるはずがない」。彼の言葉に導かれ、エルザは己の才能と知性を武器に、領地の改革に乗り出す。一方、シナリオから外れた王都では、王太子ルキウスやヒロインのリアナが、抱える違和感と罪悪感に苦しんでいた。 しかし、エルザを陥れようとする新たな陰謀が動き出す。果たしてエルザは、自らの人生を切り開き、本当の幸せを掴むことができるのか? そして、ゲームの呪縛から解き放たれた者たちの運命は――。 これは、悪役令嬢という仮面を脱ぎ捨て、真実の愛と自己実現を手にする、美しくも力強い逆転の物語。あなたもきっと、彼女の選択に心を揺さぶられるでしょう。

処理中です...