【完結】顔が良ければそれでいいと思っていたけれど、気づけば彼に本気で恋していました。

朝日みらい

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【第15章】 両想いの確認

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 夜の街の喧騒は、少しずつ遠ざかっていきました。  
 ルシアンさまの腕の中で泣き疲れたわたしは、ようやく呼吸を整えながら、  
 彼の胸元にそっと額を寄せていました。

 彼の心臓の鼓動が、わたしの耳に静かに響きます。  
 その音が、こんなにも優しくて、温かくて――  
 胸の奥がじんわりと熱くなりました。

(……この人を、失いたくない)

 その思いが、わたしの中で確かな形を持ち始めていました。

 しばらくして、ルシアンさまはゆっくりと腕を緩め、  
 わたしの肩に触れたまま、そっと顔を上げさせました。

「アリアさま……」

 その声は、まだ震えていました。  
 けれど、先ほどまでの絶望の色は薄れ、  
 代わりに、どこか迷うような、弱い光が宿っています。

「先ほどは……取り乱してしまい、申し訳ありません」

「いいえ。謝らないで」

 わたしは、そっと首を振りました。

「……本音を話してくださったことが、嬉しかったんです」

 ルシアンさまの瞳が、驚いたように揺れました。

「……嬉しい、ですか?」

「はい。  
 あなたが、わたしに心を開いてくださったことが……とても」

 ルシアンさまは、わずかに目を伏せました。  
 その横顔は、どこか幼く、脆く見えました。

「俺は……ずっと、誰にも本音を言えませんでした。  
 言えば、離れていかれると思っていたから」

「離れません……私」

 その言葉は、自然と口からこぼれました。

 ルシアンさまは、驚いたようにわたしを見つめました。

「……アリアさま」

「わたしは、あなたを捨てたりしません。  
 あなたがどんな過去を持っていても、  
 どんなに弱さを抱えていても……  
 わたしは、あなたのそばにいたい」

 ルシアンさまの瞳が、ゆっくりと潤んでいきました。

 その表情は、胸が締めつけられるほど切なくて、  
 同時に、愛おしくてたまりませんでした。

「……どうして……そこまで……」

「……好きだから」

 その瞬間、ルシアンさまは息を呑みました。

 そして――  
 震える手で、わたしの頬にそっと触れました。

「アリアさま……」

 その指先は、驚くほど優しくて。  
 まるで、壊れ物に触れるように慎重で。

「俺は……あなたに救われました。  
 あなたが……俺を選んでくれた時から……ずっと」

 胸が熱くなりました。

「ルシアンさま……」

「俺は……あなたを愛してもいいのでしょうか」

 その言葉は、夜の街の喧騒をすべて消し去るほどの重みを持っていました。

 わたしは、そっと彼の手を握りました。

「はい……」

 ルシアンさまの瞳が、大きく揺れました。

 そして――  
 彼は、わたしの手を両手で包み込みました。

「アリアさま……  
 俺を愛してくれたのは……あなただけです」

 その言葉は、まるで誓いのように静かで、  
 けれど、どこまでも深く、真っ直ぐでした。

 胸の奥が、熱く震えました。

「わたしも……!」

 ルシアンさまは、ゆっくりと微笑みました。  
 その笑みは、これまで見たどんな笑顔よりも、  
 優しくて、温かくて――  
 わたしの心を一瞬で溶かしてしまうほどでした。

「アリアさま……ありがとう」

 彼は、そっとわたしの手を引き寄せ、  
 その甲に、静かに唇を触れさせました。

 その仕草に、胸がきゅうっと締めつけられました。

(……こんなにも、愛おしい人だったのね)

 わたしたちは、夜の街の片隅で、  
 静かに、確かに――  
 互いの想いを確かめ合ったのです。
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