【完結】孤高の皇帝は冷酷なはずなのに、王妃には甘過ぎです。

朝日みらい

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(7)皇帝の秘密の一面? 

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カイゼルが部屋を出て行った後、アリシアはしばらくその場に立ち尽くしていた。

静まり返った部屋の中に、わずかに残る彼の気配が漂っているようで、心が妙に落ち着かない。  

「冷血無情の皇帝、か…。」  

そう呟いてみるものの、彼の手の冷たさや、短いながらも優しさを感じた言葉が頭を離れない。

あれが偶然だったのか、それとも彼の本当の姿が少し垣間見えたのか、答えはわからない。  

ベッドに戻ったアリシアは、なかなか眠りにつけなかった。

結局、夜明けまで刺繍をして過ごし、ようやくうとうととした頃、侍女たちがやって来た。  

「おはようございます、殿下。」  

エマをはじめとする侍女たちは、手際よく朝の支度を始めた。

アリシアはぼんやりと天井を見つめながら、昨夜の出来事を思い出し、ぽつりと呟いた。  

「ねえ、エマ。皇帝陛下って、実は猫とか好きそうじゃない?」  

エマは眉ひとつ動かさず、「猫、ですか?」と淡々とした口調で返したが、他の侍女たちはその発言に思わず吹き出しそうになっている。  

「うん、なんか冷たく見えるけど、たまに隠れて餌をやってるとか、そういう感じ!」  

アリシアは手を使って、猫に餌をやる仕草までしてみせた。

その様子に侍女たちはクスクスと笑い始めたが、エマだけは真剣な顔を崩さない。  

「それは興味深い仮説ですね。真相を確かめるには時間が必要です。」  

「確かめるって…私が確かめるの?!」  

アリシアは目を丸くし、慌てて身を起こした。

その様子に、笑いをこらえていた侍女たちはとうとう堪えきれず、声を上げて笑い出した。  

「それにしても、殿下。」

エマが静かに口を開く。

「猫好きかどうかはともかく、陛下は昨夜何か特別な行動を?」  

「え?」

アリシアは少し口ごもった。

「別に、特別ってわけじゃないけど…。」  

針に刺された指をちらりと見て、昨夜の出来事が再び思い出される。

彼の冷たい指の感触や、ハンカチを巻いてくれた手際の良さ。  

「ただ、ちょっと優しいところがあったっていうか…。でも、きっと気のせいよね!そういう人じゃないって聞いてるし。」  

「気のせいではないかもしれません。」

エマは静かに言った。

「冷たく見える人ほど、意外なところで温かさを見せるものです。」  

その言葉にアリシアは一瞬考え込んだが、すぐに首を振った。  

「いやいや、そんな都合のいい話ないって!もしかして猫の話に引っ張られてるんじゃない?」  

エマは口元に淡い微笑みを浮かべたが、それ以上何も言わなかった。  

朝の支度が進む中、アリシアは自分の心の中に芽生えた奇妙な感情に戸惑いを感じていた。

カイゼルの本当の姿を知るのは、まだまだ時間がかかりそうだ。

それでも、昨夜の短いひとときが、ほんの少しだけ彼女の心に温かい何かを残していた。  

「まぁ、これから確かめればいいわよね。」  

そう呟いて、彼女は立ち上がった。

侍女たちの笑い声が続く中、アリシアの心の中には、ほんの少しの期待と好奇心が芽生えていた。
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