78 / 102
邂逅
76
しおりを挟む
薄暗がりの中を、二頭の馬が風をきって駆けていく。
風のせいで、深く被ったフードが何度も捲り上がりそうになるのを、ぎゅっと手で押さえて堪える。
「…ノア様、大丈夫ですか?」
「いや、全然大丈夫だから。このまま進んで欲しい。」
馬に乗るのは生まれて初めてだが、記憶の中にある経験のせいか、この感覚がひどく懐かしい。
今はルドルフに抱えられて走っているが、またいつか、一人でも駆け回ることができたらいい。
「だいぶ日が翳ってきました。もう少し急がないと、暮れてしまいます!」
後ろを走るシオンの声が風に乗って響く。
「ノア様、少し辛いやもしれませんが、もう少し速度を上げます。振り落とされないよう、しっかりと掴まっていて下さい。」
ルドルフがさらに速度を上げると、フードを押さえている余裕なんてなくなった。
街中を抜け、木々が生い茂る森の中へと入り込む。
もう誰かに顔を見られる杞憂はない。
…ユリウスは一体どこにいるんだろう。
先に見えるのは、どこまでも連なる木々だけだ。
本当にユリウスはこんな所にいるんだろうか?
ユリウスに会いたいと食い下がる俺に、ルドルフは一度だけだと、そう言って夕刻前までに手筈を整えてくれた。
迎えに来たルドルフと部屋を出ると、例の侍女がまた目の前に立ち塞がる。
「明朝まで。御身体に何一つ危害がないよう。やはり、わたくしも…」
侍女の声を初めて聞いた。
低く抑揚のない声だ。
「人数が増えると人目に付きやすい。これ以上は無理だ。必ず明朝までには連れて帰る。そう伝えてくれ。」
侍女は渋々といった感じで、道を開けてくれた。
ルドルフは一妃と話しを付けてきたのかもしれない。
「…行ってくる。かならず戻るから。」
「どうかご無事で。」
すれ違い様に声を掛けると、侍女はそう言って見送ってくれた。
少しだけユリウスに会いに行くだけなのに、なんだか仰々しい雰囲気だ。
触れ合うことはなかったけど、母さんや母様たちだけでなく、あそこにいた侍女たちもずっと見守っていてくれたんだ。
俺はきっと恵まれているんだな。
深い森の中を進むと、急に視界がぱっと開け、きらきらとした美しい湖が広がっていた。
「…この場所は…」
後ろにいたシオンの呟きが聞こえる。
…ユリウスに会うために此処へ来たのに、何故かシオンが付き添ってくれた。
確かに面識のある騎士は、ユリウスの他にシオンしかいないけど…。
婚約解消を申し出たばかりなのに、申し訳ない。
ばたばたと急いで此処まで来たから、シオンとはまともに話せていない。
「…こんな所まで、すまなかったなシオン。なんか…その、申し訳ない。」
ここが目的地なのか、馬を止めたルドルフの大きな身体を避けるようにして後ろを振り向く。
シオンは俺の言葉なんて聞こえていないかのように、湖に釘付けだ。
確かに、綺麗な湖だ。
日が落ちて、月の光に照らされた水面には辺りの木々が映り込み、合わせ鏡のように見えるその景色は幻想的だった。
暫くの間見惚れていると、森の中から一匹の狼がゆっくりと現れ出てくる。
初めて見る野生の生き物なのに、不思議と恐怖はない。
後ろのシオンが警戒して前に立ち塞がろうとしたが、ルドルフはそれを制した。
二匹の馬も狼を目前にしているのに、驚いて暴れる様子はない。
ここはなんだか、とても不思議な場所だ。
それでいて、とても懐かしい。
馬から降りたルドルフが、俺をそっと下ろしてくれる。
その間、狼はただじっと俺のことを見ていた。
硬そうに見えていた銀色の毛並は、月光に照らされて、よく見るとふわふわとしている。
「…ノア様、ユリウスはあそこに。」
狼に見惚れていた俺に、ルドルフが示した先には、小さな建物があった。
狼はくるりと向きを返ると、ぶんぶんともふもふの尻尾を振り回している。
「…ついて来いと、そう申しております。」
「え!お前、狼と話せるのか!?」
「話せるというか、まあ、この話しをしている時間もないので…。とりあえず、早くユリウスの元へ。わたしとシオンはここまでのようです。」
馬から降りたシオンは、まだ呆然としている。
シオンもきっと、此処へ来たのは初めてなんだろう。
「ユリウスが、あそこにいるんだな…。ありがとうルドルフ。シオンも。俺、行ってくる!」
狼の後を追うように歩き出すと、狼は尻尾で何かを伝えようとしてくる。
ぶんぶん、ぶんぶん、と。
「…え、何?」
ぶんぶん、ぶんぶん、ぶん。
「…俺、早くユリウスに会いたいんだけど。」
ぶんぶん……
目には見えるが、ここからその建物まではそれなりに距離がある。
「…え、まさか、乗れってこと?」
尻尾が一段と大きく振り回された。
「えええ!いいの!?」
ぶんぶん!
背中にそっと跨ると、銀色の毛並みはやっぱりふわふわとしていて、とても肌触りがいい。
あっという間に、建物の入り口まで辿り着いた。名残り惜しいが、狼から降りて扉の前に立つ。
ユリウスが、此処にいる。
ふーっと、大きく息を吐く。
時間はあまりない。
ちゃんと、言いたいことを話さないと。
ノアールと、俺と、二人分の…。
「…戻ってきたのか?」
低く響く、あの声だ。
胸が一つ高なる。
中から扉が開かれる。
俺からユリウスの元を訪ねるのは初めてのことだ。
ユリウスは嫌がったりしないだろうか。
今更そんなことを考えて、緊張してしまう。
開かれた扉の隙間から、狼はするりと中へ入ってしまった。
「……ノア、様?」
ユリウスの姿を目にして、俺の胸はもう一度大きく音を立てて、高まった。
風のせいで、深く被ったフードが何度も捲り上がりそうになるのを、ぎゅっと手で押さえて堪える。
「…ノア様、大丈夫ですか?」
「いや、全然大丈夫だから。このまま進んで欲しい。」
馬に乗るのは生まれて初めてだが、記憶の中にある経験のせいか、この感覚がひどく懐かしい。
今はルドルフに抱えられて走っているが、またいつか、一人でも駆け回ることができたらいい。
「だいぶ日が翳ってきました。もう少し急がないと、暮れてしまいます!」
後ろを走るシオンの声が風に乗って響く。
「ノア様、少し辛いやもしれませんが、もう少し速度を上げます。振り落とされないよう、しっかりと掴まっていて下さい。」
ルドルフがさらに速度を上げると、フードを押さえている余裕なんてなくなった。
街中を抜け、木々が生い茂る森の中へと入り込む。
もう誰かに顔を見られる杞憂はない。
…ユリウスは一体どこにいるんだろう。
先に見えるのは、どこまでも連なる木々だけだ。
本当にユリウスはこんな所にいるんだろうか?
ユリウスに会いたいと食い下がる俺に、ルドルフは一度だけだと、そう言って夕刻前までに手筈を整えてくれた。
迎えに来たルドルフと部屋を出ると、例の侍女がまた目の前に立ち塞がる。
「明朝まで。御身体に何一つ危害がないよう。やはり、わたくしも…」
侍女の声を初めて聞いた。
低く抑揚のない声だ。
「人数が増えると人目に付きやすい。これ以上は無理だ。必ず明朝までには連れて帰る。そう伝えてくれ。」
侍女は渋々といった感じで、道を開けてくれた。
ルドルフは一妃と話しを付けてきたのかもしれない。
「…行ってくる。かならず戻るから。」
「どうかご無事で。」
すれ違い様に声を掛けると、侍女はそう言って見送ってくれた。
少しだけユリウスに会いに行くだけなのに、なんだか仰々しい雰囲気だ。
触れ合うことはなかったけど、母さんや母様たちだけでなく、あそこにいた侍女たちもずっと見守っていてくれたんだ。
俺はきっと恵まれているんだな。
深い森の中を進むと、急に視界がぱっと開け、きらきらとした美しい湖が広がっていた。
「…この場所は…」
後ろにいたシオンの呟きが聞こえる。
…ユリウスに会うために此処へ来たのに、何故かシオンが付き添ってくれた。
確かに面識のある騎士は、ユリウスの他にシオンしかいないけど…。
婚約解消を申し出たばかりなのに、申し訳ない。
ばたばたと急いで此処まで来たから、シオンとはまともに話せていない。
「…こんな所まで、すまなかったなシオン。なんか…その、申し訳ない。」
ここが目的地なのか、馬を止めたルドルフの大きな身体を避けるようにして後ろを振り向く。
シオンは俺の言葉なんて聞こえていないかのように、湖に釘付けだ。
確かに、綺麗な湖だ。
日が落ちて、月の光に照らされた水面には辺りの木々が映り込み、合わせ鏡のように見えるその景色は幻想的だった。
暫くの間見惚れていると、森の中から一匹の狼がゆっくりと現れ出てくる。
初めて見る野生の生き物なのに、不思議と恐怖はない。
後ろのシオンが警戒して前に立ち塞がろうとしたが、ルドルフはそれを制した。
二匹の馬も狼を目前にしているのに、驚いて暴れる様子はない。
ここはなんだか、とても不思議な場所だ。
それでいて、とても懐かしい。
馬から降りたルドルフが、俺をそっと下ろしてくれる。
その間、狼はただじっと俺のことを見ていた。
硬そうに見えていた銀色の毛並は、月光に照らされて、よく見るとふわふわとしている。
「…ノア様、ユリウスはあそこに。」
狼に見惚れていた俺に、ルドルフが示した先には、小さな建物があった。
狼はくるりと向きを返ると、ぶんぶんともふもふの尻尾を振り回している。
「…ついて来いと、そう申しております。」
「え!お前、狼と話せるのか!?」
「話せるというか、まあ、この話しをしている時間もないので…。とりあえず、早くユリウスの元へ。わたしとシオンはここまでのようです。」
馬から降りたシオンは、まだ呆然としている。
シオンもきっと、此処へ来たのは初めてなんだろう。
「ユリウスが、あそこにいるんだな…。ありがとうルドルフ。シオンも。俺、行ってくる!」
狼の後を追うように歩き出すと、狼は尻尾で何かを伝えようとしてくる。
ぶんぶん、ぶんぶん、と。
「…え、何?」
ぶんぶん、ぶんぶん、ぶん。
「…俺、早くユリウスに会いたいんだけど。」
ぶんぶん……
目には見えるが、ここからその建物まではそれなりに距離がある。
「…え、まさか、乗れってこと?」
尻尾が一段と大きく振り回された。
「えええ!いいの!?」
ぶんぶん!
背中にそっと跨ると、銀色の毛並みはやっぱりふわふわとしていて、とても肌触りがいい。
あっという間に、建物の入り口まで辿り着いた。名残り惜しいが、狼から降りて扉の前に立つ。
ユリウスが、此処にいる。
ふーっと、大きく息を吐く。
時間はあまりない。
ちゃんと、言いたいことを話さないと。
ノアールと、俺と、二人分の…。
「…戻ってきたのか?」
低く響く、あの声だ。
胸が一つ高なる。
中から扉が開かれる。
俺からユリウスの元を訪ねるのは初めてのことだ。
ユリウスは嫌がったりしないだろうか。
今更そんなことを考えて、緊張してしまう。
開かれた扉の隙間から、狼はするりと中へ入ってしまった。
「……ノア、様?」
ユリウスの姿を目にして、俺の胸はもう一度大きく音を立てて、高まった。
196
あなたにおすすめの小説
【完結】双子の兄が主人公で、困る
* ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……!
本編、両親にごあいさつ編、完結しました!
おまけのお話を、時々更新しています。
本編以外はぜんぶ、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【完結】僕はキミ専属の魔力付与能力者
みやこ嬢
BL
【2025/01/24 完結、ファンタジーBL】
リアンはウラガヌス伯爵家の養い子。魔力がないという理由で貴族教育を受けさせてもらえないまま18の成人を迎えた。伯爵家の兄妹に良いように使われてきたリアンにとって唯一安らげる場所は月に数度訪れる孤児院だけ。その孤児院でたまに会う友人『サイ』と一緒に子どもたちと遊んでいる間は嫌なことを全て忘れられた。
ある日、リアンに魔力付与能力があることが判明する。能力を見抜いた魔法省職員ドロテアがウラガヌス伯爵家にリアンの今後について話に行くが、何故か軟禁されてしまう。ウラガヌス伯爵はリアンの能力を利用して高位貴族に娘を嫁がせようと画策していた。
そして見合いの日、リアンは初めて孤児院以外の場所で友人『サイ』に出会う。彼はレイディエーレ侯爵家の跡取り息子サイラスだったのだ。明らかな身分の違いや彼を騙す片棒を担いだ負い目からサイラスを拒絶してしまうリアン。
「君とは対等な友人だと思っていた」
素直になれない魔力付与能力者リアンと、無自覚なままリアンをそばに置こうとするサイラス。両片想い状態の二人が様々な障害を乗り越えて幸せを掴むまでの物語です。
【独占欲強め侯爵家跡取り×ワケあり魔力付与能力者】
* * *
2024/11/15 一瞬ホトラン入ってました。感謝!
婚約破棄された公爵令嬢アンジェはスキルひきこもりで、ざまあする!BLミッションをクリアするまで出られない空間で王子と側近のBL生活が始まる!
山田 バルス
BL
婚約破棄とスキル「ひきこもり」―二人だけの世界・BLバージョン!?
春の陽光の中、ベル=ナドッテ魔術学院の卒業式は華やかに幕を開けた。だが祝福の拍手を突き破るように、第二王子アーノルド=トロンハイムの声が講堂に響く。
「アンジェ=オスロベルゲン公爵令嬢。お前との婚約を破棄する!」
ざわめく生徒たち。銀髪の令嬢アンジェが静かに問い返す。
「理由を、うかがっても?」
「お前のスキルが“ひきこもり”だからだ! 怠け者の能力など王妃にはふさわしくない!」
隣で男爵令嬢アルタが嬉しげに王子の腕に絡みつき、挑発するように笑った。
「ひきこもりなんて、みっともないスキルですわね」
その一言に、アンジェの瞳が凛と光る。
「“ひきこもり”は、かつて帝国を滅ぼした力。あなたが望むなら……体験していただきましょう」
彼女が手を掲げた瞬間、白光が弾け――王子と宰相家の青年モルデ=リレハンメルの姿が消えた。
◇ ◇ ◇
目を開けた二人の前に広がっていたのは、真っ白な円形の部屋。ベッドが一つ、机が二つ。壁のモニターには、奇妙な文字が浮かんでいた。
『スキル《ひきこもり》へようこそ。二人だけの世界――BLバージョン♡』
「……は?」「……え?」
凍りつく二人。ドアはどこにも通じず、完全な密室。やがてモニターが再び光る。
『第一ミッション:以下のセリフを言ってキスをしてください。
アーノルド「モルデ、お前を愛している」
モルデ「ボクもお慕いしています」』
「き、キス!?」「アンジェ、正気か!?」
空腹を感じ始めた二人に、さらに追い打ち。
『成功すれば豪華ディナーをプレゼント♡』
ステーキとワインの映像に喉を鳴らし、ついに王子が観念する。
「……モルデ、お前を……愛している」
「……ボクも、アーノルド王子をお慕いしています」
顔を寄せた瞬間――ピコンッ!
『ミッション達成♡ おめでとうございます!』
テーブルに豪華な料理が現れるが、二人は真っ赤になったまま沈黙。
「……なんか負けた気がする」「……同感です」
モニターの隅では、紅茶を片手に微笑むアンジェの姿が。
『スキル《ひきこもり》――強制的に二人きりの世界を生成。解除条件は全ミッション制覇♡』
王子は頭を抱えて叫ぶ。
「アンジェぇぇぇぇぇっ!!」
天井スピーカーから甘い声が響いた。
『次のミッション、準備中です♡』
こうして、トロンハイム王国史上もっとも恥ずかしい“ひきこもり事件”が幕を開けた――。
噂の冷血公爵様は感情が全て顔に出るタイプでした。
春色悠
BL
多くの実力者を輩出したと云われる名門校【カナド学園】。
新入生としてその門を潜ったダンツ辺境伯家次男、ユーリスは転生者だった。
___まあ、残っている記憶など塵にも等しい程だったが。
ユーリスは兄と姉がいる為後継者として期待されていなかったが、二度目の人生の本人は冒険者にでもなろうかと気軽に考えていた。
しかし、ユーリスの運命は『冷血公爵』と名高いデンベル・フランネルとの出会いで全く思ってもいなかった方へと進みだす。
常に冷静沈着、実の父すら自身が公爵になる為に追い出したという冷酷非道、常に無表情で何を考えているのやらわからないデンベル___
「いやいやいやいや、全部顔に出てるんですけど…!!?」
ユーリスは思い出す。この世界は表情から全く感情を読み取ってくれないことを。いくら苦々しい表情をしていても誰も気づかなかったことを。
寡黙なだけで表情に全て感情の出ているデンベルは怖がられる度にこちらが悲しくなるほど落ち込み、ユーリスはついつい話しかけに行くことになる。
髪の毛の美しさで美醜が決まるというちょっと不思議な美醜観が加わる感情表現の複雑な世界で少し勘違いされながらの二人の行く末は!?
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け
祝福という名の厄介なモノがあるんですけど
野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。
愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。
それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。
ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。
イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?!
□■
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!
完結しました。
応援していただきありがとうございます!
□■
第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる