結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。

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第六部第一章 運命の時

十二話

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 ミアの言葉に、プランスは思い出したように真顔になった。
 
 (あの女の子かぁ。今更とは思うが、どうなっているんだろうなぁ)
 
 プランスはリーナのことを思い出して、目を瞑りながら、笑った。やっぱり何か思い出でもあるのだろうか?

 でもやっぱり、昔のことを思い出したから会いたいと思ってしまうのかもしれない。
 けれど、プランスもミアと同じようことを考えていた。

 それはやはり、もう成長してしまっているのではないだろうか、ルカに殺されいるのではないかと考えてしまうのだ。ルカならリーナのことを殺してもおかしくないだろう。
 もはやあの、村は無くなっている可能性があるが、リーナは生きているし村もまだあると、ミアとプランスは直感で感じたし、創造神の力で概ね把握できている。
 何せこの世界を作ったのは、ミアとプランスなのだから、全てが手中に収まるように見えるのだ。けれどしっかりは見れない場合がある。そのため行く必要があるのだ。

「よし分かった。シルバーとアンも連れていくか?」

「勿論!」

 二人が意気投合して、旅に行く事がほぼ確定事項になった。けれど、アンはルドラから離れたくないだろうから、行くのを拒む可能性がある。けれど、ルドラが付いてこれば良い話だからすぐに解決できるというわけなのだ。

 そのことを完全に理解しているミアとプランスは、呼びかけに行ったのだ。

 ミアはスリッパからヒールに履き替えてアンの元に行く。当然近くにルドラもいるだろうから一石二鳥のように、旅に出るか訊けるのだ。
 
 瞬間移動で行くのもいいが、近くだから、運動代わりに歩いていくことにした。やはりヒールは踵が痛いけど、だんだん慣れてきて痛みは生じなくなってきた。

 ミアは階段に着くと走って階段を降りる。転んでも怪我をしないので、何も考えずに階段を走り抜ける。


 プランスの場合、シルバーが遠いところにいたから瞬間移動で向かうと、何か作業していた。だからといってプランスは、話しかけないわけには行かない。
 そう思いながら、プランスはシルバーに話しかける。

「あのさ、昔みたいに旅に出ないか? 嫌ならいいが、これは昔のことをまた改めて思い出すかもしれねえじゃん?」

 プランスがシルバーに訊くと、シルバーは包丁をまな板に置き。プランスの方を向くと、シルバーはなんだか乗り気な感じの笑顔を向けた。
 やっぱりプランスにとってシルバーは欠かせないのか、「来いよ!」とプランスは誘った。まるで子供のような言葉だけれど、シルバーの心は動くように「分かったよ」と言った。
 リーナのことをシルバーは知っているから、話せば誰かわかるだろう。何せリーナを連れて一緒に、散歩したこともあるのだから。

「じゃあ行く時になったら教えるよ」と、プランスは言って瞬間移動で魔王城に戻った。
 
 シルバーはなんでまた旅に出かけることになったのだろうと愉しげに思い、口元をニヤリとしても、再び包丁を持ち、肉を切り始めた。


 アンとルドラのところについたミアは朗らかな口調で、言った。

「一緒にまた旅に出ない!?」

 あまりに唐突な言葉に、アンは一瞬何言っているの? と顔を顰めた。
 今ミアとアンとルドラは魔王城の一階にいるため、声が反響するから、ミアの言葉に執事が振り向く。けれど笑ってどこかへと歩き出した。

 アンとルドラは一瞬固まったけど、すぐに考えるように言った。

「アンだけ行って来なよ」

 アンはルドラの言葉に、動揺した。ミアとしてはアンとルドラで来ても全然大丈夫だけれど、ルドラは今までのこともあるから、自分は旅に出ると邪魔なのかもと、引き下がっていたのだ。
 でもアンとしてはルドラと一緒がいいと思ってしまうところも大いにあった。迷いどころだ。

「なんで?」

「今までミア様とシルバーとプランス陛下と一緒に旅してきただろ? 俺は部外者だよ」

 アンはルドラの言葉に、なんて答えればいいか分からなかったけれど、アンの背中を押すようにルドラが続けた。「また、何かしらの出来事を楽しんで来な」
 この言葉に、アンは渋々頷いた。ルドラは柔らかな、微笑みを浮かべるが、少し寂しげな顔をしていた。仕方ないように、アンは「うん! またのんびり旅に出ようよ!」
 と言った。ミアに唐突な問いにすぐさま応えられる、というところにミアは信用されているのだと伝ってきた。
 アンはまあ大丈夫って安堵の息を吐き捨てた。
 
 


 その頃、ルカは何もしていなかった。座禅を組んで寝ているだけだ。別に意味のないことだけれど、昔よりも数千倍力が上がっている。
 これなら魔族を入れなかったら、世界最強だろう。けれどプランスの創造の力でルカなんて一発で殺せてしまう。
 それは最強のプランスと比較しているからであって、決してルカが弱いわけではない。

「あんな状態でずっと、寝てるけど腰痛くならないのかな?」

 通り過ぎて行く、兵士が小声でつぶやいた。けれどルカは目を覚さない。たぶん魔力を温存して魔力を増加させようとしているのだろう。

 ルカの近くには鞘にしまってありエクスカリバーが置いてあり、常に気配察知という野生の勘を働かしているため近づいたら一瞬で斬られるがそれは、仲間には反応しないから、兵士は何も考えずに近くをうろうろと歩く。
 最近はルカの催眠術で部下達は奴隷化というより、自分への殺意を無くして、完全にルカに忠誠心を持っている。だが暴力や暴言の連発はやめないしミスをしたら処刑される可能性も高い。
 流石に催眠術では処刑の苦しみは変えられないのか、処刑させられる前に逃げようとする者が多いのだが、すぐに捕まえられてすぐさま処刑されてしまう。死ぬ前に何度も謝るけど、そんな声すらも断末魔に皆には聞こえてしまう。
 そして首を飛ばされてしまい死ぬ。
 これがゼレーナ王国の日常と言っても過言ではない。

「俺達はミスしなようにな・・・・・・?」

 兵士が屋敷を抜けると二人でそう言った。けれどルカの命令には無理なことを言う時もあるから、ミスする可能性が高いのだ。だから毎日のように処刑されるのだ。

「でもよ、プランスとかを殺せとかさ無理なこと言われてらどうするんだよ?」

 もう一人の兵士はちゃんと理解しているらしい。ミスをする可能性の方が高いということを理解しているということは、ちゃんと誰の下につくのか、判断できるのかもしれない。

「そりゃあ俺がプランスを殺すに決まっているだろ! ルカ様に恩寵を貰ったんだぞ! 今の俺らなら余裕だって!」

 どうやら恩寵という力をルカからもらっているらしいが、それはどんな力なのかわからない。そのため、プランス達には未知の力と戦わなければならないといけないというわけだ。
 だけどプランスの創造魔力で一撃だ。どんな力だとしても、人間も全ての生物を創造したのはプランスなのだから確実に殺せてしまう。
 
「そうかぁ? でもよ、プランスは結構強えって言われてるぜ?」

 部下は屋敷から結構離れた場所で止まり、木に背持たれる。今休憩時間なのかもしれない。
 食事はまだ摂っていないのか、お腹を空いたように、ピクニックのために持ってきた弁当を開けて、ウインナーを食べる。弁当の中には色とりどりの、おかずが入っていて、嬉しそうに兵士は食べ始める。
 この弁当は嫁が作った愛妻弁当というわけだからさらに美味しいのだ。

 不覚にももう一人の兵士は、寝ている。なかなか疲れていたのかもしれない。

「やっぱうめえ! やっぱり女房と結婚してよかったわー?」

 その声でもう一人の兵士が起きた。眠そうな顔をしているのだが、いい匂いにつられて目が覚めてしまった。
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