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むすめっすめ

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平日の朝、
今日は何となく早起きだった、寝付きの悪い俺にしては珍しいと思う
だが、それが悪かった。

2階の自室から1階の洗面所に向かう、
いつもだったら開きっぱなしのはずの洗面所の扉を開ける

「...日向?」

「...にっ兄さん!?」

洗面台の傍には数多くの化粧道具が広がっている。
日向の顔は化粧の途中だったのか片目だけ完璧な化粧が施されていた。
日向は余程集中してたのか俺が来たことに驚いてヨレてしまった目元の化粧を直しながら、ぎこちなく挨拶を交わす。

「めっ...めずらしいね、兄さんがこの時間に起きるの...」

「まぁな...それより日向、洗面所占領すんなよ」

「...あっ、すぐ片すから!」

日向は散らかっていた化粧道具をせっせと端に寄せ、隅で化粧を再開する。
その傍で俺は洗面台に立ち、歯ブラシを自身のコップから取り出し歯を磨く。

俺の隣で日向はぎこちなく緊張していたが、数分後にはゾーンにでも入ったのか、ひどく真剣な様子でまつ毛を上げていた。

...まつ毛、長っ

「え?」

「あ...」

やべ、口に出てたか?

「くふふ...そんな見ないでよぉ...照れるから~!」

...
日向の反応に思わず舌打ちした。
弟は毎朝、家族の誰よりも早く起きて化粧と髪のセットをしているようだった、この習慣は日向が高校に上がってからのもので、いわゆる高校デビュー...と言うやつなのだろう。

...元々顔がいいのに、なんでも出来るのに、する必要があるのだろうか
実際、日向の化粧は濃いが、ケバくはなく...イケメンな顔の系統が変わるだけなのだ、元の爽やかで親しみのある顔から、化粧をすると綺麗で、ある意味近寄り難い雰囲気になる。ほら、美人って近くにいると謎に緊張するだろ、そんな感覚。
日向はそれを分かってやってるのか...定かではない、俺はその感覚にはもう慣れたが...そもそも美人ってもそれ以前に俺の弟だし、俺の前だと弟はひどく情けないので、もう何も思わなくなった。

弟は化粧を終えたのか、髪のセットに入った様だった、棚からヘアアイロンを取り出し、くしで髪をとかしている。

...コイツは髪も綺麗なんだな...
くせっ毛な俺とはえらい違いだ。
そんなことを考えながら日向を見つめる視線に本人も気づいたのだろうか、バチッと目が合う。

「...日向、直毛なのにいつもよくやるよな...化粧も、顔別に悪いわけじゃないのに、なんで?」

単純な疑問だった。
日向は俺から話しかけられたことに驚いている様子で、数回目を瞬かせた後、目を逸らし俯きがちな様子で答える、

「えっ...な、なんていうかその...」

「...怖いんだ、皆が格好いいって言ってくれる度、俺なんかとか思って...疑って取り繕わないと安心しない。」

日向はそう言ったあとハッとしたように、俺と目を合わせる

「...なんて、傲慢だよね。俺...兄さんにしかこんなこと...」

「...気にしなきゃいいのに、」

俺は顔だけ正面を向き、横目で日向を勢いよく睨む

「俺なんかとか考えてるのが理解できない、人の心なんて読めないんだから、疑ったって仕方ないだろ。」

「...まぁお前にこんなこと言ってもしょーがないか」

俺はコイツのこーゆー所も嫌いだ。
そんなことを考えながら俺は顔を水で洗い、タオルで拭く。
パッと顔を上げ洗面所の鏡を見た時、気づいた。

「兄さん...」

「ヒッ...!...何!!」

近い!!何なんだよ!!
俺の顔のすぐ側、耳元で日向が囁く
驚いて日向の方を向くと、鼻先が触れ合うような近さで、思わずたじろいだ。

「やっぱり...兄さんが...」

あ~!!でた!コイツのキモイ視線!!
開くな瞳孔!!近寄るな!!

「あー!!もうッ!!」

拳を握りしめ、思いきり日向の頬を叩いた

「あヒィ!!!」

日向の声が響く、
階段をドタドタと駆け下りる足音が聞こえる。
...きっと叫び声に驚いた母さんだろう、俺はひどく怒られるだろうな

...まぁ日向叩けたし...いっか
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