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今、いくつ目、37番目
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ここは王宮。王太子殿下の執務室です。
側近として指名をされて名誉ある役職に就く布石となるはずだった視察でトンデモナイ事をやらかしてしまったライド。
謹慎中に座学の講師に徹底指導をされまして、ちょっと賢くなりました。
王太子殿下が視察から帰って1か月半。休日返上のサービス残業で働き、手に書類を持っています。
ふむふむ‥‥どうやら休暇申請をするようですね。
まぁ、休みは大事ですよ。
ですが、直属の上司となる殿下、その書類を受け取ると…
ビリリリリ
「却下だね。ライド。やるべき事があるだろう?」
「ほとんどは終わらせております。5日の休暇ですが問題ないかと」
「問題があるかないか。決めるのはライド、お前じゃないよ。判るかな?」
「そ、それは勿論」
「でもね。私も王宮務めがブラック企業並みだ!なんて言われたくないから休みはあげるよ」
「では!お許し願えますか」
「いいよ。今日の午後から明後日の午前中まで休むといいよ」
日数としては3日になりますが、実質2日の休みです。
作者ならウハウハですが、ライドは渋い顔をしておりますね。レモンでも齧ったのかな?
(この日数では…チョイス領までたどり着いても帰る事が出来ない・・・)
どうやらライドは馬車を下げろと言った女性を探しに行こうとしたようです。
ですが‥‥目の前の男は許してくれそうにないですね。
(( 私が行かせるわけがないだろう。でもね休みはあげるよ。一人で悶える時間を過ごさせてあげる))
うわぁ。こんな上司絶対に嫌ですね。
満面の微笑。確かにもらえる休み。でも‥‥
おや、そこに誰かが王太子殿下を訪ねてきたようです。
コンコン
「誰だい?」
「殿下。カーセフハミチャ・タシクーレト男爵です。お通ししますか」
「あぁ、待っていたよ。良い報告だと嬉しいね」
そう言って入室してきたのは、特に在籍する課もないのになぜか王太子殿下に呼ばれているタシクーレト男爵。
目元が怪しげな30代後半の男性です。
「ライド。客人が来たので休暇の件は先ほどのようにね」
「は、はい。ありがとうございます」
「タシクーレト男爵、ソファに」
退室するライドをちらりと見るタシクーレト男爵。口元がニヤリとしていますね。
ソファにかける前に、封筒を王太子殿下に渡しています。
ソファに腰掛けると早速報告書に目を通す王太子殿下。
おぉぉ~読み進めていくにしたがって顔の筋肉が緩んでおります。
「満点回答のような報告書だね。嬉しいよ」
「ありがとうございます」
「で?本当に虫は付いていないんだよね」
「えぇ。学園の初等科の卒業式間近で両親が離縁し母に養育権が渡り田舎の領地に引きこもった後も男性は2人のおじと祖父、あとは教会の神官くらいですね。まぁ生粋のお嬢様と言いたいところですがなかなかにアグレッシブなお姫さんというところです。少し前に大怪我をしたようですが今は余程の無茶をしない限りは動けるようになっておりますね」
「早速父上に報告をする事にするよ。やっと婚約者が出来そうだ」
「あぁ、殿下、報告書には書きませんでしたが」
「不記載事項があるのかい?」
「ええ。はっきりとしませんでしたので書けませんでした」
「珍しいね。タシクーレト男爵ともあろうものが」
「確認が出来ていませんし、噂になる前の与太話程度ですので口頭で」
「いいよ。聞こうか」
タシクーレト男爵は王太子殿下にちょいちょいと手招きをするとコソコソ話を始めます。
「明確にご令嬢だと言う証言はありませんでしたが、教会で何かしているようです」
「慈善活動じゃないのかい?」
「まぁ、報酬としては駄賃程度らしいので慈善活動と言えばそうなんですが、加護持ちではないかと」
「加護?まさか‥‥加護を持っている者はもう何百年も見つかっていないよ?」
「えぇ、ですから確証はありません。もっていたとしてもどんな加護なのかも不明ですが」
「加護ねぇ…」
「マリッジDEマッツォアオという相談会を教会が開催していますが、開催日には必ず来ているとの事なので婚姻に関係するものかも知れません」
「なるほどね。ありがとう。これはわたしからのお駄賃だ」
「ありがとうございます」
「またよろしく頼むよ」
タシクーレト男爵が退室をするとジェームスがお茶を淹れて持ってきます。
「殿下、本日はどうなさいますか」
「どうとは?」
「閨での寝技講義のご夫人があちらで待機をしております」
「そうだなぁ…えっと今幾つ目だったかな」
「四十八手の現在三十七までが合格点を終えたところかと」
「14からだから24歳までには終えたいね。私も萎えそうだ」
「御子が出来たら困りますからね。閉経した未亡人となると年齢は致し方ないかと」
「不本意だよね…せめて30代にしてほしいよ」
「ご夫人方は楽しみにされているようですけどね」
「やめてくれ…本当に不能になりそうだ」
っていうか‥‥仕方ないにしてもジェームス数を把握してるって怖い~。
それだけでも絶対に嫌だぁ・・。
側近として指名をされて名誉ある役職に就く布石となるはずだった視察でトンデモナイ事をやらかしてしまったライド。
謹慎中に座学の講師に徹底指導をされまして、ちょっと賢くなりました。
王太子殿下が視察から帰って1か月半。休日返上のサービス残業で働き、手に書類を持っています。
ふむふむ‥‥どうやら休暇申請をするようですね。
まぁ、休みは大事ですよ。
ですが、直属の上司となる殿下、その書類を受け取ると…
ビリリリリ
「却下だね。ライド。やるべき事があるだろう?」
「ほとんどは終わらせております。5日の休暇ですが問題ないかと」
「問題があるかないか。決めるのはライド、お前じゃないよ。判るかな?」
「そ、それは勿論」
「でもね。私も王宮務めがブラック企業並みだ!なんて言われたくないから休みはあげるよ」
「では!お許し願えますか」
「いいよ。今日の午後から明後日の午前中まで休むといいよ」
日数としては3日になりますが、実質2日の休みです。
作者ならウハウハですが、ライドは渋い顔をしておりますね。レモンでも齧ったのかな?
(この日数では…チョイス領までたどり着いても帰る事が出来ない・・・)
どうやらライドは馬車を下げろと言った女性を探しに行こうとしたようです。
ですが‥‥目の前の男は許してくれそうにないですね。
(( 私が行かせるわけがないだろう。でもね休みはあげるよ。一人で悶える時間を過ごさせてあげる))
うわぁ。こんな上司絶対に嫌ですね。
満面の微笑。確かにもらえる休み。でも‥‥
おや、そこに誰かが王太子殿下を訪ねてきたようです。
コンコン
「誰だい?」
「殿下。カーセフハミチャ・タシクーレト男爵です。お通ししますか」
「あぁ、待っていたよ。良い報告だと嬉しいね」
そう言って入室してきたのは、特に在籍する課もないのになぜか王太子殿下に呼ばれているタシクーレト男爵。
目元が怪しげな30代後半の男性です。
「ライド。客人が来たので休暇の件は先ほどのようにね」
「は、はい。ありがとうございます」
「タシクーレト男爵、ソファに」
退室するライドをちらりと見るタシクーレト男爵。口元がニヤリとしていますね。
ソファにかける前に、封筒を王太子殿下に渡しています。
ソファに腰掛けると早速報告書に目を通す王太子殿下。
おぉぉ~読み進めていくにしたがって顔の筋肉が緩んでおります。
「満点回答のような報告書だね。嬉しいよ」
「ありがとうございます」
「で?本当に虫は付いていないんだよね」
「えぇ。学園の初等科の卒業式間近で両親が離縁し母に養育権が渡り田舎の領地に引きこもった後も男性は2人のおじと祖父、あとは教会の神官くらいですね。まぁ生粋のお嬢様と言いたいところですがなかなかにアグレッシブなお姫さんというところです。少し前に大怪我をしたようですが今は余程の無茶をしない限りは動けるようになっておりますね」
「早速父上に報告をする事にするよ。やっと婚約者が出来そうだ」
「あぁ、殿下、報告書には書きませんでしたが」
「不記載事項があるのかい?」
「ええ。はっきりとしませんでしたので書けませんでした」
「珍しいね。タシクーレト男爵ともあろうものが」
「確認が出来ていませんし、噂になる前の与太話程度ですので口頭で」
「いいよ。聞こうか」
タシクーレト男爵は王太子殿下にちょいちょいと手招きをするとコソコソ話を始めます。
「明確にご令嬢だと言う証言はありませんでしたが、教会で何かしているようです」
「慈善活動じゃないのかい?」
「まぁ、報酬としては駄賃程度らしいので慈善活動と言えばそうなんですが、加護持ちではないかと」
「加護?まさか‥‥加護を持っている者はもう何百年も見つかっていないよ?」
「えぇ、ですから確証はありません。もっていたとしてもどんな加護なのかも不明ですが」
「加護ねぇ…」
「マリッジDEマッツォアオという相談会を教会が開催していますが、開催日には必ず来ているとの事なので婚姻に関係するものかも知れません」
「なるほどね。ありがとう。これはわたしからのお駄賃だ」
「ありがとうございます」
「またよろしく頼むよ」
タシクーレト男爵が退室をするとジェームスがお茶を淹れて持ってきます。
「殿下、本日はどうなさいますか」
「どうとは?」
「閨での寝技講義のご夫人があちらで待機をしております」
「そうだなぁ…えっと今幾つ目だったかな」
「四十八手の現在三十七までが合格点を終えたところかと」
「14からだから24歳までには終えたいね。私も萎えそうだ」
「御子が出来たら困りますからね。閉経した未亡人となると年齢は致し方ないかと」
「不本意だよね…せめて30代にしてほしいよ」
「ご夫人方は楽しみにされているようですけどね」
「やめてくれ…本当に不能になりそうだ」
っていうか‥‥仕方ないにしてもジェームス数を把握してるって怖い~。
それだけでも絶対に嫌だぁ・・。
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