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作戦失敗の原因?
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タンタンタン!タンタンタン!
蘭の君と呼ばれるご令嬢ルぺ。ドヴォルザー家の第一子。見目麗しいご令嬢です。
ですが、ここ最近はいらいらしております。
「お父様、レイのお相手。もう2年にもなろうというに!まだ判りませんの?」
「手は尽くしているんだがね。なんせ【東の方】だけじゃ広すぎるよ。幾つ領があると思ってるんだい?50以上あるんだよ?」
「追跡魔法でなんとかできませんの?髪飾りを持っているのですわよ?」
「それがねぇ…不思議なんだよ。途中からプッツリきれてねぇ。魔導士団長になって15年になるけど初めてだよ。魔法が途切れたのをみたのは」
「それなのですが、もしや…いえ、わたくしも文献でしか読んだことは御座いませんが加護持ちではありませんこと?」
「だが、加護持ちの報告はここ何百年も上がっていないんだ。それに文献に残る加護持ちも半数以上は魔力を切断するという報告はない」
「でも、切断をしたという報告もあるという事でございましょう?」
「そうなんだけどねぇ。来週はレイも伴って各領の魔獣調査に出るから出来る範囲でやるしかないね。ところでレイの様子はどうだい?」
「相変わらずですわ……日に日に昔のように纏う冷気の温度が下がっておりますの。料理長は冷凍保存が常時できると喜んでおりますが、メイドからはシモヤケになったと労災申請が多くなっておりますの」
「もう諦めてもらって他のご令嬢と婚約をさせようかとも思っているんだが」
「それをするとレイが魔力暴走を起こしてしまいますわ」
「困った息子だねぇ」
「仕方ありませんわ、お父様の子ですもの。お母様への執着が半端ないお父様の子。おぉ怖い」
「失礼だなぁ。デイラは私の命なんだから仕方ないだろう?」
「まぁ、そこまで想われれば冥利に尽きますけれど、娘から見ても異常ですわよ?少しは控えてくださらないと」
どうやら、1人の女性に固執するのは遺伝のようですけど、学園時代に婚約者が決まるかも?っと惚気たレイ君。
あれから2年でどうやら荒れている模様で御座いますね。
魔導士団の討伐にあちこちに駆り出され、殿下の側近の仕事もあって探す事すら出来ないようです。
ちょっと怖いですけど、レイ君の様子を伺ってみましょう。
☆~☆~☆
バチっ!!ババババっ!パンパンパン!!
「ドヴォルザー班長!そこまでですよ。もうやめてください」
「‥‥‥」
「うわっ。寒っ‥‥また冷気出てますよ。ほら、そこ!もう凍ってるじゃないですか!」
「次の討伐は何処だ」
「来週ですよ。エール領からの討伐依頼です。チョイス領との領界にある森でサイクロシプスの目撃報告が多数ありますので討伐依頼が来ております」
「期間は」
「来週というか5日後出発し2日かけて移動、探索と討伐で1週間を見ております。その後2日かけて王都へ移動なので月末には帰れると思いますよ」
「エール領か‥‥」
「はい、隣のチョイス領まではすぐのところですね。なんでも3年前に発売したバッサバサブレーが人気だそうです。僕も妻に買ってきてと言われているんです」
「お前‥‥結婚してたのか?」
「はい、嫌だなぁ。してますよ」
「何歳で結婚したんだ?」
「ぼ、僕は学園を出て直ぐです。魔導士団に入ったばかりなので向こうの親御さんが反対しましたけど。えへへ」
「反対したけど?何故そこで笑うんだ」
「所謂、デキ婚なんですよ。乗合馬車待ってた嫁さんに一目惚れして追跡魔法で家を調べましてね」
おいおい・・・・それは犯罪じゃないのか?
大丈夫か!?この魔術師団って!!
でもレイ君、食いついてますね
「追跡魔法でどうなった??」
「どうなったって。そりゃ嫁さんの行動範囲とか生活時間が判りますから偶然を装って声をかけて1回目の食事の帰りに僕の部屋に連れ込んで…って何を白状させられているんですか。僕は!!」
部下の肩をブンブン揺すりながらレイ君さらに食いついております。
部下の三半規管はどこまで耐えられるでしょうか。
「なんだと?1回目の食事でそれは良いのか??」
「いや、それは人によると思いますけど・・・」
「何故だ?何故お前はそうしたんだ?」
「いや、班長!なんのカミングアウトを僕はしなきゃいけないんですか!」
「カミングアウトではない!!私への指南だ!!教えろ!教えてくれ!」
「いや、だからその・・・そういうのは人それぞれですから?初日って人もいれば1年目、3年目って人もいますよ」
「どうして!どうしてお前は1回目の食事だったんだ!!」
部下はありったけの声をあげます。
「そりゃ、早くモノにしないと他の男に取られると思ったからですよ!!」
その瞬間、部屋の中に竜巻のような氷の渦が猛烈な勢いで吹きあがります。
その中心は勿論スタンレィフォリナー(通称レイ君)
「うぉぉぉぉ!そこか!ノルマンディ―作戦の失敗はそこだったか!!」
いや、決して失敗ではないと思いますよ?
部下も言ってたでしょう?人それぞれだって。
あ~班長室、冷凍庫になっちゃったじゃないですか。どうするんです?
部下が魚介類を棚に並べ始めましたよ?半解凍になると始末に負えないよ?
蘭の君と呼ばれるご令嬢ルぺ。ドヴォルザー家の第一子。見目麗しいご令嬢です。
ですが、ここ最近はいらいらしております。
「お父様、レイのお相手。もう2年にもなろうというに!まだ判りませんの?」
「手は尽くしているんだがね。なんせ【東の方】だけじゃ広すぎるよ。幾つ領があると思ってるんだい?50以上あるんだよ?」
「追跡魔法でなんとかできませんの?髪飾りを持っているのですわよ?」
「それがねぇ…不思議なんだよ。途中からプッツリきれてねぇ。魔導士団長になって15年になるけど初めてだよ。魔法が途切れたのをみたのは」
「それなのですが、もしや…いえ、わたくしも文献でしか読んだことは御座いませんが加護持ちではありませんこと?」
「だが、加護持ちの報告はここ何百年も上がっていないんだ。それに文献に残る加護持ちも半数以上は魔力を切断するという報告はない」
「でも、切断をしたという報告もあるという事でございましょう?」
「そうなんだけどねぇ。来週はレイも伴って各領の魔獣調査に出るから出来る範囲でやるしかないね。ところでレイの様子はどうだい?」
「相変わらずですわ……日に日に昔のように纏う冷気の温度が下がっておりますの。料理長は冷凍保存が常時できると喜んでおりますが、メイドからはシモヤケになったと労災申請が多くなっておりますの」
「もう諦めてもらって他のご令嬢と婚約をさせようかとも思っているんだが」
「それをするとレイが魔力暴走を起こしてしまいますわ」
「困った息子だねぇ」
「仕方ありませんわ、お父様の子ですもの。お母様への執着が半端ないお父様の子。おぉ怖い」
「失礼だなぁ。デイラは私の命なんだから仕方ないだろう?」
「まぁ、そこまで想われれば冥利に尽きますけれど、娘から見ても異常ですわよ?少しは控えてくださらないと」
どうやら、1人の女性に固執するのは遺伝のようですけど、学園時代に婚約者が決まるかも?っと惚気たレイ君。
あれから2年でどうやら荒れている模様で御座いますね。
魔導士団の討伐にあちこちに駆り出され、殿下の側近の仕事もあって探す事すら出来ないようです。
ちょっと怖いですけど、レイ君の様子を伺ってみましょう。
☆~☆~☆
バチっ!!ババババっ!パンパンパン!!
「ドヴォルザー班長!そこまでですよ。もうやめてください」
「‥‥‥」
「うわっ。寒っ‥‥また冷気出てますよ。ほら、そこ!もう凍ってるじゃないですか!」
「次の討伐は何処だ」
「来週ですよ。エール領からの討伐依頼です。チョイス領との領界にある森でサイクロシプスの目撃報告が多数ありますので討伐依頼が来ております」
「期間は」
「来週というか5日後出発し2日かけて移動、探索と討伐で1週間を見ております。その後2日かけて王都へ移動なので月末には帰れると思いますよ」
「エール領か‥‥」
「はい、隣のチョイス領まではすぐのところですね。なんでも3年前に発売したバッサバサブレーが人気だそうです。僕も妻に買ってきてと言われているんです」
「お前‥‥結婚してたのか?」
「はい、嫌だなぁ。してますよ」
「何歳で結婚したんだ?」
「ぼ、僕は学園を出て直ぐです。魔導士団に入ったばかりなので向こうの親御さんが反対しましたけど。えへへ」
「反対したけど?何故そこで笑うんだ」
「所謂、デキ婚なんですよ。乗合馬車待ってた嫁さんに一目惚れして追跡魔法で家を調べましてね」
おいおい・・・・それは犯罪じゃないのか?
大丈夫か!?この魔術師団って!!
でもレイ君、食いついてますね
「追跡魔法でどうなった??」
「どうなったって。そりゃ嫁さんの行動範囲とか生活時間が判りますから偶然を装って声をかけて1回目の食事の帰りに僕の部屋に連れ込んで…って何を白状させられているんですか。僕は!!」
部下の肩をブンブン揺すりながらレイ君さらに食いついております。
部下の三半規管はどこまで耐えられるでしょうか。
「なんだと?1回目の食事でそれは良いのか??」
「いや、それは人によると思いますけど・・・」
「何故だ?何故お前はそうしたんだ?」
「いや、班長!なんのカミングアウトを僕はしなきゃいけないんですか!」
「カミングアウトではない!!私への指南だ!!教えろ!教えてくれ!」
「いや、だからその・・・そういうのは人それぞれですから?初日って人もいれば1年目、3年目って人もいますよ」
「どうして!どうしてお前は1回目の食事だったんだ!!」
部下はありったけの声をあげます。
「そりゃ、早くモノにしないと他の男に取られると思ったからですよ!!」
その瞬間、部屋の中に竜巻のような氷の渦が猛烈な勢いで吹きあがります。
その中心は勿論スタンレィフォリナー(通称レイ君)
「うぉぉぉぉ!そこか!ノルマンディ―作戦の失敗はそこだったか!!」
いや、決して失敗ではないと思いますよ?
部下も言ってたでしょう?人それぞれだって。
あ~班長室、冷凍庫になっちゃったじゃないですか。どうするんです?
部下が魚介類を棚に並べ始めましたよ?半解凍になると始末に負えないよ?
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