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第29話 マジルカ王国へ
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国王サディスと会った時に、部屋に遮断の魔法をかければ会話が出来ると判ったアナベルは、カトゥル家のサロンに家族や使用人を集めてもらい、別れの挨拶を交わした。
防犯のために屋敷への入り口である外門を守る門番には先に挨拶をしている。
慣れ親しんだ家、そして見守ってくれた家族や使用人は実際の声も心の声も同じだった。
「生水は飲んじゃいけませんよ?蚊に刺されても掻いちゃだめですからね」
「判ってるわ。マシャリは心配性ね」
「心配もします!ボーンが記録を残していなかったら一緒に行けたのに」
イルシェプには同行するならマシェリとボーンも。そう思ったのだがマシャリの母は10年前から介護状態。最初は資金的な負担をしていたのだが、実際に介護をしていた姉がもうお手上げとなりカトゥル侯爵も許可をだして敷地の一角にある小さな家に母を呼んだ。
「ずっとリカルドの世話もしてくれたんだ。自由に使いなさい」
勤務も介護しながらでも出来るだけ負担のないシフトに変えて失職する事もない。
問題はアナベルと一緒には行けないという事だった。
「聴き取りができないな」と困ったが、カトゥル家に雇われて日々の日報を書く時にボーンはリカルドの様子を事細かく記していた。
「アノ家にお嬢様が行ってる間も、これを読めばリカルドの様子が解ると思って」
「凄いな・・・挿絵まで」
「だってただ穴掘りしましたとなると、堀った穴を見るだけでしょう?先ず後ろ足で引っ掻くようにくぼみを作って、前足で柔くして鼻先でかき出して・・・ある程度掘ったら何故か座るんですよ。固めてるのかすっぽりの大きさの塩梅を確かめてるのか・・・そこまでは判らなかったですけど」
「助かるよ。行動なんか全く判っていないし、キュウリやパクチーは苦手なんだな…」
「そうですね。食べない訳じゃないんですけども苦手かな。でも調子悪そうな時は食べてたので薬みたいな感じでした」
5年間のリカルドがびっしりと書かれた日報。備考欄を利用して毎日時系列で記載していたが、書ききれずに全て裏面にもリカルドの様子を記載していたボーン。
イルシェプはマジルカ王国の「野生動物保護基金」からボーンとマシャリに功労金を贈呈する事を決めた。それによってマシャリの母は施設に入れる事も出来たのだが、ボーンが反対をした。
「僕は孤児院育ちなので、親の面倒って看る事が出来ないんです。いい機会ですから」
マシャリも介護を姉に任せきりで金だけ出していた事には負い目を感じていた。
それぞれにある事情。アナベルも無理は言えなかった。
「殿下。娘をお願いします」
「それなんだが、制御は勿論としてご息女の絶対的な安全という面から、マジルカ王国での預け先をルフトモンド家にしようと思っているんだ」
「ルフトモンド・・・あの!ルフトモンド家ですかっ?!」
カトゥル侯爵夫妻は素っ頓狂な声を出した。国が違うとは言え名前は聞いた事もある家。
ちょっとだけカトゥル侯爵はブルってしまったが夫人はパチン!と手を打って「いいわね!」と承諾。
「いや、しかし‥‥確か鬼神閣下と・・・聞いた事が・・・」
「大丈夫ですよ。結婚をさせるわけじゃなく、彼以上の護衛は存在しないと思うだけなので」
噂とは聞こえてくる間に色々と誇張されるもの。
確かにルフトモンド家の当主は2、3年前に伯爵位を授けられた家で新しい家。
カトゥル侯爵に聞こえて来た噂は、あくびをすれば山が消え去り、くしゃみをすれば海が干上がる。抑えきれない魔力が常に大気を震わせている。というもの。
本人を見た事は無いがマジルカ王国でもルフトモンド伯爵以上の魔法使いで剣も扱える者は数人。ルフトモンド伯爵以外は王族とも言われている。
「見た目はちょっと難ありですけども、中身は良いやつなのでご息女に無体を働く事もないでしょう」
「でも・・・うーん…」
父親でもあるカトゥル侯爵が悩むのも当然。
男親は何時になっても娘は可愛いもの。
「心配なら見に行けばいいでしょう?ここでグダグダと噂しか知らない方の事を悩んで何の得があるのです」
「おや?夫人は問題ないと?」
「勿論ですわ。何となく・・・娘は気に入ると思いますの」
「それは…どうでしょう。間違いなく女性受けはしないと思いますよ?」
「こういうのは勘ですわ」
「勘っ?」
「えぇ。母親の勘。何と言っても聞こえてくる話ではモフモフとか。モフモフは正義ですわ」
空を撫でる夫人の手。カトゥル侯爵はこの頃気になっている頭皮に意識を向けた。
――発芽を諦めた毛根も多いんだよな。ぐすっ――
「侯爵、いい薬知ってますよ」
「はっ!!声に出てた?!」
和気藹々と使用人との別れの挨拶を終えたアナベルは兄、姉、そして兄姉の配偶者、次に母とハグ、そして男泣きの父とハグをして、またイルシェプの声だけが聞こえる魔法をかけ直してもらった。
馬のいない荷馬車の荷台には国王サディスからお詫びにとアナベルに贈られた品が積まれている。イルシェプと、イルシェプと共にやって来た従者、アナベルは荷を避けて作った隙間に乗り込んだ。
「では、行って参ります」
「アナベ―――」
「だめよ。はい、笑って手を振るの!」
荷台に駆け寄りそうなカトゥル侯爵を夫人が制するのとイルシェプが詠唱をするのは同時。
荷馬車がカトゥル侯爵家の一同の前から消えるのは一瞬だった。
荷馬車の車輪があった場所のくぼみに駆け寄ったカトゥル侯爵は轍を指でなぞりながら泣いた。
年齢も身分も関係なく、声をあげて泣いた。
そんなカトゥル侯爵に兄姉が寄り添い背を撫でる。
「お義母様、雨でしょうか」
兄の妻が遠くの空を見ながら夫人にそっとハンカチを手渡した。
防犯のために屋敷への入り口である外門を守る門番には先に挨拶をしている。
慣れ親しんだ家、そして見守ってくれた家族や使用人は実際の声も心の声も同じだった。
「生水は飲んじゃいけませんよ?蚊に刺されても掻いちゃだめですからね」
「判ってるわ。マシャリは心配性ね」
「心配もします!ボーンが記録を残していなかったら一緒に行けたのに」
イルシェプには同行するならマシェリとボーンも。そう思ったのだがマシャリの母は10年前から介護状態。最初は資金的な負担をしていたのだが、実際に介護をしていた姉がもうお手上げとなりカトゥル侯爵も許可をだして敷地の一角にある小さな家に母を呼んだ。
「ずっとリカルドの世話もしてくれたんだ。自由に使いなさい」
勤務も介護しながらでも出来るだけ負担のないシフトに変えて失職する事もない。
問題はアナベルと一緒には行けないという事だった。
「聴き取りができないな」と困ったが、カトゥル家に雇われて日々の日報を書く時にボーンはリカルドの様子を事細かく記していた。
「アノ家にお嬢様が行ってる間も、これを読めばリカルドの様子が解ると思って」
「凄いな・・・挿絵まで」
「だってただ穴掘りしましたとなると、堀った穴を見るだけでしょう?先ず後ろ足で引っ掻くようにくぼみを作って、前足で柔くして鼻先でかき出して・・・ある程度掘ったら何故か座るんですよ。固めてるのかすっぽりの大きさの塩梅を確かめてるのか・・・そこまでは判らなかったですけど」
「助かるよ。行動なんか全く判っていないし、キュウリやパクチーは苦手なんだな…」
「そうですね。食べない訳じゃないんですけども苦手かな。でも調子悪そうな時は食べてたので薬みたいな感じでした」
5年間のリカルドがびっしりと書かれた日報。備考欄を利用して毎日時系列で記載していたが、書ききれずに全て裏面にもリカルドの様子を記載していたボーン。
イルシェプはマジルカ王国の「野生動物保護基金」からボーンとマシャリに功労金を贈呈する事を決めた。それによってマシャリの母は施設に入れる事も出来たのだが、ボーンが反対をした。
「僕は孤児院育ちなので、親の面倒って看る事が出来ないんです。いい機会ですから」
マシャリも介護を姉に任せきりで金だけ出していた事には負い目を感じていた。
それぞれにある事情。アナベルも無理は言えなかった。
「殿下。娘をお願いします」
「それなんだが、制御は勿論としてご息女の絶対的な安全という面から、マジルカ王国での預け先をルフトモンド家にしようと思っているんだ」
「ルフトモンド・・・あの!ルフトモンド家ですかっ?!」
カトゥル侯爵夫妻は素っ頓狂な声を出した。国が違うとは言え名前は聞いた事もある家。
ちょっとだけカトゥル侯爵はブルってしまったが夫人はパチン!と手を打って「いいわね!」と承諾。
「いや、しかし‥‥確か鬼神閣下と・・・聞いた事が・・・」
「大丈夫ですよ。結婚をさせるわけじゃなく、彼以上の護衛は存在しないと思うだけなので」
噂とは聞こえてくる間に色々と誇張されるもの。
確かにルフトモンド家の当主は2、3年前に伯爵位を授けられた家で新しい家。
カトゥル侯爵に聞こえて来た噂は、あくびをすれば山が消え去り、くしゃみをすれば海が干上がる。抑えきれない魔力が常に大気を震わせている。というもの。
本人を見た事は無いがマジルカ王国でもルフトモンド伯爵以上の魔法使いで剣も扱える者は数人。ルフトモンド伯爵以外は王族とも言われている。
「見た目はちょっと難ありですけども、中身は良いやつなのでご息女に無体を働く事もないでしょう」
「でも・・・うーん…」
父親でもあるカトゥル侯爵が悩むのも当然。
男親は何時になっても娘は可愛いもの。
「心配なら見に行けばいいでしょう?ここでグダグダと噂しか知らない方の事を悩んで何の得があるのです」
「おや?夫人は問題ないと?」
「勿論ですわ。何となく・・・娘は気に入ると思いますの」
「それは…どうでしょう。間違いなく女性受けはしないと思いますよ?」
「こういうのは勘ですわ」
「勘っ?」
「えぇ。母親の勘。何と言っても聞こえてくる話ではモフモフとか。モフモフは正義ですわ」
空を撫でる夫人の手。カトゥル侯爵はこの頃気になっている頭皮に意識を向けた。
――発芽を諦めた毛根も多いんだよな。ぐすっ――
「侯爵、いい薬知ってますよ」
「はっ!!声に出てた?!」
和気藹々と使用人との別れの挨拶を終えたアナベルは兄、姉、そして兄姉の配偶者、次に母とハグ、そして男泣きの父とハグをして、またイルシェプの声だけが聞こえる魔法をかけ直してもらった。
馬のいない荷馬車の荷台には国王サディスからお詫びにとアナベルに贈られた品が積まれている。イルシェプと、イルシェプと共にやって来た従者、アナベルは荷を避けて作った隙間に乗り込んだ。
「では、行って参ります」
「アナベ―――」
「だめよ。はい、笑って手を振るの!」
荷台に駆け寄りそうなカトゥル侯爵を夫人が制するのとイルシェプが詠唱をするのは同時。
荷馬車がカトゥル侯爵家の一同の前から消えるのは一瞬だった。
荷馬車の車輪があった場所のくぼみに駆け寄ったカトゥル侯爵は轍を指でなぞりながら泣いた。
年齢も身分も関係なく、声をあげて泣いた。
そんなカトゥル侯爵に兄姉が寄り添い背を撫でる。
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