年上幼馴染の一途な執着愛

青花美来

文字の大きさ
17 / 33
第二章

電話

しおりを挟む



日向への気持ちに気がついてから、数日。
早く伝えなければ。そう思って日向を食事に誘ってみたけれど、どうやら大口の案件を任されたらしく忙しくてなかなか時間が取れないと言われてしまった。
私から食事に誘ったのが初めてだったからか、日向の落ち込みようはすごかったけれど、


"絶対時間取るから! 落ち着いたらすぐ連絡するから!"


と約束してくれた。
その間に私も気持ちを入れ替えてしっかり仕事を頑張ろうと思い、毎日必死で働く。
真山さんにも顔が明るくなったと言われて嬉しくなっていた。
そんなある日、仕事終わりに家に帰るとお兄ちゃんから珍しくメッセージが送られてきていた。


"結婚することになった"


その文字を見て、驚いてすぐに電話をかける。


「お兄ちゃん! おめでとう!」


開口一番そう告げると、照れたように


『ありがとう』


とお礼が聞こえてきた。


「もう籍はいれたの?」


『気が早ぇなあ。まだだよ。でも今月末には入れようと思ってる』

「そっか、じゃあ式は? いつ?」

『それが、急なんだけど二ヶ月後に予約が取れそうなんだ。キャンセルが出たらしくてさ。人気のとこだからそれ逃したら来年になっちまうから、多分決定すると思う』


今は三月の初め。
年度が変わるタイミングに合わせて籍を入れて、五月の連休明けに式を挙げる予定のようだ。
お兄ちゃんも嬉しそうだけど、それ以上に私の方が舞い上がってしまう。


『近いうちに招待状送るから、日向と一緒に来てくれよ』

「うん!」


お兄ちゃんが結婚かあ。何着て行こう。
お母さんはきっと留袖だから、私も和装で合わせたほうがいいかな。
実家にまだ振袖があったはずだし、お母さんに相談しなくちゃ。
勢いのまま電話をしてしまったため、謝りつつすぐに電話を切る。
すると今度は日向から電話が来た。


「もしもし?」

『星夜から連絡きた?』

「うん、さっきまで電話してたとこ」

『そうか。式の日、俺が車出すから一緒に行こう』

「いいの?」

『当たり前だろ』

「ありがとう」


日向の元にも連絡が来ていたみたいで、その声色はとても嬉しそうだ。


「日向、もしかして今仕事中?」


電話の向こうでは誰かが慌ただしく喋っている声が聞こえる。


『あぁ、今日も残業なんだ』

「大丈夫? 頑張りすぎじゃない?」

『夕姫の声聞いたら疲れも取れたから問題ない。もう少しだけ働いてから帰るよ』


そんな些細な言葉にもドキドキしてしまう。


「……無理しないでよ? 落ち着いたらご飯行くんだから、頑張りすぎて身体壊さないでね」

『当たり前。夕姫に会うために頑張ってるから、もうちょっと待ってて』


頷くと、沈黙が訪れる。
電話も久しぶりだったから、なんだか切るのが惜しい。
もう少し話していたい。

そう思って、あぁ、やっぱり私は日向のことが好きなんだなと思って笑みが溢れる。


『なに、どうした?』

「ううん。私も日向の声聞いたら疲れ取れた気がしただけ」

『……今すぐ会いに行きたくなるようなこと言うなよ』


急に声が低くなって、驚く。


『あー……夕姫不足。電話しちゃったら会いたくなるから控えてたけど、やっぱ無理だ、今すぐ会いたい』

「っ……」


顔が見えない分、ストレートに届く言葉に胸が高鳴る。
私も、会いたくてたまらなくなる。
でも、仕事の邪魔をするわけにもいかない。
もう少し電話をしていたかったけれど、向こうで日向を呼ぶ声が聞こえていた。


「……日向、戻らないといけないんじゃないの?」

『……あぁ。じゃあ、仕事戻る』

「うん。……あ、日向」

『ん?』

「私も……日向に会えるの楽しみにしてる。だから、お仕事がんばってね」


そう言い終わってから恥ずかしくなり、日向の返事を聞く前に思わず電話を切ってしまう。
言い逃げのようになってしまったけれど、日向は怒っていないだろうか。
不安に思っていたのも束の間、


"死ぬ気で終わらせる"


そんなメッセージが送られてきて、笑ってしまったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される

絵麻
恋愛
 桐島花は父が病没後、継母義妹に虐げられて、使用人同然の生活を送っていた。  父の財産も尽きかけた頃、義妹に縁談が舞い込むが継母は花を嫁がせた。  理由は多額の結納金を手に入れるため。  相手は二十五歳も歳上の、海軍の大佐だという。  放り出すように、嫁がされた花を待っていたものは。  地味で冴えないと卑下された日々、花の真の力が時東邸で活かされる。  

腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

有木珠乃
恋愛
両親を亡くし、二人だけの姉妹になった一ノ瀬栞と琴美。 ある日、栞は轢き逃げ事故に遭い、姉の琴美が務める病院に入院することになる。 そこで初めて知る、琴美の婚約者の存在。 彼らの逢引きを確保するために利用される栞と外科医の岡。 「二人で自由にならないか?」を囁かれて……。

溺愛のフリから2年後は。

橘しづき
恋愛
 岡部愛理は、ぱっと見クールビューティーな女性だが、中身はビールと漫画、ゲームが大好き。恋愛は昔に何度か失敗してから、もうするつもりはない。    そんな愛理には幼馴染がいる。羽柴湊斗は小学校に上がる前から仲がよく、いまだに二人で飲んだりする仲だ。実は2年前から、湊斗と愛理は付き合っていることになっている。親からの圧力などに耐えられず、酔った勢いでついた嘘だった。    でも2年も経てば、今度は結婚を促される。さて、そろそろ偽装恋人も終わりにしなければ、と愛理は思っているのだが……?

【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

椿かもめ
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。 【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】 ☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆ ※ベリーズカフェでも掲載中 ※推敲、校正前のものです。ご注意下さい

【完結】あなた専属になります―借金OLは副社長の「専属」にされた―

七転び八起き
恋愛
『借金を返済する為に働いていたラウンジに現れたのは、勤務先の副社長だった。 彼から出された取引、それは『専属』になる事だった。』 実家の借金返済のため、昼は会社員、夜はラウンジ嬢として働く優美。 ある夜、一人でグラスを傾ける謎めいた男性客に指名される。 口数は少ないけれど、なぜか心に残る人だった。 「また来る」 そう言い残して去った彼。 しかし翌日、会社に現れたのは、なんと店に来た彼で、勤務先の副社長の河内だった。 「俺専属の嬢になって欲しい」 ラウンジで働いている事を秘密にする代わりに出された取引。 突然の取引提案に戸惑う優美。 しかし借金に追われる現状では、断る選択肢はなかった。 恋愛経験ゼロの優美と、完璧に見えて不器用な副社長。 立場も境遇も違う二人が紡ぐラブストーリー。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

オオカミ課長は、部下のウサギちゃんを溺愛したくてたまらない

若松だんご
恋愛
 ――俺には、将来を誓った相手がいるんです。  お昼休み。通りがかった一階ロビーで繰り広げられてた修羅場。あ~課長だあ~、大変だな~、女性の方、とっても美人だな~、ぐらいで通り過ぎようと思ってたのに。  ――この人です! この人と結婚を前提につき合ってるんです。  ほげええっ!?  ちょっ、ちょっと待ってください、課長!  あたしと課長って、ただの上司と部下ですよねっ!? いつから本人の了承もなく、そういう関係になったんですかっ!? あたし、おっそろしいオオカミ課長とそんな未来は予定しておりませんがっ!?  課長が、専務の令嬢とのおつき合いを断るネタにされてしまったあたし。それだけでも大変なのに、あたしの住むアパートの部屋が、上の住人の失態で水浸しになって引っ越しを余儀なくされて。  ――俺のところに来い。  オオカミ課長に、強引に同居させられた。  ――この方が、恋人らしいだろ。  うん。そうなんだけど。そうなんですけど。  気分は、オオカミの巣穴に連れ込まれたウサギ。  イケメンだけどおっかないオオカミ課長と、どんくさくって天然の部下ウサギ。  (仮)の恋人なのに、どうやらオオカミ課長は、ウサギをかまいたくてしかたないようで――???  すれ違いと勘違いと溺愛がすぎる二人の物語。

苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 当たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏  24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 恋愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』 ***** 表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101

処理中です...