年上幼馴染の一途な執着愛

青花美来

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第三章

看病-1

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それから一週間後。
日向からようやく仕事が一段落したと連絡が来て、今日の夜に食事に行く待ち合わせをしていた。

今日、日向に返事をするんだ。
そう意気込んでいたら緊張しすぎてあまり寝られなかった。
寝不足だからか、なんとなくだるい気がしたけれど仕事はしっかりこなしたい。
いつも以上に気合いを入れて出勤した。

──しかし。


「あれ? なんか秋野さん、顔赤くない?」

「……え?」

「大丈夫? 具合悪いんじゃない?」

「へ、平気です……」

「ご飯食べた?」

「いえ……なんか食欲無くて……」


出勤して業務を開始して数時間。ランチから戻ってきた真山さんが、デスクでぼーっとしてる私の額に手を当てる。


「え!? あつっ! 秋野さん、これ熱あるよ!」

「え? うそ……」

「嘘じゃないよ、熱いって。今体温計持ってくるから、熱測ってごらん」

「はい……」


確かに、朝よりもだるさが酷くなっているし頭痛もし始めていた。
寝不足のせいだと思っていたけれど、もしかして違った……?
真山さんに渡された体温計を脇に刺すと、ものの数分で音が鳴る。
見てみると、
【38.6】と表示されていて驚いた。


「うっそ……」

「あちゃー……これは高いね。今すぐ帰りなさい」

「でも……」


仕事も終わってないし、何より今日はようやく日向と会える日なのに……。
帰りたくなどなかったけれど、このまま皆に風邪を移すわけにもいかない。
何よりこんな熱で仕事になるわけがない。


「ちょっと部長に言ってくるから待ってて」

「すみません……」


真山さんはそのまま部長のところへ行き、私の早退の許可をもらってきた。


「タクシー呼ぼうか?」

「……いえ、大丈夫です」

「そう? 本当に大丈夫?」

「はい」

「わかった。ゆっくり休みな」

「何から何まですみません。ありがとうございます」


熱があるとわかると、なおのこと具合が悪くなった気がする。
身体が重くなってきて、寒気までしてきた。
病院か……家でひたすら寝ているべきか……。
その前にまず日向に連絡入れないと……。
鞄に荷物を入れて、コートを着て立ち上がる。


「……本当に大丈夫?」

「はい。大丈夫です。ご迷惑おかけしてすみません」

「それは気にしないで。ゆっくり休んで」

「ありがとうございます。お先に失礼します」

「うん。お疲れ様。お大事にね」


真山さんに挨拶してフロアを出る。
エレベーターに乗ってエントランスから外に出たところで、日差しの眩しさにくらりと眩暈がした。

あ……これ、やばい……。

ふっと意識を失いそうになって倒れそうになる。


「──っと、秋野さん? 大丈夫か?」

「え……」


しかし誰かに身体を支えられ、驚いて顔を上げた。


「あ……浅井さん」


そこには怪訝そうな表情の浅井さんの姿があった。


「どうした? フラフラして」

「いえ、ちょっと熱があって早退するところで……」

「え、熱!? 大丈夫?」

「はい、大丈夫です……」


浅井さんにお礼を言ってその場を立ち去ろうとするものの、また熱が上がってきたのか足がふらつく。
やっぱり真山さんの言うとおりタクシーで帰るべきだったか。
今からでも電話して呼んだ方がいいかな……。
そう思っていると、


「今車回してくるから、ちょっと待ってて」


浅井さんがそう言ってその場を離れた。
今、浅井さんなんて言った?
車回す?いや、どうして?
考えている間に、社用車が一台横付けされた。


「秋野さん、乗って」


運転席から降りてきた浅井さんが、私を支えながら助手席に乗せてくれる。


「浅井さん、なんで……」

「俺、今から外回り行く予定だったんだ。ロビーのトイレ寄ってから行こうと思ったら秋野さんがぶっ倒れそうになってたから。外回り行くついでに家まで送るよ」

「でも、そんなの悪いです」

「そんなふらふらな状態で何言ってんだよ。目の前で熱で倒れそうになってる子一人で帰すとかどう考えてもありえないでしょ」


浅井さんはそう笑って、私にシートベルトをつけてくれる。
その足で運転席に戻った。


「住所だけ聞いてもいい?」

「あ、はい……」


アパートの住所を伝えると、浅井さんはナビにそれを打ち込んですぐに発進した。


「秋野さん、大丈夫?」

「はい……」


車に揺られてると、いつもは酔わないのに熱のせいなのかなんだか気持ち悪くなってくる。
窓を開けてくれた浅井さんにお礼を言いながら、外の空気を吸うべく深呼吸を繰り返した。


「急いで向かうからね、寝ててもいいから、もう少し頑張って」

「ありがとうございます……」


その言葉通り、浅井さんは最短ルートで向かってくれてすぐに自宅アパートに着いた。


「本当に手貸さなくて大丈夫? 一人で行けるの?」

「はい。大丈夫です。送っていただいて本当に助かりました。ありがとうございました」


車を降りて、丁重にお礼を告げてからアパートに入る。
部屋に入るとメイクを落とす気力もなくて、とにかくベッドに横になる。
薬も飲まなきゃいけないし、そのために先に何か食べないといけないのに動きたくない。
でも水分補給だけはしないと……。
鞄に入ってるお茶を出して、それを飲んでから今度はスマホを取り出した。


"ごめん、熱出た。会社早退しました。今日行けそうもない。せっかく時間空けてくれたのに、ごめんね"


日向にそうメッセージを送り、枕元に置いて布団の中に潜り込む。

あれ、玄関の鍵かけたっけ……確認、しなきゃ……。

そう思うのに、瞼はどんどん重くなる。
いつのまにか、私はそのまま眠ってしまっていた。



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