ジャンヌ・ダルクがいなくなった後

ジャンヌの快進撃

歴史はこう語る。

ドンレミ村の農民の娘ジャンヌは、敬虔なカトリック信者で、12歳の時に王太子シャルル（後のシャルル7世）を助けてイングランドに占領されていたフランス領を奪還せよという神の「声」を聞いたという。

そして、16歳の時にシノンを訪れ、シャルルに神の言葉を伝える。

これを信じたシャルル王太子は、イングランド軍に包囲されて陥落寸前だったオルレアンへジャンヌを派遣し、オルレアン解放の任にあたらせた。

シャルルとマリーの母ヨランドは、戦も何もしらない少女に派兵軍との同行と騎士の軍装の着用を認めた。

オルレアンでは古参指揮官たちから冷ややかな態度で迎えられたが、わずか9日間で兵士の士気を高め、包囲網を突破し、オレルアンを救うことに成功した。
ジャンヌは、「オレルアンの乙女」として、徐々にその名声を高めていった。


そしてジャンヌは続く重要ないくつかの戦いの勝利にも貢献し、劣勢を挽回した。ついに、シャルル7世はランスへ赴き、ノートルダム聖堂で正式にフランス王として戴冠式を挙行したのである。

戴冠式の絵には、シャルルを見守るジャンヌの姿が描かれている。




ジャンヌがいれば、フランスのすべてを取り戻せる。

皆は信じて疑わなかった。

しかし、その知らせは突然もたらされた。


「…ジャンヌが捕縛された？」


ジャンヌが敵方に落ちたと伝令が泣きながら告げたのである。