183 / 450
第12章 -廃都フォレストトーレ奪還作戦-
†第12章† -04話-[動き出す瘴気]
しおりを挟む
〔手前50体は瘴気の鎧だけ剥がしてそのまま抜けさせてください〕
「了解。後続40はこっちで対処する」
〔お願いします〕
選手交代して戦闘を開始したのが日の入りだったが、
それからずっと戦い続けて山向こうからは日の出が見え隠れしている。
「《光竜一閃!》」
魔力多め、斬撃大きめに撃ち放つと予定通りの集団がすっぽんぽんになって俺たちの真下を通り抜けてリッカとアルシェが待機する後方へて突撃して行った。
俺とアクアの視線は俺たちが叩く必要のある次の集団に定められる。
「《星光よ煌やけ!星光天裂破っ!》」
夜ほど映えなくなった光の柱によって低ランクが脱落。
続けて耐えた個体と脇から抜けてきた瘴気モンスターに上空から強襲して蹴散らしていく。
もうね。
夜中の間ずっと同じ対応をしていればルーティーンとなるんだよ。
ゲームのレベル上げと大して変わらん。
大攻撃で粗方を潰せば中攻撃と小攻撃でなんとでもなる理由は単純で、
ダンジョンに出るモンスターは単純に視認した人間に襲いかかる。
外の世界に出る魔物は野生で生きているだけあって無闇に襲ってこない。
そして瘴気モンスターは凶暴性が無駄に上がっている所為で我武者羅に生き物へと突進を繰り返す。
よって、慣れれば瘴気モンスターほど楽な戦闘は無い。
〔クリア〕
「こっちも終~わりっと・・・」
地上を掃討すれば再び空へと逃げる。
『ますたー、アクア眠くなってきたよぉ~』
「もうちょっとだけ耐えな。
冬の日の出だからおそらく7時くらいだから、
もう1~2時間もすれば光球を消しても問題はなくなるし、
兵士達の交代もその辺だろうからな」
『あい~』
まぁ交代前になればメリーかクーのどちらかから連絡が入ると思う。
そういう気遣いの出来る奴らだ。
「隷霊のマグニは様子見をしてるのか・・・?
初日が一番イレギュラーに弱いだろうになんで禍津核を使ってこない?」
『使わない理由ってな~に?』
「数が限られているか、
精霊を捕まえられていないか、
もっと時間を掛けて今の瘴気モンスターに慣れたところで効果的に使うか、かな?」
不気味な感じがしない。
なのに以前使った手札をまだ切らないという選択の意味がわからない。
『ん~、精霊は捕まえようと思えば捕まえられると思うよぉ~?
魔神族っていっぱい居るよねぇ~?』
「いまのところは5人確認できていて、
6人目がいるかもって程度だけど10人以上はいると考えておくべきだ。
確かにあの強さなら捕まえるだけなら手はいくらでもあるだろうな」
『だから1番と3番がアクア的には怪しいかなぁ~って。
数が少ないから効果的に使いたいんじゃな~い?』
「効果的って場面がどういう時かわからん。
今のままだとずっと状況は変わらず確実に前進出来るからな」
向こうから俺たちを見てんのか?
何が知りたい?
何を待っている?
何もアクションを起こさないは起こさないで不安になるなぁ、おい。
「次、少し多めで140程度」
〔半分で行きましょう〕
「了解!《光竜一閃!》」
『《アイシクルエッジ!》《アイシクルバインド!》』
集団とはいえ横一線という訳では無い。
まぁだいたい一閃一回で40~50の瘴気が剥ぎ取られ、
若干足の動きも悪くなる。
今回最初に当てたのは俺たちが相手をする必要のある後方陣。
さらに追い打ちでアクアが足止め用に魔法を放てば分断は完了だ。
「《光竜二閃っ!》」
今度はアルシェたちが相手をする前の集団だ。
一閃では剥がし切れないなら二回一閃を放てば良い。
とりあえず剥がしさえすればリッカとアルシェでどうにでもなるから、
俺たちは再び足止めされた集団に大攻撃をブチかます。
「《星光よ煌やけ!星光天裂破!!》」
チラリ。
空の戦闘はマリエルの代わりにフリューネが戦っている。
彼女たちほど積極的では無く、
俺の周囲から付かず離れずの距離を保つ位置取りで飛行瘴気モンスターをデカイ図体から放つ攻撃で近づく敵を作業のように殺していく。
いやぁ、人材不足だね。
『《氷鮫の刃!》《勇者の剣アサルト!!》』
「《ストーンサイクロン!》」
風と土の合成魔法[ストーンサイクロン]。
新しく手に入れたスキル[魔道拡張]によって魔法を合わせるのに時間が掛からなくなったのは本当に楽だな。
まぁ星光天裂破に比べれば範囲は狭いし威力も低い。
瘴気の鎧を纏っていない低ランクなら範囲内の四割が倒せる程度。
ついでに言えばランク5に対しては効果は薄い。
「やっぱり魔法は龍の魔石が使える水氷属性の方が高威力にまとまるな」
『終わったら土と光の龍に会わなきゃねぇ~』
「間に合わなかったからしゃ~ない」
アクアとの束の間の雑談。
チリッ・・・。
その時、嫌悪感が走った。
何だ?首筋に嫌なザラ付きを感じた?
手を首に当てても何も無い。
『(ぬし様!ベル、すっごく気持ち悪いですっ!)』
〔お兄ちゃんっ!テルナローレがすっごい騒ぎ出したんだけどっ!?
もぅ!ちょっと静かにしてよっ!!〕
「こっちもベルが騒ぎ出してる!スィーネは周辺警戒!」
〔わかったわ〕
何だ?何が起こっている?
騒いでいるのは光精だけ?
他の光精はどうなっている!?
「アルシェ!光精だけが何かを感じ取っている!何かが起こるかもしれん!
ギルマスと勇者から情報を集めろ!
あとフラムとベルをこっちに向かわせてくれ!」
〔わかりました!〕
「《コール!》強制接続!ALL!」
ポポポポポポポポポポポポポロン♪
受信者がYESを選択するかと問われるまでもなく強制的に繋がっていく。
「全員集合っ!!戦争を再開するぞっ!!」
光精が興奮して騒いだだけならまだいい。
だが、本当にヤバい状況になる前兆ならこの兆しを無視してはいけない。
どうせ休んで十分疲れは取れているだろう。
ぐっすり眠った奴らの朝食を食う時間が無くなるだけで機を失わずに済むなら安い物だ。
* * * * *
〔状況確認出来ました!〕
「報告頼む」
呼びかけが済んだとしても集まるには時間が掛かる。
その間にアルシェが集めた情報を聞いて各国の状況を確認する。
〔各国の光精はテルナローレさん同様様子がおかしいとの事です。
エクスさんの言では瘴気が混ぜ込まれているような今にも爆発しそうな気配だとか。
おそらく・・・〕
「一気に沸くか?」
〔可能性は高いらしいですね〕
ベルも肩の上で踊って・・・いや、慌てている。
まさかここで動き始めるとは思わなかった。早すぎる。
空も地上もまだまだ距離があるんだから、
上手くいっても今日中に城下町の壁に着けるかどうかだぞ?
最悪はなんだ?
空と地上で一気に沸くとして各国に5万くらいか?
今までは1万程度をコンスタントに沸かせていたからなんとでもなっていたが、
5万なら流石に手が回らない。
俺とマリエル、空が攻撃できる七精の門はそっちに集中せざるを得ない。
地上も将軍が全面に出なければ瓦解する部分が出てくるだろう。
他には・・・俺なら禍津核を出すか。
知っている敵の驚異度で言えば上から2番目だしな。
コイツは最低でも5万の中に1万は出せたらどこかが瓦解する一助になる。
魔神族が出てくれば話は全部ひっくり返るけどな。
1人出てきた場合はとりあえず俺が相手をするつもりではあるが、
周囲への影響も出て状況が膠着して敵に攻められ放題になるかな?
〔お兄さん、まとまりましたか?〕
「とりあえずはな・・・」
俺はアルシェに想像を伝える。
「アスペラルダは龍の欠片を使えば大きく傾くことは無い。
魔神族にも効く威力の攻撃を瘴気禍津核が耐えられるとは思えない。
耐えた個体は各個撃破する」
〔他国はどうしましょう〕
「正確な戦力がわからないからなぁ。
ユレイアルド神聖教国はなんとかなると知っているが、
アーグエングリンはどうなんだろうな。
防御に自信があっても長引けば2陣3陣で覆るぞ」
〔アインスさん経由で確認を急ぎます〕
「頼む」
チリリッ・・・ゾクッ!
首筋を走る不快感が強くなっていると感じていた。
しかし、今のは・・・っ!
「沸いたぞっ!!馬鹿ども!急げっ!!」
「間に合った!!」
「間に合ってねぇっ!!!」
続々と朝番の連中が出勤して駆け込んでくるが、
すでにフォレストトーレでは誰の目にも見える形で瘴気が変な膨らみ方をしていた。
あれじゃあ沸くというより生まれるって感じだな。
「アクア、お前はアルシェと一緒に戦ってくれ」
『え!?ますたーどうするの~?』
『ボクがマスターに着いていくですよ』
「遅くなり申し訳ありません、ご主人様」
『お父さまっ!』
メリーに連れられてクーとノイが到着した。
「そういうこと。
ただ、剣だけは今創って制御権をくれ」
『わかった~!《竜玉!》《お魚さんソード!》』
「メリー、マリエルとニルは?」
「もう間もなく・・・あ、来られましたね」
気配で空を見れば確かにマリエルとニルが一緒に飛んでこちらにやってきた。
呼吸の様子から朝食と準備運動の時間は取れていたらしい。
「お、遅くなりましたっ」
『準備は万全ですわー!怒らないでくださいなー!』
お口がムニャムニャしとる。
怒ってます?怒ってますか?って顔をするんじゃない。
「状況が急変したから収集しただけだから怒りゃあせん。
マリエルとニルはアルシェの護衛に付け。
あぁ、アクアも連れて行ってくれ」
「『りょうーかい!』」
『あ~い』
「ボジャ様は途中まで俺たちが連れて行きます。
スィーネと防衛ラインをお願いします」
『あいわかった』
「前に行くのは俺とメリーとクー、ポシェントとリッカ。
他メンバーはアルシェの指揮下に入れ」
「「「「「『『『『『了解!』』』』』」」」」」
指示が終われば全員が動き始める。
ゼノウPTとセーバーPTは少し後方へと戻り、
マリエルとニルは空へと舞い上がった。
『アルカンシェは宗八が守るべき存在ではないのか?』
「アクアを残しているし、
いざとなれば奥の手もあるから死にはしないよ」
ポシェントは前方のフォレストトーレから目を離さずに俺に聞いてきた。
視線の先では瘴気の膨らみが破裂して、
空にも地表にも瘴気モンスターがわんさかと沸いたところだ。
ゾッ!と悪寒が走る。
アスペラルダの兵士も冒険者も各国も動揺の声が朝の冷たい空気の中に轟く。
〔指示が回りました!ご自由に暴れてください!〕
「クーとノイ以外は影の中に入ってくれ!」
前線よりも前に連れ出すメンバーはクーが制御して広がった影に飲み込まれ、
俺は地面を蹴って空へと飛び出す。
フォレストトーレの外壁の多くがモンスターに内側から崩され、
大なり小なりの瘴気モンスターが溢れ出す。
足裏に魔力を集めて魔力縮地で一気に距離を稼ぎ、
敵が広がらないうちに接近を急ぐ。
〔セリア先生もお呼びしますか?〕
「来てもらおう。[弦音]も使えるようになったと聞いているから、
遠距離で全体を牽制してほしい!」
〔ご依頼しておきます。
それとユレイアルド神聖教国はやはりアナザー・ワンが多数いるので対応可能。
アーグエングリンも拳聖が間に合ったので問題ないそうです〕
無尽蔵のゾンビアタックが可能な瘴気モンスターの大群相手では、
如何な防御に自信のあるアーグエングリンでも厳しいかと思っていたが、
どうやら俺の知らぬ間に[土の拳聖]が到着していたらしい。
保有国が土の国なのを意識してそう呼ばれている獣人だ。
種族はティンダーコレオ。
崖をも登る強靱な爪に強靱な筋肉で構成された肉体、
そして大型獣人なのに素早さがバニーやキャットに劣らないという化け物。
こいつがいるなら最悪他は守っていれば殲滅してくれると期待するまである。
あくまで強さは噂でしか知らないがな。
「クー、ボジャ様を!あとテルナローレに魔力接続で供給を開始しろ!
フリューネ達もここで制空権を確保してくれ!」
『はいっ!』
『わかったよ』
『守りは気にするでないぞっ!』
「わかりました、お願いします!」
俺の後を追って低空飛行をしていたフリューネとその上に居たフロスト・ドラゴン。
空はこいつらが征してくれれば地上に集中できる。
同時にクーは影を広げてボジャ様を影の中から外へと導き、
ボジャ様からもお言葉をいただいた。
「《来よ》《水竜一閃っ!》」
水精の防衛ラインからまた一息に魔力縮地でフォレストトーレへと近づいた。
もう目と鼻の先。
厄介な餌としてはここいらで戦った方がいい。
そんな位置を定めた俺は龍の魔石を呼び出して躊躇無く斜めに斬り落とす。
『お待たせしましたお父様、全員排出します!』
『《グランドウェポン!》シフト:ガントレット!』
街への被害を最小限に抑えた一閃は、
敵のランクなんて関係なしに全てを文字通りなぎ払った。
大量の敵の一部が居なくなっても、
今の攻撃に反応した多くの瘴気モンスターが俺の元へと走り出す。
「《一ノ型:風花抜き》」
『《アイシクルランス!》』
しかし、近づこうと動いたモンスターは、
影から飛び出すように出てきたリッカ、そしてポシェントが蹴散らしてくれた。
「互いをフォロー出来て且つ邪魔にならないように広がって対応!
テルナローレは浄化をし続けろ!
クーはメリーと合流して戦列に加わってくれ」
〔噂通り宗八さんは精霊使いが荒いですねっ!
ずっとやってますよ!ずっっとねっ!〕
宗八さんとか聞き慣れなくて耳がゾワゾワするわ。
あと本当にごめんね。
確かに夜も受肉してないから本当に丸一日以上働かせっぱなしなんだよね。
クーはメリーの元へと急いで走って行き無事に合流を果たし・・・。
「『《ユニゾン!》』」
二人は新たに手に入れたスキルを発動させる。
その名は[ユニゾン]。
アルシェもレベルが50になってから同じく手に入れたスキルだが、
内容としては俺達の精霊纏とはコンセプトが反対であることがわかった。
つまり、精霊纏は精霊を外に纏うのに対し、
ユニゾンは精霊を内に取り込んで一体化する物だ。
というか、そもそも精霊纏はスキルでは無い。
当時はかなり慎重に調整して契約精霊の善意の元に完成した[技術]なのだ。
ステータスの上昇率も技術とスキルでは差がある。
あんなに頑張ったのに酷いよ神様ぁ・・・。
メリーの胸元へクーが飛び込むと闇光を伴って体の中にそのまま消えていく。
花が咲くようにパッと胸元から黒い波紋が広がり、
通り過ぎた後のメリーの姿に朝日が反射する。
彼女の髪の色は銀色に変貌を遂げていた。
* * * * *
「こちらで前に出て量の調整は始めました。
兵士が無理しないうちに量以外の変化点の洗い出しをお願いします」
〔はい、対応ありがとうございます。
急ぎ確認と連携を図ります〕
お兄さんたちが対処に前進し、
戦闘が始まったのを視界に抑えながらアインスさんとの通話を切る。
今のところ確かに大型モンスターも同時沸きしているにも関わらず、
まるで様子見をしているように小型ばかりが全面に出ている印象を受けます。
「一番近い位置取りをしているお兄さんたちが受け止めたとはいえ、
アスペラルダ方面の全体量から見れば何割かですからね。
大型が動く前に情報の周知が間に合えばいいんですけど・・・」
『クー達もユニゾンで戦い始めたから、
囲まれても問題ないと思うんだけどねぇ~。
どっちかと言えば浄化が間に合って無いように見えるよねぇ~?』
そもそも戦場がこれほど広いのに、
各国光精二人と無精使いだけで対応するには規模が大きすぎる。
+αでお兄さんや勇者様が頑張っても火に油といった感じを受ける。
それほどに今回の大規模沸きは手が回っていないのだ。
空はブルー・ドラゴン様が対応しているし、
魔力供給のタンク役はそのお供であるフロスト・ドラゴン様が担当してくださっています。
フリューネ様が動く際に使用する魔力は魔石を咥えているので、
そちらからご自身で供給されています。
継続戦闘は問題なさそうですね。
「そろそろこちらも戦闘に参加しましょうか、アクアちゃん」
『あい!じゃあユニゾン行くよぉ~!』
アクアちゃんが合図と共に胸に飛び込んでくる。
あぁ、この万能感は本当に危ないですね。
胸元から光が広がっていき通り過ぎた後は元の服から変化して、
見た目はアクアちゃんの使う氷纏後のドレスアーマー。
それが人間サイズ、大人用に成長したって感じの見た目で、
自分の鎧姿に少し照れてしまう。
服の変化が終われば次は髪だ。
根元から私の薄水色の髪はアクアちゃんの瑠璃色へと変わっていく。
それに、最近は伸びてきて肩で整えていた髪の長さも変わり、
現在のアクアちゃんの髪型であるボリュームのある髪型へと変化した。
お兄さん曰く「プリキュアで見たことあるな・・・、HUGっとの青い奴の髪型だ・・・」とのこと。
私はそのプリキュアとやらを知らないのでなんとも言えませんでしたが、
実際の髪ではないのかボリュームに比べれば断然軽い為、
動きに支障が出なければ問題ないでしょう。
「アクアちゃん、レンズは左目だけでお願い」
『あ~い』
「全員戦闘用意!
今回は数が数なので2PTをひと括りで対処を行います。
前衛は中心にセーバー、左にゼノウとライナー。
右にノルキアとディテウス。後方は前衛の隙間から精密射撃で四肢を撃ち抜いてください!」
〔〔〔〔了解〕〕〕〕
「お兄さんも光精テルナローレも全部の瘴気を祓うことは出来ていません。
私も浄化の手段は持ち合わせていますから、
全力で事に当たってください」
単体でも十分強いメンバーはお兄さんが連れて行ってしまいました。
こちらに残る戦力は私とアクアちゃん、護衛にマリエルとニルちゃん。
そして七精の門メンバーのゼノウPTとセーバーPT。
漏らした敵のみが襲いかかってくるとはいえ、
昨日の3~4倍の数が同時に襲いかかってくるのだから一つのミスが命取りですね。
「《聖水》セット:アイシクルアンカー」
『魔力はアクアの魔石から賄うねぇ~』
「もう2つアンカーを出せるようになっていれば攻撃も自動で出来たのになぁ・・・」
『面倒が少しでも減ってるんだから今は満足しないとねぇ~』
新魔法[聖水]。
お兄さんが行っていた別属性同士を掛け合わせる技術から、
水魔法と光魔法[ライトボール]を合わせて瘴気を浄化できる使い勝手の良い魔法の開発を進めた結果生まれた魔法。
アクアちゃんは各地で見つけた水を飲んでいたので、
ノイちゃんの鉱石のように色んな種類の水と掛け合わせては実験を繰り返して、
やっとのこと適正の高い水を見つけた。
それが純水。
お兄さん曰く「不純物の無い水で雷などを防ぐことも出来る」とのこと。
なんでも魔神族対策として必死に探して飲ませていたらしい。
ともかくこの聖水。
他の属性もお兄さんはこれを参考にしてさっさと新魔法を創ってしまった。
スキル[魔道拡張]の効果凄すぎませんか?
『ますたーはユニゾンを羨ましがっていたよぉ~?』
「フフフ、お互いにままなりませんね」
今回は槍ではなく新しい杖をお披露目しましょう。
■装備■ ※○は強化空枠、●は強化済枠
杖 :ブライニクルエスト ◇強化:●○○ ◇入手経路:頂き物
希少度 :激レア
要求ステ:STR/36 INT/60 VIT/40 MEN/64
ステ増減:INT+12/MEN+12
特殊効果:魔法攻撃力補正+20%/最大MP30%UP/MP自然回復2/万能属性
うぅ~ん、強い。
激レアってだけでも手にするのに震える程なのに、
お兄さんったら魔法ギルドから戻ってきてこんな物をくださるなんて。
なんですかコレ?
要求ステータスが杖カテゴリで見たこともないくらい高いし、
元からステータス増加がINT+10/MEN+10なのに教国で強化してさらに伸びているし、
特殊効果も上位効果ばかり・・・。
時間がなくて最大強化が間に合わなかった、ごめん?
いまさら最大強化でさらに+4されても、ね。
まぁマリエルも同じく[黒曜]っていう武器を受け取っていて、
メリーも[グラグオルク]という短剣を受け取っていた。
ちょっと喜色の気持ちに引っ張られてクルクルと杖を回して構える。
格好つけすぎかな?
先端には大きな魔石が付いているから一応この杖も属性武器に入るのかしら?
でも、特定の属性って付いてないんだよね?万能属性って結局なんだろ。
『敵ぃ~せっきぃ~ん!』
「聖水、自動射撃開始!
《勇者の剣》」
『《竜玉シフト:スナイプ》』
「『ファイヤー!』」
まずは動きの速いバンダールクアールとレッサートレントドッグ。
瘴気の影響を受けて体からは黒紫のオーラと紅い瞳。
お兄さん達は瘴気モンスターに囲まれていて、
攻撃に加わる隙がなかったモンスターがこちらへとお鉢が回ってきている。
聖水着弾。瘴気のオーラは問題なく剥がされた。
次弾、私の勇者の剣とアクアちゃんがそれぞれの四肢を狙い撃ちそれぞれが前足を失い地面をスライドする。
「トワイン!モエア!」
〔〔《強弓!》〕〕
指示の間にも次々と聖水と攻撃魔法を打ち続ける。
やはり夜に比べるとお兄さんたちが抑えて尚300体近くが押し寄せる。
それに間隔がかなり短い。
倒しきっても本当に一息だけしか休憩を取れない。
お兄さん達は抑え役だから連携できていても休む時間を作るなんて出来ないですよね・・・。
5・・13・・30・・56・・81ウェーブ・・。
攻撃力、魔力量、制御力どれも自分で考えていたより長期戦が厳しい。
大きいのは・・・まだ動かない。
今のうちにこの攻勢に余裕を持てるようにしないと。
理由はわかっている。
優先順位が選びづらいからだ。
ただのシンクロならアクアちゃんと合わせて視界が2つあるから視野が広い。
ユニゾンは完全に一体化する為視野は私の1つのみ。
だからこの程度で少し焦る。焦りはマイナスでしかない。
ステータスで言えば約2倍になるユニゾンと、
視野や思考を広く出来るシンクロを上手く選べるようにならないと今後はみんなの足を引っ張る事になる。
だから今はごめんなさい。
ユニゾンの扱いに慣れるまで。
私が指揮官として成り立つまでもう少し待ってください。
「それにしても多いですね」
世界に広まる汎用魔法は一対多に弱い。
中級からは確かに範囲魔法も出てくるけれど、
せいぜいが目の前の5体程度を想定している。
上級に至っては広範囲攻撃しか無いのに入手率が低すぎる為、
こんな戦争が起こったときでも効率的に敵の数が減らせないでいる。
「もっとこう・・・」
『《フロストコメット!》』
「え?」
一瞬。一瞬です。
確かに一瞬思い浮かんだこんな攻撃が出来ればなぁというイメージ。
それがアクアちゃんの聞き覚えの無い詠唱の後に視界に具現化して発動していました。
私の魔石の魔力が敵の集団の真上に流れていく。
魔力は氷の礫となりクルクルと回りながら徐々に大きさを増していく。
やがてそれは龍の巣で見かけた流氷のような巨大な塊となって、動きを、止めた。
『えい♪』
その声に浮かぶイメージはアクアちゃんが可愛らしく何かを叩き落とす姿。
「あ!全員後退っ!」
落下を始めた氷塊は勢いも凄まじく、
落ちた衝撃で地表には吹雪が衝撃はとなって広範囲に広がる。
綺麗な円形。それが定められたこの魔法の範囲らしい。
その円の中で氷塊を中心に冷気の爆発が起こる。
「うわっぷ」
『威力弱めたのにぃ~!』
爆発の所為で氷点下の冷気が突風と成って吹き荒ぶ。
「アクアちゃん、今のは何?」
『アルがイメージしたでしょ~?こんな魔法が欲しいなって』
確かにイメージはした。
けれど、私たちが使うオリジナル魔法も魔法式や魔法陣を組み上げて創っている。
なのに今のは何?
はっ!
「今のがお兄さんが言ってた精霊魔法!?」
『正解ぃ~!
シンクロ中のパートナーがイメージをしてアクア達精霊が一時的に使う魔法だよぉ~』
これが噂の精霊魔法かぁ-!
精霊魔法は2種類ある。
ひとつは今回の一時的にイメージを実現させる魔法、
もうひとつは制御力だけで使う魔法の事だ。
「今までお兄さんは広範囲攻撃を欲しいとイメージしなかったの?」
自分の事は棚に上げてとりあえずいつも一緒のお兄さんを例に聞いてみる。
『ますたーは魔法戦より肉弾戦だも~ん。
創らせるのも自分一人で使うものばかりだからねぇ~』
「それもそうですね。
じゃあ今回初めて広範囲攻撃を創ったわけですね」
『大魔法を除けばだけどねぇ~』
アレは広範囲とかそんな規模じゃ無いもん。
下手したら国を落とせちゃう可能性すらあるもん。
〔100以上倒しちゃったぞ・・・姫様パねぇ・・・〕
〔もう追いつこうとか考えちゃ駄目な感じよね〕
〔クランリーダーがリーダーなら嫁も嫁だな〕
「ま、まだ嫁じゃ無いですっ!!妹ですから間違えないでくださいっ!!」
〔あ、ヤベ。浄化作業に入りまーす〕
発言内容に焦っちゃって誰が言ったのか把握できなかった・・・。
まだだもん。相手にすらしてもらえてないもん。
「ごほんっ!退避指示が遅れて申し訳ありません。
連携を潰さないレベルの支援を検証しながらの戦闘が続きますので先に謝罪いたします。
安定したら兵士や冒険者の支援も始めますので都度指示します」
〔〔〔〔了解・・・ぷっ〕〕〕〕
くっ・・・!
と、とにかく精霊魔法の有用性を改めて認識しました。
今まで失念していたけれどこれを利用しない手はないですね。
広範囲魔法を今のうちに調整して仲間に迷惑が掛からず、
尚且つ小出しで危なげなグループへの支援が出来る魔法を見つけ出さないと・・・。
「了解。後続40はこっちで対処する」
〔お願いします〕
選手交代して戦闘を開始したのが日の入りだったが、
それからずっと戦い続けて山向こうからは日の出が見え隠れしている。
「《光竜一閃!》」
魔力多め、斬撃大きめに撃ち放つと予定通りの集団がすっぽんぽんになって俺たちの真下を通り抜けてリッカとアルシェが待機する後方へて突撃して行った。
俺とアクアの視線は俺たちが叩く必要のある次の集団に定められる。
「《星光よ煌やけ!星光天裂破っ!》」
夜ほど映えなくなった光の柱によって低ランクが脱落。
続けて耐えた個体と脇から抜けてきた瘴気モンスターに上空から強襲して蹴散らしていく。
もうね。
夜中の間ずっと同じ対応をしていればルーティーンとなるんだよ。
ゲームのレベル上げと大して変わらん。
大攻撃で粗方を潰せば中攻撃と小攻撃でなんとでもなる理由は単純で、
ダンジョンに出るモンスターは単純に視認した人間に襲いかかる。
外の世界に出る魔物は野生で生きているだけあって無闇に襲ってこない。
そして瘴気モンスターは凶暴性が無駄に上がっている所為で我武者羅に生き物へと突進を繰り返す。
よって、慣れれば瘴気モンスターほど楽な戦闘は無い。
〔クリア〕
「こっちも終~わりっと・・・」
地上を掃討すれば再び空へと逃げる。
『ますたー、アクア眠くなってきたよぉ~』
「もうちょっとだけ耐えな。
冬の日の出だからおそらく7時くらいだから、
もう1~2時間もすれば光球を消しても問題はなくなるし、
兵士達の交代もその辺だろうからな」
『あい~』
まぁ交代前になればメリーかクーのどちらかから連絡が入ると思う。
そういう気遣いの出来る奴らだ。
「隷霊のマグニは様子見をしてるのか・・・?
初日が一番イレギュラーに弱いだろうになんで禍津核を使ってこない?」
『使わない理由ってな~に?』
「数が限られているか、
精霊を捕まえられていないか、
もっと時間を掛けて今の瘴気モンスターに慣れたところで効果的に使うか、かな?」
不気味な感じがしない。
なのに以前使った手札をまだ切らないという選択の意味がわからない。
『ん~、精霊は捕まえようと思えば捕まえられると思うよぉ~?
魔神族っていっぱい居るよねぇ~?』
「いまのところは5人確認できていて、
6人目がいるかもって程度だけど10人以上はいると考えておくべきだ。
確かにあの強さなら捕まえるだけなら手はいくらでもあるだろうな」
『だから1番と3番がアクア的には怪しいかなぁ~って。
数が少ないから効果的に使いたいんじゃな~い?』
「効果的って場面がどういう時かわからん。
今のままだとずっと状況は変わらず確実に前進出来るからな」
向こうから俺たちを見てんのか?
何が知りたい?
何を待っている?
何もアクションを起こさないは起こさないで不安になるなぁ、おい。
「次、少し多めで140程度」
〔半分で行きましょう〕
「了解!《光竜一閃!》」
『《アイシクルエッジ!》《アイシクルバインド!》』
集団とはいえ横一線という訳では無い。
まぁだいたい一閃一回で40~50の瘴気が剥ぎ取られ、
若干足の動きも悪くなる。
今回最初に当てたのは俺たちが相手をする必要のある後方陣。
さらに追い打ちでアクアが足止め用に魔法を放てば分断は完了だ。
「《光竜二閃っ!》」
今度はアルシェたちが相手をする前の集団だ。
一閃では剥がし切れないなら二回一閃を放てば良い。
とりあえず剥がしさえすればリッカとアルシェでどうにでもなるから、
俺たちは再び足止めされた集団に大攻撃をブチかます。
「《星光よ煌やけ!星光天裂破!!》」
チラリ。
空の戦闘はマリエルの代わりにフリューネが戦っている。
彼女たちほど積極的では無く、
俺の周囲から付かず離れずの距離を保つ位置取りで飛行瘴気モンスターをデカイ図体から放つ攻撃で近づく敵を作業のように殺していく。
いやぁ、人材不足だね。
『《氷鮫の刃!》《勇者の剣アサルト!!》』
「《ストーンサイクロン!》」
風と土の合成魔法[ストーンサイクロン]。
新しく手に入れたスキル[魔道拡張]によって魔法を合わせるのに時間が掛からなくなったのは本当に楽だな。
まぁ星光天裂破に比べれば範囲は狭いし威力も低い。
瘴気の鎧を纏っていない低ランクなら範囲内の四割が倒せる程度。
ついでに言えばランク5に対しては効果は薄い。
「やっぱり魔法は龍の魔石が使える水氷属性の方が高威力にまとまるな」
『終わったら土と光の龍に会わなきゃねぇ~』
「間に合わなかったからしゃ~ない」
アクアとの束の間の雑談。
チリッ・・・。
その時、嫌悪感が走った。
何だ?首筋に嫌なザラ付きを感じた?
手を首に当てても何も無い。
『(ぬし様!ベル、すっごく気持ち悪いですっ!)』
〔お兄ちゃんっ!テルナローレがすっごい騒ぎ出したんだけどっ!?
もぅ!ちょっと静かにしてよっ!!〕
「こっちもベルが騒ぎ出してる!スィーネは周辺警戒!」
〔わかったわ〕
何だ?何が起こっている?
騒いでいるのは光精だけ?
他の光精はどうなっている!?
「アルシェ!光精だけが何かを感じ取っている!何かが起こるかもしれん!
ギルマスと勇者から情報を集めろ!
あとフラムとベルをこっちに向かわせてくれ!」
〔わかりました!〕
「《コール!》強制接続!ALL!」
ポポポポポポポポポポポポポロン♪
受信者がYESを選択するかと問われるまでもなく強制的に繋がっていく。
「全員集合っ!!戦争を再開するぞっ!!」
光精が興奮して騒いだだけならまだいい。
だが、本当にヤバい状況になる前兆ならこの兆しを無視してはいけない。
どうせ休んで十分疲れは取れているだろう。
ぐっすり眠った奴らの朝食を食う時間が無くなるだけで機を失わずに済むなら安い物だ。
* * * * *
〔状況確認出来ました!〕
「報告頼む」
呼びかけが済んだとしても集まるには時間が掛かる。
その間にアルシェが集めた情報を聞いて各国の状況を確認する。
〔各国の光精はテルナローレさん同様様子がおかしいとの事です。
エクスさんの言では瘴気が混ぜ込まれているような今にも爆発しそうな気配だとか。
おそらく・・・〕
「一気に沸くか?」
〔可能性は高いらしいですね〕
ベルも肩の上で踊って・・・いや、慌てている。
まさかここで動き始めるとは思わなかった。早すぎる。
空も地上もまだまだ距離があるんだから、
上手くいっても今日中に城下町の壁に着けるかどうかだぞ?
最悪はなんだ?
空と地上で一気に沸くとして各国に5万くらいか?
今までは1万程度をコンスタントに沸かせていたからなんとでもなっていたが、
5万なら流石に手が回らない。
俺とマリエル、空が攻撃できる七精の門はそっちに集中せざるを得ない。
地上も将軍が全面に出なければ瓦解する部分が出てくるだろう。
他には・・・俺なら禍津核を出すか。
知っている敵の驚異度で言えば上から2番目だしな。
コイツは最低でも5万の中に1万は出せたらどこかが瓦解する一助になる。
魔神族が出てくれば話は全部ひっくり返るけどな。
1人出てきた場合はとりあえず俺が相手をするつもりではあるが、
周囲への影響も出て状況が膠着して敵に攻められ放題になるかな?
〔お兄さん、まとまりましたか?〕
「とりあえずはな・・・」
俺はアルシェに想像を伝える。
「アスペラルダは龍の欠片を使えば大きく傾くことは無い。
魔神族にも効く威力の攻撃を瘴気禍津核が耐えられるとは思えない。
耐えた個体は各個撃破する」
〔他国はどうしましょう〕
「正確な戦力がわからないからなぁ。
ユレイアルド神聖教国はなんとかなると知っているが、
アーグエングリンはどうなんだろうな。
防御に自信があっても長引けば2陣3陣で覆るぞ」
〔アインスさん経由で確認を急ぎます〕
「頼む」
チリリッ・・・ゾクッ!
首筋を走る不快感が強くなっていると感じていた。
しかし、今のは・・・っ!
「沸いたぞっ!!馬鹿ども!急げっ!!」
「間に合った!!」
「間に合ってねぇっ!!!」
続々と朝番の連中が出勤して駆け込んでくるが、
すでにフォレストトーレでは誰の目にも見える形で瘴気が変な膨らみ方をしていた。
あれじゃあ沸くというより生まれるって感じだな。
「アクア、お前はアルシェと一緒に戦ってくれ」
『え!?ますたーどうするの~?』
『ボクがマスターに着いていくですよ』
「遅くなり申し訳ありません、ご主人様」
『お父さまっ!』
メリーに連れられてクーとノイが到着した。
「そういうこと。
ただ、剣だけは今創って制御権をくれ」
『わかった~!《竜玉!》《お魚さんソード!》』
「メリー、マリエルとニルは?」
「もう間もなく・・・あ、来られましたね」
気配で空を見れば確かにマリエルとニルが一緒に飛んでこちらにやってきた。
呼吸の様子から朝食と準備運動の時間は取れていたらしい。
「お、遅くなりましたっ」
『準備は万全ですわー!怒らないでくださいなー!』
お口がムニャムニャしとる。
怒ってます?怒ってますか?って顔をするんじゃない。
「状況が急変したから収集しただけだから怒りゃあせん。
マリエルとニルはアルシェの護衛に付け。
あぁ、アクアも連れて行ってくれ」
「『りょうーかい!』」
『あ~い』
「ボジャ様は途中まで俺たちが連れて行きます。
スィーネと防衛ラインをお願いします」
『あいわかった』
「前に行くのは俺とメリーとクー、ポシェントとリッカ。
他メンバーはアルシェの指揮下に入れ」
「「「「「『『『『『了解!』』』』』」」」」」
指示が終われば全員が動き始める。
ゼノウPTとセーバーPTは少し後方へと戻り、
マリエルとニルは空へと舞い上がった。
『アルカンシェは宗八が守るべき存在ではないのか?』
「アクアを残しているし、
いざとなれば奥の手もあるから死にはしないよ」
ポシェントは前方のフォレストトーレから目を離さずに俺に聞いてきた。
視線の先では瘴気の膨らみが破裂して、
空にも地表にも瘴気モンスターがわんさかと沸いたところだ。
ゾッ!と悪寒が走る。
アスペラルダの兵士も冒険者も各国も動揺の声が朝の冷たい空気の中に轟く。
〔指示が回りました!ご自由に暴れてください!〕
「クーとノイ以外は影の中に入ってくれ!」
前線よりも前に連れ出すメンバーはクーが制御して広がった影に飲み込まれ、
俺は地面を蹴って空へと飛び出す。
フォレストトーレの外壁の多くがモンスターに内側から崩され、
大なり小なりの瘴気モンスターが溢れ出す。
足裏に魔力を集めて魔力縮地で一気に距離を稼ぎ、
敵が広がらないうちに接近を急ぐ。
〔セリア先生もお呼びしますか?〕
「来てもらおう。[弦音]も使えるようになったと聞いているから、
遠距離で全体を牽制してほしい!」
〔ご依頼しておきます。
それとユレイアルド神聖教国はやはりアナザー・ワンが多数いるので対応可能。
アーグエングリンも拳聖が間に合ったので問題ないそうです〕
無尽蔵のゾンビアタックが可能な瘴気モンスターの大群相手では、
如何な防御に自信のあるアーグエングリンでも厳しいかと思っていたが、
どうやら俺の知らぬ間に[土の拳聖]が到着していたらしい。
保有国が土の国なのを意識してそう呼ばれている獣人だ。
種族はティンダーコレオ。
崖をも登る強靱な爪に強靱な筋肉で構成された肉体、
そして大型獣人なのに素早さがバニーやキャットに劣らないという化け物。
こいつがいるなら最悪他は守っていれば殲滅してくれると期待するまである。
あくまで強さは噂でしか知らないがな。
「クー、ボジャ様を!あとテルナローレに魔力接続で供給を開始しろ!
フリューネ達もここで制空権を確保してくれ!」
『はいっ!』
『わかったよ』
『守りは気にするでないぞっ!』
「わかりました、お願いします!」
俺の後を追って低空飛行をしていたフリューネとその上に居たフロスト・ドラゴン。
空はこいつらが征してくれれば地上に集中できる。
同時にクーは影を広げてボジャ様を影の中から外へと導き、
ボジャ様からもお言葉をいただいた。
「《来よ》《水竜一閃っ!》」
水精の防衛ラインからまた一息に魔力縮地でフォレストトーレへと近づいた。
もう目と鼻の先。
厄介な餌としてはここいらで戦った方がいい。
そんな位置を定めた俺は龍の魔石を呼び出して躊躇無く斜めに斬り落とす。
『お待たせしましたお父様、全員排出します!』
『《グランドウェポン!》シフト:ガントレット!』
街への被害を最小限に抑えた一閃は、
敵のランクなんて関係なしに全てを文字通りなぎ払った。
大量の敵の一部が居なくなっても、
今の攻撃に反応した多くの瘴気モンスターが俺の元へと走り出す。
「《一ノ型:風花抜き》」
『《アイシクルランス!》』
しかし、近づこうと動いたモンスターは、
影から飛び出すように出てきたリッカ、そしてポシェントが蹴散らしてくれた。
「互いをフォロー出来て且つ邪魔にならないように広がって対応!
テルナローレは浄化をし続けろ!
クーはメリーと合流して戦列に加わってくれ」
〔噂通り宗八さんは精霊使いが荒いですねっ!
ずっとやってますよ!ずっっとねっ!〕
宗八さんとか聞き慣れなくて耳がゾワゾワするわ。
あと本当にごめんね。
確かに夜も受肉してないから本当に丸一日以上働かせっぱなしなんだよね。
クーはメリーの元へと急いで走って行き無事に合流を果たし・・・。
「『《ユニゾン!》』」
二人は新たに手に入れたスキルを発動させる。
その名は[ユニゾン]。
アルシェもレベルが50になってから同じく手に入れたスキルだが、
内容としては俺達の精霊纏とはコンセプトが反対であることがわかった。
つまり、精霊纏は精霊を外に纏うのに対し、
ユニゾンは精霊を内に取り込んで一体化する物だ。
というか、そもそも精霊纏はスキルでは無い。
当時はかなり慎重に調整して契約精霊の善意の元に完成した[技術]なのだ。
ステータスの上昇率も技術とスキルでは差がある。
あんなに頑張ったのに酷いよ神様ぁ・・・。
メリーの胸元へクーが飛び込むと闇光を伴って体の中にそのまま消えていく。
花が咲くようにパッと胸元から黒い波紋が広がり、
通り過ぎた後のメリーの姿に朝日が反射する。
彼女の髪の色は銀色に変貌を遂げていた。
* * * * *
「こちらで前に出て量の調整は始めました。
兵士が無理しないうちに量以外の変化点の洗い出しをお願いします」
〔はい、対応ありがとうございます。
急ぎ確認と連携を図ります〕
お兄さんたちが対処に前進し、
戦闘が始まったのを視界に抑えながらアインスさんとの通話を切る。
今のところ確かに大型モンスターも同時沸きしているにも関わらず、
まるで様子見をしているように小型ばかりが全面に出ている印象を受けます。
「一番近い位置取りをしているお兄さんたちが受け止めたとはいえ、
アスペラルダ方面の全体量から見れば何割かですからね。
大型が動く前に情報の周知が間に合えばいいんですけど・・・」
『クー達もユニゾンで戦い始めたから、
囲まれても問題ないと思うんだけどねぇ~。
どっちかと言えば浄化が間に合って無いように見えるよねぇ~?』
そもそも戦場がこれほど広いのに、
各国光精二人と無精使いだけで対応するには規模が大きすぎる。
+αでお兄さんや勇者様が頑張っても火に油といった感じを受ける。
それほどに今回の大規模沸きは手が回っていないのだ。
空はブルー・ドラゴン様が対応しているし、
魔力供給のタンク役はそのお供であるフロスト・ドラゴン様が担当してくださっています。
フリューネ様が動く際に使用する魔力は魔石を咥えているので、
そちらからご自身で供給されています。
継続戦闘は問題なさそうですね。
「そろそろこちらも戦闘に参加しましょうか、アクアちゃん」
『あい!じゃあユニゾン行くよぉ~!』
アクアちゃんが合図と共に胸に飛び込んでくる。
あぁ、この万能感は本当に危ないですね。
胸元から光が広がっていき通り過ぎた後は元の服から変化して、
見た目はアクアちゃんの使う氷纏後のドレスアーマー。
それが人間サイズ、大人用に成長したって感じの見た目で、
自分の鎧姿に少し照れてしまう。
服の変化が終われば次は髪だ。
根元から私の薄水色の髪はアクアちゃんの瑠璃色へと変わっていく。
それに、最近は伸びてきて肩で整えていた髪の長さも変わり、
現在のアクアちゃんの髪型であるボリュームのある髪型へと変化した。
お兄さん曰く「プリキュアで見たことあるな・・・、HUGっとの青い奴の髪型だ・・・」とのこと。
私はそのプリキュアとやらを知らないのでなんとも言えませんでしたが、
実際の髪ではないのかボリュームに比べれば断然軽い為、
動きに支障が出なければ問題ないでしょう。
「アクアちゃん、レンズは左目だけでお願い」
『あ~い』
「全員戦闘用意!
今回は数が数なので2PTをひと括りで対処を行います。
前衛は中心にセーバー、左にゼノウとライナー。
右にノルキアとディテウス。後方は前衛の隙間から精密射撃で四肢を撃ち抜いてください!」
〔〔〔〔了解〕〕〕〕
「お兄さんも光精テルナローレも全部の瘴気を祓うことは出来ていません。
私も浄化の手段は持ち合わせていますから、
全力で事に当たってください」
単体でも十分強いメンバーはお兄さんが連れて行ってしまいました。
こちらに残る戦力は私とアクアちゃん、護衛にマリエルとニルちゃん。
そして七精の門メンバーのゼノウPTとセーバーPT。
漏らした敵のみが襲いかかってくるとはいえ、
昨日の3~4倍の数が同時に襲いかかってくるのだから一つのミスが命取りですね。
「《聖水》セット:アイシクルアンカー」
『魔力はアクアの魔石から賄うねぇ~』
「もう2つアンカーを出せるようになっていれば攻撃も自動で出来たのになぁ・・・」
『面倒が少しでも減ってるんだから今は満足しないとねぇ~』
新魔法[聖水]。
お兄さんが行っていた別属性同士を掛け合わせる技術から、
水魔法と光魔法[ライトボール]を合わせて瘴気を浄化できる使い勝手の良い魔法の開発を進めた結果生まれた魔法。
アクアちゃんは各地で見つけた水を飲んでいたので、
ノイちゃんの鉱石のように色んな種類の水と掛け合わせては実験を繰り返して、
やっとのこと適正の高い水を見つけた。
それが純水。
お兄さん曰く「不純物の無い水で雷などを防ぐことも出来る」とのこと。
なんでも魔神族対策として必死に探して飲ませていたらしい。
ともかくこの聖水。
他の属性もお兄さんはこれを参考にしてさっさと新魔法を創ってしまった。
スキル[魔道拡張]の効果凄すぎませんか?
『ますたーはユニゾンを羨ましがっていたよぉ~?』
「フフフ、お互いにままなりませんね」
今回は槍ではなく新しい杖をお披露目しましょう。
■装備■ ※○は強化空枠、●は強化済枠
杖 :ブライニクルエスト ◇強化:●○○ ◇入手経路:頂き物
希少度 :激レア
要求ステ:STR/36 INT/60 VIT/40 MEN/64
ステ増減:INT+12/MEN+12
特殊効果:魔法攻撃力補正+20%/最大MP30%UP/MP自然回復2/万能属性
うぅ~ん、強い。
激レアってだけでも手にするのに震える程なのに、
お兄さんったら魔法ギルドから戻ってきてこんな物をくださるなんて。
なんですかコレ?
要求ステータスが杖カテゴリで見たこともないくらい高いし、
元からステータス増加がINT+10/MEN+10なのに教国で強化してさらに伸びているし、
特殊効果も上位効果ばかり・・・。
時間がなくて最大強化が間に合わなかった、ごめん?
いまさら最大強化でさらに+4されても、ね。
まぁマリエルも同じく[黒曜]っていう武器を受け取っていて、
メリーも[グラグオルク]という短剣を受け取っていた。
ちょっと喜色の気持ちに引っ張られてクルクルと杖を回して構える。
格好つけすぎかな?
先端には大きな魔石が付いているから一応この杖も属性武器に入るのかしら?
でも、特定の属性って付いてないんだよね?万能属性って結局なんだろ。
『敵ぃ~せっきぃ~ん!』
「聖水、自動射撃開始!
《勇者の剣》」
『《竜玉シフト:スナイプ》』
「『ファイヤー!』」
まずは動きの速いバンダールクアールとレッサートレントドッグ。
瘴気の影響を受けて体からは黒紫のオーラと紅い瞳。
お兄さん達は瘴気モンスターに囲まれていて、
攻撃に加わる隙がなかったモンスターがこちらへとお鉢が回ってきている。
聖水着弾。瘴気のオーラは問題なく剥がされた。
次弾、私の勇者の剣とアクアちゃんがそれぞれの四肢を狙い撃ちそれぞれが前足を失い地面をスライドする。
「トワイン!モエア!」
〔〔《強弓!》〕〕
指示の間にも次々と聖水と攻撃魔法を打ち続ける。
やはり夜に比べるとお兄さんたちが抑えて尚300体近くが押し寄せる。
それに間隔がかなり短い。
倒しきっても本当に一息だけしか休憩を取れない。
お兄さん達は抑え役だから連携できていても休む時間を作るなんて出来ないですよね・・・。
5・・13・・30・・56・・81ウェーブ・・。
攻撃力、魔力量、制御力どれも自分で考えていたより長期戦が厳しい。
大きいのは・・・まだ動かない。
今のうちにこの攻勢に余裕を持てるようにしないと。
理由はわかっている。
優先順位が選びづらいからだ。
ただのシンクロならアクアちゃんと合わせて視界が2つあるから視野が広い。
ユニゾンは完全に一体化する為視野は私の1つのみ。
だからこの程度で少し焦る。焦りはマイナスでしかない。
ステータスで言えば約2倍になるユニゾンと、
視野や思考を広く出来るシンクロを上手く選べるようにならないと今後はみんなの足を引っ張る事になる。
だから今はごめんなさい。
ユニゾンの扱いに慣れるまで。
私が指揮官として成り立つまでもう少し待ってください。
「それにしても多いですね」
世界に広まる汎用魔法は一対多に弱い。
中級からは確かに範囲魔法も出てくるけれど、
せいぜいが目の前の5体程度を想定している。
上級に至っては広範囲攻撃しか無いのに入手率が低すぎる為、
こんな戦争が起こったときでも効率的に敵の数が減らせないでいる。
「もっとこう・・・」
『《フロストコメット!》』
「え?」
一瞬。一瞬です。
確かに一瞬思い浮かんだこんな攻撃が出来ればなぁというイメージ。
それがアクアちゃんの聞き覚えの無い詠唱の後に視界に具現化して発動していました。
私の魔石の魔力が敵の集団の真上に流れていく。
魔力は氷の礫となりクルクルと回りながら徐々に大きさを増していく。
やがてそれは龍の巣で見かけた流氷のような巨大な塊となって、動きを、止めた。
『えい♪』
その声に浮かぶイメージはアクアちゃんが可愛らしく何かを叩き落とす姿。
「あ!全員後退っ!」
落下を始めた氷塊は勢いも凄まじく、
落ちた衝撃で地表には吹雪が衝撃はとなって広範囲に広がる。
綺麗な円形。それが定められたこの魔法の範囲らしい。
その円の中で氷塊を中心に冷気の爆発が起こる。
「うわっぷ」
『威力弱めたのにぃ~!』
爆発の所為で氷点下の冷気が突風と成って吹き荒ぶ。
「アクアちゃん、今のは何?」
『アルがイメージしたでしょ~?こんな魔法が欲しいなって』
確かにイメージはした。
けれど、私たちが使うオリジナル魔法も魔法式や魔法陣を組み上げて創っている。
なのに今のは何?
はっ!
「今のがお兄さんが言ってた精霊魔法!?」
『正解ぃ~!
シンクロ中のパートナーがイメージをしてアクア達精霊が一時的に使う魔法だよぉ~』
これが噂の精霊魔法かぁ-!
精霊魔法は2種類ある。
ひとつは今回の一時的にイメージを実現させる魔法、
もうひとつは制御力だけで使う魔法の事だ。
「今までお兄さんは広範囲攻撃を欲しいとイメージしなかったの?」
自分の事は棚に上げてとりあえずいつも一緒のお兄さんを例に聞いてみる。
『ますたーは魔法戦より肉弾戦だも~ん。
創らせるのも自分一人で使うものばかりだからねぇ~』
「それもそうですね。
じゃあ今回初めて広範囲攻撃を創ったわけですね」
『大魔法を除けばだけどねぇ~』
アレは広範囲とかそんな規模じゃ無いもん。
下手したら国を落とせちゃう可能性すらあるもん。
〔100以上倒しちゃったぞ・・・姫様パねぇ・・・〕
〔もう追いつこうとか考えちゃ駄目な感じよね〕
〔クランリーダーがリーダーなら嫁も嫁だな〕
「ま、まだ嫁じゃ無いですっ!!妹ですから間違えないでくださいっ!!」
〔あ、ヤベ。浄化作業に入りまーす〕
発言内容に焦っちゃって誰が言ったのか把握できなかった・・・。
まだだもん。相手にすらしてもらえてないもん。
「ごほんっ!退避指示が遅れて申し訳ありません。
連携を潰さないレベルの支援を検証しながらの戦闘が続きますので先に謝罪いたします。
安定したら兵士や冒険者の支援も始めますので都度指示します」
〔〔〔〔了解・・・ぷっ〕〕〕〕
くっ・・・!
と、とにかく精霊魔法の有用性を改めて認識しました。
今まで失念していたけれどこれを利用しない手はないですね。
広範囲魔法を今のうちに調整して仲間に迷惑が掛からず、
尚且つ小出しで危なげなグループへの支援が出来る魔法を見つけ出さないと・・・。
10
あなたにおすすめの小説
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜
キノア9g
ファンタジー
※本作はフィクションです。
「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」
20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。
一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。
毎日19時更新予定。
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上悠は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏も、寿命から静かに息を引き取ろうとする。
「助けたいなら異世界に来てくれない」と少し残念な神様と出会う。
転移先では半ば強引に、死にかけていた犬を助けたことで、能力を失いそのひっそりとスローライフを送ることになってしまうが
迷い込んだ、訪問者次々とやってきて異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる