特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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閑話休題 -次に向けての準備期間-

閑話休題 -44話-[ドーモ。ドワーフ=サン。①]

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「そろそろ行くわ」
「気を付けて行ってくださいね」

 アーグエングリン王都への進行度が目途の立つ村まで進んだことで、
 ひとまず土精王ティターンの協力もあって土の国の竜の元へ向かう事とした。
 昨日はぐっすり眠ったし、
 もし戦闘があったとしても元気モリモリで対応も出来る。

 連れて行くメンバーは。
 無精アニマ、土精ノイティミル、火精フラムキエ、光精ベルトロープ、聖獣タルテューフォ、青竜ブルー・ドラゴンフリューアネイシア。
 なんじゃこのメンバーは!意味わからん豪華さ何なん!?

「地属性の竜を相手にするってことで関係する奴を中心に編成したけど、大丈夫か?」
『タルテューフォの世話をボクだけに任せないでくれるならいいと思うです』
「にーにぃ達の言う事はちゃんと聞くんだよ?」

 暴走さえしなければそれでえぇ。
 スキル[猪突猛進]とは。
【効果】戦闘種族としての血が目覚め敵しか見えなくなる。
 STR・VIT・AGIがUP(大)、INT・MEN・DEXがDOWN(大)。
 戦闘中に低確率で自動発動する。

 簡単に言えば狂戦士バーサーカー状態になるわけだが……。
 細かな事を気にしなくなるので集団戦闘になると仲間も攻撃に巻き込みかねないのだ。
 ノイとシンクロ出来るようになればその辺りは多少マシになるのか今から不安だが、
 素のステータスが聖獣と言われるだけあって高いしなんとか運用していきたいところ。

『僕は敵意が無いって示すために小さくなっておくよ』
「最近元の大きさに戻っている所を見ないんだが?
 魔石は本当に出来てるんだろうな?」
『そこは任せてよ。
 最近小さいのはクーデルカの影の中に避難しているからだし~。
 大きいままだと入れないんだから仕方ないでしょ?』

 俺がフォレストトーレから離れてからというもの、
 ブルー・ドラゴンフリューネフロスト・ドラゴンエルレイニアは竜の誇りを忘れたかの様に[影別荘シャドーモーテル]に引き籠って眠り続けていた。
 フリューネには俺用の竜の魔石をさらにバージョンアップしてもらうという仕事があったが、
 エルレイニアは出会ったときの真面目さはどこへ消えたのか惰眠を貪る魔力貯蔵庫と化していた。

 今回の最終目的は、
 地竜の協力を得て土属性の魔石を精製してもらうことと、
 近くに住むらしいドワーフ達の力を借りてブルー・ドラゴンフリューネが精製したう〇こ…。
 もとい。竜の魔石を籠手ガントレット脚甲グリーブに加工してもらう事の2つ。

「助けが必要ならすぐに行きますから、
 隊長たちだけで無理はしないでくださいよ!
 悲しむのは子供たちと姫様なんだから!」
「マリエルに言われるまでも無いって…。
 報告を受けた段階では何も起こってないらしいけど、
 今から一旦顔を出すしその時に状況に変化はないか聞いておくよ」
「絶対ですよ!」

 マリエルにここまで注意される無茶を俺はしただろうか?
 記憶にないけど念押しされたし気を付けておこう。
 よしよし。

「頭撫でるなぁ!」

 年頃の娘は難しいな。
 ここの戦闘も順調にいけば1カ月程度で状況は落ち着くらしいし、
 この休暇の間に出来ることを進めて全員動けるようになったらアーグエングリンから進んでみるかな。

「アルシェ、じゃあ。行ってきます」
「はい。行ってらっしゃい、お兄さん」


 * * * * *
 フォレストトーレでアルシェ達と分かれてゲートで移動した先は真っ暗な洞窟。
 最深部まで進めば土精王ティターン様が鎮座ましましているわけだが。暗い。

『《ライトボール》』
「ありがとう、ベル」

 ノイはオプション[聖壁の欠片モノリス]を召喚してその上に座って空中を移動し、
 ベルはノイのご相伴に預かり[聖壁の欠片モノリス]の1枚に同じく座っている。
 フラムは剣の姿で俺の腰に差さっていて、
 フリューネはいつも通り俺の肩に乗っかって猫みたいだ。
 タルは不安そうに俺の服を掴んでキョロキョロしているのがなんか面白い。

 聖獣とはいえまだ子供だしな。
 撫で易い位置にある頭を撫でてやればキョロキョロもしなくなった。

「タルにとってはどっちが上とか下とかは無いと思うけど、
 今から会う方は精霊の王様だから態度には気を付けろよ」
「よくわからないんだよ。
 どういう風にすればいいのだ?」
「群れのリーダーは偉いだろ? タルで言うならとと様になるけど、
 他の動物がとと様を馬鹿にしたり偉そうな態度で接したらどう思う?」
「殺ス」

 野生動物は短絡的やな。
 聖獣とは言え所詮は畜生か。

「そういう気持ちになるなら、
 タルが精霊の王様に失礼な態度を取ったら精霊も嫌な気持ちになるから気を付けろって言ってんの。
 わかるか?」
「なんとなく……他の群れの王だからそれなりの扱いをしろって事なのだ?」
「まぁそういうこと。
 思ったままを口にしたりすると文化の違いで失礼だったりするから勉強中のうちは俺より先に喋るなよ」
「わかったんだよ」

 聖獣の里の文化しか知らないタルテューフォは人の世界の文化を勉強中だ。
 魔力付与ギフトでINTが上がったとはいえ、
 人と獣を同じ定規で測っていい物かわからんしまだまだ様子見。

「関係なさそうな顔してるけど、一応お前もだぞ」
『わかってるよ。僕が何か自主的に問題を起こしたことがある?』

 それが無いんだよな。
 惰眠を貪ってばかりで動かないという欠点だけでそもそも戦闘に参加する契約でも無い。
 クーやメリーからも掃除の邪魔になるという報告だけで問題は起こしていない。
 まぁ一応ね。一応言うだけ言っておけば失言の直前に俺の言葉を思い出して留まってくれるかもって期待だけしておこう。

 知能と戦闘力だけは高いわけだし。

『よく来たな、水無月宗八みなづきそうはち
 本日の訪問理由は例の件でいいのか?』
「ご推察の通りです。
 ようやく時間が取れましたのでお願いをしたのは私からであるのにお待たせしまして申し訳ありませんでした」
『眷族を救ってくれた礼に調べさせただからそのように身を縮める必要はない。
 ノイティミルも息災であるようだな。
 流れは聞いているからすぐに出発できるだろうが、後ろの新顔を紹介してもらえるか?』
「喜んでご紹介いたします」

 軽めのご挨拶を挟み紹介の流れを取って下さった好意に甘え、
 タルとベルとフラムとフリューネの4人を順繰り紹介していく。

「まず聖獣[ヤマノサチ]であるタルテューフォ。
 いずれノイのサブマスターを視野に入れて預かっている仲間です」
「タルテューフォ、だよ。よろしくおねがい、だぞ」
『うむ、よろしく』

 多少言葉がおかしいけど気にしないで進めよう。

「続いて光精のベルトロープと火精のフラムキエ。
 私の契約精霊の中では末っ子になりますのでノイの妹ということにもなります」
『『よろしくお願いします!』』
『ノイの妹分か。姉を存分に頼ると良い』

 自分とこの眷族では無いとはいえ幼い精霊を見て微笑んでくれる王様。
 マジ良い人だよ。光精王とは比べらんねぇ。

「最後に青竜ブルー・ドラゴンのフリューアネイシア。
 私の守護対象になります」
『お初にお目に掛かる土精王。
 水精王の地に住む竜の長をしているフリューアネイシアだ』
『こちらこそ、お初にお目に掛かる。
 土精の長をしているティターンと言う。ノイ共々、土精を保護した際は良しなに頼む』

 小さいながら偉そうであり威厳があるフリューネの挨拶にティターン様もそれなりに返礼している。
 それぞれが群れの長だからか微笑み合って挨拶は終わった。

『さっそく彼の地に居る眷族を呼び出そう』
「お願いします」

『《召喚サモン!!》』

 土精王ティターン様の呼び掛けに従い、
 俺と王様の間に1人の土精が出現した。
 すぐに王様に跪いたけれど体の大きさも表面にしても人間から少し離れている様だ。

『改めて役目を果たしてくれて感謝するぞ、ウォルベズ』
『勿体ない言葉です、我が王』
『先に伝えていた通り依頼人の精霊使いとノイティミルが後ろの面々となる。
 これからあちらに着いたらサポートを頼むぞ』
『かしこまりました』

 王への返事を終えて立ち上がったウォルベズだが、
 やはり人の中に紛れるには難のある姿をしている。
 身長は3mを少々超えているし、
 振り返って正面から見据えても全体的に岩という印象が強すぎる。

『俺の名はウォルベズ。我らが眷族を救った件、俺からも感謝を。
 これから向こうでお前たちの目的を達するまで支援させていただく』
「よろしくお願いします、ウォルベズさん」
『さんはいらない。自分で言うのも恥ずかしいが、短い間でも仲間だと思って欲しい』

 感謝の言葉に偽りはないらしい。
 振り返ってうちの面々を見渡しても敵意は何も感じない。
 それに純朴な一面もある様だ。

「わかった、これからよろしく。ウォルベズ。
 さっそく流れを説明しながら魔法を施すから少ししゃがんで背を向けてくれるか?」
『わかった』

 しゃがむだけでズシーンと音がする程に彼は重量があるのは確かだな。
 ゴーレムと言われればそうなのかもしれない見た目だが、
 動きが体の重さを感じさせないほどに自然に見える点でも単純な話ではnないのだろうか?

 どうせだし好奇心に任せて、
 背に鳥居を描きながら質問してみよう。

「ウォルベズの位階を教えてもらえるだろうか」
『俺はラクスアースマンという位階で、まぁ上の下だ。
 見ての通り頑丈な体を持ちつつ岩に擬態も出来るし素早く動いて攻守どちらも役立てる遊撃となる』
「じゃあ魔法戦より接近戦が得意なのか」
『流石、噂に違わぬ精霊使いだ。精霊をよくわかっている』
「いやいや、うちに遊撃でポシェントって水精が居て、
 そいつが接近戦が得意だから当たっただけだし。ほい、終わり」

 大きい背中にデカデカと鳥居を描いて質問も終わった。
 ラクスが上位階なら下位階にアースマンってのが居そうだなぁ。

『他属性とはいえ気が合いそうだ。
 いずれ手を合わせてみたいものだな』
「流石遊撃、血の気が似た者同士だわ。
 では、ティターン様。ウォルベズをあちらに戻してください。
 すぐにゲートを繋げて合流致します」
『うむ。ウォルベズよ、しかと励んで来い』
『はい、身を粉にして支援いたします』

 言葉を交わすとウォルベズの巨体が一瞬で消え去った。
 召喚サモンを切って向こうに戻ったことを確認できたので、
 俺たちもあちらに移動を始めるとしようか。

「短い時間でしたがお邪魔しました。行って参ります」
水無月宗八みなづきそうはちと仲間たち、そしてノイティミル。
 上手く事が運ぶことを遠いこの地より願って居る』

『《解錠アンロック!》』

 開いた先の空間はこの辺りよりも人気の無い荒野。
 さらに砂嵐が激しく吹き荒ぶ土地の様だ。
 氷龍の島も吹雪いていたし、竜の巣ってどこも環境が厳しいのかもしれないと気を引き締めながら俺はゲートを潜り抜けた。
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