特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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閑話休題 -次に向けての準備期間-

閑話休題 -43話-[精霊会議!④]

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 小さくなったアクア姉様の元からベルがトコトコ寄って来た。
 ニル姉様が僕とベルに場を任せて退いていくのを入れ替わりに眺めていると、
 クー姉様がコップを片付けて戻って来た。

『あれ? 次はベルとフラムが発表するのですか?』
『うん。途中経過だけど、やってみる』
『中途半端だから2人で発表します』

 クー姉様が元の場所に座るとニル姉様もすぐに側に勢いよく寄り怒られている様子から目を剥がし、
 ひと回り小さいベルと手を繋いで前に出る。
 お父さんと家族になったタイミングはベルとほとんど一緒だったけれど、
 僕は[イグニスソード]から精霊になった際にすでに人型を取っていた。
 だから浮遊精霊ふゆうせいれいから核で加階したてのベルと比べると、
 1ランク上の僕に核分の位階が含まれると体の大きさにはっきりとした差が生まれる。

『じゃあベルから発表するね』
『うん』

 まぁ、お父さんと専用核を造れるようになるまでは、
 僕にスライムの核を使ってもすぐ壊れちゃうからひとまず僕は核無しなんだけど。
 位階は同じだから今の身長差はただの個性の差。

『えっと…ベルの研究?訓練内容?は、反射と再生と照明です。
 反射はいつも利き手に付与していて休憩時間にはフラムと魔法の打ち合いをしています』
『今やってみせてもらえるぅ~?』

 やる分には問題はない。
 でも、ここはクー姉様の魔法の中で燃える家具もそこら中にあるから、
 どうなのだろうとクー姉様に視線を向けると頷いて返事をもらえた。

『燃えたらアクア姉様が急いで消化して』
『あい、おっけぇ~』
『ベル、やろう』
『じゃあフラムにも[リフレクションコート]を付与するね』

 ベルの詠唱で右手だけがいつも通りガラスのようなコーティングが発生する。
 初級魔法程度なら闇属性以外反射で打ち返すことも出来るけれど、
 打撃に関しては今のところ効果が薄い。
 拳を打ち付けて見た時は弾力のある何かを叩いたみたいだったし、
 ベル自身も手が押し込みに負けて少し蹈鞴たたらを踏んでいた。

『《ヴァーンレイド》』

『ふおぁー!』
『ん!』

 お父さんの世界の球技に似たものがある。
 その動きを真似したベルがいつも通りの変な奇声を上げながら小さな火球を打ち返す。
 返って来た火球は僕に向かわず別方向に飛んで行ったのでそれに追いついてから僕も打ち返す。
 その火球も明後日の方向に飛んでいくのでベルが追いかけてラリーが続く。

『ふおぁー!』
『ん!』
『ふおぁー!』
『ん!』
『ふおぁー!』
『ん!』
『ふおぁー!』
『ん!』

 ラリーはしばらく続いた。
 というか、ベルが楽しみ出したから僕が姉様たちに言わないと終わらないや。
 実際やっている事はラリーだけだからこれ以上の進展はいくら待っても訪れない。

『ふおぁー!』
『姉様方、もういい? ん!』
『ふおぁー!』
『そうですね。可愛かったからずっと見てたですけどもう充分です』

 ノイ姉様から許可が出たから返って来た火球を握りつぶして消化すると、
 少し息の上がったベルが何故終わったのかという困惑顔でこちらを眺めているのが目に入った。
 目的忘れた?

『反射はもういいって』
『はぁ、はぁ…そっか……発表してたんだった』

 やっぱり忘れてた。
 末っ子’sとまとめて扱われる事もあるけど、やっぱりベルの方が幼いと思う。

『次は再生です。聖女の再生に比べると微々たるものなので、
 発表とかのレベルではないのでこれはパスでいいですか?』
『一応虫の足とか枝の葉っぱとかで道中練習はしてた』

 確かに考えてみれば再生の発表って何をすればいいんだろう?
 聖女の再生は姉様たちは見たことあるだろうから、
 あれを超える何かを習得してからじゃないと驚いてもらえないかも。

『クーも飛ばしましたし、ベルがそう判断したならまだ見せる時ではないのでしょう』
『ありがとうございます。
 最後に照明の発表だけど、これはパパにお願いされました』
『今回みたいに広範囲を明るくする必要があった場合かなぁ~?
 小さい規模の[ライトボール]だと数が必要で面倒そうだったもんねぇ~』
『そういうことです。
 その基本として好きな形で光源を造りたいなぁと思って、とりあえず伸びるようにしてみました』

 クー姉様とアクア姉様の理解を得たベルは、
 次に棒を前に突き出すような構えを取ると手の内から光の帯が真っ直ぐ伸び始めた。
 それもスッと伸びるのではなくチョロチョロと伸びるのは制御力が低いから。

『それはクニャクニャに出来るのぉ~?』
『ちょっとしなる程度です』
『長さと柔軟性があれば鞭として使えそうですね。
 今度ボクと一緒に改良してみるです』
『ありがとうございます、ノイ姉様!
 えっと、以上でベルの発表は終わりです』

 パチパチパチと激しくもないけど手応えのある姉様方の拍手をもらい、
 ベルは照れながらも嬉しそうにお辞儀を返す。
 次は僕の発表。
 今更ながら緊張してきたかも…。

『フラム、頑張って。ベルも付いてるから』
『ありがとう、ベル』

 横から僕の様子をしっかり観察していたらしいベルが僕の手を取って励ましの声を掛けてくれた。
 それだけで感じていた緊張感が薄らいだのは気の所為じゃない。
 こういう、緊張しつつも強く居られるところはアクア姉様に似ていて姉みを感じてしまう。
 やっぱり僕が弟なんだろうか?

『——僕の研究内容は[変身する剣の種類を増やす]ことと、[幻影]。
 ノイ姉様台座を用意してほしい』
『お安い御用です』

 ノイ姉様は微笑みながら二つ返事で剣を飾る台座を用意してくれた。
 もりもりと土が発生して台座に姿を形成する様はとても興味深い。

『ありがとう。
 えと…本来の僕は[イグニスソード]だけど……』

 説明途中だけど見せたほうが早いしわかりやすい。
 だから元の姿に戻ってノイ姉様の用意してくれた台座に自ら刺さる。

『質量が同等で造りが複雑じゃない普通の剣にも変身できるように訓練した』
『店売り品などの剣ということですか?』
『うん。お父さんにいくつか片手剣を用意してもらって模倣してる。
 短剣は質量が小さいから出来なかった……今後に期待。
 大剣も質量が大きいから出来なかった……こっちも今後に期待』

 クー姉様の軽い質問にも答え、問題点も一緒に伝える。
 一応変身の利点もすぐ判明したから姉様たちに報告しながらいくつか見てもらおう。

『変身する剣は元は何の変哲も無い剣だけど、
 僕が変身した剣はすべて火属性が付いてるし魔力の貯蔵量も精霊だから多い』
『おぉ~、ショートソードに…ロングソードだっけぇ~?』
『次はレイピアです』
『細剣ならサーベルにも変身出来そうですね』
『アイアンソードですわー? レアリティは関係ないのかしらー?』
『複雑な造りの剣はドロップばかりですからね。
 精霊化して間もないにしては十分ではないですか?』

 切れ味や強度が違うだけの武器やギリギリ変身に成功できる細剣も姉様達は褒めてくれた。
 本来の[イグニスソード]は負担なく変身できるのに、
 他の武器だと凄く疲労感が増すのを感じる。
 感覚的には要求ステータスが高いほど疲れが出るっぽい。

『ふぅ…。変身の発表は以上』
『フラム、お疲れ様。大丈夫?』

 剣から精霊体に戻ってお辞儀するとすぐにベルが駆け寄って来た。
 今のが疲れるという事は知っているから心配そうな顔をしている。

『幻影は魔力だけだから大丈夫。
 次が最後で[幻影ブリンク]。元はクー姉様の[空蝉うつせみ]を幻仕様に変更したもの』

 時空魔法[空蝉うつせみ]とは、
 周囲の者の認識を本来存在する場所と位相をズラして騙す魔法。
 お父さんは回避主体の戦闘スタイルだからクー姉様が編んだこの魔法は凄く相性が良い。

『《幻影ブリンク》』

 自身に魔法をかけると、
 煙が凝縮するようにもう一人の僕の姿がすぐ横に出現した。

『制御力がないから少しの衝撃で霧散するし[空蝉うつせみ]の様に対象の姿も隠せない。
 対象が見えている分、相手を攪乱かくらんすることには向いているし操作も出来る』
『幻だから実体はないけど魔法に長けた相手以外なら有効だねぇ~』
『武器も再現出来れば陽動には打って付けです』
『お父様を完全再現出来れば追いかけっこがいつでも出来ますわねー!』
わたくしの元の姿を再現出来れば姉弟の上に立つことも夢ではありませんね……』

 一人の姉の思惑が口から洩れていたけど気にしないでおこう。
 どちらにしろ今はまだ簡単な動きしか出来ないから、
 姉様たちが想像したことのほとんどは叶えるには訓練あるのみ。

『これからも頑張る、以上』
『フラムもベルも頑張ってるねぇ~!わからない事があったら誰でもいいから相談してねぇ~!』
『はい!』『わかった』


 * * * * *
 さてと、久しぶりの精霊会議だったけど姉弟全員の状況は把握できたかなぁ~♪
 フラムとベルも常に何かしらの魔法を展開し続けて制御力が鍛えられてるのも確認できたし、
 ノイとニルの成果も面白かったなぁ~♪
 次の開催の時はニル、フラム、ベルが加階かかいした頃にやろぉ~っと。
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