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155 ノエルの優しさ
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闇の子を死なせた。
だから、他人に慕われることが、怖くなっている。
だけどノエルに出会えた。
彼女のお陰で、少しは冷静になれた。
そろそろミールに会おう。
ゆっくりでもいい。彼女がいる、オルシマに向かおう。
貴族3家は、まだ話し合いの途中。ワイバーンを含めた獲物の配分をしている頃。
私とノエルで獲物を増やした。
魔物の被災地の復興にあてても、お金は余ると思う。
残った素材の譲り合いで、またもめる。
ノエルもワイバーン1体のとどめを刺してる。意見を求められるし、その場を離れられない。
1人で、歩いていこう。
まあ、気分は悪くない。
それなりに、人のためになることをした。
だから、自分にご褒美。歩きながらワインをラッパ飲みしてる。
男爵家の若手に意地悪をした。
最初はソフトにやろうかと思ってたが、ある不安が頭をよぎった。
私を頼ってくる子は、スキル、出自に恵まれていない人間ばかり。
男爵家の子は、格上の伯爵家との合同討伐に加わるような人間。
話ながら見ていると、身なり、言葉使いが良かった。
そして私は心配になった。
うっかり貴族の彼らがオルシマを訪れる。
私を訪ねてくるのだから、「ふーどこーと」に行く。
あそこで働く子達は、過去の経験のせいで、貴族を嫌う人間が多い。
双方に悪気がなくても、トラブルは起こる。
一触即発となったら・・
私が介入する。
私は、理由なんて聞かない。
かつての私のような劣等人、そして闇の子の側に付く。
善悪よりも「境遇」を優先する。
誰よりも大切なミールも闇の子だ。
今回、貴族に関わった理由は、フロマージュ→フランソワ婦人→ドラグ伯爵。
その波状攻撃に心が救われた。その恩返しみたいなものだ。
この旅が終われば、男爵家の好青年3人も貴族家の人間として、線を引く。
「それは置いといて、お酒がおいしいと感じるようになったな」
「ユリナ、なんで1人で祝杯あげてんの」
「ノエル、なんだここに?」
「こっちのセリフよ。置いていかないでよ」
「ごめん」
「いい。任務というか、頼みもあるの」
「私絡み?」
「うん。伯爵様から、ユリナを引き留めとけって。せめて、もう一回くらい一緒にお酒飲もうって」
「あはは。大歓迎だよ」
追いかけてくるイツミ伯爵軍と合流し、そのまま領都イツタンブールに入ろう。
討伐した獲物の貴族家の配分も私の意見を尊重し、3家が合意したそうだ。
私は謝礼はいらない。
だから、伯爵様がノエルへの退職金を用意するらしいが、そこに私は関わらない。
◆
10キロ走ってきたのに、ノエルは大して疲れていない。
基礎能力が高い。
私が心配しなくてもいい、パートナーになってくれるんだろうか。
彼女は、ミール以上に強い
本気で対策すれば、反則スキルを持った私を殺せる。そんなクラスの戦闘職だ。
一緒に魔物を倒して回って、安心感がある。ミールでも、まだ数年かかるレベル。
ひとつ言えることがある。
ノエルといるのは楽しい。
伯爵様の一団が追い付いて来るまで、2人で歩いていると、心は晴れていた。
◆
伯爵様と合流した。
「ユリナ殿、芝居をうってまで、獲物の権利を放棄したんだよな。なにも受け取ってくれんのだろうな」
「はい。伯爵様やみんなと会わなかったら、まだ気持ちが腐っていたと思います」
素材は、メンタルケアの代金と思ってもらう。
「ふむ。そんでもな・・。ワイバーンの価値とは釣り合わんぞ」
「なぜです」
私は、ワイバーンの下顎と、左の翼を吹き飛ばした。
「普通、あれだけの魔物をとらえると、体全体に大きな傷が入るんだぜ」
今回、私の攻撃の直後にワイバーンは息が絶えた。
内臓も含めた多くの素材が無傷。価値が高い。
それなら、お金になる。
今回の参加者へのボーナス、孤児院関連の寄付を希望しておいた。
馬賊のような伯爵様、ノエルの友達2人には、イツタンブールで暮らすことを勧められた。
魅力的。だけど、私には大切な拠点ができた。
オルシマに帰る。
◆◆◆
伯爵領の領都イツタンブールに到着する前日。
夕方に、ノエルの友達の、ミリーとジュミに呼ばれた。
「用ってなにかな」
「まあ、ノエルがユリナに惚れちゃったから、彼女をよろしくってことだよ」
「5年間、ノエルに鍛えてもらって私達も強くなれたんだ。恩返しもしてないんだけどね」
「別に惚れられるようなことしてないよ。一時的な熱みたいなもんでしょ」
「熱ね・・」
「ワイバーンに捕まったノエルと一緒にワイバーンをやっつけ、1000メートルの高さから一緒にダイブしたんでしょ」
「それで助けられて、生き残ったんでしょ。簡単に熱は冷めないよね」
「それに、ノエルって優しいでしょ」
「うん。お母さんみたいだった」
「お母さんか。ノエル、実際に子供を産んだことがあるの・・」
「え、そうなんだ」
ちょっと悲しい話だった。
ノエルは25歳で結婚して、相手は30歳だった。
ハーフエルフは純粋なエルフより人間寄り。
30歳くらいから子供が産める。けど、その時点では体が未熟。
普通は成熟を待って70歳くらいから子供を作るのが理想。
だけどノエルの相手は普通の人間。
45年も待てるはずはない。2人で頑張った。
念願の子供はノエル31歳、旦那さんが36歳で生まれた。
女の子だった。
だけど種族として未熟だったノエルの娘は、体が弱く、長く生きられなかった。
わずか2年で亡くなった。
それ以降は旦那さんとの間に子供は生まれなかった。
「スライムパンチ」のあと、子供サイズに縮んだ私を抱いたノエル。
優しかったけど、一粒の涙を流した。
「私の馬鹿さで亡くしたカミユの話、親身になって聞いてくれたな・・」
私はといえば。
ノエル自身も悲しいことは経験してるとも考えなかった。ただ、感情を垂れ流してるだけだった。
だから、他人に慕われることが、怖くなっている。
だけどノエルに出会えた。
彼女のお陰で、少しは冷静になれた。
そろそろミールに会おう。
ゆっくりでもいい。彼女がいる、オルシマに向かおう。
貴族3家は、まだ話し合いの途中。ワイバーンを含めた獲物の配分をしている頃。
私とノエルで獲物を増やした。
魔物の被災地の復興にあてても、お金は余ると思う。
残った素材の譲り合いで、またもめる。
ノエルもワイバーン1体のとどめを刺してる。意見を求められるし、その場を離れられない。
1人で、歩いていこう。
まあ、気分は悪くない。
それなりに、人のためになることをした。
だから、自分にご褒美。歩きながらワインをラッパ飲みしてる。
男爵家の若手に意地悪をした。
最初はソフトにやろうかと思ってたが、ある不安が頭をよぎった。
私を頼ってくる子は、スキル、出自に恵まれていない人間ばかり。
男爵家の子は、格上の伯爵家との合同討伐に加わるような人間。
話ながら見ていると、身なり、言葉使いが良かった。
そして私は心配になった。
うっかり貴族の彼らがオルシマを訪れる。
私を訪ねてくるのだから、「ふーどこーと」に行く。
あそこで働く子達は、過去の経験のせいで、貴族を嫌う人間が多い。
双方に悪気がなくても、トラブルは起こる。
一触即発となったら・・
私が介入する。
私は、理由なんて聞かない。
かつての私のような劣等人、そして闇の子の側に付く。
善悪よりも「境遇」を優先する。
誰よりも大切なミールも闇の子だ。
今回、貴族に関わった理由は、フロマージュ→フランソワ婦人→ドラグ伯爵。
その波状攻撃に心が救われた。その恩返しみたいなものだ。
この旅が終われば、男爵家の好青年3人も貴族家の人間として、線を引く。
「それは置いといて、お酒がおいしいと感じるようになったな」
「ユリナ、なんで1人で祝杯あげてんの」
「ノエル、なんだここに?」
「こっちのセリフよ。置いていかないでよ」
「ごめん」
「いい。任務というか、頼みもあるの」
「私絡み?」
「うん。伯爵様から、ユリナを引き留めとけって。せめて、もう一回くらい一緒にお酒飲もうって」
「あはは。大歓迎だよ」
追いかけてくるイツミ伯爵軍と合流し、そのまま領都イツタンブールに入ろう。
討伐した獲物の貴族家の配分も私の意見を尊重し、3家が合意したそうだ。
私は謝礼はいらない。
だから、伯爵様がノエルへの退職金を用意するらしいが、そこに私は関わらない。
◆
10キロ走ってきたのに、ノエルは大して疲れていない。
基礎能力が高い。
私が心配しなくてもいい、パートナーになってくれるんだろうか。
彼女は、ミール以上に強い
本気で対策すれば、反則スキルを持った私を殺せる。そんなクラスの戦闘職だ。
一緒に魔物を倒して回って、安心感がある。ミールでも、まだ数年かかるレベル。
ひとつ言えることがある。
ノエルといるのは楽しい。
伯爵様の一団が追い付いて来るまで、2人で歩いていると、心は晴れていた。
◆
伯爵様と合流した。
「ユリナ殿、芝居をうってまで、獲物の権利を放棄したんだよな。なにも受け取ってくれんのだろうな」
「はい。伯爵様やみんなと会わなかったら、まだ気持ちが腐っていたと思います」
素材は、メンタルケアの代金と思ってもらう。
「ふむ。そんでもな・・。ワイバーンの価値とは釣り合わんぞ」
「なぜです」
私は、ワイバーンの下顎と、左の翼を吹き飛ばした。
「普通、あれだけの魔物をとらえると、体全体に大きな傷が入るんだぜ」
今回、私の攻撃の直後にワイバーンは息が絶えた。
内臓も含めた多くの素材が無傷。価値が高い。
それなら、お金になる。
今回の参加者へのボーナス、孤児院関連の寄付を希望しておいた。
馬賊のような伯爵様、ノエルの友達2人には、イツタンブールで暮らすことを勧められた。
魅力的。だけど、私には大切な拠点ができた。
オルシマに帰る。
◆◆◆
伯爵領の領都イツタンブールに到着する前日。
夕方に、ノエルの友達の、ミリーとジュミに呼ばれた。
「用ってなにかな」
「まあ、ノエルがユリナに惚れちゃったから、彼女をよろしくってことだよ」
「5年間、ノエルに鍛えてもらって私達も強くなれたんだ。恩返しもしてないんだけどね」
「別に惚れられるようなことしてないよ。一時的な熱みたいなもんでしょ」
「熱ね・・」
「ワイバーンに捕まったノエルと一緒にワイバーンをやっつけ、1000メートルの高さから一緒にダイブしたんでしょ」
「それで助けられて、生き残ったんでしょ。簡単に熱は冷めないよね」
「それに、ノエルって優しいでしょ」
「うん。お母さんみたいだった」
「お母さんか。ノエル、実際に子供を産んだことがあるの・・」
「え、そうなんだ」
ちょっと悲しい話だった。
ノエルは25歳で結婚して、相手は30歳だった。
ハーフエルフは純粋なエルフより人間寄り。
30歳くらいから子供が産める。けど、その時点では体が未熟。
普通は成熟を待って70歳くらいから子供を作るのが理想。
だけどノエルの相手は普通の人間。
45年も待てるはずはない。2人で頑張った。
念願の子供はノエル31歳、旦那さんが36歳で生まれた。
女の子だった。
だけど種族として未熟だったノエルの娘は、体が弱く、長く生きられなかった。
わずか2年で亡くなった。
それ以降は旦那さんとの間に子供は生まれなかった。
「スライムパンチ」のあと、子供サイズに縮んだ私を抱いたノエル。
優しかったけど、一粒の涙を流した。
「私の馬鹿さで亡くしたカミユの話、親身になって聞いてくれたな・・」
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ノエル自身も悲しいことは経験してるとも考えなかった。ただ、感情を垂れ流してるだけだった。
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