62 / 207
ゴブリンキング編
聖魔導士のミキ
しおりを挟む
レナ達は修道女に案内され、応接室に移動する。彼女の名前は「ミキ」というらしく、教会の中では特別な地位の人間である事は間違いなく、彼女が廊下を通り過ぎる際に遭遇した他の修道女は全員が彼女に頭を下げる。応接室でレナ達はミキと机の前で対面する形で椅子に座り込む。
「それでは話を戻しますけど、聖水の製造法を教えて欲しいというのはどういう事ですか?治療院だって聖水を生産しているじゃないですか」
「確かにその通りなのですが、実はとある理由で現在この治療院は聖水の生産を中断しているのです。現在は回復薬の生産だけを行っていますが……」
「そうなんですか?」
「だけど聖水は治療院だけが生産できる薬品ですよね。その生産を中断するなんてどういう事ですか?」
「それは……申し訳ありませんが話す事は出来ません」
「もしかしてですけど、こちらの聖水の製造法を聞き出そうとしているのはこの治療院の現在の製造法が何らかの理由で実行できず、だから代わりの製造法を聞き出そうとしているんじゃないですか?」
アイリィの言葉にミキは黙り込み、やがて溜息を吐く。その態度を肯定と受け取り、次はレナの方が質問を行う。
「どうして聖水の生産が出来なくなった理由を聞いてもいいですか?」
「お答えしなければなりませんか?」
「……気になる。教えて」
コトミンの素直な質問にミキは視線を反らし、教会側としては部外者に話したくはない理由があるのかも知れないが、レナ達としても理由を教えて貰わずに聖水の製造法を提供する事は出来ない。ここでミキが先ほどの帝国の法律の事を持ち出してしまえばレナ達は彼女に従うしかないのだが、彼女は観念したように理由を話し始める。
「実は……教会で聖水を生産するにはとある御方の御力が必要なんです。ですが、現在はその方はある理由で聖水を生産出来ない状態なんです」
「病気か何かですか?」
「そう……ですね」
「それ、嘘ですよね」
「えっ?」
『えっ?』
ミキの言葉を聞いたレナはすぐに彼女の声に「嘘」を感じ取り、咄嗟に否定してしまう。そんな彼の反応に部屋の中の全員が驚くが、レナは自分の迂闊さに内心冷や汗を掻きながらもミキに問い質す。
「えっと……実は俺は真偽眼……という程ではありませんけど人の嘘を見抜く事が出来ます。声を聴く事が前提の能力ですけど」
「本当ですかレノさん?」
「……初めて知った」
「凄いな……」
「……信じられませんね。確かに人の嘘を見抜く能力は複数存在しますが、声を聴くだけで嘘かどうかを判別できる能力は聞いたことがありません」
「あ、その言葉も嘘ですよね。本当は知っているんじゃないですか?」
「えっ……」
彼女が疑わし気にレナを睨み付けるが、そんな彼女の言葉にも嘘が混じっている事に気付き、レナは指摘する。彼の言葉にミキは黙り込み、ゆっくりと頷く。
「……そうですね、確かに声を聴く事で相手の嘘を判別……という程ではないですが感情を見抜く能力が存在すると聞いたことがあります。そう考えると貴方の言葉も嘘ではないのかも知れませんが……本当に嘘かどうかを見抜けるのですか?」
「まあ……正確に言えば意識を読むというか……嘘を見抜く事も出来ます」
「では……先ほどの私の言葉が嘘だと気づいたのですか?」
「聖水を作っている人が病気というのは嘘ですよね。何か他の理由があるのでは?」
「それは……分かりました。本当の事をお話しましょう」
嘘が通じない相手だと判断したのか、ミキは神妙な表情を抱き、机の上に置いてあったベルを鳴らす。すぐに部屋の外から使用人が姿を現し、彼女は何事か指示を行うと使用人を退出させ、レナ達と向かい合う。
「皆様は巫女姫様の存在を御存じですか?」
「巫女姫……様?」
「陽光教会の一番偉い人ですね。教会の象徴とも言われている存在と聞いてますけど……」
「その通りです。ですが、実は先月に先代の巫女姫様がお亡くなりになり、現在は新しい巫女姫様が選ばれたのですが……この御方は現在は魔法が使えないのです」
「どういう事ですか?聖水を作り出すのに魔法が扱えないと生み出せないんですか?」
「……そうです。聖水を生み出すには巫女姫様の魔力が必要不可欠なのですが、今の巫女姫様はある理由で魔法の使用を控えています」
「どういう事ですか?魔法を使用出来ない理由があるんですか?」
「……魔力要領が歴代の巫女姫様と比べると少ないのです。だから1日で扱える魔法の使用回数が限られています」
ミキの言葉に全員が顔を見合わせ、さらに詳しい話を聞く事にした。
「それでは話を戻しますけど、聖水の製造法を教えて欲しいというのはどういう事ですか?治療院だって聖水を生産しているじゃないですか」
「確かにその通りなのですが、実はとある理由で現在この治療院は聖水の生産を中断しているのです。現在は回復薬の生産だけを行っていますが……」
「そうなんですか?」
「だけど聖水は治療院だけが生産できる薬品ですよね。その生産を中断するなんてどういう事ですか?」
「それは……申し訳ありませんが話す事は出来ません」
「もしかしてですけど、こちらの聖水の製造法を聞き出そうとしているのはこの治療院の現在の製造法が何らかの理由で実行できず、だから代わりの製造法を聞き出そうとしているんじゃないですか?」
アイリィの言葉にミキは黙り込み、やがて溜息を吐く。その態度を肯定と受け取り、次はレナの方が質問を行う。
「どうして聖水の生産が出来なくなった理由を聞いてもいいですか?」
「お答えしなければなりませんか?」
「……気になる。教えて」
コトミンの素直な質問にミキは視線を反らし、教会側としては部外者に話したくはない理由があるのかも知れないが、レナ達としても理由を教えて貰わずに聖水の製造法を提供する事は出来ない。ここでミキが先ほどの帝国の法律の事を持ち出してしまえばレナ達は彼女に従うしかないのだが、彼女は観念したように理由を話し始める。
「実は……教会で聖水を生産するにはとある御方の御力が必要なんです。ですが、現在はその方はある理由で聖水を生産出来ない状態なんです」
「病気か何かですか?」
「そう……ですね」
「それ、嘘ですよね」
「えっ?」
『えっ?』
ミキの言葉を聞いたレナはすぐに彼女の声に「嘘」を感じ取り、咄嗟に否定してしまう。そんな彼の反応に部屋の中の全員が驚くが、レナは自分の迂闊さに内心冷や汗を掻きながらもミキに問い質す。
「えっと……実は俺は真偽眼……という程ではありませんけど人の嘘を見抜く事が出来ます。声を聴く事が前提の能力ですけど」
「本当ですかレノさん?」
「……初めて知った」
「凄いな……」
「……信じられませんね。確かに人の嘘を見抜く能力は複数存在しますが、声を聴くだけで嘘かどうかを判別できる能力は聞いたことがありません」
「あ、その言葉も嘘ですよね。本当は知っているんじゃないですか?」
「えっ……」
彼女が疑わし気にレナを睨み付けるが、そんな彼女の言葉にも嘘が混じっている事に気付き、レナは指摘する。彼の言葉にミキは黙り込み、ゆっくりと頷く。
「……そうですね、確かに声を聴く事で相手の嘘を判別……という程ではないですが感情を見抜く能力が存在すると聞いたことがあります。そう考えると貴方の言葉も嘘ではないのかも知れませんが……本当に嘘かどうかを見抜けるのですか?」
「まあ……正確に言えば意識を読むというか……嘘を見抜く事も出来ます」
「では……先ほどの私の言葉が嘘だと気づいたのですか?」
「聖水を作っている人が病気というのは嘘ですよね。何か他の理由があるのでは?」
「それは……分かりました。本当の事をお話しましょう」
嘘が通じない相手だと判断したのか、ミキは神妙な表情を抱き、机の上に置いてあったベルを鳴らす。すぐに部屋の外から使用人が姿を現し、彼女は何事か指示を行うと使用人を退出させ、レナ達と向かい合う。
「皆様は巫女姫様の存在を御存じですか?」
「巫女姫……様?」
「陽光教会の一番偉い人ですね。教会の象徴とも言われている存在と聞いてますけど……」
「その通りです。ですが、実は先月に先代の巫女姫様がお亡くなりになり、現在は新しい巫女姫様が選ばれたのですが……この御方は現在は魔法が使えないのです」
「どういう事ですか?聖水を作り出すのに魔法が扱えないと生み出せないんですか?」
「……そうです。聖水を生み出すには巫女姫様の魔力が必要不可欠なのですが、今の巫女姫様はある理由で魔法の使用を控えています」
「どういう事ですか?魔法を使用出来ない理由があるんですか?」
「……魔力要領が歴代の巫女姫様と比べると少ないのです。だから1日で扱える魔法の使用回数が限られています」
ミキの言葉に全員が顔を見合わせ、さらに詳しい話を聞く事にした。
6
あなたにおすすめの小説
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい
冬月光輝
ファンタジー
【勇者】のパーティーの一員であったルシアは職業を極めては転職を繰り返していたが、ある日、勇者から追放(クビ)を宣告される。
何もかもに疲れたルシアは適当に隠居先でも見つけようと旅に出たが、【天界】から追放された元(もと)【守護天使】の【堕天使】ラミアを【悪魔】の手から救ったことで新たな物語が始まる。
「わたくし達、追放仲間ですね」、「一生お慕いします」とラミアからの熱烈なアプローチに折れて仕方なくルシアは共に旅をすることにした。
その後、隣国の王女エリスに力を認められ、仕えるようになり、2人は数奇な運命に巻き込まれることに……。
追放コンビは不運な運命を逆転できるのか?
(完結記念に澄石アラン様からラミアのイラストを頂きましたので、表紙に使用させてもらいました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる