最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

文字の大きさ
82 / 207
ゴブリンキング編

外出準備

しおりを挟む
陽光教会に訪れてから三日が経過し、レナ達は黒猫亭に引き籠り、普段は回復薬を生成を終えると市場に訪れて商人と取引を行うのだが、教会からの謝礼金を入手した事で無理に資金を稼ぐ必要性は無くなる。最近では市場に赴くと商人が雇った暗殺者に尾行される事も多くなり、しばらくの間は回復薬の販売を止めて自由に過ごす事を決める。

コトミンはいつも通りに用事がない時は部屋の中で睡眠を行い、アイリィは新しい回復薬の生成を行う為に部屋に引き籠り、レナは付与魔法の練習を行ったり、魔道具店に立ち寄ってホノカから付与魔法の魔法書の仕入れを頼んだり、最近ではゴンゾウと共に行動する事も多い。彼は正式に冒険者として認められ、陽光教会の中でも巫女姫の次に偉い立場の聖魔導士のミキが彼の保証人を引き受けた事により、無事に冒険者に加入を果たす。



――冒険者ギルドで仕事を引き受けるには掲示板に張り出されている依頼書を受付で受注し、依頼書の期日内に依頼内容の条件を満たす事が出来れば報酬が支払われる。冒険者はA~Fの階級に別れており、ランクが高い程に報酬の高い依頼を引き受けられるようになる。世界にはSランクの冒険者も存在し、こちらは実績を積み重ね、過酷な試練を乗り越えた者にしかSランクの称号は与えられない。



現在のゴンゾウは魔物の討伐系の仕事だけを引き受けており、一番下の階級の彼は難易度と報酬が低い依頼しか引き受けられな。それでもゴンゾウは冒険者になる前から魔物を狩り続けており、特に問題なく全ての依頼を成功させて実績を積む。ちなみにレナが彼と初めて出会った日にゴンゾウを後ろから蹴飛ばしていた男性はゴンゾウが冒険者になるための試験を受けた時、彼がゴンゾウの相手を任せられる。試験の結果はゴンゾウの鍬(未だに武器は買っていない)の一撃で吹き飛ばされた。幾ら相手が巨人族とは言え、冒険者の職業は実力社会であり、新人に一撃で倒された彼はもうギルドでの自分の立場を失ってしまう。

ゴンゾウは地道に依頼を達成する事で実績を着実に積み重ね、上の階吸に昇格するために毎日依頼を受け続けていた。レナはそんな彼にアイリィには内緒に回復薬を渡し、その代わりにゴンゾウが知っている限りの魔物の知識を聞き出し、今後役立つか可能性があるので彼から教えて貰った魔物の特徴をスマートフォンのメモの機能を利用して書き記す。



――陽光教会にレナ達が訪れてから4日目、黒猫亭に遂に教会からの使者が訪れる。その相手はレナ達が知っている人物であり、彼等の前にワルキューレ騎士団の見習いであるポチ子が姿を現した。



「お久しぶりです皆さん!!ポチ子です!!」
「久しぶり……という程でもないと思いますけどね。それで貴方が教会からの使者ですか?」
「はい!!ミキさんからこの手紙を渡すように言われてきました!!」


元気よくポチ子は返事をしながら手紙を差し出し、レナが中身を確認する。手紙には騎士団の護衛の準備が整い、彼等の都合のいい日を教えて貰えば同行できるという内容であり、レナは自分のレベルを上げるために帝都の外に赴く際、ゴンゾウが自分も誘って欲しいと言われていた事を思い出すが、生憎と今の彼は冒険者として忙しい日々を送っており、今回はアイリィとコトミンだけを引き連れてワルキューレ騎士団と共にレベル上げの作業を行う事にする。


「よし……それなら明日の昼に教会に行く事を伝えて置いて」
「分かりました!!それじゃあ、失礼します!!」
「本当に元気のいい子ですね……」


ポチ子はレナの返事を聞くと一度だけ敬礼を行い、部屋から退出する。扉の外から「こら!!廊下を走んじゃないよ!!」という黒猫亭の女主人のバルの声が響き渡り、レナは明日の昼に遂に自分が帝都の外に初めて抜け出し、この世界の魔物と戦う事を意識すると緊張する。


「ふうっ……明日か」
「やっぱり緊張してますか?でも、ヴァンパイアやサキュバスを倒したレノさんなら帝都の外に出現する魔物なんか相手にならないと思いますけどね」
「油断大敵だよ……スライムに出会ったらコトミンみたいに餌付けするか」
「……じぇらしぃっ」


レナの冗談にコトミンが猫耳を想像させる癖っ毛を動かし、一方でアイリィは不敵な笑みを浮かべ、2人の前に紫色の液体が入った硝子瓶を取り出す。


「ふっふっふっ……そんな不安を抱えているレノさんにこの商品をお勧めしましょう」
「……何これ?明らかに人が飲んだら不味い色をしてるよね」
「……毒っぽい」
「失礼な!!これこそが私がこの一週間の研究で生み出した新作の回復薬ですよ!!」
「回復薬……これが?」


アイリィの言葉にレナとコトミンは机の上の硝子瓶に視線を向け、この世界の回復薬、解毒薬、魔力回復薬のどれとも違う色合いの薬瓶に不安を覚えながらもアイリィのその性能を問い質す。
しおりを挟む
感想 263

あなたにおすすめの小説

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。 強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。 死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。 再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。 ※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。 ※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!

【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい

冬月光輝
ファンタジー
【勇者】のパーティーの一員であったルシアは職業を極めては転職を繰り返していたが、ある日、勇者から追放(クビ)を宣告される。 何もかもに疲れたルシアは適当に隠居先でも見つけようと旅に出たが、【天界】から追放された元(もと)【守護天使】の【堕天使】ラミアを【悪魔】の手から救ったことで新たな物語が始まる。 「わたくし達、追放仲間ですね」、「一生お慕いします」とラミアからの熱烈なアプローチに折れて仕方なくルシアは共に旅をすることにした。 その後、隣国の王女エリスに力を認められ、仕えるようになり、2人は数奇な運命に巻き込まれることに……。 追放コンビは不運な運命を逆転できるのか? (完結記念に澄石アラン様からラミアのイラストを頂きましたので、表紙に使用させてもらいました)

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

処理中です...