最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

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ゴブリンキング編

討伐隊の末路

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――ゴブリンキングがアラン炭鉱に出現した報告が帝都に届いてから三日後、帝国軍は遂に討伐隊の編成を終えて出動する。指揮を執るのは防衛大臣のデキンの右腕とも言える「カキン」であり、彼は帝国の将軍の中でも古株であり、若かりし頃は様々な功績を上げていた。

今回の討伐隊の人数は1500名であり、事前に救出された冒険者から現在のアラン炭鉱の現状を聞き出し、ゴブリンの数は推定「300匹」であると判断された。普通ならばゴブリンは知能は高いが力は弱く、冒険者ギルドに依頼して冒険者達に対応させるのだが、今回は「ゴブリンキング」と呼ばれる伝説の魔物が登場した事により、帝国軍も流石に脅威を感じ取って軍隊を派遣する。

討伐隊を任されたカキンは最初はゴブリンキングとは言え、たかがゴブリン如きに自分が駆り出された事に不満を抱いたが、アラン炭鉱は帝国にとっても重要な場所であり、他の将軍は若手ばかりで実際に戦を経験した事がなく、カキン以外の実戦経験を積んでいる将軍は帝都には存在しなかった。仕方なく、彼はゴブリンが人間のように毒矢を扱うという情報を聞き出し、重装兵を用意して出撃する。


『たかがゴブリン如きにどうして儂が……』


出発前のカキンは全身を鎧で覆いこんだ兵士達を引き連れ、幾ら相手が厄介な毒矢を使用するとは言え、魔物の中でも力が弱く、山岳地帯にしか生息できないゴブリン如きにどうして警戒しなければならないのかと不満を抱いていたが、防衛大臣の命令を受けた以上は逆らえなかった。


『こんな事は冒険者の仕事ではないか!!』


炭鉱に向けて移動中もカキンの憤りは収まらず、本来ならば今回の事態は冒険者ギルドの冒険者に任せる事であり、彼等に多少の褒賞金を約束して討伐に向かわせる方が出費も最小限に済むはずなのだが、デキンは今回の事態を重く見てカキンに討伐隊を任せて出動させた。


『全く……デキン殿は少し心配症すぎるな。幾ら王を名乗ろうが、ゴブリン如きに軍隊を差し向ける等、他国にも馬鹿にされるぞ』


重装備の兵士達が草原を移動する光景にカキンは溜息を吐きだし、毒矢の対策のために用意した装備とは言え、あまりにも重すぎる事から彼等を乗せる馬達の歩みも遅い。カキンの予測では現在の進行速度ではアラン炭鉱に到着するのは夜中になってしまい、仕方ないので今晩は草原で夜営を行い、早朝にアラン炭鉱のゴブリン達を一掃する事を決めた。

この時の彼の判断は戦略的に考えれば決して間違いではなく、夜行性のゴブリンに対して夜間に襲撃を行うのは危険であり、幾ら相手がゴブリンだろうと自軍の被害を最小限に抑えるために慎重に行動した。




――その晩、昼間は重い装備を身に付けていた兵士達は草原に陣を築くとすぐに就寝してしまう。明日の早朝から出発し、鉱山に巣食うゴブリンを一掃するため、早めに就寝を行う。しかし、そんな油断した彼等の元にゴブリンの群れが出現し、帝国軍の陣に夜襲を仕掛けてきた。

ゴブリンの襲撃時に起きていたのは見張り役の軽装備の兵士と、今回の討伐隊の指揮を任せられた事に不満を抱き、やけ酒のように飲酒を行っていたカキンだけであり、彼等は完全に油断していた。まさか自分達の討伐対象に攻撃を仕掛けられるなど予想も出来なかった。

まずはファングに乗り込んだゴブリンの群れが出現し、見張りの兵士に襲いかかる。彼等はファングの背中から毒矢を放ち、見張りの兵士達を麻痺毒で倒す。騒ぎに気付かれる前に就寝中の兵士達にもゴブリンは襲い掛かり、鎧を身に着ける前に彼等の多くが餌食となる。


『な、何をしている!!早く迎撃せぬかっ!!』


流石に異常事態に気付いたカキンは兵士達に指示を出すが、次々と毒性の武器とファングの機動力を利用してゴブリン達は兵士を打ち倒し、更にゴブリンナイトも出現する。その数は10を超えており、トロールやオーガに匹敵する腕力でやっと装備を整えた兵士さえも薙ぎ倒す。


『く、くそっ!!撤退だ!!』


状況が不利と判断したカキンは動ける兵士だけを連れ出して逃走を開始するが、結果として討伐隊の兵士の数は3分の1まで削られてしまい、しかも逃走した兵士の殆どが装備も置いてきたままであり、カキンは仕方なく引き返した。



――約5倍の数の差が存在したにも関わらず、敗北して戻ってきた討伐隊に民衆は驚愕と落胆を隠せず、一方でデキンは1000名の兵士と装備品を奪われたカキンに激怒し、今回の責任を取らせて処罰が決定するまで謹慎を言い渡される。だが、やっと編成を終えた討伐隊が1日も経過せずに敗北した事にデキンはゴブリンキングの恐怖を思い知らされ、これ以上の兵士の損失は帝都の警備にも支障が生まれる為、彼は地方に配備させている兵士を呼び戻すしかないと考えたが、既にゴブリン達は帝都にまで迫っていた。
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