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ゴブリンキング編
レナの決断
アラン炭鉱に向けて討伐隊が出動し、その翌日に敗走した彼等が帝都に帰還した情報は民衆にも即座に伝わる。幾らゴブリンキングが相手とはいえ、1500名の兵士を引き連れて敗北した帝国軍に民衆は落胆は隠せず、ゴブリン達の脅威が帝都にまで迫っているのではないかと不安を抱く。
陽光教会に滞在しているレナ達にも報告は届いており、ミキは帝国に対して防備を強めるように忠告を行い、ワルキューレ騎士団も出動準備を整えさせる。あくまでも彼女の予感だが、帝国はワルキューレ騎士団にも協力を求めると考えており、実際に冒険者ギルドの方ではゴブリンキングの討伐を帝国から依頼されていた。また、逃げ帰ったカキンの報告ではゴブリンの数が想定以上に多かったという報告もあり、すぐに暗殺者の職業の冒険者が偵察に向かう。
討伐隊が敗走してから二日後、偵察から引き返した人間達から驚くべき情報が帰ってきた。ゴブリンの総勢は300ではなく500を超え、しかもゴブリンナイトの数も20体は存在し、更には無数のファングを従えているという。ゴブリン達は馬代わりにファングを利用して移動を行い、ゴブリンナイトは兵士から奪った重装備を身に着け、ゴブリンキングは草原に生息しているオーク達を捕獲し、食料として食い散らしているという。
ゴブリンとオークは体格も力も大きな差が存在するのだが、ゴブリンキングの配下達はファングの力も利用してオーク達に襲い掛かり、兵士から奪った武器を利用して駆逐する。数の暴力を最大限に生かして草原に生息するオークを捕まえ、その肉を貪り食らう。
偵察に向かった暗殺者によると他の魔物を食したゴブリンは肉体に変化が生じ、オークを喰らったゴブリン達は背格好が人間に近くなり、彼等の話によると「進化」と呼ばれる現象が起きたのではないかと報告する。この「進化」とは文字通りに魔物がより大きな力を持つ存在に生物に変化を果たす現象であり、オークを喰らったゴブリンはゴブリンナイトのように身長が大きく伸び、全身の体毛がオークのように変化したという。このゴブリンの毛皮の色が赤色だったため、ゴブリンの進化種の「レッドゴブリン」と呼ばれる個体と判明した。
アラン炭鉱から草原に拠点を変更したゴブリンキングによって帝都近辺の村や町に被害が及ぶ可能性が高まり、早急にゴブリン達を打ち倒す新たな討伐隊の編成が行われる。そして今回は帝国軍だけではなく、ワルキューレ騎士団や冒険者の参加も必要不可欠だった。
――そして陽光教会の執務室にレナは赴き、自分も討伐隊に参加させてほしいとミキに懇願する。彼女の前で頭を下げ、どうか自分の友達を救い出す機会を与えて欲しいと願う。
「お願いします……どうか俺にも手伝わせてください」
「……まずは頭を上げてください」
執務室の机に座っているミキは深い溜息を吐きだし、友達のために討伐隊の参加を求めるレナの気持ちは理解出来るが、今回の討伐隊の参加条件を彼は満たしていない事を告げなければならない。
「レノ様の回復魔法の効果の高さは知っていますが、今回の討伐隊のために帝国の方から教会に回復薬と聖水の大量発注の依頼を受けています。それに我等ワルキューレ騎士団も参加するので治癒魔導士に関しては間に合っています」
「ですけど……!!」
「……残念ながら付与魔術師のレノ様の参加はきっと他の方からも反対されるでしょう。それに今回の討伐隊の参加条件はレベル30を超えた人間だけなのです。申し訳ありませんが、レノ様に参加資格は……」
「そんな……いえ、分かりました」
現在のレナのレベルは「20」であり、討伐隊の参加条件には届かない。今から魔物を倒してレベルを上げるにしても時間が掛かり過ぎる為、どうしようもできない。レナはミキにこれ以上に粘っても無駄だと悟り、彼女に頭を下げて退室する。
「はあっ……」
「……レノ」
「レノたん……」
外を出るとアイリィとヨウカの姿があり、どうやら執務室の外で話を聞いていたようであり、一瞬だけレナはヨウカに頼めば討伐隊に参加させて貰えるかも知れないかと考えたが、流石に彼女の立場を利用して自分だけが参加する事は出来ない。前回の時もヨウカの発言でワルキューレ騎士団を動かしたが、その時の女騎士達の反発を思い返し、無理やりに参加した所で他の人間に迷惑が掛かってしまう。
「あ、あのね……私から頼めばきっとミキも許してくれると思うけど……」
「いや……大丈夫だよ。他の方法を考えているから」
「他の方法?」
「ちょっとコトミンを借りて良いかな?」
「……?」
レナはコトミンを引き連れ、アイリィがいるはずの病室に向かう。万が一の時の事を考えて彼女には事前にある相談をしており、部屋の中に残っているように頼んでおいた。
陽光教会に滞在しているレナ達にも報告は届いており、ミキは帝国に対して防備を強めるように忠告を行い、ワルキューレ騎士団も出動準備を整えさせる。あくまでも彼女の予感だが、帝国はワルキューレ騎士団にも協力を求めると考えており、実際に冒険者ギルドの方ではゴブリンキングの討伐を帝国から依頼されていた。また、逃げ帰ったカキンの報告ではゴブリンの数が想定以上に多かったという報告もあり、すぐに暗殺者の職業の冒険者が偵察に向かう。
討伐隊が敗走してから二日後、偵察から引き返した人間達から驚くべき情報が帰ってきた。ゴブリンの総勢は300ではなく500を超え、しかもゴブリンナイトの数も20体は存在し、更には無数のファングを従えているという。ゴブリン達は馬代わりにファングを利用して移動を行い、ゴブリンナイトは兵士から奪った重装備を身に着け、ゴブリンキングは草原に生息しているオーク達を捕獲し、食料として食い散らしているという。
ゴブリンとオークは体格も力も大きな差が存在するのだが、ゴブリンキングの配下達はファングの力も利用してオーク達に襲い掛かり、兵士から奪った武器を利用して駆逐する。数の暴力を最大限に生かして草原に生息するオークを捕まえ、その肉を貪り食らう。
偵察に向かった暗殺者によると他の魔物を食したゴブリンは肉体に変化が生じ、オークを喰らったゴブリン達は背格好が人間に近くなり、彼等の話によると「進化」と呼ばれる現象が起きたのではないかと報告する。この「進化」とは文字通りに魔物がより大きな力を持つ存在に生物に変化を果たす現象であり、オークを喰らったゴブリンはゴブリンナイトのように身長が大きく伸び、全身の体毛がオークのように変化したという。このゴブリンの毛皮の色が赤色だったため、ゴブリンの進化種の「レッドゴブリン」と呼ばれる個体と判明した。
アラン炭鉱から草原に拠点を変更したゴブリンキングによって帝都近辺の村や町に被害が及ぶ可能性が高まり、早急にゴブリン達を打ち倒す新たな討伐隊の編成が行われる。そして今回は帝国軍だけではなく、ワルキューレ騎士団や冒険者の参加も必要不可欠だった。
――そして陽光教会の執務室にレナは赴き、自分も討伐隊に参加させてほしいとミキに懇願する。彼女の前で頭を下げ、どうか自分の友達を救い出す機会を与えて欲しいと願う。
「お願いします……どうか俺にも手伝わせてください」
「……まずは頭を上げてください」
執務室の机に座っているミキは深い溜息を吐きだし、友達のために討伐隊の参加を求めるレナの気持ちは理解出来るが、今回の討伐隊の参加条件を彼は満たしていない事を告げなければならない。
「レノ様の回復魔法の効果の高さは知っていますが、今回の討伐隊のために帝国の方から教会に回復薬と聖水の大量発注の依頼を受けています。それに我等ワルキューレ騎士団も参加するので治癒魔導士に関しては間に合っています」
「ですけど……!!」
「……残念ながら付与魔術師のレノ様の参加はきっと他の方からも反対されるでしょう。それに今回の討伐隊の参加条件はレベル30を超えた人間だけなのです。申し訳ありませんが、レノ様に参加資格は……」
「そんな……いえ、分かりました」
現在のレナのレベルは「20」であり、討伐隊の参加条件には届かない。今から魔物を倒してレベルを上げるにしても時間が掛かり過ぎる為、どうしようもできない。レナはミキにこれ以上に粘っても無駄だと悟り、彼女に頭を下げて退室する。
「はあっ……」
「……レノ」
「レノたん……」
外を出るとアイリィとヨウカの姿があり、どうやら執務室の外で話を聞いていたようであり、一瞬だけレナはヨウカに頼めば討伐隊に参加させて貰えるかも知れないかと考えたが、流石に彼女の立場を利用して自分だけが参加する事は出来ない。前回の時もヨウカの発言でワルキューレ騎士団を動かしたが、その時の女騎士達の反発を思い返し、無理やりに参加した所で他の人間に迷惑が掛かってしまう。
「あ、あのね……私から頼めばきっとミキも許してくれると思うけど……」
「いや……大丈夫だよ。他の方法を考えているから」
「他の方法?」
「ちょっとコトミンを借りて良いかな?」
「……?」
レナはコトミンを引き連れ、アイリィがいるはずの病室に向かう。万が一の時の事を考えて彼女には事前にある相談をしており、部屋の中に残っているように頼んでおいた。
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