文字の大きさ
大
中
小
120 / 207
ゴブリンキング編
レナの決断
アラン炭鉱に向けて討伐隊が出動し、その翌日に敗走した彼等が帝都に帰還した情報は民衆にも即座に伝わる。幾らゴブリンキングが相手とはいえ、1500名の兵士を引き連れて敗北した帝国軍に民衆は落胆は隠せず、ゴブリン達の脅威が帝都にまで迫っているのではないかと不安を抱く。
陽光教会に滞在しているレナ達にも報告は届いており、ミキは帝国に対して防備を強めるように忠告を行い、ワルキューレ騎士団も出動準備を整えさせる。あくまでも彼女の予感だが、帝国はワルキューレ騎士団にも協力を求めると考えており、実際に冒険者ギルドの方ではゴブリンキングの討伐を帝国から依頼されていた。また、逃げ帰ったカキンの報告ではゴブリンの数が想定以上に多かったという報告もあり、すぐに暗殺者の職業の冒険者が偵察に向かう。
討伐隊が敗走してから二日後、偵察から引き返した人間達から驚くべき情報が帰ってきた。ゴブリンの総勢は300ではなく500を超え、しかもゴブリンナイトの数も20体は存在し、更には無数のファングを従えているという。ゴブリン達は馬代わりにファングを利用して移動を行い、ゴブリンナイトは兵士から奪った重装備を身に着け、ゴブリンキングは草原に生息しているオーク達を捕獲し、食料として食い散らしているという。
ゴブリンとオークは体格も力も大きな差が存在するのだが、ゴブリンキングの配下達はファングの力も利用してオーク達に襲い掛かり、兵士から奪った武器を利用して駆逐する。数の暴力を最大限に生かして草原に生息するオークを捕まえ、その肉を貪り食らう。
偵察に向かった暗殺者によると他の魔物を食したゴブリンは肉体に変化が生じ、オークを喰らったゴブリン達は背格好が人間に近くなり、彼等の話によると「進化」と呼ばれる現象が起きたのではないかと報告する。この「進化」とは文字通りに魔物がより大きな力を持つ存在に生物に変化を果たす現象であり、オークを喰らったゴブリンはゴブリンナイトのように身長が大きく伸び、全身の体毛がオークのように変化したという。このゴブリンの毛皮の色が赤色だったため、ゴブリンの進化種の「レッドゴブリン」と呼ばれる個体と判明した。
アラン炭鉱から草原に拠点を変更したゴブリンキングによって帝都近辺の村や町に被害が及ぶ可能性が高まり、早急にゴブリン達を打ち倒す新たな討伐隊の編成が行われる。そして今回は帝国軍だけではなく、ワルキューレ騎士団や冒険者の参加も必要不可欠だった。
――そして陽光教会の執務室にレナは赴き、自分も討伐隊に参加させてほしいとミキに懇願する。彼女の前で頭を下げ、どうか自分の友達を救い出す機会を与えて欲しいと願う。
「お願いします……どうか俺にも手伝わせてください」
「……まずは頭を上げてください」
執務室の机に座っているミキは深い溜息を吐きだし、友達のために討伐隊の参加を求めるレナの気持ちは理解出来るが、今回の討伐隊の参加条件を彼は満たしていない事を告げなければならない。
「レノ様の回復魔法の効果の高さは知っていますが、今回の討伐隊のために帝国の方から教会に回復薬と聖水の大量発注の依頼を受けています。それに我等ワルキューレ騎士団も参加するので治癒魔導士に関しては間に合っています」
「ですけど……!!」
「……残念ながら付与魔術師のレノ様の参加はきっと他の方からも反対されるでしょう。それに今回の討伐隊の参加条件はレベル30を超えた人間だけなのです。申し訳ありませんが、レノ様に参加資格は……」
「そんな……いえ、分かりました」
現在のレナのレベルは「20」であり、討伐隊の参加条件には届かない。今から魔物を倒してレベルを上げるにしても時間が掛かり過ぎる為、どうしようもできない。レナはミキにこれ以上に粘っても無駄だと悟り、彼女に頭を下げて退室する。
「はあっ……」
「……レノ」
「レノたん……」
外を出るとアイリィとヨウカの姿があり、どうやら執務室の外で話を聞いていたようであり、一瞬だけレナはヨウカに頼めば討伐隊に参加させて貰えるかも知れないかと考えたが、流石に彼女の立場を利用して自分だけが参加する事は出来ない。前回の時もヨウカの発言でワルキューレ騎士団を動かしたが、その時の女騎士達の反発を思い返し、無理やりに参加した所で他の人間に迷惑が掛かってしまう。
「あ、あのね……私から頼めばきっとミキも許してくれると思うけど……」
「いや……大丈夫だよ。他の方法を考えているから」
「他の方法?」
「ちょっとコトミンを借りて良いかな?」
「……?」
レナはコトミンを引き連れ、アイリィがいるはずの病室に向かう。万が一の時の事を考えて彼女には事前にある相談をしており、部屋の中に残っているように頼んでおいた。
陽光教会に滞在しているレナ達にも報告は届いており、ミキは帝国に対して防備を強めるように忠告を行い、ワルキューレ騎士団も出動準備を整えさせる。あくまでも彼女の予感だが、帝国はワルキューレ騎士団にも協力を求めると考えており、実際に冒険者ギルドの方ではゴブリンキングの討伐を帝国から依頼されていた。また、逃げ帰ったカキンの報告ではゴブリンの数が想定以上に多かったという報告もあり、すぐに暗殺者の職業の冒険者が偵察に向かう。
討伐隊が敗走してから二日後、偵察から引き返した人間達から驚くべき情報が帰ってきた。ゴブリンの総勢は300ではなく500を超え、しかもゴブリンナイトの数も20体は存在し、更には無数のファングを従えているという。ゴブリン達は馬代わりにファングを利用して移動を行い、ゴブリンナイトは兵士から奪った重装備を身に着け、ゴブリンキングは草原に生息しているオーク達を捕獲し、食料として食い散らしているという。
ゴブリンとオークは体格も力も大きな差が存在するのだが、ゴブリンキングの配下達はファングの力も利用してオーク達に襲い掛かり、兵士から奪った武器を利用して駆逐する。数の暴力を最大限に生かして草原に生息するオークを捕まえ、その肉を貪り食らう。
偵察に向かった暗殺者によると他の魔物を食したゴブリンは肉体に変化が生じ、オークを喰らったゴブリン達は背格好が人間に近くなり、彼等の話によると「進化」と呼ばれる現象が起きたのではないかと報告する。この「進化」とは文字通りに魔物がより大きな力を持つ存在に生物に変化を果たす現象であり、オークを喰らったゴブリンはゴブリンナイトのように身長が大きく伸び、全身の体毛がオークのように変化したという。このゴブリンの毛皮の色が赤色だったため、ゴブリンの進化種の「レッドゴブリン」と呼ばれる個体と判明した。
アラン炭鉱から草原に拠点を変更したゴブリンキングによって帝都近辺の村や町に被害が及ぶ可能性が高まり、早急にゴブリン達を打ち倒す新たな討伐隊の編成が行われる。そして今回は帝国軍だけではなく、ワルキューレ騎士団や冒険者の参加も必要不可欠だった。
――そして陽光教会の執務室にレナは赴き、自分も討伐隊に参加させてほしいとミキに懇願する。彼女の前で頭を下げ、どうか自分の友達を救い出す機会を与えて欲しいと願う。
「お願いします……どうか俺にも手伝わせてください」
「……まずは頭を上げてください」
執務室の机に座っているミキは深い溜息を吐きだし、友達のために討伐隊の参加を求めるレナの気持ちは理解出来るが、今回の討伐隊の参加条件を彼は満たしていない事を告げなければならない。
「レノ様の回復魔法の効果の高さは知っていますが、今回の討伐隊のために帝国の方から教会に回復薬と聖水の大量発注の依頼を受けています。それに我等ワルキューレ騎士団も参加するので治癒魔導士に関しては間に合っています」
「ですけど……!!」
「……残念ながら付与魔術師のレノ様の参加はきっと他の方からも反対されるでしょう。それに今回の討伐隊の参加条件はレベル30を超えた人間だけなのです。申し訳ありませんが、レノ様に参加資格は……」
「そんな……いえ、分かりました」
現在のレナのレベルは「20」であり、討伐隊の参加条件には届かない。今から魔物を倒してレベルを上げるにしても時間が掛かり過ぎる為、どうしようもできない。レナはミキにこれ以上に粘っても無駄だと悟り、彼女に頭を下げて退室する。
「はあっ……」
「……レノ」
「レノたん……」
外を出るとアイリィとヨウカの姿があり、どうやら執務室の外で話を聞いていたようであり、一瞬だけレナはヨウカに頼めば討伐隊に参加させて貰えるかも知れないかと考えたが、流石に彼女の立場を利用して自分だけが参加する事は出来ない。前回の時もヨウカの発言でワルキューレ騎士団を動かしたが、その時の女騎士達の反発を思い返し、無理やりに参加した所で他の人間に迷惑が掛かってしまう。
「あ、あのね……私から頼めばきっとミキも許してくれると思うけど……」
「いや……大丈夫だよ。他の方法を考えているから」
「他の方法?」
「ちょっとコトミンを借りて良いかな?」
「……?」
レナはコトミンを引き連れ、アイリィがいるはずの病室に向かう。万が一の時の事を考えて彼女には事前にある相談をしており、部屋の中に残っているように頼んでおいた。
感想 263
あなたにおすすめの小説
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
死に戻り勇者は二度目の人生を穏やかに暮らしたい ~殺されたら過去に戻ったので、今度こそ失敗しない勇者の冒険~
白い彗星世界を救った勇者、彼はその力を危険視され、仲間に殺されてしまう。無念のうちに命を散らした男ロア、彼が目を覚ますと、なんと過去に戻っていた!
もうあんなヘマはしない、そう誓ったロアは、二度目の人生を穏やかに過ごすことを決意する!
とはいえ世界を救う使命からは逃れられないので、世界を救った後にひっそりと暮らすことにします。勇者としてとんでもない力を手に入れた男が、死の原因を回避するために苦心する!
ロアが死に戻りしたのは、いったいなぜなのか……一度目の人生との分岐点、その先でロアは果たして、穏やかに過ごすことが出来るのだろうか?
過去へ戻った勇者の、ひっそり冒険談
小説家になろうでも連載しています!
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
転生者は冒険者となって教会と国に復讐する!
克全東洋医学従事者でアマチュア作家でもあった男が異世界に転生した。リアムと名付けられた赤子は、生まれて直ぐに極貧の両親に捨てられてしまう。捨てられたのはメタトロン教の孤児院だったが、この世界の教会孤児院は神官達が劣情のはけ口にしていた。神官達に襲われるのを嫌ったリアムは、3歳にして孤児院を脱走して大魔境に逃げ込んだ。前世の知識と創造力を駆使したリアムは、スライムを従魔とした。スライムを知識と創造力、魔力を総動員して最強魔獣に育てたリアムは、前世での唯一の後悔、子供を作ろうと10歳にして魔境を出て冒険者ギルドを訪ねた。
アルファポリスオンリー
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさんパーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。