最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

文字の大きさ
165 / 207
戦姫編

オーク撃退

しおりを挟む
レナ達の馬車が草原に移動を開始してから2時間が経過した頃、運転を行っていたアイリィが唐突に馬車を停止させ、レナ達に声を掛ける。


「敵です!!前方にオークの群れが近づいてきます!!」
「やっと現れたかっ……いや、多くないっ!?」
『プギィイイイッ!!』


馬車の前方からオークの群れが出現し、レナは馬車の中から魔弓を構えようとすると敵の数に驚愕し、30体近くのオークが向かってくる。即座に馬車の後部の荷車に乗っていたゴンゾウが降りると彼は銀の棍棒を片手で握りしめ、馬車の前方に移動する。アイリィも腐敗剤を取り出し、コトミンも掌を構えるが、先にレナが弓魔術を発動してオークの群れに放つ。


雷属性エンチャット!!」
「プギィイイイッ!?」
「ブフゥッ!?」


先頭を走っていたオークに電撃の矢を放ち、狙撃のスキルを発動して電撃の槍と化した矢をオークに射抜く。その威力は凄まじく、先頭を走っていたオークの後方に存在した個体も巻き込み、一気に3体程葬る。続けてレナは次の矢を弓に番え、今度は別の属性の付与魔法を発動して射抜く。


火属性エンチャット!!」
『プギャァアアアッ!?』


今度は火炎を纏わせた矢が放たれ、的確に2体のオークを焼き尽くす。その光景を見たオーク達は足を止め、御互いに顔を見合わせ、戦闘を続行させるか逃走するべきか判断に迷う。その隙にレナは次の矢を構えると、ゴンゾウが咆哮を上げて棍棒を振り翳す。


「旋風棍!!」
「プゲェエエエッ!?」
「プギィッ!?」


横回転に棍棒を振り回す戦技を発動させ、オークの1体を吹き飛ばして他の個体に衝突させる。彼の腕力は同世代の巨人族の中でも飛びぬけて高く、続けてゴンゾウはプロレスのように棍棒を握りしめていない方の腕を構えてラリアットを放つ。


「ぬんっ!!」
「プギィイイッ!?」


決して小柄とは言えないオークの肉体を片腕だけで叩きつけて地面に押し倒し、更に彼は棍棒を両手で構えて振り下ろす。


「兜割り!!」


倒れこんだオークの顔面を叩き潰し、相手は悲鳴を上げる暇もなく頭部が潰され、それを見たオークは怖気着いたように逃走を開始する。


『プギィイイイッ……!?』
「……逃げたか」


逃走を行うオークの群れにゴンゾウは棍棒を肩に乗せ、レナ達も安堵する。最初は相手の数に動揺したが、レナの弓魔術とゴンゾウの戦闘力のお蔭でオーク程度ならば問題なく対処する事が可能だと判明し、アイリィは早速倒したオークの死骸に赴き、素材の剥ぎ取りを行う。


「う~んっ……やっぱり、レナさんの魔法でやられた個体は素材が駄目になりますね。もう少し加減して撃ってもらえませんか?」
「無茶言うなっ」
「まあ、死体の処理を省けるという点では便利ですけどね」


雷属性と火属性の弓魔術で射抜かれたオークの死骸は黒焦げと化しており、素材の採取は不可能だが死体の後処理を省かれる。一方でゴンゾウが打ち倒したオークからは食すことが出来る部分の肉の回収には成功し、今日の晩飯として利用する事に決め、素材の回収を終えた後はレナが付与魔法で償却を行う。


火属性エンチャット……これで良し」
「便利ですよね攻撃向けの属性の魔法を扱える人は……私も攻撃魔法を覚えたいですね」


死骸にレナが直接火属性の付与魔法を発動させて焼却させていると、アイリィが羨ましそうに答える。彼女は回復魔法しか扱えず、聖属性以外の魔法の属性は扱えない。治癒魔導士が聖属性しか扱えないのは別に珍しい事はなく、実際に陽光教会の巫女姫のヨウカも聖属性しか扱えない(ワルキューレ騎士団の団員のように聖属性以外にも攻撃向けの属性を扱える者も存在する)。


「アイリィは戦闘以外の事で大活躍してるじゃん。商売とか、薬品開発とか、コトミンの相手とか……」
「それはそうですけど、私としても自分の身を守る術が欲しいですよ。聖属性は回復や浄化に特化しているので難しいのは分かってますけど……」
「ちなみに聖属性の砲撃魔法はないの?」
「あるにはありますよ。私は扱えませんけど「フラッシュ」という魔法です。まあ、名前の通りに攻撃というよりは閃光を放つような魔法ですけど……」
「それなら俺でも出来るよ」


レナも硬貨を利用すれば聖属性の付与魔法で閃光を生み出す事は可能であり、聖属性の魔法の性質はあくまでも回復特化であり、攻撃に利用するのは難しい魔法だと再認識する。素材の回収を終えると馬車は再び動き出し、廃都に向けて移動を再開する。
しおりを挟む
感想 263

あなたにおすすめの小説

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。 ※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。 強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。 死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。 再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。 ※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。 ※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

処理中です...