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戦姫編
夜営
――オークの襲撃から数時間後、レナ達は草原で夜営を行う。予想よりも魔物の襲撃が多く、撃退する度に素材の回収や死骸の後処理に時間が掛かってしまい、結局は廃都に辿り着く前に草原で夜営の準備を行う。レナ達は収納石から夜営用の道具の類を取り出し、今日の内に回収した食肉用の魔物の素材を利用して夕食を行う。
「なんか意外な光景だな……アイリィって料理出来たんだ」
「失礼なっ……こう見えても調理のスキルを持っているんですよ私」
魔弓の手入れを行うレナの目の前には鍋を掻き混ぜるアイリィの姿があり、彼女は慣れた手つきでオークの肉と草原で取れた野草でスープを作り出し、更に注いでレナとゴンゾウに手渡す。食事を行えるのは2人だけなのでアイリィとコトミンは補給用の水しか飲用せず、食事を行いながら今日の出来事を話し合う。
「二人は食べないのか?このスープは美味しいぞ」
「……いらない」
「食べられたらいいんですけどね……まあ、気にしないでください」
食事を行わないアイリィとコトミンにゴンゾウが不思議そうに問い質すが、二人は人間の食事は行えず、代わりに後でレナから聖属性の付与魔法を施してもらう必要がある。ゴンゾウは彼女達の言葉に疑問抱きながらも料理を味わい、レナも有り難く頂く。
「ふうっ……今日は結構戦ったけど、こんなにオークと遭遇するなんて思わなかったな……」
「最近は何故か草原に出現するオークが激増している……理由は不明だが、ギルドにも帝都近辺の村や町からオークの討伐依頼が殺到している」
「そう言えば前に私達が戦ったオークを覚えてますか?あの時のオークの中に1体だけ妙な個体がいましたよね。レナさんが倒した射手のオークですけど……」
「そう言えばいたな……真っ先に俺を狙ってきた奴」
以前にレナ達が陽光教会の護衛と供に初めて草原に赴いた際、最初に彼等が遭遇したオークの群れは人間から奪った武器を装備しており、その中に1体だけ技量が高いオークが存在した。戦闘中にレナに向けて正確な射撃を行い、もしも彼が「思考加速」の持ち主でなければ間違いなく頭部を射抜かれて死亡していただろう。
「そういえば王女様もオークの討伐に向かっていたと言っていたような……その途中でバジリスクと遭遇したんだっけ」
「そうですね……オークの増加にバジリスクの出現、何か関係があるのかも知れませんね」
「オークキングとかオークロードとか現れたとか?」
「可能性の1つとしては有り得ますね」
レナが冗談で告げた言葉にアイリィは真面目な表情で頷き、彼女は考え込むように腕を組む。その一方でレナは周囲に視線を向け、夜営を行う前に魔物が近付いて来ない様に旅をする人間が愛用する「腐敗石」と呼ばれる魔石を設置しており、この魔石からは魔物だけが嫌う臭いを放つ性質が存在し、大抵の魔物は近付かなくなる。特にファングやオークのような魔獣は嗅覚が鋭い魔物には効果的らしく、実際にレナ達が夜営を始めてから一度も魔物の襲撃を受けていない。
「この腐敗石がアイリィの腐敗剤の原材料だっけ?」
「そうですよ。まあ、他にも色々と作っているんですけど……そう言えばレナさんの聖水を利用して新しいのを作りましたよ」
「どんなの?」
アイリィが自分の鞄から白色に光り輝く六角形の石を取り出し、最初にレナは聖属性の魔石を取り出したのかと考えたが、通常よりも輝きが異様に強く、彼女はレナに手渡す。
「これは?」
「レナさんの聖水に浸けた魔石ですよ。私が与えられた分だけだと1つしか作れませんでしたけど、どうやら聖水に通常の魔石を浸すと効果が高まるらしいんです。だから私は聖石と名付けました」
「へえ……どれくらいの効果がある?」
「これ1つで低レベルの治癒魔導士でも上級回復薬並の回復魔法を施せますよ。しかも吸魔石と違って魔石ですから複数回発動が可能です。まあ、吸魔石のように装備しているだけで回復効果はありませんし、定期的に聖水に浸けないといけませんけど……」
「へえ……それならこれからはアイリィに渡す聖水の量を増やしておくよ」
「……ずるい」
「いやいや、私の場合は実験に使うだけですよ。コトミンさんの場合は単純に自分が味わう為だけに貰ってるじゃないですか」
「ぎくっ……何故バレた」
「バレバレだよ……」
「よく分からんが……お前達は面白いな」
レナ達のやり取りにゴンゾウが笑みを浮かべ、彼としては他の人間と共に行動する機会が少なく、年齢の割には外見が老けており、大柄な体格のせいで他人から距離を取られやすいゴンゾウにとってレナ達のように気軽に接することが出来る人間と行動を共にする事は貴重な体験だった。
「なんか意外な光景だな……アイリィって料理出来たんだ」
「失礼なっ……こう見えても調理のスキルを持っているんですよ私」
魔弓の手入れを行うレナの目の前には鍋を掻き混ぜるアイリィの姿があり、彼女は慣れた手つきでオークの肉と草原で取れた野草でスープを作り出し、更に注いでレナとゴンゾウに手渡す。食事を行えるのは2人だけなのでアイリィとコトミンは補給用の水しか飲用せず、食事を行いながら今日の出来事を話し合う。
「二人は食べないのか?このスープは美味しいぞ」
「……いらない」
「食べられたらいいんですけどね……まあ、気にしないでください」
食事を行わないアイリィとコトミンにゴンゾウが不思議そうに問い質すが、二人は人間の食事は行えず、代わりに後でレナから聖属性の付与魔法を施してもらう必要がある。ゴンゾウは彼女達の言葉に疑問抱きながらも料理を味わい、レナも有り難く頂く。
「ふうっ……今日は結構戦ったけど、こんなにオークと遭遇するなんて思わなかったな……」
「最近は何故か草原に出現するオークが激増している……理由は不明だが、ギルドにも帝都近辺の村や町からオークの討伐依頼が殺到している」
「そう言えば前に私達が戦ったオークを覚えてますか?あの時のオークの中に1体だけ妙な個体がいましたよね。レナさんが倒した射手のオークですけど……」
「そう言えばいたな……真っ先に俺を狙ってきた奴」
以前にレナ達が陽光教会の護衛と供に初めて草原に赴いた際、最初に彼等が遭遇したオークの群れは人間から奪った武器を装備しており、その中に1体だけ技量が高いオークが存在した。戦闘中にレナに向けて正確な射撃を行い、もしも彼が「思考加速」の持ち主でなければ間違いなく頭部を射抜かれて死亡していただろう。
「そういえば王女様もオークの討伐に向かっていたと言っていたような……その途中でバジリスクと遭遇したんだっけ」
「そうですね……オークの増加にバジリスクの出現、何か関係があるのかも知れませんね」
「オークキングとかオークロードとか現れたとか?」
「可能性の1つとしては有り得ますね」
レナが冗談で告げた言葉にアイリィは真面目な表情で頷き、彼女は考え込むように腕を組む。その一方でレナは周囲に視線を向け、夜営を行う前に魔物が近付いて来ない様に旅をする人間が愛用する「腐敗石」と呼ばれる魔石を設置しており、この魔石からは魔物だけが嫌う臭いを放つ性質が存在し、大抵の魔物は近付かなくなる。特にファングやオークのような魔獣は嗅覚が鋭い魔物には効果的らしく、実際にレナ達が夜営を始めてから一度も魔物の襲撃を受けていない。
「この腐敗石がアイリィの腐敗剤の原材料だっけ?」
「そうですよ。まあ、他にも色々と作っているんですけど……そう言えばレナさんの聖水を利用して新しいのを作りましたよ」
「どんなの?」
アイリィが自分の鞄から白色に光り輝く六角形の石を取り出し、最初にレナは聖属性の魔石を取り出したのかと考えたが、通常よりも輝きが異様に強く、彼女はレナに手渡す。
「これは?」
「レナさんの聖水に浸けた魔石ですよ。私が与えられた分だけだと1つしか作れませんでしたけど、どうやら聖水に通常の魔石を浸すと効果が高まるらしいんです。だから私は聖石と名付けました」
「へえ……どれくらいの効果がある?」
「これ1つで低レベルの治癒魔導士でも上級回復薬並の回復魔法を施せますよ。しかも吸魔石と違って魔石ですから複数回発動が可能です。まあ、吸魔石のように装備しているだけで回復効果はありませんし、定期的に聖水に浸けないといけませんけど……」
「へえ……それならこれからはアイリィに渡す聖水の量を増やしておくよ」
「……ずるい」
「いやいや、私の場合は実験に使うだけですよ。コトミンさんの場合は単純に自分が味わう為だけに貰ってるじゃないですか」
「ぎくっ……何故バレた」
「バレバレだよ……」
「よく分からんが……お前達は面白いな」
レナ達のやり取りにゴンゾウが笑みを浮かべ、彼としては他の人間と共に行動する機会が少なく、年齢の割には外見が老けており、大柄な体格のせいで他人から距離を取られやすいゴンゾウにとってレナ達のように気軽に接することが出来る人間と行動を共にする事は貴重な体験だった。
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