最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

文字の大きさ
172 / 207
戦姫編

トロール 〈中級危険種〉

しおりを挟む
「ゲヘヘヘッ!!」
「むうっ……視線が気持ち悪い」
「こいつらゴブリン以上に何でも食べますからね……ちなみにスライムも食べられるそうです。つまり……私達も狙われるという事ですよぉっ!!」


コトミンの手を繋ぎ、アイリィは走り出すとトロールの1体が彼女達の後を追い掛け、動作は遅いが歩幅に大きな違いがあり、相手は歩くだけで2人との距離を縮める。その光景を見たレナは咄嗟に魔弓を構えようとした時、彼の傍に大きな影が差す。


「ウアッ!!」
「うわっ!?」


レナの後方に他のトロールが両腕を伸ばして抱き付こうとするが、咄嗟にレナは回避のスキルを発動して右方向に回り、反撃のスキルを発動して右腕の白銀拳を叩き込む。


「このっ!!」
「ゲフッ!?」


トロールの脂肪で構築された巨大な腹部に拳がめり込むが、相手は眉を顰めた程度で損傷を与えられた様子はなく、並のオーク程度ならば身体能力を強化した状態のレナの攻撃を受ければ一撃で倒せるはずだが、トロールの全身が脂肪の鎧に覆われており、衝撃を緩和する。レナは舌打ちを行いながら左手を構え、トロールの腹部に触れて直接相手の肉体に付与魔法を発動した。


雷属性エンチャット!!」
「グゲェエエエエッ!?」


電流を相手の肉体に直接流し込み、トロールは全身を感電させながら倒れ込み、その様子を確認したレナはアイリィ達を追いかけようとしたが、派手な轟音が周囲に響き渡る。


「ぬおおおおおっ!!」
「ゲヘヘッ!!」


ゴンゾウが正面から自分の体長の2倍近くのトロールと向い合い、御互いに両手を握りしめて力比べを行う様に押し合う。ゴンゾウはゴブリンナイトを軽々と振り回す程の怪力を誇るが、トロールの方も腕力には自信があるのか堂々と彼の両手を握りしめ、御互いに押し合う。


「ぐぅっ……うおおおっ!!」
「ウアアッ……!?」


力比べは徐々にゴンゾウに傾き、彼はトロールの巨体に組み付き、後方に押し返す。相手は自分が力負けした事に驚愕するが、腕を振り上げてゴンゾウの頭部に拳を叩き込む。


「ウオオッ!!」
「うぐっ、ぐふっ……舐めるなぁっ!!」
「グハァッ!?」


だが、ゴンゾウはトロールの巨体を両腕で持ち上げ、プロレスのパワーボムの体勢で相手の背中を地面に叩きつけ、頭部にも衝撃が走る。更に彼は両足を握りしめ、トロールの巨体を勢いよく振り回す。


「ぬううううっ!!」
「ウァアアアアアッ……!?」
「せいやぁっ!!」


両手を話した瞬間、トロールの巨体が空中に吹き飛び、傍に存在した建物に衝突して瓦礫と共に崩れ落ちる。その光景にレナは彼の怪力に驚かされるが、その間にもアイリィとコトミンがトロールに追いかけ回されていた。


「ちょ、ちょっとコトミンさん!!こういう時こそ貴女の水圧砲の出番じゃないですか!?」
「忘れてた……てやっ」
「ウオオッ!?」


コトミンが右腕に水滴を垂らし、腕を振り払う動作を行った瞬間、彼女の右腕から三日月状の水の刃が放たれ、トロールの右足を切断する。その光景に誰もが驚愕し、通常の水圧砲は消防車のホースのように勢いよく放水を行うが、今回はアクアカッターのようにトロールの右足を切断する程の威力を誇る「水刃」を放つ。

「新必殺技……名付けて水刃」
「いや、格好いいですね……でもまだ生きてますよ!?」
「ウォオオオオオッ……!!」


片足を着られてもトロールは地面に跪きながらも両手を伸ばし、アイリィとコトミンは腕を回避し、その隙にレナが後方から接近して吸魔石を片手に構える。


雷属性エンチャット!!」
「ウギィイイイイイイイッ!?」


吸魔石から電撃の槍が放たれ、トロールの全身を感電させる。その威力は弓魔術を発動した時よりも威力は増しており、蓄積させていた魔力を一気に解放して最後の一体を倒す。やがて吸魔石の魔力が消失し、レナは黒焦げと化したトロールを確認して安堵の息を吐く。


「ふうっ……危なかったな」
「いや、死ぬかと思いましたよ!!本当に食べられるかと思いましたよ!?」
「むう……ちょっと気持ち悪かった」


滅多に魔物に襲われる事がないアイリィとコトミンだが、スライムでも捕食を行う魔物には彼女達も狙われる事が判明し、レナはトロールに視線を向ける。これほどの厄介な化物が廃都に生息している事に驚いたが、単純な強さはゴブリンナイトを少々上回る程度であり、冷静に対応すれば強敵という程ではない。


「こいつらの素材は剥ぎ取らないのアイリィ?」
「いや、いりませんよこんな奴等……食用にもなりませんし、さっさと燃やしてくださいよ」
「待て……無闇にこの場所で魔物を焼くと臭いを嗅ぎつけて他の魔物がやってくる。放置して置けば勝手に他の魔物が訪れて死骸に食らいつく……今の内に先に進むぞ」


ゴンゾウの言葉にレナ達は了承し、トロールの死骸は放置してその場を移動する事に決めた。
しおりを挟む
感想 263

あなたにおすすめの小説

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。 ※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。 強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。 死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。 再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。 ※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。 ※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

処理中です...