最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

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戦姫編

ジャンヌの容態

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ミキの後に続き、通路を駆け抜けてレナは治療院の緊急医療室と呼ばれる部屋に辿り着き、既に中には大勢の人間が存在し、ベッドに横たわるジャンヌの傍にヨウカとアイリィが存在し、彼女に掌を構えて回復魔法を施していた。


「んっ……くぅっ……!!」
「これは不味いですね……もっと真面目に解毒薬とか開発して置けば良かったですね……!!」
「申しわけ……ありません」
「喋らないで下さいジャンヌ様!!くそ、どうしてこんな事に……」
「あんたが取り乱してどうするんだい!!ほら、離れてな……」


ジャンヌ以外にもリノンの姿が存在し、彼女はテンに身体を抑えられており、主人の容態の悪化に取り乱していた。そんな彼女の横を通り過ぎると、ミキはアイリィの肩に手を置いて彼女に様子を伺う。


「……どのような状態ですか?」
「最悪ですね。毒の侵攻が一気に広がって身体全体の皮膚が変色し始めています。さっきから状態回復を施していますけど殆ど効果がありません」
「ご、ごめんね……私にもっと力があれば……」
「ああ……巫女姫様、そのような事はおっしゃらないで下さい……私如きの為に貴方様の手を煩わせるなど……」
「喋らないで下さい!!アイリィ様、交代しましょう。レナ様は巫女姫様の魔力の回復を……」
「分かった。コトミンも手伝って」
「んっ」


すぐにレナはジャンヌの治療を行うヨウカの左手を握りしめ、聖属性の付与魔法を発動して魔力を送り込む。その一方でミキも治療を開始し、巫女姫と聖魔導士の回復魔法を受けてもジャンヌの様子は変わらず、肉体が徐々に緑色の皮膚に変色していく。


「どうして急にこんな……何が起きたんだい?」
「分からない……今朝までは何ともなかったんだ。だが、昼食を終えた頃から急に……」
「あまり疑いたくはないですけど、まさか食事に毒が混じっていたんじゃないですか?」
「そんなはずは……いや、しかし……それ以外に……」


アイリィの指摘に王女の側近を勤めているリノンは心当たりがあるのか考え込み、レナはヨウカに魔力を送り込みながらもジャンヌに視線を向け、先ほどまでは喋る事は出来たが現在は意識を失いかけているのか一言もしゃべらない。コトミンは魔法を施し続けている3人の汗を拭き取り、アイリィは手持ちの薬品を確認して聖水を取り出し、ジャンヌの口に運ぶ。


「飲んでください。少しは楽になりますよ……」
「んっ……けほっけほっ」
「落ち着いて下さい……幾らでもありますから」
「おい、早く誰か解毒薬を持って来い!!一体何をしてんだい!!」
「無駄ですよ。ここまでの状態に陥ると普通の解毒薬なんて気休めにもなりません」
「そんな……ならどうしたらいいんだ!?」
「……毒を生み出した存在、バジリスクから毒の成分を採取するしかありませんね。もしくはエルフ族の秘薬である精霊薬ならあるいは……」
「おいおい……精霊薬なんて伝説の回復薬の事かい?まさか本当に実在するのかい?」
「実在します。ですけどエルフ族でも所有している人間は限られますから入手するのは難しいでしょうね……今は聖水を与え続けるしかありません。回復魔法はもう結構ですよ……魔法耐性のスキルを持っている人には効果は薄いですし、むしろヨウカさんには回復魔法よりも聖水を大量に生産した方がいいかもしれません」
「わ、分かった!!いっぱい作ってくるからね!!」
「あ、待ってください!?鍵は私が……」


アイリィの言葉に回復魔法を施していたヨウカとミキが中断し、即座に聖水を生み出すのに必要な聖光石が存在する「浄化の間」にヨウカが移動を行い、慌てて扉の鍵を所有しているミキが後に続く。残された人間は心配そうにジャンヌに視線を向ける中、リノンだけは立ち上がって彼女は決意を抱いたように呟く。


「もう、時間が無い……今すぐバジリスクを倒す!!」
「待ちな、1人で何処に行く気だい?」
「離せっ!!」


興奮した様子のリノンが部屋の外に飛び出そうとした所をテンが彼女の片を掴んで引き留めるが、リノンは激昂した様子で振り払い、涙目でベッドの上のジャンヌを指差す。


「もう王女様は身体が持たない……だからバジリスクを倒すしか方法はない!!今すぐに出発しないと間に合わないんだ!!」
「あんた1人でどうにか出来る相手じゃないだろう。それにまだ討伐隊の準備も整って……」
「そんな悠長な事を言っている場合じゃない!!邪魔をするなら……!!」
「おい……ここで剣を抜く事の意味を分かっているのかい?」
「わうっ!?ま、待ってください!!駄目ですよ喧嘩なんて!?」


リノンが腰に差している長剣に手を伸ばし、テンは腕を組んだまま彼女を睨み付けると、ポチ子が慌てて間に入る。流石に子供を前に剣を引き抜くような真似は出来ず、リノンは唇を噛み締めるが、彼女の言う事には一理存在し、このままではジャンヌは死を待つばかりだった。
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