最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

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戦姫編

無謀

「アイリィ……正直に答えて欲しい。王女様はどれくらい耐えられる?」
「そうですね……この調子だと私やミキさんが付きっ切りで看病を行ったとしても、せいぜい2、3日が限度ですかね」
「そんなっ!!」
「落ち着いて……バジリスクが存在する深淵の森と帝都はどれくらい離れている?」
「どんなに急いでも1日は掛かるね。だけど転移石を持っていけば帰還は一瞬で済むけどね」
「ならばこんな所で話している暇はない!!私は1人でも……」
「待ちなっ!!王女様を放っていく気かい!?」
「このまま何もしなければ死んでしまうんだ!!だったら私は生き残る可能性がある方法を選ぶ!!」
「待ってください。貴方はバジリスクが存在する場所を知っているんですか?」
「それは……」


アイリィの言葉にリノンは言葉を詰まらせ、彼女もバジリスクから逃げ帰った人間の1人ではあるが、現時点のバジリスクの正確な居場所までは把握していない。それでも現状では彼女だけがバジリスクと遭遇した場所を知っており、王女が倒れた今では案内役を務められるのはリノンしかいない。ここで彼女を失えば討伐隊の案内役がいなくなってしまい、バジリスクの討伐は果たせなくなる。


「あんた1人で超級危険種に勝てると思ってんのかい?化物に勝てるのは英雄だけなんだよ」
「くっ……!!」
「だけどまあ、悠長に討伐隊が編成されるのを待っている暇はないね。しょうがない……私達も付き合うよ」
「え?」


テンの言葉にリノンは驚愕の表情を浮かべ、彼女は笑みを浮かべて背中の大剣を握りしめ、ポチ子に命令を伝える。


「ポチ子!!訓練場に居る奴等に伝えてきな!!ワルキューレ騎士団出動だってな!!」
「わぅんっ!!」
「て、テン副団長?」
「なんて顔してんだい……王女様の事はあたしも小さい頃から知っているからね。見殺しになんて出来るはずがないだろうが」
「ああ……ありがとうございます」


リノンはテンの言葉に感謝の涙を流し、その一方でレナはコトミンと顔を見合わせ、アイリィに視線を向けると彼女は軽い溜息を吐いて頷く。


「俺も行くよ。コトミンも一緒に来てくれる?」
「……当たり前」
「私はここに残りますよ。治療する人間がいないと不味いですからね……その代わりに私の荷物を持って行ってくださいよ。少ないですけど腐敗剤も入っていますから……」
「ありがとう……ゴンちゃんを呼び出す事は出来るかな?」
「そいつは難しいね……一応は冒険者ギルドに連絡を伝える事ぐらいは出来るだろうけど、巨人族を運ぶ乗り物をすぐには用意できないじゃないのかい?」
「そっか……なら連絡だけでも」


レナはその場で手紙を書き込み、修道女の1人に冒険者ギルドに居るはずのゴンゾウに送り届けるように頼む。その間にワルキューレ騎士団は準備を整え、テンとリノンも戦闘態勢を整える。今回の出動はテンの独断であり、ミキに報告を行えば反対される可能性があり、彼女に気付かれる前に移動を行う――





「――全員準備は出来たね……さあ、行くよ!!」
『はっ!!』


1時間後、帝都の外の草原には白馬に跨ったワルキューレ騎士団が50名、更に黒馬に変身したコトミンも存在し、レナは彼女の背中に乗り込む。一方のリノンは帝国の騎馬に乗り込んでおり、本来ならば冒険者と帝国の軍隊を引き連れて出発するつもりだったが、一刻の猶予も無い状況であり、出発を行う。


「出撃ぃっ!!」
『はあっ!!』
『にゃああっ……』
「えっ!?今、猫の鳴き声が……」
「気のせいだと思います!!」


テンの号令により、ワルキューレ騎士団は出発を開始し、白馬が草原を疾走する。その一方で黒馬に変身したコトミンの鳴き声にリノンが驚いた表情を浮かべるが、すぐに彼は誤魔化す。


「コトミン……馬の鳴き声で喋ってよ」
『……気を付ける』
「え!?今、その馬は喋られなかったか!?」
「気のせいですぅっ!!」


移動中にリノンは黒馬が喋った事に動揺するが、レナは即座に誤魔化しながら振り落とされないようにしがみ付く。乗馬の技術など彼は所有していないが、黒馬に変身したコトミンが気を使い、彼の身体が落ちないように他の人間に気付かれない範囲で密着する。帝都から深淵の森までの距離は馬で移動したとしても1日は時間が掛かるため、レナは定期的にコトミンに付与魔法を施して移動を行う。
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