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「あっ!!ティアラ様!!」
アーノルドが私達に気付いて走り寄って来る。にこにこと人好きの笑顔を浮かべる姿はまるで子犬のようだ。
「久しぶりね!アーノルド!元気だった?」
「はい!あっ!でも今は助けて下さい!!シャリエ様ったら酷いんですよ!!」
きゅうんきゅうん!と効果音が聞こえて来そうな程、泣きそうな顔で助けを求めて来るアーノルドは到底年上とは思えない。弟がいたらこんな感じかぁ…と思わず笑ってしまった。
「ふふふっ…!!」
「あ、お嬢様。シャリエ様が…」
モニカが視線を向ける先には、すっと背筋を伸ばしキャラメル色の髪を結い上げた威厳のある姿のお祖母様がこちらに歩いて来る。
「お祖母様!!」
「ティアラ、よく来たね!!で、早速だけど後ろの駄犬を渡してくれるかい?」
「はっ!?だ、駄犬!?」
「肉が足りないからちょっと山に狩りに行けと言っているのに、逃げ回って仕事しないんだよ、困った駄犬だろう?」
綺麗な形の片眉を上げ、私におどけた表情でそう言うお祖母様は相変わらずだ。
本当はアーノルドの事がお気に入りなのに。
「ち、違うんですよ!ティアラ様!もう、肉も魚も十分にあるんですよ!?鹿なんて山積みなのに!!」
「まぁ…それじゃあ足りてるわね」
「ティアラが来るってテオドールに知られたんだよ。と言う事は、みんな来るだろ?」
「あら、テオに?それは……騎士団みんな来るわね」
「だから足りないって言ってるのに。駄犬が言う事を聞きやしない」
テオが来るならば、お祖母様が作った騎士団も漏れなく来るだろう。テオは元は孤児でお祖母様が手塩にかけて育てた。お祖母様の第一騎士だったのだが、今は街を守る為の騎士団の隊長をしている。騎士団は、お祖母様とテオが一から人を集め育て上げた戦闘部隊だ。荒くれ者や、盗賊、領地を狙う他国の兵士から領民を守っている。彼らはかなり強い。そして、かなり食べる。そりゃもう、かなりだ。
「あ!じゃあ、私がテオに食べ物狩って来てって言えば良いんじゃない?」
「あぁ、そりゃいいね。張り切るだろうさ」
「じゃあ、早速行って来るわ!」
「ティアラ様ありがとうございますうぅぅ」
「モニカ、行きましょ!」
「はい!お嬢様!」
私達は早速、街にある騎士団本部に行く事にした。
馬車が門の前に着くと、泣く子が更に泣いてしまう厳つい顔の騎士がじっと視線を送って来る。
「ハニー久しぶりー!」
ひらひらと手を振れば、驚いた後に目尻を下げたハニーが「お嬢!」と近付いてくる。
「元気してた?ハニーは変わらず顔が怖いわねぇ」
「お嬢!ハニーはやめて下さいよ!後輩に示しがつかねぇんです」
「だって…蜂蜜好きでしょ?」
「はい!肉の次に好きです!」
「ほらぁ!」
ハニーは本名がハリーシュである。しかし、かなりの甘党で何にでも蜂蜜をかける事から幼い私はハニーとあだ名を付けたのだ。顔面凶器の彼がハニーと呼ばれるこのアンバランスさが私は気に入っている。
「お嬢、今年はここで過ごすんですね!こりゃ楽しくなりそうだ!」
「そうなのよ、さっき着いたの。テオに会いに来たんだけど、いる?」
「あ、いますよ!あぁ、団長が朝からご機嫌なのはこれかぁ」
ハニーはニヤニヤと笑っている。どうやらテオは機嫌がいいらしい。狩りのお願いがしやすそうだわ!
「団長室にいますよ」
「じゃあ、勝手に行くわね」
「ははっ!お嬢にとっちゃ庭でしょ!」
私はモニカと共に団長室を目指して歩く。すれ違う騎士達が「ティアラ様!」と明るく挨拶をしてくれるのが気持ちいい。このビシッとした空気感が好きだった。
「ティアラ!!」
聞き慣れた声に思わず笑みが溢れる。振り返ると、黒髪のがっしりした体躯の青年が手を振りながら走ってくるのが見えた。
「テオ!久しぶり!」
「おー、成長して更に綺麗になったんじゃねぇ?」
「お世辞感が酷い!」
「あはは!俺はいつも本気だよ!」
豪快に笑うテオは、日焼けした肌に黒髪が映える男らしい人だ。特に瞳が特徴的で、ルビーのように赤い瞳は見る者を魅了する。街の女性からはもちろん大人気な彼。確かに強くて、イケメンで、真面目で、とくればモテないわけがない。ただしかし、無愛想で女性は苦手。
「ねぇ、テオ。今夜お祖母様と食事なんだけど、テオも来るでしょ?」
「もちろんだな。騎士団の奴も多分ほぼ行く」
「来る前に食材を何頭か狩って来て欲しいの」
「あぁ、元々そのつもりでもう何人か狩りに出てるよ。あいつらの食う量はおかしいからな」
「あら、準備がいいのね」
「そりゃあな!」
私達は顔を見合わせて大笑いした。心の底から笑って、痛くなるお腹に満足する。最近は違う意味でお腹が痛かったから。
あの二人には内緒でここに来た。休みの間は忘れたかったのに。
何故か頭に浮かんでくる。
私は、本当は、どうしたいんだろう。
テオの話を聞きながら、そんな事を思う自分がいた。
アーノルドが私達に気付いて走り寄って来る。にこにこと人好きの笑顔を浮かべる姿はまるで子犬のようだ。
「久しぶりね!アーノルド!元気だった?」
「はい!あっ!でも今は助けて下さい!!シャリエ様ったら酷いんですよ!!」
きゅうんきゅうん!と効果音が聞こえて来そうな程、泣きそうな顔で助けを求めて来るアーノルドは到底年上とは思えない。弟がいたらこんな感じかぁ…と思わず笑ってしまった。
「ふふふっ…!!」
「あ、お嬢様。シャリエ様が…」
モニカが視線を向ける先には、すっと背筋を伸ばしキャラメル色の髪を結い上げた威厳のある姿のお祖母様がこちらに歩いて来る。
「お祖母様!!」
「ティアラ、よく来たね!!で、早速だけど後ろの駄犬を渡してくれるかい?」
「はっ!?だ、駄犬!?」
「肉が足りないからちょっと山に狩りに行けと言っているのに、逃げ回って仕事しないんだよ、困った駄犬だろう?」
綺麗な形の片眉を上げ、私におどけた表情でそう言うお祖母様は相変わらずだ。
本当はアーノルドの事がお気に入りなのに。
「ち、違うんですよ!ティアラ様!もう、肉も魚も十分にあるんですよ!?鹿なんて山積みなのに!!」
「まぁ…それじゃあ足りてるわね」
「ティアラが来るってテオドールに知られたんだよ。と言う事は、みんな来るだろ?」
「あら、テオに?それは……騎士団みんな来るわね」
「だから足りないって言ってるのに。駄犬が言う事を聞きやしない」
テオが来るならば、お祖母様が作った騎士団も漏れなく来るだろう。テオは元は孤児でお祖母様が手塩にかけて育てた。お祖母様の第一騎士だったのだが、今は街を守る為の騎士団の隊長をしている。騎士団は、お祖母様とテオが一から人を集め育て上げた戦闘部隊だ。荒くれ者や、盗賊、領地を狙う他国の兵士から領民を守っている。彼らはかなり強い。そして、かなり食べる。そりゃもう、かなりだ。
「あ!じゃあ、私がテオに食べ物狩って来てって言えば良いんじゃない?」
「あぁ、そりゃいいね。張り切るだろうさ」
「じゃあ、早速行って来るわ!」
「ティアラ様ありがとうございますうぅぅ」
「モニカ、行きましょ!」
「はい!お嬢様!」
私達は早速、街にある騎士団本部に行く事にした。
馬車が門の前に着くと、泣く子が更に泣いてしまう厳つい顔の騎士がじっと視線を送って来る。
「ハニー久しぶりー!」
ひらひらと手を振れば、驚いた後に目尻を下げたハニーが「お嬢!」と近付いてくる。
「元気してた?ハニーは変わらず顔が怖いわねぇ」
「お嬢!ハニーはやめて下さいよ!後輩に示しがつかねぇんです」
「だって…蜂蜜好きでしょ?」
「はい!肉の次に好きです!」
「ほらぁ!」
ハニーは本名がハリーシュである。しかし、かなりの甘党で何にでも蜂蜜をかける事から幼い私はハニーとあだ名を付けたのだ。顔面凶器の彼がハニーと呼ばれるこのアンバランスさが私は気に入っている。
「お嬢、今年はここで過ごすんですね!こりゃ楽しくなりそうだ!」
「そうなのよ、さっき着いたの。テオに会いに来たんだけど、いる?」
「あ、いますよ!あぁ、団長が朝からご機嫌なのはこれかぁ」
ハニーはニヤニヤと笑っている。どうやらテオは機嫌がいいらしい。狩りのお願いがしやすそうだわ!
「団長室にいますよ」
「じゃあ、勝手に行くわね」
「ははっ!お嬢にとっちゃ庭でしょ!」
私はモニカと共に団長室を目指して歩く。すれ違う騎士達が「ティアラ様!」と明るく挨拶をしてくれるのが気持ちいい。このビシッとした空気感が好きだった。
「ティアラ!!」
聞き慣れた声に思わず笑みが溢れる。振り返ると、黒髪のがっしりした体躯の青年が手を振りながら走ってくるのが見えた。
「テオ!久しぶり!」
「おー、成長して更に綺麗になったんじゃねぇ?」
「お世辞感が酷い!」
「あはは!俺はいつも本気だよ!」
豪快に笑うテオは、日焼けした肌に黒髪が映える男らしい人だ。特に瞳が特徴的で、ルビーのように赤い瞳は見る者を魅了する。街の女性からはもちろん大人気な彼。確かに強くて、イケメンで、真面目で、とくればモテないわけがない。ただしかし、無愛想で女性は苦手。
「ねぇ、テオ。今夜お祖母様と食事なんだけど、テオも来るでしょ?」
「もちろんだな。騎士団の奴も多分ほぼ行く」
「来る前に食材を何頭か狩って来て欲しいの」
「あぁ、元々そのつもりでもう何人か狩りに出てるよ。あいつらの食う量はおかしいからな」
「あら、準備がいいのね」
「そりゃあな!」
私達は顔を見合わせて大笑いした。心の底から笑って、痛くなるお腹に満足する。最近は違う意味でお腹が痛かったから。
あの二人には内緒でここに来た。休みの間は忘れたかったのに。
何故か頭に浮かんでくる。
私は、本当は、どうしたいんだろう。
テオの話を聞きながら、そんな事を思う自分がいた。
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