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第一部「ハルコン少年期」
11 2人だけの秘密_04
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* *
「なぁ、ハルコン。先日のシルウィット家でのスモークサーモン? は、大変見事だった。我が領でも、同様に特産品を作りたいのだが。何かいいアイデアはあるだろうか?」
「そうですねぇ、……あるにはあります。では父上、いくつか用意して頂きたいのですが」
「ありがとう。直ぐに手配させよう!」
ハルコンはカイルズに言って、牛乳とレモンによく似た果実、それと領の特産品である水飴を準備させた。
そうこうしていると、ミラが今日も遊びに屋敷を訪れていた。
「へぇーっ。新作の料理? スィート? 見たい、見たい!」
なら、彼女にも手伝わせようかとハルコンは思った。
「では、さっそく始めましょう。ミラもいいかな?」
「うんっ!」
カイルズも、ソフィアと共に興味深そうに頷いた。他にも大勢の料理の使用人達もいる前で、ハルコンは鍋の中に牛乳とレモンによく似た果実の絞り汁を注ぎ始めた。
しばらく鍋を加熱しながらじっくりとかき混ぜていると、牛乳は徐々にゲル状から少しずつ固まっていく。
「へぇーっ。どろどろが固まってきたね」
「うん。ミラ、ちょっと味見してくれるかな?」
そう言って、小鉢に装って、さっそく食べさせてみる。
「うん、すっぱいね。何かスッキリするし、いい感じっ!」
ハルコンはニッコリと笑い返すと、見学中の大人達にも小鉢に装って配って回る。
「体に良さそうだな」
カイルズの正直な感想に、ハルコンもニコリと笑って頷いた。
「これは、カッテージチーズといいます。水飴を少量加えると、更に食べ易くなりますよ!」
「なるほど」
そう言いながら、カイルズはふとミラを見た。仲がいいとはいえ、彼女は外部の者だ。これでは、特産品候補の秘密をまるまる知られてしまうことになる。
「父上、この現象を凝固といいます。我が領の特産品は、これよりもう一段上を狙いたいと思います! お耳を拝借」
カイルズが小柄なハルコンに身を屈めて耳を預けると、ハルコンはこしょこしょとかわいらしく整った小さな口で、今後の領の財政に関わる重要な情報を伝えてきた。
「何と、そんなものでチーズ? とやらを作ることができるのか?」
「はいっ。その際、発酵には多少時間がかかるのですが、必要なものはレンネットと言います」
「ふむ。それは素晴らしいな。いいだろう、カッテージチーズ? とやらは世間に広く公開し、その上位版として、我が領からチーズ? を大々的に売り出していこう! 直ぐに手配してくれ!」
カイルズは、傍にいた家令に即座に指示を出すと、急遽チーズ製造チームをスタートさせた。
ハルコンの言ったとおり、子牛の4番目の胃からレンネットを取り出すと、それで凝固させて発酵を行うことで、チーズの固形化に成功する。
それからしばらくして、領の内外でチーズブームが起こるも、その製法については門外不出のため、どこの領も再現できなかった。
下位互換のカッテージチーズは世間に広く伝えられているため、皆それで我慢しつつ、セイントーク産の高級食材を羨んで食べている。
ハルコンは、更に燻蒸器でスモークチーズを作っては、大人達に試食させている。
即座にカイルズは決断する。スモークサーモンをシルウィット領の特産品にするのなら、スモークチーズはセイントーク領産として、これも必ずや世に出すべきであると。
「なぁ、ハルコン。先日のシルウィット家でのスモークサーモン? は、大変見事だった。我が領でも、同様に特産品を作りたいのだが。何かいいアイデアはあるだろうか?」
「そうですねぇ、……あるにはあります。では父上、いくつか用意して頂きたいのですが」
「ありがとう。直ぐに手配させよう!」
ハルコンはカイルズに言って、牛乳とレモンによく似た果実、それと領の特産品である水飴を準備させた。
そうこうしていると、ミラが今日も遊びに屋敷を訪れていた。
「へぇーっ。新作の料理? スィート? 見たい、見たい!」
なら、彼女にも手伝わせようかとハルコンは思った。
「では、さっそく始めましょう。ミラもいいかな?」
「うんっ!」
カイルズも、ソフィアと共に興味深そうに頷いた。他にも大勢の料理の使用人達もいる前で、ハルコンは鍋の中に牛乳とレモンによく似た果実の絞り汁を注ぎ始めた。
しばらく鍋を加熱しながらじっくりとかき混ぜていると、牛乳は徐々にゲル状から少しずつ固まっていく。
「へぇーっ。どろどろが固まってきたね」
「うん。ミラ、ちょっと味見してくれるかな?」
そう言って、小鉢に装って、さっそく食べさせてみる。
「うん、すっぱいね。何かスッキリするし、いい感じっ!」
ハルコンはニッコリと笑い返すと、見学中の大人達にも小鉢に装って配って回る。
「体に良さそうだな」
カイルズの正直な感想に、ハルコンもニコリと笑って頷いた。
「これは、カッテージチーズといいます。水飴を少量加えると、更に食べ易くなりますよ!」
「なるほど」
そう言いながら、カイルズはふとミラを見た。仲がいいとはいえ、彼女は外部の者だ。これでは、特産品候補の秘密をまるまる知られてしまうことになる。
「父上、この現象を凝固といいます。我が領の特産品は、これよりもう一段上を狙いたいと思います! お耳を拝借」
カイルズが小柄なハルコンに身を屈めて耳を預けると、ハルコンはこしょこしょとかわいらしく整った小さな口で、今後の領の財政に関わる重要な情報を伝えてきた。
「何と、そんなものでチーズ? とやらを作ることができるのか?」
「はいっ。その際、発酵には多少時間がかかるのですが、必要なものはレンネットと言います」
「ふむ。それは素晴らしいな。いいだろう、カッテージチーズ? とやらは世間に広く公開し、その上位版として、我が領からチーズ? を大々的に売り出していこう! 直ぐに手配してくれ!」
カイルズは、傍にいた家令に即座に指示を出すと、急遽チーズ製造チームをスタートさせた。
ハルコンの言ったとおり、子牛の4番目の胃からレンネットを取り出すと、それで凝固させて発酵を行うことで、チーズの固形化に成功する。
それからしばらくして、領の内外でチーズブームが起こるも、その製法については門外不出のため、どこの領も再現できなかった。
下位互換のカッテージチーズは世間に広く伝えられているため、皆それで我慢しつつ、セイントーク産の高級食材を羨んで食べている。
ハルコンは、更に燻蒸器でスモークチーズを作っては、大人達に試食させている。
即座にカイルズは決断する。スモークサーモンをシルウィット領の特産品にするのなら、スモークチーズはセイントーク領産として、これも必ずや世に出すべきであると。
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