嫌われ者の王弟殿下には、私がお似合いなのでしょう? 彼が王になったからといって今更離婚しろなんて言わないでください。

木山楽斗

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26.国王としての彼

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「……兄上は、本当にどうしようもない奴だな」
「そうですね……正直、あまり擁護することはできませんね」

 レオルード様が王城から去った後、ロナード様はため息をついた。
 その心情は理解できる。それはため息だってつきたくなるだろう。

「エリクシス、お前は全て知っていたんだよな? どうして、こんな馬鹿げた提案を受け入れたんだよ」
「……申し訳ありませんでした。レオルード様は、一度言い出したら聞かないもので」
「だからといって、俺に全部を押し付けるなんて、ひどいんじゃないか?」
「その罪は償うつもりです」

 ロナード様は、エリクシスさんに文句を言っていた。
 作戦に協力していた彼は、当然全てを知っていたということになる。だから、ロナード様には文句の一つくらい言う権利はあるだろう。
 とはいえ、エリクシスさんはとても申し訳なさそうにしている。真面目で知られる騎士団長だ。やはり、レオルード様の行動には色々と思う所があるのだろう。

「というか、兄上を止めらなかったお前に聞いておきたいんだが、もしも俺が同じことをしようとしたら、どうするつもりなんだ?」
「ロナード様はそのようなことはしません」
「……何?」
「レオルード様は、ああ見えてとても自由な方です。王族としての意識など、それ程ないと思います。一方で、ロナード様はとても真面目な方です。王族としての役目を投げ出すような方ではありません」
「褒めても何も出ないぞ」

 エリクシスさんの言葉に、ロナード様は再びため息をついた。
 あの騎士団長から、ここまで信頼されているなんてロナード様はやはりすごい人だ。
 とはいえ、私は既に彼の内面を知っている。だから、左程驚きはない。ロナード様は、口では色々と言うが、本当は真面目な人なのだ。

「お前とクレメリア、他数名がこの事実を知っているんだったな?」
「ええ、その通りです」
「葬儀の予定とか、そういうものは全部任せても問題ないのか?」
「もちろんです。全て手配は済ませています」
「はあ……それなら、葬儀が終わるまでに俺がやるべきことはなんだ?」
「国王としての仕事などがあります。正式な就任式はまだですが、誰かがその役目を担わなければなりません」
「面倒だな……」

 ロナード様は、ゆっくりと頭をかいた。
 しかし、次に顔を上げた時に彼は真剣な顔になっていた。これが、国王としての彼の顔なのだろう。
 かっこいいとそう思った。きっと私の夫は、その役目を全うするだろう。偉大なる国王として。
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