27 / 36
27.王国内の風潮
しおりを挟む
ロナード様が国王に就任したという事実は、当然のことながらすぐに国中に広がった。
無論、多くの反感はあった。無能で嫌われ者の王弟殿下が、国王に就任する。当然それがすんなりと受け入れられる訳がない。
「そこで出したのが、兄上が残したこの文書である訳だが……」
「レオルード様とロナード様の関係性ですか……」
「ここに書いてあることは、概ね事実ではあるな。とはいえ、そう簡単に信じられるという訳でもない。というか、信じようとしない奴がいる」
レオルード様とロナード様は、かつて起こったような王位争いをしないために契約を交わしていた。それが、レオルード様が描いた筋書きだ。
それを遺書として彼は残している訳だが、これも偽装が疑われている。やはり、今までの風潮がロナード様を国王だと認めさせてくれないのだ。
「とはいえ、騎士団長や聖女は付き従っている。それに、エルボア公爵家を始めとする貴族達も俺を支持している。まあ、この辺りも兄上が色々とやってくれていたのだろうかね」
「レオルード様も、本当に色々としていたのですね」
「適当な人ではあるが、その辺を誤ったりはしないだろうさ。俺が王位を継げるように準備はしていたはずだ。エルボア公爵家なんて、そのいい例だ。兄上は、公爵に漏らしていたらしいからな。それらしいことを……」
レオルード様は、賢王として知られていた。その手腕は確かなものだろう。
それに、人柄も良かったと聞いている。国中の人から尊敬されていた人なのだ。貴族達の中にも、彼を心から尊敬していた人は少なくないだろう。
そういう人達に対して、レオルード様は働きかけていたのかもしれない。ロナード様に悪いことをしたなどということを。
「カルランド公爵家は……ふむ、様子見しているといった感じか」
「まあ、一応、私がカルランド公爵令嬢ですからね」
「俺の雲行きが怪しくなったら、まとめて切り捨てようといった所か。逆に俺が無事に王としてやっていけるようになったら……」
「利用するつもり、でしょうか……いえ、もしかしたらもっと恐ろしいことを考えているかもしれません」
もしも私が無事に王妃となったなら、ホルルナはほぼ必ず何をしてくる。長年彼女には苦しめられてきた。だから、その行動パターンは大体わかっている。
「さて、それならどうするべきだろうかね……まあ、色々と方策はあるだろうが、その辺りについても考えておくとしようかね」
「すみません。私のせいで……」
「いや、構わないさ……あなたのためなら、多少の無茶だってするさ。色々と助けられたからな」
「いえ、私は何も……」
「いや、少し前の俺だったら、こんな風に余裕はなかっただろうさ。誰かの支えがあるというのは、本当にありがたい」
「……お役に立てているなら何よりです」
私は、ロナード様の妻である。彼を支えるのが私の役目だ。
それが果たせているというなら良かった。これからも、王妃として頑張っていくとしよう。
無論、多くの反感はあった。無能で嫌われ者の王弟殿下が、国王に就任する。当然それがすんなりと受け入れられる訳がない。
「そこで出したのが、兄上が残したこの文書である訳だが……」
「レオルード様とロナード様の関係性ですか……」
「ここに書いてあることは、概ね事実ではあるな。とはいえ、そう簡単に信じられるという訳でもない。というか、信じようとしない奴がいる」
レオルード様とロナード様は、かつて起こったような王位争いをしないために契約を交わしていた。それが、レオルード様が描いた筋書きだ。
それを遺書として彼は残している訳だが、これも偽装が疑われている。やはり、今までの風潮がロナード様を国王だと認めさせてくれないのだ。
「とはいえ、騎士団長や聖女は付き従っている。それに、エルボア公爵家を始めとする貴族達も俺を支持している。まあ、この辺りも兄上が色々とやってくれていたのだろうかね」
「レオルード様も、本当に色々としていたのですね」
「適当な人ではあるが、その辺を誤ったりはしないだろうさ。俺が王位を継げるように準備はしていたはずだ。エルボア公爵家なんて、そのいい例だ。兄上は、公爵に漏らしていたらしいからな。それらしいことを……」
レオルード様は、賢王として知られていた。その手腕は確かなものだろう。
それに、人柄も良かったと聞いている。国中の人から尊敬されていた人なのだ。貴族達の中にも、彼を心から尊敬していた人は少なくないだろう。
そういう人達に対して、レオルード様は働きかけていたのかもしれない。ロナード様に悪いことをしたなどということを。
「カルランド公爵家は……ふむ、様子見しているといった感じか」
「まあ、一応、私がカルランド公爵令嬢ですからね」
「俺の雲行きが怪しくなったら、まとめて切り捨てようといった所か。逆に俺が無事に王としてやっていけるようになったら……」
「利用するつもり、でしょうか……いえ、もしかしたらもっと恐ろしいことを考えているかもしれません」
もしも私が無事に王妃となったなら、ホルルナはほぼ必ず何をしてくる。長年彼女には苦しめられてきた。だから、その行動パターンは大体わかっている。
「さて、それならどうするべきだろうかね……まあ、色々と方策はあるだろうが、その辺りについても考えておくとしようかね」
「すみません。私のせいで……」
「いや、構わないさ……あなたのためなら、多少の無茶だってするさ。色々と助けられたからな」
「いえ、私は何も……」
「いや、少し前の俺だったら、こんな風に余裕はなかっただろうさ。誰かの支えがあるというのは、本当にありがたい」
「……お役に立てているなら何よりです」
私は、ロナード様の妻である。彼を支えるのが私の役目だ。
それが果たせているというなら良かった。これからも、王妃として頑張っていくとしよう。
2
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
婚約破棄されたので、戻らない選択をしました
ふわふわ
恋愛
王太子アルトゥールの婚約者として生きてきた
貴族令嬢ミディア・バイエルン。
だが、偽りの聖女シエナに心を奪われた王太子から、
彼女は一方的に婚約を破棄される。
「戻る場所は、もうありませんわ」
そう告げて向かった先は、
王都から遠く離れたアルツハイム辺境伯領。
権力も、評価も、比較もない土地で、
ミディアは“誰かに選ばれる人生”を静かに手放していく。
指示しない。
介入しない。
評価しない。
それでも、人は動き、街は回り、
日常は確かに続いていく。
一方、王都では――
彼女を失った王太子と王政が、
少しずつ立ち行かなくなっていき……?
派手な復讐も、涙の和解もない。
あるのは、「戻らない」という選択と、
終わらせない日常だけ。
小石だと思っていた妻が、実は宝石だった。〜ある伯爵夫の自滅
みこと。
恋愛
アーノルド・ロッキムは裕福な伯爵家の当主だ。我が世の春を楽しみ、憂いなく遊び暮らしていたところ、引退中の親から子爵家の娘を嫁にと勧められる。
美人だと伝え聞く子爵の娘を娶ってみれば、田舎臭い冴えない女。
アーノルドは妻を離れに押し込み、顧みることなく、大切な約束も無視してしまった。
この縁談に秘められた、真の意味にも気づかずに──。
※全7話で完結。「小説家になろう」様でも掲載しています。
地味令嬢の私ですが、王太子に見初められたので、元婚約者様からの復縁はお断りします
有賀冬馬
恋愛
子爵令嬢の私は、いつだって日陰者。
唯一の光だった公爵子息ヴィルヘルム様の婚約者という立場も、あっけなく捨てられた。「君のようなつまらない娘は、公爵家の妻にふさわしくない」と。
もう二度と恋なんてしない。
そう思っていた私の前に現れたのは、傷を負った一人の青年。
彼を献身的に看病したことから、私の運命は大きく動き出す。
彼は、この国の王太子だったのだ。
「君の優しさに心を奪われた。君を私だけのものにしたい」と、彼は私を強く守ると誓ってくれた。
一方、私を捨てた元婚約者は、新しい婚約者に振り回され、全てを失う。
私に助けを求めてきた彼に、私は……
オネェ系公爵子息はたからものを見つけた
有川カナデ
恋愛
レオンツィオ・アルバーニは可愛いものと美しいものを愛する公爵子息である。ある日仲の良い令嬢たちから、第三王子とその婚約者の話を聞く。瓶底眼鏡にぎちぎちに固く結ばれた三編み、めいっぱい地味な公爵令嬢ニナ・ミネルヴィーノ。分厚い眼鏡の奥を見たレオンツィオは、全力のお節介を開始する。
いつも通りのご都合主義。ゆるゆる楽しんでいただければと思います。
妹に婚約者まで奪われました!~彼の本性を知って、なんとかしてと泣きつかれましたが、私は王子殿下と婚約中なので知りません~
ルイス
恋愛
伯爵令嬢のシャルナは、妹のメープルに婚約者である公爵を奪われてしまう。
妹は昔から甘やかされて育ち、その外見の良さと甘え上手な態度から守ってあげたくなるのだ。
シャルナの両親もメープルには甘く、彼女はずっと煮え湯を飲まされていた。
今回は婚約破棄までされ、とうとう彼女も我慢の限界を超えるが、その時に助けてくれたのが王子殿下だった。
シャルナは王子殿下と婚約を果たし、幸せな生活の一歩を踏み出すことになる。
対して妹のメープルは、婚約した公爵の欠点や本性が見え始め、婚約を取り消したいと泣きついてくるのだが……いまさらそんなこと言われても、遅すぎる。
人形令嬢は暗紅の公爵に溺愛される
oro
恋愛
生まれた時から妹の代わりでしか無かった姉フィオラ。
家族から愛されずに育った少女は、舞台に立つ操り人形のように慎ましく美しい完璧な令嬢へと成長した。
全てを諦め、平穏な人生を歩むために。
妹の代わりに婚約させられた相手は冷淡で冷酷な「暗紅の白銀狼」と呼ばれる公爵様。
愛を知らない令嬢と公爵様のお話。
捨てた私をもう一度拾うおつもりですか?
ミィタソ
恋愛
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」
ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。
それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。
傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる