12 / 26
12.王都に入るには
しおりを挟む
「お嬢さん、ここまでだよ。王都には入ることができない」
「いえ、ここまで運んでくださりありがとうございます」
「王都に入ろうというなら、気を付けるんだよ? 見つかればただでは済まない」
「はい、わかっています」
故郷の村から王都の近くまでやって来た私は、ここまで運んで来てくれた御者さんとそのような会話を交わした。
王都に入る門の前では、兵士らしき人達と何人かの人物が言い争っている。どうやら今王都には入ることも出ることもできないらしい。
「問題は、あの雲かな……?」
私はゆっくりと空を見上げて、そこにある雲を見つめた。
その雲は、一見すると雨雲のように思える。いや、実際に雨雲なのかもしれない。ただあれが雨をもたらすというだけではないことを私は理解していた。
王都の周りにあるはずの結界は、明らかに弱まっている。恐らく、結界を張れる聖女が不在であるため、上手く働いていないのだろう。
「とにかく、中に入らないといけないか……場合によっては、王城にも忍び込まないといけないかな」
王都を覆っている雲は、邪悪なる者の襲来を表しているはずだ。そういうものを払うための結界が機能していないのだから、その可能性は高いだろう。
それを解決する方法は、結界を再度張ることだ。そうすれば、邪悪なる者は手を出せなくなるだろう。
そして結界を張れるのは、私かサリーム様くらいだ。彼女は自由に動くことができない立場であるだろうし、今結界を張れるのは私だけということになる。
「正面からは入らせてもらえないだろうし……」
とりあえず私は、近くの森の中に入っていた。
その中には危険な魔物などが潜んでいるかもしれないが、それは逆に人が寄り付かない場所であることを表している。
とにかく私は、見つからないように王都に入らなければならない。そうするために、そういった場所に行く必要があるのだ。
「……すごく嫌だけど、これなら見つからないように行けるはず」
森に入って少し進んでから、私は地面に手を置いた。
王都の中に入るために、私はとても原始的な方法を選んだ。空を飛んだりする方法もあるのだが、やはり目立たないためにはこれが一番いいだろう。
「本来なら結界があるけれど、それも弱まっているみたいだし……」
私は、魔力によって地面に穴を開けそこに入っていく。
今から私は、穴を掘って王都の中に入るつもりだ。上が駄目だから下を通る。それは非常に単純な方法だ。
土にまみれるし暗いし、進むのに時間もかかる。正直な所、あまり気は進まない。
しかし私が思い付く方法で、一番いい方法はこれである。だから進んでいくしかない。
「夜までには終わらせたい所だけど……」
これから私は、魔法で穴を掘ってその穴を整備して進んでいく。それは、結構骨が折れる作業である。それなりに時間もかかるだろう。
しかし流石に夜までには終わるはずだ。この穴の中で一夜を明かしたくはないし、効率良く作業していく必要がある。
ただ、王都に入る時は夜の方がいいかもしれない。一目が少ない場所に出るつもりではあるが、やはり闇に紛れられる夜の方がいいような気もする。
「まあ、嫌だなんて言っている場合じゃないか……」
色々な事実に辟易としながらも、私は作業を始めた。
こうして私は、王都の中を目指すのだった。
「いえ、ここまで運んでくださりありがとうございます」
「王都に入ろうというなら、気を付けるんだよ? 見つかればただでは済まない」
「はい、わかっています」
故郷の村から王都の近くまでやって来た私は、ここまで運んで来てくれた御者さんとそのような会話を交わした。
王都に入る門の前では、兵士らしき人達と何人かの人物が言い争っている。どうやら今王都には入ることも出ることもできないらしい。
「問題は、あの雲かな……?」
私はゆっくりと空を見上げて、そこにある雲を見つめた。
その雲は、一見すると雨雲のように思える。いや、実際に雨雲なのかもしれない。ただあれが雨をもたらすというだけではないことを私は理解していた。
王都の周りにあるはずの結界は、明らかに弱まっている。恐らく、結界を張れる聖女が不在であるため、上手く働いていないのだろう。
「とにかく、中に入らないといけないか……場合によっては、王城にも忍び込まないといけないかな」
王都を覆っている雲は、邪悪なる者の襲来を表しているはずだ。そういうものを払うための結界が機能していないのだから、その可能性は高いだろう。
それを解決する方法は、結界を再度張ることだ。そうすれば、邪悪なる者は手を出せなくなるだろう。
そして結界を張れるのは、私かサリーム様くらいだ。彼女は自由に動くことができない立場であるだろうし、今結界を張れるのは私だけということになる。
「正面からは入らせてもらえないだろうし……」
とりあえず私は、近くの森の中に入っていた。
その中には危険な魔物などが潜んでいるかもしれないが、それは逆に人が寄り付かない場所であることを表している。
とにかく私は、見つからないように王都に入らなければならない。そうするために、そういった場所に行く必要があるのだ。
「……すごく嫌だけど、これなら見つからないように行けるはず」
森に入って少し進んでから、私は地面に手を置いた。
王都の中に入るために、私はとても原始的な方法を選んだ。空を飛んだりする方法もあるのだが、やはり目立たないためにはこれが一番いいだろう。
「本来なら結界があるけれど、それも弱まっているみたいだし……」
私は、魔力によって地面に穴を開けそこに入っていく。
今から私は、穴を掘って王都の中に入るつもりだ。上が駄目だから下を通る。それは非常に単純な方法だ。
土にまみれるし暗いし、進むのに時間もかかる。正直な所、あまり気は進まない。
しかし私が思い付く方法で、一番いい方法はこれである。だから進んでいくしかない。
「夜までには終わらせたい所だけど……」
これから私は、魔法で穴を掘ってその穴を整備して進んでいく。それは、結構骨が折れる作業である。それなりに時間もかかるだろう。
しかし流石に夜までには終わるはずだ。この穴の中で一夜を明かしたくはないし、効率良く作業していく必要がある。
ただ、王都に入る時は夜の方がいいかもしれない。一目が少ない場所に出るつもりではあるが、やはり闇に紛れられる夜の方がいいような気もする。
「まあ、嫌だなんて言っている場合じゃないか……」
色々な事実に辟易としながらも、私は作業を始めた。
こうして私は、王都の中を目指すのだった。
153
あなたにおすすめの小説
義妹が聖女を引き継ぎましたが無理だと思います
成行任世
恋愛
稀少な聖属性を持つ義妹が聖女の役も婚約者も引き継ぐ(奪う)というので聖女の祈りを義妹に託したら王都が壊滅の危機だそうですが、私はもう聖女ではないので知りません。
婚約破棄された聖女は、愛する恋人との思い出を消すことにした。
石河 翠
恋愛
婚約者である王太子に興味がないと評判の聖女ダナは、冷たい女との結婚は無理だと婚約破棄されてしまう。国外追放となった彼女を助けたのは、美貌の魔術師サリバンだった。
やがて恋人同士になった二人。ある夜、改まったサリバンに呼び出され求婚かと期待したが、彼はダナに自分の願いを叶えてほしいと言ってきた。彼は、ダナが大事な思い出と引き換えに願いを叶えることができる聖女だと知っていたのだ。
失望したダナは思い出を捨てるためにサリバンの願いを叶えることにする。ところがサリバンの願いの内容を知った彼女は彼を幸せにするため賭けに出る。
愛するひとの幸せを願ったヒロインと、世界の平和を願ったヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:4463267)をお借りしています。
聖女の妹、『灰色女』の私
ルーシャオ
恋愛
オールヴァン公爵家令嬢かつ聖女アリシアを妹に持つ『私』は、魔力を持たない『灰色女(グレイッシュ)』として蔑まれていた。醜聞を避けるため仕方なく出席した妹の就任式から早々に帰宅しようとしたところ、道に座り込む老婆を見つける。その老婆は同じ『灰色女』であり、『私』の運命を変える呪文をつぶやいた。
『私』は次第にマナの流れが見えるようになり、知らなかったことをどんどんと知っていく。そして、聖女へ、オールヴァン公爵家へ、この国へ、差別する人々へ——復讐を決意した。
一方で、なぜか縁談の来なかった『私』と結婚したいという王城騎士団副団長アイメルが現れる。拒否できない結婚だと思っていたが、妙にアイメルは親身になってくれる。一体なぜ?
自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?
長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。
王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、
「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」
あることないこと言われて、我慢の限界!
絶対にあなたなんかに王子様は渡さない!
これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー!
*旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。
*小説家になろうでも掲載しています。
『親友』との時間を優先する婚約者に別れを告げたら
黒木メイ
恋愛
筆頭聖女の私にはルカという婚約者がいる。教会に入る際、ルカとは聖女の契りを交わした。会えない間、互いの不貞を疑う必要がないようにと。
最初は順調だった。燃えるような恋ではなかったけれど、少しずつ心の距離を縮めていけたように思う。
けれど、ルカは高等部に上がり、変わってしまった。その背景には二人の男女がいた。マルコとジュリア。ルカにとって初めてできた『親友』だ。身分も性別も超えた仲。『親友』が教えてくれる全てのものがルカには新鮮に映った。広がる世界。まるで生まれ変わった気分だった。けれど、同時に終わりがあることも理解していた。だからこそ、ルカは学生の間だけでも『親友』との時間を優先したいとステファニアに願い出た。馬鹿正直に。
そんなルカの願いに対して私はダメだとは言えなかった。ルカの気持ちもわかるような気がしたし、自分が心の狭い人間だとは思いたくなかったから。一ヶ月に一度あった逢瀬は数ヶ月に一度に減り、半年に一度になり、とうとう一年に一度まで減った。ようやく会えたとしてもルカの話題は『親友』のことばかり。さすがに堪えた。ルカにとって自分がどういう存在なのか痛いくらいにわかったから。
極めつけはルカと親友カップルの歪な三角関係についての噂。信じたくはないが、間違っているとも思えなかった。もう、半ば受け入れていた。ルカの心はもう自分にはないと。
それでも婚約解消に至らなかったのは、聖女の契りが継続していたから。
辛うじて繋がっていた絆。その絆は聖女の任期終了まで後数ヶ月というところで切れた。婚約はルカの有責で破棄。もう関わることはないだろう。そう思っていたのに、何故かルカは今更になって執着してくる。いったいどういうつもりなの?
戸惑いつつも情を捨てきれないステファニア。プライドは捨てて追い縋ろうとするルカ。さて、二人の未来はどうなる?
※曖昧設定。
※別サイトにも掲載。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星井ゆの花
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2025年10月25日、外編全17話投稿済み。第二部準備中です。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。
だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。
もしかして、婚約破棄⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる