旦那様の不手際は、私が頭を下げていたから許していただけていたことをご存知なかったのですか?

木山楽斗

文字の大きさ
14 / 50

14.喧嘩する程

しおりを挟む
 ベルージュ侯爵夫妻との話し合いを終えた私達は、ファナト様とクルメア様と対面していた。
 友人であり、この婚約を祝福してくれている二人には、堅苦しい挨拶などはいらない。私も割と気楽に、この場にいさせてもらっている。

「今回の婚約を私は祝福しています。ただ一つ問題があるとすれば、リメリアさんが私の姉になるということでしょうか」
「姉、ですか?」
「ええ、そちらの義兄は義兄ですからね。リメリアさんは、私の義姉になる訳です」
「それはなんというか、少し変な話ですね……」

 クルメア様は、少しおどけた様子で話をしてきた。
 私が彼女の姉になるというのは、あまり喜べることではない。先人として尊敬しており、姉のように思っていたクルメア様と立場が逆転するのは、良いことだとは思えなかった。
 それについては、ファナト様に対しても同じことがいえる。義理の弟なんて、やはり変な話だ。

「年齢的に考えれば、当然そうなるのでしょうね。リメリアさんが、義姉ですか……僕としても、少し複雑かもしれません」
「というかよく考えてみれば、お義兄様は随分と若い奥様を得られる訳ですね?」
「年齢を理由にした訳ではない」
「あははっ、そうですか」

 クルメア様は、バルハルド様に対して乾いた笑いを浮かべていた。
 それに対して、彼の方も表面上だけの笑みを浮かべている。なんというか、この二人のやり取りはどこかトゲトゲしているような気がする。
 そう思って、私はファナト様の方を見つめた。すると彼は、苦笑いを返してくる。

「リメリアさん、どうか気にしないでください。二人にとって、これはじゃれ合いのようなもので……」
「その言葉は聞き捨てならないな。私がいつどこで誰とじゃれ合ったって?」
「……兄というものは、寛大でなければならないと認識している。しかし、その言葉は許容範囲外だ。取り消してもらうぞ、ファナト」
「ほら、こんな風に息ぴったりでしょう?」
「なるほど……」

 クルメア様とバルハルド様は、喧嘩する程仲が良いというような関係なのだろう。二人のやり取りは、受け流すくらいが丁度いいといった所か。
 ただ、それを口に出すと二人は怒るだろう。という訳で、私は笑顔を浮かべておく。

「まあ、単純な話ですよ、リメリアさん。私とお義兄様は、相性が悪いんです」
「犬猿の中といっても、過言ではない」
「あははっ」
「あはははっ」

 二人のやり取りに、私とファナト様は苦笑いを浮かべることになった。
 クルメア様とバルハルド様は、似た者同士なのかもしれない。私はそんなことを思いながら、笑うのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

結婚5年目のお飾り妻は、空のかなたに消えることにした

三崎こはく
恋愛
ラフィーナはカールトン家のお飾り妻だ。 書類上の夫であるジャンからは大量の仕事を押しつけられ、ジャンの愛人であるリリアからは見下され、つらい毎日を送っていた。 ある日、ラフィーナは森の中で傷ついたドラゴンの子どもを拾った。 屋敷に連れ帰って介抱すると、驚いたことにドラゴンは人の言葉をしゃべった。『俺の名前はギドだ!』 ギドとの出会いにより、ラフィーナの生活は少しずつ変わっていく―― ※他サイトにも掲載 ※女性向けHOT1位感謝!7/25完結しました!

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】私に可愛げが無くなったから、離縁して使用人として雇いたい? 王妃修行で自立した私は離縁だけさせてもらいます。

西東友一
恋愛
私も始めは世間知らずの無垢な少女でした。 それをレオナード王子は可愛いと言って大層可愛がってくださいました。 大した家柄でもない貴族の私を娶っていただいた時には天にも昇る想いでした。 だから、貴方様をお慕いしていた私は王妃としてこの国をよくしようと礼儀作法から始まり、国政に関わることまで勉強し、全てを把握するよう努めてまいりました。それも、貴方様と私の未来のため。 ・・・なのに。 貴方様は、愛人と床を一緒にするようになりました。 貴方様に理由を聞いたら、「可愛げが無くなったのが悪い」ですって? 愛がない結婚生活などいりませんので、離縁させていただきます。 そう、申し上げたら貴方様は―――

9番と呼ばれていた妻は執着してくる夫に別れを告げる

風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から言いたいことを言えずに、両親の望み通りにしてきた。 結婚だってそうだった。 良い娘、良い姉、良い公爵令嬢でいようと思っていた。 夫の9番目の妻だと知るまでは―― 「他の妻たちの嫉妬が酷くてね。リリララのことは9番と呼んでいるんだ」 嫉妬する側妃の嫌がらせにうんざりしていただけに、ターズ様が側近にこう言っているのを聞いた時、私は良い妻であることをやめることにした。 ※最後はさくっと終わっております。 ※独特の異世界の世界観であり、ご都合主義です。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。

完結 貴方が忘れたと言うのなら私も全て忘却しましょう

音爽(ネソウ)
恋愛
商談に出立した恋人で婚約者、だが出向いた地で事故が発生。 幸い大怪我は負わなかったが頭を強打したせいで記憶を失ったという。 事故前はあれほど愛しいと言っていた容姿までバカにしてくる恋人に深く傷つく。 しかし、それはすべて大嘘だった。商談の失敗を隠蔽し、愛人を侍らせる為に偽りを語ったのだ。 己の事も婚約者の事も忘れ去った振りをして彼は甲斐甲斐しく世話をする愛人に愛を囁く。 修復不可能と判断した恋人は別れを決断した。

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

処理中です...