旦那様の不手際は、私が頭を下げていたから許していただけていたことをご存知なかったのですか?

木山楽斗

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13.侯爵夫妻への挨拶

 私はバルハルド様と並んで、ベルージュ侯爵夫妻と対面していた。
 ファナト様に似た優男のベルージュ侯爵、そんな彼に負けず劣らず優しそうな夫人、二人はなんというか、似た者夫婦といえるだろう。
 そんな二人の息子が、心の根の優しいファナト様というのは、らしいといえばらしい。

「さてと、何から話すべきかな? まあ、リメリア嬢、どうかバルハルドのことをよろしくお願いします」
「あ、はい」

 ベルージュ侯爵の言葉に、私はとりあえずゆっくりと頷く。
 よく考えてみれば、私はバルハルド様がどのようにして、ベルージュ侯爵家に収まったのか、よく知らない。侯爵の言葉には、何か含みがあるような気がするのだが、その意図を読み取ることができないのだ。

 それに、ベルージュ侯爵夫人が何を思っているのかも、わからない。
 妾の子に対して、敵意などはないのだろうか。少なくとも今はそれはないように思えるのだが、バルハルド様とどのような関係性なのか、気になる。

 とはいえ、それらについては中々聞けることでもないというのが、正直な所である。
 繊細な問題であるし、相手から話してもらうのを待つしかないだろう。相手が話す気にならないなら、敢えて聞く必要もないことだ。気にしないようにするとしよう。

「……バルハルド君、リメリア嬢のことをきちんと大切にしてあげるのよ? それは言うまでもないことかもしれないけれど」
「……もちろんです、母上。最初から不幸にする気はありません」

 ベルージュ侯爵夫人が話しかけたのは、私ではなくバルハルド様だった。
 二人の間には、ぎこちない雰囲気などはない。確執などはない、もしくは既に解消されているということだろうか。それなら、少し安心することができる。

「リメリア嬢、あなたもバルハルド君の事情については、当然理解しているわよね? そのことでもしかしたら、苦労するかもしれないけれど……」
「大丈夫です。その辺りの覚悟は決めていますから。それに私の方も、ヴォンドラ伯爵家から追い出された身です。バルハルド様には、そのことで苦労をかけるかもしれません」
「そのことについて、俺はまったく持って気にしていない。気にする必要がないことに些細なことだ。何の障害にもなりはしない」
「……ふふっ、二人はお似合いみたいね」

 私とバルハルド様の言葉に、ベルージュ侯爵夫人はお墨付きを与えてくれた。
 どうやら私は、無事にバルハルド様と結婚することができそうだ。そう思って私は、笑顔を浮かべるのだった。
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