醜い傷ありと蔑まれてきた私の顔に刻まれていたのは、選ばれし者の証である聖痕でした。今更、態度を改められても許せません。

木山楽斗

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 私は、イルシャナお姉様とウェリリアお姉様が去った後、その場に立ち尽くしていた。
 二人が去ってから、安心したのか、すごく疲れが出てきた。強気の発言をすると、私は疲れてしまうようだ。

「ふふ、よくやりましたわね」
「え?」

 そんな私の元に、見知った二人が現れた。
 お兄様とセリーヌ様が、曲がり角からやって来たのだ。

「お兄様? セリーヌ様? もしかして……」
「ええ、一部始終見せてもらいましたわ」
「出て行こうかと思ったんだが、セリーヌに止められてね」
「当り前ですわ。あそこで出て行くと彼女の成長に繋がりませんもの」

 どうやら、二人は物陰からずっと成り行きを見ていたらしい。
 出てこなかったのは、セリーヌ様の言う通り、私を成長させるためだったのだろう。一人で立ち向かえるように、願ってくれていたのだ。

「見事でしたわ。あなたも、強くなれたということでしょうね」
「そうなんでしょうか?」
「ええ、間違いありませんわ」
 
 セリーヌ様の言葉に、私は喜んでいた。
 憧れの彼女から褒められるのは、とても嬉しいのだ。

「でも、俺は少し複雑な気持ちだな……二人が、あんなことを思っていたなんて」
「あら? そうですの?」
「なんだか、申し訳ないというか……責任の一端は、俺にもあるんだなって」

 そこで、お兄様が悲しそうな顔で呟いた。
 お姉様達の言葉は、お兄様に突き刺さったようだ。責任感が強い人なので、恐らく責任を感じているのだろう。

「あなたが何かを思う必要はありませんわ。あんなのは、彼女達の問題ですもの」
「え? いや、でも……」
「私はそうは思いませんが、彼女達はこの子のことを悲劇のヒロインぶっているとでも言いたげでしたわ。でも、それは彼女達にもそのまま跳ね返りますわ」

 そんなお兄様に、セリーヌ様が言葉を放った。
 彼女は、お姉様達のことで彼が悩むべきではないと、はっきりと思っているようだ。

「そうなのか?」
「彼女達は、兄や母に愛されなかったと酔っているといえますわ。そうやって、自分のしたことを正当化している。そうとも考えられるでしょう?」
「それは……そうかもしれないが」
「要するに、彼女達の精神は元々腐っていましたのよ。もっと、色々とやり方はあったはずですもの。この子に当たるという手段を取った時点で、彼女達は駄目ですのよ。それに対して、あなたに責任があるなど考える必要はありませんわ」

 セリーヌ様は、お姉様達に問題があったと思っているようだ。
 基本的に、彼女は強い。だからこそ、個々に責任を求めるのだろう。
 私は、お姉様達に対して、少し同情できる部分はあると思っている。それは、私が特別に守られていたという自覚があるからかもしれない。
 もちろん、許せないとは思っている。しかし、同情できない訳でもないというのが私の考えだ。

「それでも、俺は彼女達に対して責任を感じるよ」
「そうですか。あなたは、なんでも背負いたがりますわね?」
「性分なんでね」

 お兄様も、私と同じような考えであるようだ。いや、彼は私よりもずっと彼女達に同情しているかもしれない。
 結局、お姉様達に対する感情は、個々によって違うのだろう。これに関しては、ここで結論を出すしかないのかもしれない。
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